プロフェック取付によってハイブーストの設定が可能になった11アルトだったが、ブーストの立ち上がりが鋭くなっても、ブーストリミッターの先手介入が起きやすくなり、ハーフスロットルで微調整しないと吹け止まるという本末転倒が起きてしまった。
プロフェック側で出来る限りの調整をしてみたけど、初期型にはシャープネス調整などもなく、設定値を出来る限り下げるなどして、わざと立ち上がりをマイルドにするなどの方法しかなかった。
色々ググってみると、燃料カットそのものはインジェクターの#1ラインを停止させているだけの制御なので、#2#3のどちらかと#1の配線を繋げてしまえば制御介入は回避できるらしい。(シーケンシャル噴射ではなく同時噴射ゆえに可能な技)
のだけど、自分のクルマじゃないしちょっと乱暴かな。。
限界君系のカット装置などもお手軽だけど無駄に高ぇなぁ・・・
と思っていたら、なんか怪しいパーツが売ってるぞ。
EEPパワーという商品。
ECUに割り込み配線するだけで、ブーストリミッター上限の調整と燃料の増減(±10%)を龍頭で弄れるようになる怪しい箱。
5500円www
今回インジェクターも交換するので、
まさにコレ的なツボグッズだった為即購入。
O2センサーに割り込ませて使う空燃比メーターが一緒になってる奴もありましたが約1万円。
付けるとしたら数字でみられる奴がいいし、当分はプラグの色見て判断するんでこれはいいかな・・・みたいな。
ブーストリミッターカットに関しては、完全カットではなく上限を無段階で上げられると言うのがいいですね。(まぁほぼほぼ完全カットでしか使いませんが)
早速取付だ!
付属のECU配線図を見ながら、圧力センサー(PS)線を探し出し、カットして機械に引き込んで戻します。
写真の右上に引っ張り上げている緑/黄の配線がそれ。
あとはIG電源線とアースですが、これは別にECUからでなくてもいいでしょう。
コントローラーを手が届く所に付けようとすると配線の長さが全然足りないので、延長線を作ります。
仮接続して動作確認しています。
右の青いボリュームを動かすとアイドリングが上がったり下がったり。
燃料の増減はしっかり行われている模様。
ブーストリミッターカットに関しては走ってみないと判りませんね。
燃料調整が圧力センサー式(Dジェトロ)の11アルト。
故に、ブーストリミッターの燃料カットも圧力センサーから行っている為、機械の不具合がない限り、結線はこれで間違いない筈。
配線をうまく隠してコントローラーをしっかり固定します。
さてさて、室内側の準備は出来たので、
あとはエンジン側の消耗品メンテナンスとインジェクターの交換。
エンジン色々やった割にプラグを使い回してたんで、純正の番手で新品に。
いつからか純正水温計の針も沈黙してるんでサーモスイッチも交換。
そして、F6Aへの流用でとても評判のいいデミオ(DE3FS、DY3W、DY5W)用インジェクター(297500-0460)を投入してみます。
燃料の霧化効率が格段に良くなっていて、カプラも長さも一緒なのでポン付けできるのがいい。
でも結構(ネットで)調べたけど吐出能力が判らなくてね、
NAの1300もしくは1500のエンジンの物なんでアルトのターボと比べても同等かそれ以上であると予想は出来るんですが、兎に角エビデンスがないww
ただ、マツダのエンジン間でもBPなどの1800㏄への上位互換流用の情報などもあるので、250㏄/min以上であるのは間違いなかろうという予想からの見切り発車であるw
HA11Sアルトワークスの純正のインジェクターは230㏄/minと言う事で、スズスポエディションのみタービンの風量が大きい事もあり純正で260㏄/minではないかという書き込みもあり、情報は錯綜。
仮にアルトが260㏄であったとしても、20年前の2ホールから現代の12ホールインジェクターに変わるので、吐出量が同等か、数値上僅かに劣ったとしても、霧化効率で遥かに上に行くはずなので、イケる筈だ!
