年も明けまして後出しにはなりますが、暮れのGCの整備内容をブログでまとめておこうと思います。
GCは年末にかけて色々と問題を抱えていたので、最低でも秋田に帰省出来る状態にしておかないといけない・・・往復1200キロ現地雪道300キロ強。
豪雪地、深夜の山間部でのトラブルは命の危険すらあります。
先だってからのDCCDの機能停止状態も何とかはしたいんですが、これはスノーアタックでの戦闘力の問題だけであり、雪道自体は何の問題もなく走れます。
それよりも、つい先日より後ろ回りの駆動系よりカチャカチャと音が出るようになり、これをまず何とかしたい所。
音はスロットルと連動しており、コーナーを曲がった後などにも音が大きくなるような症状。
アクセルONによる駆動系正転負荷時にのみ、カキンカキンとか、コツコツコツというような大きめの金属音が鳴るようになりました。
きっかけがありまして、GCを通勤に使っていた日の帰り道。
近所のちん寒スポット的な、高低差の大きいジャンプポイントみたいなのがあるんですが、ここをいかにきれいにクリアするか・・・みたいな事をいつも意識しながら通過する訳です。
タイヤが路面から離れるほどではないですが、サスペンション四輪が伸び切る位の飛び出しをして、タイヤがフェンダーに当たったり、マフラーが路面に擦るようなこともなく、四輪を同時にフルバンプさせて走り抜ける・・・というような感じの事なんですが、着地後にアクセルの開け方が悪いと乱れたりするので、舐めてはいけないw
まぁ、通勤路で何してんだよという話ですが・・・
ある日の帰り道で、ジャンプ飛び出し前のヨーの掛け方があまり良くなかったからか、やや左から着地するような按配となった。
片輪着地をすると、かなり深くサスペンションが仕事をすることになる。
それでも無難にまとめて走り去る訳だけど、なんとなく嫌な感じがする。
キンキンキンとか、コツコツコツと下の方から音がする。
初見ではマフラーか何かが、ボディに当たるようになってしまったような・・・
すぐ家なので、降りて下回りを少し見てみて、マフラーの出口を蹴っ飛ばしたりしてみる。
うーん、特にいつもと変わりはないな・・・
しかし、翌朝も相変わらず音がするわけ。
カキンカキンというような金属音。
少し知っている人ならチャタリングに近い音に聞こえる。
初めは不定期なので、よく判らなかったのだけど、アクセルを開けている時だけだということは限定出来ました。
デフかなぁ・・・と思った。
機械式LSDなので壊れてもフリーになるだけで走れなくなることはない筈。
プレートが割れたり何か事件が起きているのかも知れない。
でも・・・デフなら、回転差が生じたときに音が出るんじゃないのかな?
それが真っすぐ走っていても音が出る。
何となく釈然としないが。
リヤデフは前回OHから何だかんだ4~5年は開けてない。
効きもかなり落ち込んでしまっているし、リングギヤのバックラッシュがかなり大きくなってきているので、ローギヤ走行時でのアクセルONOFFでのスナッチが大きく、不愉快だった。
どの道近々開けようとは思っていた所である。
「オイルがきれいだな・・・」
こうやってオイルを排出する時に殆どの真理は見て取れる。
リヤデフオイルなんて2年に一回位しか換えてないので、それでこのきれいさは何もトラブっていない証拠である。
あんなガチャガチャ音が出るような事件が起きていたら、オイル真っ黒の鉄片だらけみたいなのを期待していたんだけど・・・皆無である。
バラす前からもう違うような気がしましたが、どの道やりたかった作業をやってしまいます。
久々に降ろしたリヤデフR180。
プラグからオイルが噴出していて汚い事この上ない。
これは、LSDの中のプレートが激しい摩擦摺動を繰り返すことによる発熱が原因である。
トルセンやヘリカルではあまりならない。
マフラーの干渉や、ハブガタ、プロペラシャフトのユニバーサルとか、ドライブシャフトもさっと点検してみるものの、不具合は発見できない。
やっぱりデフなんだろうか。
直ぐに分解に掛かる。
歯当たりはそれほど悪くないけど、やはりややヒール当たりではある。
シングルの140番がべっとりと絡みついたまま落ちてこない。
一発目で粗方決めたいので、バラす前にバックラッシュを計測しておきます。
0.2ミリ(200ミクロン)以上にまで広がっています。
基準値は0.08~0.09ミリ位だったと思います。
自分の組み込み時でも0.1ミリは超えてなかったと思うのでかなり広がっていますね。
