試乗 スバル・インプレッサ2.0i 英国には強力なライバル多し
もくじ
どんなクルマ?
ー 幅広い安全装備
どんな感じ?
ー 物足りないパワー
「買い」か?
ー ゴルフという選択肢も
スペック
ー スバル・インプレッサ2.0i SE リニアトロニックのスペック
どんなクルマ?
幅広い安全装備
スバル・インプレッサといえば、20年前は、聞けばハッとして注目するような名前だった。当時WRCの熱烈なファンだったのならなおさらだ。
しかし、われわれ英国人にとって、今のインプレッサはそれほどエキサイティングではない。これにはふたつの理由がある。
まず名称として、誰もが羨むパフォーマンスグレードのWRXが、独立したモデルになったこと。もうひとつは、しばらくの間、スバルの車両開発では安全を第一に据えたことだ。
もちろんすべてが悪いことではない。ドライバー保護に適した「アイサイト」の効果は大きく、この新型インプレッサは、最終的にユーロNCAPで5点満点を獲得した。この「アイサイト」には、プリクラッシュブレーキやアダプティブ・クルーズコントロール、レーンキープアシストなどが含まれている。
これらの幅広い安全装備に加えて、インプレッサはオンロードでの安定性に優れるシンメトリカルAWDを備えている。さらに、新規開発のスバル・グローバル・プラットフォームが採用され、運動性能の向上が図られている。サスペンションは、前がマクファーソン・ストラット、後ろがダブルウィッシュボーンだ。
ボンネットの下には、自然吸気4気筒の2.0ℓボクサーエンジンが搭載されている(1.6ℓエンジンも設定、英仕様)。156ps、19.7kg-mを発生し、リニアトロニックと呼ばれるCVTによって四輪に伝達される。
どんな感じ?
物足りないパワー
ソフトで適度にサポート性のあるファブリックのシートに座ると、比較的シンプルなデザインのキャビンが広がっている。
プラスティックのパーツが見え、装飾の少ないインテリアではあるが、全く不快ではない。十分なスペースがあり、ごちゃごちゃしないようにしているのがわかる。概ね良い出来だ。
しかし、良い印象はここまでだ。スターターボタンを押して走り出すと、少々疑問に思える点が出てくる。その多くがエンジンとギアボックスに関するものだ。
2.0ℓのフラット4のトルクは控えめでターボが付いていないため、20kg-mを発生させるには4000rpmまで回さなくてはならない。どんなに急いで加速させようとしても、エンジンが耳障りでギクシャクした唸り声をあげ続けるだけで、CVTが回転するにつれてやっとクルマが進み始める。
0-100km/hの加速には9.8秒かかるので、この唸り声がつづく場面もしばしばある。ドライバーにできるのは耐えることだけだ。
1379kgの車体を動かすためには回転数を上げなくてはならず、元々特に素晴らしいわけでもない燃費に影響が出る。スバルによれば燃費は18.2km/ℓだが、われわれのテストでは14.9km/ℓ程度だった。
スバルのチョイスしたエンジンとトランスミッションは別段力強くはないが、少なくともシンメトリカルAWDのおかげで安定感、安心感はある。欲しい時に十分なグリップが得られるのは賞賛すべき点だし、ボディロールもよく抑えられている。乗り心地は、時たま硬くも感じるが、不快さからは程遠い。
「買い」か?