という訳である。
ここで重視したいのは最大吐出量の引上げではなくポート内での霧化効率で、2ホール→12ホールというだけで随分と違うらしい。
こういう設計が古いエンジンには露骨に効きそうである。
燃焼効率が良くなれば、パワーも出しやすくなるし、燃費も良くなるだろうし、こう書けばいいことずくめなんだけど、実際は吸気流速の速い高回転時にはそれ程変わらないと思うので、ごく低回転時のピックアップが若干良くなればしめたものだなぁという所と、ハイブーストで使った際の燃料不足への保険である。
インタークーラーや、スロットルワイヤーなど、周辺の邪魔な物をどかし、サージタンクとヘッドの間にあるデリバリーパイプから純正のインジェクターを摘出。
デリバリーの固定のネジを二つ取れば何とか外せます。
25年前からF6Aで使われていたアルトのインジェクター(2穴)と
DY後期からDEデミオまで使われていた近代インジェクター(12穴)の比較。
後日談ではあるが、この品番のインジェクターの能力をマツダ関連会社に勤める友人のメカニックに確認してもらうと、
257~331㏄/minとの記載なので、真ん中取って約300でしょう!
と言うエビデンスが取れた!
1300も1500も同じインジェクターを使っている模様。
O2フィードバックで噴射量は適宜調整してくれるだろうから、足りなくならない限り何だろうと同じなんだろうね。
という訳で、インジェクターの能力的にも上位互換であることが確定。
燃料ポンプもレガシィーのターボ用に交換してあるので、イニシャルの燃圧も元より高め。
ブースト1キロ前後で使う分には、充分過ぎるマージンが出来たと思います。
インマニ側のゴムクッションと、インジェクターのOリングを傷にしないように注意します。
随分とスリムなマツダインジェクター。
この辺の部品は日進月報ですからね、小さくても高出力、高効率、20年の進歩の差を舐めてはいけません。
スパークプラグを新品にし、
純正の水温センサーも交換しました。
・・・が、純正の水温計の針が上がってこない。
何故!?センサーではなかったの?
でも、全く上がってこない訳ではなく、少ししか上がってこないみたいな何とも煮え切らない内容。
元からこんなもんだったのか、購入した水温センサーが不良なのかもう良く判らない。(まぁ、新品センサーが×はまずないですが)
計器類の方の回路とか・・・
コンデンサーとかが逝かれたのかも知れません。
でもまぁ、実温は社外水温計の導入でモニタリングできているので、ECUへの入力信号に誤りがなければそれでいいです。
純正メーターを取り外す機会があったら、水温計の基盤をよくチェックしてみますか。
さて、準備した部品は全て取り付けたので、実際に走ってチェック。
燃料のツマミは取り敢えず+5%位の位置、ブーストリミッターカットのツマミは最小よりやや上げた所からスタートしてみます。
燃料は水温計などを見ながら問題ない事を確認し、少しづつ補正無しのプラマイゼロに持っていく事とします。
取り敢えず発進して直ぐに感じたのは、アイドリング領域からクラッチを繋いで走り出す一瞬のツキが全然違うなって事。
マジか・・・。
今までは、回転が低くてストール直前みたいな領域からアクセルを踏み込んでも、一瞬バラついてから吹け始めるのが普通だったのが、ごく低回転からでもきれいに軽く吹け上がるツキの良さがある。
回り始めちゃえば、上はそんなに変わらないと言うか判らないと言うか、良くも悪くもなってないんだけど、車庫入れだとか信号待ちからのゼロ発進みたいなのが凄く軽くなった感じがある。
預かってる人のクルマでここまで判るんじゃ、持ち主にとっては相当違うだろうな・・・、てか、インジェクター一つでここまで変わるんだなぁということが驚きです。
あとはブーストカットレベルの調整。
ほんの少しツマミを回しただけでしたが、普通にきれいに踏んでいく乗り方の中ではブーストカットの介入は皆無で、プロフェックで設定した1.0キロのブースト圧まで燃料カットは入ることはありませんでした。
ただ一度だけ、速度に対して高いギヤのままアクセルをラフに踏み込んでブーストだけで立ち上がろうとした際に、オーバーシュート気味になり一瞬燃料カット介入。
ツマミをもう少しだけ回して似たようなシチュエーションをわざと作ってみたりしましたが、それ以降自分が乗ってる間にはブーストカット無介入。
もうこれでいいんじゃないかな?