バックラッシュが広がるとどんどんヒール当たり(当たり面の腹ではなく先端に近い方での接触)になっていって、当たり面が小さくなることでギヤが舐めてしまったり、オンオフのインパクトで割れてしまったりとデフブローを招きます。
走り方が熱い人は定期的に調整したい部分ですね。
LSDを分解していきます。
まず、目視では一切不具合が見られませんw
この時点で音の原因がデフでないことが確認出来ました。。
気を取り直して作業を進めます。
純正機械式ですが、きちんと調整すると結構イイ仕事をしてくれます。
計12枚のクラッチ板が入っており、LSDのケースと一緒に回転する外爪プレートと、ドライブシャフトと同軸を成す内爪ディスクが互い違いに入っています。
ノーマルの工場出荷状態だと、全てを交互にせず、ディスクとプレートをただ重ねて摩擦面を減らしたりして効きを意図的に落として市場に出しているので、調整しないと本来の能力を発揮できません。
これまでバラしたノーマルの機械式の殆どが、わざと効きを落とす組み方をしてありました。
それだけ多くの一般ユーザーに於いては、
LSDの恩恵云々よりも、チャタリング音や、曲がりにくさに対するクレームが勝るということなのである。
そんなもんである。
片側の外側から
スプリングプレート 1.85
スプリングディスク 1.70
フリクションプレート 1.70
フリクションディスク 1.90
フリクションプレート 1.60 →1.80
フリクションディスク 1.70
という構成に組み換えました。
プレッシャーリングを挟んで左右で2枚を1.80ミリに入れ替えたので合計0.4ミリ厚みが増すことになります。
こういった部品はSTiから出ているリペアキットを主に使うのですが、R180は日産ライセンスのコンポーネンツなので、ニスモの部品でも補修できます。
自分が使っている1.70のスプリングディスクや、1.90のフリクションディスクは、ニスモの部品です。
目標値に必要な部品が判っているなら、ニスモや日産純正部品でディスクを数枚買う方が遥かに安く済むと思います。
注意すべきことは、ケース内の内寸を超えない範囲でしか厚みを増やせない事と、増やし過ぎてもただのロックデフになるなど極端に使いづらいデフになります。
内寸に収まる範囲の構成の遊びの範囲をスプリングプレートなどの張力が埋めています。
スプリングの強さがイニシャルトルクを決めますが、ロック力は内寸の遊びの少なさなので、イニシャルトルクとロック力はイコールではありません。
ドリフトしまくる人は、イニシャルトルクが高い方が振り返しなどがしやすいのでスプリングを強めに組むことをお勧めしますが、普段使いでバキバキと凄いです。
たまにサーキットや峠でグリップ走行がメインのひとは、厚みは増やしつつスプリングは弱めという組み方がいいかなと思います。
自分はスプリングディスクという通常は入っていない内爪の反り板を入れているのと、スプリングプレート(外爪)も1.70から1.85という強い奴に変えているので、かなりバキバキ仕様です。
あまりお勧めはしませんw
通常はスプリングプレートが左右で一枚づつ入っていれば充分だと思います。
ノーマルでもこの構成です。
サイドベアリングなどにも損傷は見られませんのでそのまま続投。
リングギヤを取り付けして機械式LSDの調整はおしまいです。
あとはバックラッシュの調整となります。
リングギヤのバックラッシュ(リングギヤとピニオンギヤの隙間)は、基本的に狭めるか広げるかしか弄らないので、デフケースとベアリングフォルダーの間のシムの厚みで調整します。
左右のガタツキが無いのであれば、左右のシムの合計の厚みは変えずにどちらかを減らした分だけ反対側を増やします。
今回の調整は0.20ミリ以上ある隙間を0.09ミリ辺りまで狭めたい。
自分の経験上、シムの厚みを0.2ミリ程動かすと、バックラッシュは0.1ミリ程度動きます。
左が0.6ミリ 右が1.0ミリという構成でしたので、
シムの組み合わせを変えて、左が0.4ミリ 右が1.2ミリになるようにします。
これで約0.09ミリ程のバックラッシュとなりました。
一発で目標値ですw
最初に測っておかないと、一度組んで値を見ないといけないので二度手間です。
LSDのオーバーホール位では値は変わらないので、分解前に一度見ておきましょう。
後はフタをしてデフの調整は終わりです。
随分前に作っておいた鏡面磨きデフカバー。
この際付け替えようと引っ張り出してきましたが、クリヤを吹いているのに腐食が進んでくすんでしまった・・・。(まぁ、多分5年は経っています)
