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遠出をせずとも紅葉を楽しむには、

近場のスポットを押さえておくこと。


今回は穴場的プチ紅葉の観泉寺。




観泉寺は杉並区にある都の旧跡指定を受けた今川家の菩提寺で、

正式には、曹洞宗宝珠山観泉寺という。

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今川家？という方、なかなかの歴史好きとお見受けしました(^o^)

【２】





今川氏は室町から戦国時代にかけて駿河の国を治めた大大名。

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それがなぜこの地に？という疑問。

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今川氏といえば、最も有名な武将は11代当主今川義元だろう。

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武田信玄や北条氏康とも姻戚関係を持ち、

最盛期の勢力は、駿河・近江・三河３国６９万石を治めたとされる。

【６】





一般的には公家かぶれで薄化粧を施した軟弱なイメージが伝わるが、

その実、人使いの名手で内政に辣腕を振るったとされる。

【７】





天下統一を夢見た上洛の途上、

桶狭間で織田信長の軍勢に敗れたのは、歴史的にも有名な話である。

【８】





義元没後、今川家は朝廷との交渉役に就き、徳川家の庇護を受け、

1645年に杉並のこの地を、新たな知行地として与えられている。

【９】





今川家は明治期に断絶しているが、知行地の中心であった井草村は、

今でも杉並区「今川」と呼ばれ、連綿とその歴史を次代に繋いでいる。

【１０】






青梅街道と早稲田通りに挟まれた閑静な住宅街の一角、

観泉寺は忽然と、色づく紅葉に覆われた土塀を伴ってその姿を現わす。

【１１】





門前は小京都の風情を醸し、２３区内とは思えぬ静寂に包まれる。

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あいにく境内は改修工事中で、紅葉の一部は養生シートの陰に

隠れてしまっていたが、それでも豊かな彩りを窺い知ることはできた。

【１３】






都内の紅葉もほぼ終焉を迎えたこの時季、観泉寺も境内の樹々を

一斉に燃え上がらせ、今は亡き主家への哀悼を奏でる。

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群雄割拠の時代、叶わなかった天下統一の夢を湛え、

折り重なる紅い葉は、一層真紅に染まっていくような気がした。

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静かな晩秋。

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散りゆく銀杏。

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燃える紅葉。

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人気のない寺への小さな旅。

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観泉寺は冬の装いに衣を替えゆく・・・。

【２０】





※EOS 5D MarkⅢ　SIGMA Art 35㎜ F1.4 DG HSM


（了）