という感じ。
持ち主もチューニングとしての内容をそれ程高望みをしている訳ではなく、
壊れず、そこそこ速く、きれいに吹け上がる気持ちの良さがあれば、充分という位の要求なので、現状でも及第点以上でしょう。
結構いい感じになったよ~と試運転でオーナーを隣に乗せて内容を説明。
その日はそのままクルマを戻しました、
しかし、数日後・・・クルマの調子はいいんだけど、まだちょっと燃料臭いんだよな~という事と、燃費がやたらと悪い気がする・・というのでちょっと気になり、その日のうちにウチに寄ってもらい点検してみると、
確かに燃料臭いな・・・
インジェクター交換直後はこぼれたガソリンの臭いが残ってるからしょうがないかなと思っていましたが、作業後より臭い感じがする。
これは危ないな・・・絶対どこかから漏れてるだろ。
即座に交換したインジェクターなどを疑ってみるものの、どうもその辺は湿ってない。
デリバリパイプに燃料が入っていくラインなども辿ってみるけど、漏れてる様子はない。
おかしいな。。
少し配線や配管類をかき分けてデリバリパイプの下側からインマニの間を通ってバルクヘッド側に走っている燃料のリターンラインを目で追うと・・・
どうもその周辺で液体の噴霧があるようだ。
あまりに細かい霧状なので、エンジンなどに触れた瞬間に蒸発してしまい、湿り気を残すことはないのだけど、赤いシミのようなものが残っている。
ここの燃料のホースが損傷しているらしく、ガソリンが霧状に漏れているのが確認できた。
これか・・・(いつ燃えてもおかしくないな・・・)
インジェクター交換時にデリバリパイプを僅かにずらして作業したんだけど、ここのホースの硬化が著しく、クラックが入ってしまっていた模様。
これ・・・車上交換出来るかなw
ていう嫌な位置。
こんな所・・・エンジン降りてる時に換えちゃえば良かったな。
こんなに劣化してるとは思いませんでしたが・・・見た目では判らないものですね。
でもこんな危険な状態で帰すことは最早できないな。
やるしかね~。
そのまま交換作業に入ります。
何とか色々と駆使してグズグズのホースは摘出。
ゴムの表面がバリバリになって、中の繊維の隙間から霧状に漏れ出ていたのでした。
家にあった高圧用Φ4の燃料ホースが同じもののようだったので、適当にカットして使います。
新品の燃料ホースは硬いので中々入っていかずかなり苦労しましたね。
それでも何とかかんとか交換し、事なきを得ました。
その後、燃料の異常消費はもちろん収まり、燃費に関しては特に良くも悪くもなってないという話。
インジェクターが何だろうが、結局燃料の噴射量なんてECUで適当に調整されちゃうから特に変わることはないんだね。
ただ、発進加速のごく低速域でのスムースさは特に感じた様で、大変感激していました。
燃料のキリひとつで随分違うもんだな・・・と目から鱗の案件ではありましたが、エンジンの外側でのキリはちょっと頂けなかったなと言う感じ。
古いクルマの燃料ホースは問答無用で全取っ替えだな!
と、あらためて思いましたね。
まぁ、怪しい所を片っ端から交換してたら金が幾らあっても足りませんがね・・・