よく、古いアルミホイールなんかを磨いて塗装しても後で剥がれたり、塗装が浮いたりしてしまうことがあるんだけど、一度表面が酸化しだすと、塗装をしてもなかなか止められないんだね。
こういうのを見るとよく判る。
でも付けるw
前回いつ替えたか覚えていないようなオイルシールも、何故か家にはいっぱい新品が余ってるので交換。(多分替えようと思って準備するけれど、面倒くさがって替えない事が多いんだと思う)
日が暮れたので寒い・・・寒すぎてオイルが硬く、ポンプが全く吸えないのでガストーチで炙ります。
当然缶には火気厳禁とありますw
GCのリヤデフオイルの規定量は0.9リットルですが、前下がりでジャッキアップしている事と、鏡面デフカバーの内側を極限まで肉抜き加工したのでその分オイルは多めに入ります。
1リットル缶が全て入っても溢れてきませんでした。
オイルを入れて各部締め付けを確認して・・・とやってる時に「何やってんすか~。」とマッキー登場。
黒いサンバーで乗り付けてきました。
「何だよ~久々じゃねえか・・・春以来だな。」
「いや~、超忙しかったんで、個人的な事は何も出来なかったんですよ~。」
「そうか~、仕事で忙しいのはいい事だけどな。」
「ホント仕事して帰って寝るだけの日々だけだったんで。」
「GC降りるかも的な噂も聞いていたけどどうなんだ?」
「まぁ、ストックカーはバラシて処分しちゃいますけど、メインカーはまだですね。」
「まだ乗る?」
「でも判んないですね、GCじゃなくてもいいかなとは思ってます・・レガシーを買おうかと。」
「まぁ、走らないならレガシーの方がいいわなw」
数少ないGC仲間がどんどん減っていく中、
その筆頭格であるマッキーが降りるんじゃないかという噂があった。
乗るも降りるも自由な世界ですが、我々のようにボロイマシンを直し直し乗っている輩にとっては、彼の様なスーパープライベーターの作業日記は大いに参考になっていた。
そして、弄れるだけでなく人一倍走れる存在であることも大きい。
その辺の大して走れない連中のパーツインプレほど参考にならないというか、無意味なものは無い。
あるパーツを付けました、デフを調整しました、タイヤを換えました、そういった作業内容が実際走りにどれだけ効果があったか、意味が無かったか、そういったことを指折りのドライビングセンスで実況してくれる事ほどありがたいことはない。
そういった観点で、マッキーは非常に近い存在だった。
それでもね、なかなか一緒に走りに行くチャンスがなかったり、すれ違いの日々は続く。
普通は・・・その比類なきセンスも、披露する場面が無ければ不毛だと感じるだろう。
自分一人だけでやることの詰まらなさは、ヲレが一番よく判っている。
なかなかあいつと遊んでやれる奴は居ない。
差し出がましい事かも知れないが、ヲレなんかがマメに遊んでやれなかったら、その能力を存分に発揮したり、共有しあう場面が無い筈だ。
もう少し待ってくれよ・・・と心の中では思ってはいるが、ぐっとこらえる。
そこには何の約束も出来はしない。
こちらはもっともっと長い目で判断していくしかない。
マッキー位多方面にてセンスがある奴は、何をやっても大成するだろうから、クルマも単にその一つ何だろうとは思う。
忙しければ携わってる時間がないから、どんどん疎遠になるのは仕方がない。
色々と理由を付けて、一度は扉を閉めるかも知れないが、
でも多分、また戻ってくる。
あいつは完全に辞められるようなタマじゃない。
何か自分で考えている個人的な責任をある程度果たした頃にまた、ひょっこり戻ってくるんじゃないかなと思っている。
ヲレはそう考えている。
「少し時間に余裕が出来たら、飯にでも一緒に行こうぜ。」
「そうですね。」
そういうと、マッキーは帰っていった。
つむじ風の様な男だなと思った。
買い物を頼まれていたので、試運転がてら走り出すものの・・・駆動系のチキチキ音は全く直っていない・・・そして、プロペラシャフトとリヤデフのボルトナットを本締めしていない事をぼんやり思い出す。
慌ててクルマ通りの少ない路肩に停めて、「ちくしょう・・」とかいいながらパンタでジャッキアップして締め直す。
取り敢えず駆動系の異音は直らなかった。
その後、また一週間ほど通勤に使いつつ異音の様子を伺う。
少しづつ音が変わっていっている。
初めはカキンとかコツンとか、引っかかるような金属音だったのが角が取れてきたような音になったのと、不定期だった発音がずっとなるようになった。
少しくぐもった感じでゴンゴンゴンと言う感じ。
そして、左後ろからタイヤの回転に比例している音だと言うことが判った。
「ドライブシャフトだな…。」
ほぼほぼ確信である。