ゴルフという選択肢も
ソリッドな製造クオリティや、適切なインテリアスペース、安定感のあるオンロードでの振る舞いや高い安全性評価など多くの美点があるが、同じくらい欠点もある。
2.0ℓのエンジンを積んでいるが、パンチがないだけでなく無味乾燥で、特に洗練されているわけでもない。そのうえ英国では2万5560ポンド(378万円)と高い。
確かにシートヒーターやデュアルゾーンオートエアコン、DABデジタルラジオにApple CarPlayやAndroid Autoまで搭載されている。しかし同じような金額で、同じような装備を備えたフォルクスワーゲン・ゴルフGTを買うこともできる。
値段という点だけなら、フォルクスワーゲングループの1.5ℓ、130psの「エボ」というガソリンエンジンと7速DSGを載せることもできる。このエンジンはスムーズなだけでなく、より洗練されていて、ターボが付いていることで扱いやすい。
しかも、燃費もこちらの方が良いのだ。われわれは最近このエンジンを載せたゴルフのエステートモデルをテストしたが、その際には21km/ℓに迫る勢いだった。
売却価格の問題もある。スバルの予想では、36カ月、6万kmを超えると価値はたった36%になる。これはかなり厳しい。同じ条件だと、新車価格が2万5010ポンド(370万円)のゴルフは40%程度と予想される。
すべてを見た上で正直に言えば、インプレッサの購入を考えているひとは、スバルの安全装備を購入しなければならないか、長らくスバルの愛好家なのだろう。もっと好ましいエンジンとギアボックスがなければ、英国でインプレッサを見かけることは珍しいままにちがいない。
スバル・インプレッサ2.0i SE リニアトロニックのスペック
■価格 2万5010ポンド(369万円)
■全長×全幅×全高 4460×1775×1455
■最高速度 208km/h
■0-100km/h加速 9.8秒
■燃費 18.2km/ℓ
■CO2排出量 42.8g/km
■乾燥重量 1379kg
■パワートレイン 水平対向4気筒1995cc
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 156ps/6000rpm
■最大トルク 19.7kg-m/4000rpm
■ギアボックス CVT
ここだけは押さえておきたい 新型スバル・フォレスターのライバルたちの強み
ニューヨークモーターショー2018で世界初公開された新型「フォレスター」。先代は「新型の登場がまもなく!!」と囁かれていたにもかかわらず、自販連調べの乗用車ブランド通称名別順位で42位(18年3月)にランクインする実力派だったからこそ期待は高まる。しかし、SUVがトレンドの今、倒すべきライバルは強力だ。
新型「フォレスター」と先代「フォレスター」の比較は、既報の「新旧比較 新型を待つか? スバル新型フォレスターvs現行フォレスター」を参照していただくとして、ここではライバルとなるSUVを比較していこう。
▪️三菱・アウトランダー:253万8000円~328万4280円
ボディサイズ(全長×全幅×全高):4695mm×1810mm×1710mm
室内長×室内幅:室内高:2580mm×1495mm×1265mm
乗車定員:7人
最小回転半径:5.3m
▪️トヨタ・ハリアー:294万9480円~460万4040円
ボディサイズ(全長×全幅×全高):4725mm×1835mm×1690mm
室内長×室内幅:室内高:1965mm×1480mm×1220mm
乗車定員:5人
最小回転半径:5.3~5.7m
▪️日産・エクストレイル:219万7800円~346万2480円
ボディサイズ(全長×全幅×全高):4690mm×1820mm×1740mm
室内長×室内幅:室内高(2列シート車):2005mm×1535mm×1270mm
室内長×室内幅:室内高(3列シート車):2555mm×1535mm×1270mm
乗車定員:5~7人
最小回転半径:5.6m
▪️マツダ・CX-5:249万4800円~352万6200円
ボディサイズ(全長×全幅×全高):4545mm×1840mm×1690mm
室内長×室内幅:室内高:1890mm×1540mm×1265mm
乗車定員:5人
最小回転半径:5.5m
販売台数ランキングにおいて下から順に並べて見たが、特筆すべきは「アウトランダー」のコストパフォーマンスが高い点だ。全幅は1810mmと小さく、最小回転半径も小さいため、普段使いで扱いやすい。それでいて、室内幅はハリアーを上回る。そのほかにも、アウトランダーには3列目シートが標準装備されており、最大7人での乗車が可能となる。最上級グレードの価格設定が割安な点も見逃せない。
▪️三菱・アウトランダー
最小幅(1010mm)×高さ(810mm)×奥行き(355mm~1730mm)
後席分割:5対5(3列目)、6対4(2列目)
▪️トヨタ・ハリアー
最小幅(1120mm)×高さ(760mm)×奥行き(1000mm~1900mm)
後席分割:6対4
▪️日産・エクストレイル
最小幅(1100mm)×高さ(745mm)×奥行き(840mm~1770mm)
後席分割:6対4(3列シート車の場合、3列目は5対5、2列目は4対2対4の割合で倒せる)
▪️マツダ・CX-5
最小幅(1050mm)×高さ(790mm)×奥行き(950mm~1680mm)
後席分割:4対2対4
各車を実測で比べてみたが、やはりボディの形状によって数値が異なる。積む荷物によっては高さや長さが気になるところだ。そんななかで注目が「エクストレイル」だ。特に3列シート車の場合、3列目と2列目の細かなアレンジが可能なため、乗車人数や荷物への柔軟な対応ができる。また、全車とも荷室フロアへの防水加工および防水シートが備わっているため、アウトドアレジャーでの活躍が期待できる。
▪️三菱・アウトランダー:e-Assist
