年も明け、雪国帰省も無事に終えたヲレのGC8。
今年で製造より丸20年になる平成10年式アプライドEである。
走行も23万キロとなりました。
あれだけ遊び倒したのにまだ走れている。
なかなか立派ではないか。
ただやはり、ここまで乗るとテンプレ的な修理は一巡も二巡もしまして、聞いたこともないような訳の分からんトラブルも増えてくる。
トラブルシュートや修理の難易度も上がってくるのが辛い所。
今回残しているのはDCCD(ドライバーズコントロールデファレンシャル)の機能不全である。
コイツの厳しい所は、新品が40万円とかする上にアッセンブリーでの供給しかない所。
壊れても買わないだろ誰も。
じゃあ中古で探そっか、となる訳だが・・・最近では単体での流通も減ってきてなかなか買えない。
それに、よしんば見つけてきても結局20年前の物なのは変わらないので、遅かれ早かれ同じ症状に見舞われるという所だろう。
結局、その場の一時凌ぎでしかないのである。
新品は買えない、でも中古は信用できない。
そうなったらあとはどうするか・・・そう、現物修理を検討するしかないのである。
何が駄目になって、何処をどうすれば直るのか。
そこの核心に迫っていくしかないと考えつつ・・・
DCCDの取り出しに掛かります。
この辺の作業って、大体ミッションが降りてる時に一緒にやってしまっていたからね、
ミッション車載のままセンターデフを取り出すのは初めてかも知れません。
プロペラシャフトとシフトリンケージ、ミッションマウントに排気の中間パイプ位外れていれば、ミッション後端のエンドカバーは外せますね。
オイルは先に抜いておきましょう。
エンドカバーを取ると一緒にアウトプットシャフトも抜けてきます。
カバー側に残るかトランスファー側に残るか・・どちらにせよ軽く嵌ってるだけです。
DCCDの配線は中で切れてしまっていました。
どこも引っ張られたりしない取り回しなんですけど何故なんでしょうね。
DCCDはスプラインに挿入してあるだけなので、配線だけトランスファー内部に引き込みながらデフを取り出します。
結局2極ともに切れてしまっていました。
アウトプットシャフトと干渉しないように、配線がカバーから伸びているステーに固定されているんですが、カシメで配線を押さえてる所とか、デフ側での押さえの所とか、ちょっとでも曲がりのきつい所で悉く切れてしまう感じ。
単純に配線の劣化でしょうね。
配線と言うか、被覆の劣化によって亀裂からオイルが浸潤し、銅線を酸化腐食させている感じです。
オイルが銅を酸化させるのかという疑問が生じたので調べてみましたが、どうやら潤滑油に含まれる添加剤の「硫黄」や「リン酸」などが銅を腐食させるらしく、更にオイルが劣化してくるとベースオイルからこれらが分離して攻撃性が高くなるという事です。
ミッションオイルやデフオイルなどのハイポイドギヤ用のオイルは特に「リン酸」系が多く含まれていますからね・・・やはり、銅線とオイルを直接触れさせてはいけないようです。
鉱物油はゴム被覆を劣化させますし、添加剤が銅線を侵す。
ううむ・・・経年劣化というものを完封するのは難しそうです。
マフラーがボコボコ過ぎて笑えます。
車高下げてると、砲弾型マフラーってのはダメですね・・・輪止めまで下げると必ず当たります。
一度なんて、タイコの縁が輪止めの角を超えて引っ掛かり、発進できなかったことがありましたw
あ~、ぐるっと一周溶接が割れちゃってるな・・・。
なんかマフラーの音が汚いなと思ってたけどこれのせいか。
ここは溶接でくっつけとかないとダメだな。
ここのガスケットは取るの面倒くさそうだな・・・
しかも、頼んでたガスケットがトランスファーチューブの前側が来てるしよ・・・
もうここは液体ガスケットでいいな。
部品必要ないし、剥がすのも楽だしね。
じゃあ、DCCDの配線直して戻して終了かなと思いましたが・・
コイルの抵抗値がおかしいです。
何Ωって世界なのに、MΩ表示になっている。
メガって100万倍だろうよ・・・
測り間違いかなと思って、腐食部を切ってきれいな素線を出してしっかり測りましたが、1.2MΩとかになってしまいます。
ダメだ・・・このコイル死んでやがる。
何が原因かは判りませんが、やはり電磁石にも寿命があるようです。
自分は普段は殆どDCCDを使いません。
スノーアタックの一瞬のみロック率を上げて走ると言った程度で、通年で言ったら15時間も通電させていません。
それ以外は殆どフリーです。
使用による発熱が原因で劣化・・は考えにくいんですよね。
