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３月下旬の寒い朝、

早朝にカタクリを観に出かけた。

空はどんより、ダウンの欲しい寒さ。

こんな日は、カタクリの機嫌が悪い。




案の定、カタクリたちは花弁を細くすぼめ俯いていた。

【１】





中に少しだけ花弁を開きかけた株もあったが、

群生する量からすればほんの僅かな花数で、

くるりと花弁を返した花に至っては皆無だった。

【２】






最近のマイブームは、制約のある中での撮影なので、

それでも撮ってはみたものの、結果は散々だった。

【３】





下を向いた沢山の花の中から、

ご機嫌がまだ上向きと見受けられる個体を探し、

できるだけ低い位置から無理な姿勢で撮ってみる。

【４】






傍から見ると、明らかに不審者の行動で、

【５】





こんな場所だから許されるだろうが、

【６】





駅や繁華街だったら確実に通報されるだろう。

【７】






撮影している間、背後から聞こえていた鶯の澄んだ声に

何とか支えられながら、冷たくなる手に息を吹きかけ、

【８】





だましだまし何枚かを無理やり撮った。

【９】






気象条件によって花が開いてくるだろうと暫く様子見。

【１０】





…1時間以上は粘ったものの、陽の射した時間は、

おそらく3分にも満たないほどだった。

【１１】





短気な性格と空腹が災いし待つことをきっぱり諦め、

早々に撤収することに決めた（単に飽きたとも言う）。

【１２】






帰りの車の中、徐々に晴れ渡ってゆく空…。

【１３】





何と恨めしく思ったことか！

【１４】





余程引き返そうかとも思ったが、

これも一期一会、与えられた環境をどう活かすか、

この日はそういう日なのだと自分に言い聞かせていた。

【１５】






この場所でご機嫌なカタクリたちに会うことは、

またいつかの楽しみにとっておくことにしよう。

【１６】





*同じような画が続いてしまったにも関わらず、最後までお付き合いいただきありがとうございました。


※EOS 6D　EF100-400㎜ F4.5-5.6L IS Ⅱ USM


（了）