衝突被害軽減ブレーキシステム(対車両:○ 対歩行者:○)
レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)
▪️トヨタ・ハリアー:トヨタセーフティセンスP
プリクラッシュセーフティシステム(対車両:○ 対歩行者:○)
レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)
▪️日産・エクストレイル:セーフティシールド
インテリジェントエマージェンシーブレーキ(対車両:○ 対歩行者:○)
プロパイロット(全車速対応クルーズコントロール)
▪️マツダ・CX-5:マツダプロアクティブセーフティ
アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート(対車両:○ 対歩行者:○)
マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(全車速追従機能付き)
全車とも自動ブレーキと高速道路での追従機能付きクルーズコントロールを搭載。ただし、グレードによって搭載されなかったり、オプション装着する必要がある点には注意が必要。
時速0km/hまで完全サポート。アイサイトによるオートクルーズコントロール(ACC)は自然さが売り【スバル・アイサイト Ver.3試乗】
「ぶつからないクルマ」というキャッチフレーズで日本に自動ブレーキの概念を教えてくれたスバルの運転支援システム・アイサイト。このアイサイトには様々な機能が搭載されていますが、今回は最も多く使うであろう機能を紹介します。それは「アダプティブオートクルーズコントロール」です。
通称ACCと呼ばれるこの機能は任意の速度に設定すると、クルマが自動的にその数値で走行してくれるというもの。この際、設定速度より遅い速度で走行する前方車両に追いついた場合等では適正な車間距離を保ちながら速度を落とし、そのままキープ。前方車両が速度を上げたり視界からいなくなったりした場合には、再度設定した速度まで復帰する加速を行ってくれるというものです。
今回テスト車両として用意したスバル・XV 1.6i-Lでは、アイサイトの「バージョン3」が搭載されています。このバージョンではACCでの走行中時速0km/hまでの完全停止まで行なってくれます。
それでは早速使ってみましょう。
ACCのセットをするにはステアリングステアリングの右にあるボタンを操作します。システムの機能をオンにした後、上下に動くスイッチで速度を任意の値に設定します。
今回は首都高速道路を走りましたので、速度制限値である60km/hにセットしました。
道が空いている状態ではこの60km/hをピタリとキープしたまま走行してくれます。車両の目前にやや遅めのスピードで走っているトラックが入ってきました。
するとアイサイトはこれをすぐさま感知して減速するとともに、設定された車間距離(右手のスイッチで長短をコントロールできます)まで距離を空けていきます。
一定の車間距離まで開くことができたら、あとは前方車両を常に捕捉しながら設定速度を上限として、速度を変化させながら追従オートクルーズコントロール状態に入ります。
前方にいた車両が右車線に移りました。するとアイサイトは即時にこれを認知して、画面から前方車両の表示が消えました。同時に前方車両のために50km/hまで落ちていた速度を設定の60km/hに取り戻すべく加速を開始します。
今度は前方に渋滞が発生しているのが見えました。ACCをオンにしたままその渋滞に向かいます。
アイサイトはドライバーが全く不安に思わない自然なタイミングで減速を開始し、そのまま渋滞車列の後方に、適正な車間距離で減速してつきました。
このとき時速は5km/hまで落ちていますが、いまだにアイサイトのACC機能は実行されています。
そのままゆっくりと渋滞は流れていきましたが、ついに前方車両が完全停止してしまいました。すぐXVも同じように0km/hまで減速して停止します。そして完全停止したままその姿勢を保ちます。
ちなみにここに至るも未だにドライバーはブレーキ/アクセルペダルに触れていません。そう、冒頭でも話しましたようにスバルXVに搭載のアイサイトバージョン3では速度0km/hの完全停止までフォローしてくれるACC機能が自慢なのです。
先行車が発車しました。するとアイサイト付きのXVも発進……とはいかず、0km/hからの発進についてはステアリング右にあるレジュームボタンを押すか、アクセルペダルを一回軽く踏み込まなくてはいけません。
ただしボタンやペダルを一度操作したからといってACCが解除されることはありませんので、速度が0km/hになることが頻繁な渋滞でも右手(足)1つの操作でずっと対応してくれるというわけなんです。
ちなみに、先行する車両がスタートしてしばらくしても発進操作がない場合にはアイサイト側から「先行車が発進しましたよ」という警告もしてくれます。
以上がアイサイトによるACCの作動状況説明でした。
その高い車両の補足性能はもちろんのこと、感心したのは加速や減速のタイミングが人間の肌感覚に合うというところです。いくら安全といえども、アクセルやブレーキの操作がもし違和感を感じさせるようなものだった場合、おそらくドライバーはこのACCを使いたがらないでしょうから。このあたり、長年の研究とテストの積み重ねが反映されているアイサイトはさすがだな、と思います。
(写真・動画・文/ウナ丼)
新型にまずは触れてみないとわからない事も多いですからね
アイサイトの進化もココで止まる訳では無いですから、更に次に来るものはよりよいモノになってくるでしょう
Posted at 2018/05/22 19:11:57 | |
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富士重工 | 日記