普段は目にすることが出来ない花　〜栽培等が禁止される「けし」〜

2016年5月7日（土）。


東京都薬用植物園において

「けし」のパネル展があった。



※今回掲載のけしは、最後の写真を除いて総て栽培禁止品種。
（　）で名称を付けたもの以外は総てソムニフェルム種の「けし」。




けし（芥子）の一部は栽培等が禁止されている。

薬用植物園では、堅牢な二重柵とネットで囲われ、

監視カメラが設置されたエリアで研究栽培が行われている。

【１】





丁度この日はその「けし」栽培エリア前でパネル展があり、それに合わせて、

二重柵の外側のみが開放され、柵越しではあるが「ケシ」を相応に近くで観賞できた。

【２】





「けし」はご存知の通り、麻薬の原料となる植物だが、

モルヒネ成分を含むため重要な医薬品原料にもなり得る。

要は使い方次第ということ。

【３】






あへん法によって栽培が禁止される「けし」は、

大きく分けてソムニフェルム種とセティゲルム種である。

【４】





前者はインドから西アジアが原産のいわゆる「けし」で、

元来は白の単花弁の花だ。

【５】





それがヨーロッパに渡り品種改良が加えられた結果、

赤や紫の花弁のものや八重咲きに変わったものもある。

【６】





後者は北アフリカ原産で、古く渥美半島に帰化し群生したことから

「アツミゲシ」の和名で知られる。

【７】（アツミゲシ）





基本は薄紫色の花弁だが、紅紫の花もあるようだ。

【８】（アツミゲシ）






麻薬及び向精神薬取締法で栽培が禁止される「けし」もある。

【９】（ハカマオニゲシ）





麻薬原料のテバインを含むものでハカマオニゲシがこれにあたる。

【１０】（ハカマオニゲシ）





これによく似たものにオニゲシ（オリエンタルポピー）があるが、

これは栽培禁止種ではない（見分けはできるが簡単ではない）。

【１１】






そう、「けし」の英名はポピー。

【１２】





この時季、各所の公園などに群生するカラフルなポピーの仲間。

【１３】





アイスランドポピーやひなげし、紋付ひなげし、ナガミヒナゲシ

などの「けし」の仲間は、当然ながら栽培に規制がない。

【１４】





自分のブログの中にも幾つか登場しているものもある。

普段は見られないケシを見て、なるほど少し勉強になった気分。

【１５】







さて、引揚げようと思ってふと見るといつの間にか一人の紳士が、

画板を立てて「けし」の絵を描いておられた（結構リアル）。

おそらく既に何日間かここに通われたものとお見受けした。

【１６】





そうか、こんな植物園の利用法もあるんだな、と感心した。

人生の先輩に教わることはまだまだ多い。

休日の過ごし方は人それぞれ、リラックスできることが一番だね。



※EOS 5D MarkⅢ　EF100-400㎜ F4.5-5.6L IS Ⅱ USM


（了）