ハブベアリングという感じの音ではない。
デフブッシュが死にすぎて、キャリヤが暴れてどこかが干渉しているんじゃないかという懸念もあったが、まぁ、音的には駆動系なのは間違いなさそうだし、プロペラシャフトにしては周期が遅すぎる。
リヤデフでないならドラシャしかない。
もう年末なので、必要なものは今買わないと何が駄目でも部品は入らない。
可能性があるものは全て準備しておかなければいけない。
リヤのドライブシャフトは確かストックがあった筈なので、新品のブーツやグリス、リヤデフメンバーの強化スペーサーと、一応プロペラシャフトも中古を買っておこう。
これで何とかなるはず。
恐らく、15年近く水道メーターボックスの中で寝かした今は亡きヴァージョンⅢの忘れ形見である。
実はGC8は2台目だと言う経緯がある。
最初のインプレッサはD型のSTi RAであったが、悲運の貰い事故により僅か半年で廃車になっているのである。
まぁ、この話は長くなるのでいずれどこかで。
こんな風に、十何年越しに出番を待っているような部品をまだまだ多くストックしている。
10年も20年も乗っていればどんな部品でも駄目になる。
然るべくして出番が訪れただけの事だが・・・
酔狂な話だと自分でも思う。
心配だったのはデフやハブへの挿入部の錆などだが、思った程ではないね。
少し磨けば問題なさそうだ。
すっかり硬くなっているブーツはきっと直ぐに切れてしまうと思うので、
グリスを入れ替えて新品ブーツで組み直して使おう。
という訳で・・ちょっと掃除してシコシコ磨いて~
新しいブーツで組み直しました。
中のグリースもすっかり硬くなっていてカスカスだったので、そのまま使ってもすぐ駄目になったでしょうね。
今ついているドラシャも割と最近ブーツが切れたので組み直したばかりだったのだけど、それでもダメになっちゃったんだね・・・
ヲレの下で15年間、峠にサーキットにジムカーナに雪山に、ガチガチのLSDでめちゃくちゃにドリフトしまくって23万キロ。
逆によく持ったなという所か。。
あとはついでにクタクタのリヤデフマウントを何とかしたい。
リヤデフが暴れすぎて、フルブレーキング時にごっとん!と後ろからどつかれるような音がする。
そして、異音原因の捜索中に取った動画を見て、何か対策しないとなと。
カタカタ音は実際はドライブシャフトだと思いますが、リヤデフの振動ともかなりリンクしているので判りにくい・・・しかし、ここまで動いてると思わなかったですね。
純正のリヤデフマウントブッシュは既に単品供給が終了・・リヤデフマウントアセンブリでしか購入できません。
STIのアフターパーツは判らないですけど、高そうだし打ち替え面倒くさそうだしで
コイツを購入。
ドリ車かよ・・・
ほぼほぼリジッドなのでうるさくなりそうだけど、取り敢えず暴れるリヤデフは抑え込めるはず。
時間がない事と、先ずは原因究明が先決という考えの下、一度付けてみます。
一度浮かせて間に挟むだけ・・・何て簡単なんだ。
全く動かなくなったw
リヤデフマウントの後ろ側のブッシュを固定するスペーサーもありましたが、やりすぎっぽいのでやめました。
準備していたプロペラシャフトは今回は換えなくていいな。
後はスタッドレスに換装し、スタビをノーマルに戻します。
本当はDCCDの改修と、GDBスプリングのカット流用をしようと思っていましたが、時間が無いので割愛。
ただ、DCCDに関しては少しおかしいですね。
以前コメント欄にてアドバイスのあったウインカーランプ接続も試しましたがやはりエラー表示は消えず、中間ハーネスやユニットの可能性も出てきました。
じゃあ、DCCDは大丈夫なのかと、汎用リレーで直接12Vを入れてもDCCDはロックせず。
DCCDの配線不具合から飛び火してユニットも壊れちゃったのかも知れませんし、もしくはその逆かも知れません。
ヒューズは入っているけど、ユニットより上流だからね・・・
DCCDの配線修理後、ユニットも交換してみてダメならもうコントロールユニットを別で作った方が早そうです。
適当な調光器で多少弄れればそれでいいやw
スタッドレスタイヤは5本準備してまして、応急用タイヤもスタッドレスの物に付け替えます。
わざわざ費用かけて遠征してつまらないパンクで走れなかったらキツイからね・・・。
前回交換時に一番山がある奴を純正ホイールに履かせています。
あとは雪かきのブラシと、遠征用エマージェンシーセット(エアフロ・セルモーター・燃料ポンプ・ドライブベルト)を搭載して準備完了。
これで雪の秋田帰省、走行1500キロに備えます。
秋田の記事はまた後日