こういった配線トラブルによるショートでコイルが焼損するとか、コントロールユニットの故障に拠るものなのかは判りませんが、殆ど使わなくても故障するという事は判りました。
よく中間で使うと壊れるという都市伝説がありますw
電気的にはユニット内のPWMコントローラー(要するにLEDなんかの調光器)でボリューム調整しているだけなので、中間で使ってもあまり壊れる要素はないと思う。
ただ、機械的には湿式多板クラッチに滑りを生じさせることでロック率を変えているので、クラッチの摩耗などによるロック力の低下は理論上あると思うけど・・・
自分が元々使っていたDCCDも、最後の方はインジケーターを目一杯上げても全然ロックしなかった。
多少は効いてるんだけど、正常時の20%~30%程度のロック力だったと思う。
それで、以前頂き物のDCCDに交換した訳だが、外したDCCDを分解してみても、目に見えるような損傷やプレートの摩耗は判りませんでしたね。
何か・・直感ですが、機械的なもののせいではないと感じました。
実際コイルの抵抗値は調べた基準値より増えていましたしね。
基準はGC8のモデルで2.7Ω程度ということなので、自分のコイルの4.0Ω程というのは少し抵抗が増えてしまっています。
まぁ、これだけのせいなのかどうかは判りません、やはりクラッチプレートの摩耗もあるかも知れませんし、相互的なものかも知れません。
ただ、クラッチ板は綺麗なもんなんですよね。
電磁石は抵抗が増えると磁力が低下します。
発熱しても磁力が低下します。
兎に角、マグネットの吸引力が低下しているのは間違いないと思います。
やはりコイルが正常かどうかは、抵抗値などで確認するしかなさそうですね。
何にせよ、コイルが駄目だったからといって只で帰す訳にはいきません…完全に死んでるコイルをそのまま戻すのもアレなんで、以前使っていたヘタりデフから外したコイルだけ付け替えて再使用しましょう…。
LSDの方は今使ってる奴の方が効きがいいような気がするからなんですが、そもそもの機能低下がコイルだけのせいなら、以前の状態に戻るだけですねww
抵抗値はやはり4.0前後。
気温で結構変わります。
とにかく金物が当たってるところで切れてしまうので、オイルの浸潤を防ぐ意味でもエポキシ樹脂で固めてしまいました。
ザマーミロ!
取り敢えず、明日もクルマで会社に行くので元のカタチに戻します。
バラしたついでに、以前替えようと思って準備していたシフトロッドのユニバーサルの樹脂ブッシュを交換し、割れてるマフラーも溶接してバチバチくっつけます。
ステン溶棒が無かったのでただのスチール溶接ですがw
最後にミッションオイル投入。
2年に一回くらいこういった大改修時にしか交換してない気がする。。
MTオイルの通常の交換サイクルより、エンジンとかミッションのOHのサイクルの方が早いってどういう事なんだよ。
ただのオイル交換だけというのを経験してみたいぜ・・・
オイルはハイポイドなら何でもいいんですが、あまり硬いと冬場に入りにくくなるので、マルチとブレンドして使います。(セット出品で安かっただけ(;^_^A)
77.5W-105になりますw
寒くてオイルが硬いので、例の如くガス缶のトーチで充分に炙って湯たんぽ位まで温め、レベルゲージ穴からペールポンプで注入します。
ポンプのホース内に前回何かに使った真っ赤なデキシロンが残っていましたが、ヲレは気にしない。
あとは、DCCDコントローラーも逝かれてるみたいなので、デフだけ直しても復旧しません。
取り敢えず工具箱を漁って適当なリレーを見つけ、DCCDに直電を流す配線をします。
コントロールユニットで純正操作を復旧させるつもりなのでONOFFはクリップで咥えるだけ方式にしますw
(本当はスイッチを室内に引き込むのが面倒だっただけ)
これでセンターデフがロックしているか試走して確認。
マフラーの音がまとまったな、汚い爆音がきれいな爆音になったww
シフトもブッシュ替えてオイル換えてで、カチッとして気持ちがいいね。
しかしDCCDは、そもそもリヤデフのイニシャルが高めで曲がりにくい事と、スタッドレスタイヤで全部逃げてしまう事とでよく判らんな・・・。
ただまぁ、フロントが逃げて小旋回しにくいことと、リジッドスペーサーから伝わってくる駆動共振が全然違うので、仕事はしている模様。
でも、バチバチにロックしているかどうかまではやはりよく判らないな。
ヘタりデフから外したコイルだしな・・・
ちょっと雪山で確認してこよう。
まぁ、当分コイツを使いつつ、外したコイルをリビルトする作戦で行こう。