【モノクローム編】遠山記念館（川島町） 〜邸内の影と光と〜

以前のカラー編に続くモノクロ編。

カメラは例によってLEICA Typ246。

今回の撮影画像は主に邸内のもの。

東/中/西と個性の違いが判るだろうか。




＜前回のブログ：【カラー編】遠山記念館（川島町） 〜外観を中心に〜＞





まずこの遠山邸についてOHPの解説を要約掲載したい。

【１】






＜要約引用ここから＞

遠山邸は、日興證券の創立者遠山元一が、

生家の再興と母の安住の地として1936年に竣工した。

【２】





今日では入手不可能とされる材料を全国から集めて用い、

【３】





当時の最高技術の大工・左官らによって建てられた。

【４】





戦後、母親の没後は、日興證券の迎賓館として使われた。

【５】





元一は晩年に、遠山邸は私邸でありながらも、

近代和風建築の文化財的価値があると考えるようになり、

【６】





その保存継承のために財団法人の認可を受けて、

1970年から遠山記念館として一般公開を始めた。

【７】





今日すでに3/4世紀の歴史を重ねてきたが、

殆ど増改築をすることなく、当初の姿を継承している。

【８】





2000年には、現代では再現することの出来ない建造物として、

【９】





近隣の景観に寄与する建物として、国の登録文化財となった。

【１０】





遠山邸は3つの棟を渡り廊下で連結するプランで建てられた。

【１１】





東棟は生家を再興したことを象徴する豪農風、

【１２】





中棟は貴顕の来客を接待するための格式のある書院造、

【１３】





西棟は母親のために数寄屋造の座敷を設けている。

【１４】





これに土蔵や長屋門を加えると、総建坪は400坪を超える。

【１５】





建築様式を異にしながら、3つの棟が全く違和感なく融合し、

心地良い変化と趣きを味わうことができる。

【１６】





これは、建築技術と細部の意匠がいずれも伝統に忠実で、

一つとして手を抜くところがなく、木材・壁・建具・畳等の材料も

厳選されたため、自然素材の良さが保たれているからだと言われる。

＜要約引用ここまで＞

【１７】








細部を削って大きな時代の流れのようなものが反映するからか、

【１８】





こうした歴史を重ねてきた建物は、モノクロで撮ると味が出る。

【１９】





暗部に只管沈黙が漂い、明部の躍動を伝える材料になる。

【２０】





歴史が邸内の角を落とし丸みを与え空気をみっしり閉じ込める。

【２１】





時に、物に命が生まれるかのような饒舌の瞬間があり、

【２２】





時に、それが潰えた亡骸のような刹那の静寂をもたらす。。。

【２３】





母親のために多くを注ぎ込み、感謝の気持ちを表そうとした男。

【２４】





愛情が形となって時を止め、次代への文化資産を遺すのか。

【２５】





いやむしろ自分には、

大邸宅の片隅に、男の不器用さが少し滲んで見えたように思えた。

【２６】





※LEICA M Monochrome（Typ246）　LEICA Summicron 35㎜/f2 ASPH.


（了）