2012年01月11日
ファイナルギア変更その③~考察編~
今回でファイナル変更ブログは一旦終了します。
最終回はいっぱい書きましたので,気合入れてお読みください。(笑)
今回は,
「ファイナルを3.692から3.916にすることによって,
何がどう変わるのか?」
ということについて,述べてみようと思います。
といっても・・・実は私が,
「クロスミッションと何が違うの?」
「どこがどういう風に変わるの?」
と難しく考え過ぎていただけで・・・結論としては実にシンプルです。
ファイナルを3.692から3.916にすると・・・「ローギア化します。」
↑そのまんま。。。(^-^;
以上が結論なんですが・・・それだとあまりにおもしろくないので,
「ローギア化とはどういうことか?」について述べてみようと思います。
まずは,馬力とトルクについて。。。
以前の“究極のブーストアップ”シリーズで書きましたが,
車を前に進めるのに直接的に必要な力は,馬力ではなくトルクです。
トルク=タイヤを転がす力と考えてください。
ドリフトでホイルスピンを維持するための力もトルクです。
トルクが路面の摩擦力に勝っているときは,ホイルスピンを維持することができます。
私たちが車に乗って,加速がいいか悪いかを判断しているのは,「馬力」ではなく,「トルク」です。
馬力は,直接感じ取ることはできません。
(詳しくは,究極のブーストアップシリーズを読んでください。)
次に,トランスミッションについて。。。
そもそもオートマにせよ,マニュアルにせよ,トランスミッションって何のためにあるんでしょうか?
一般的なガソリンエンジンは,低回転では低トルク,高回転で高トルクという特性です。
車を走行させる場合,停止状態→発進→加速→定常運転→減速→停止を繰り返しますが,
タイヤを転がす力(トルク)が必要な領域は,発進&加速時です。
つまり,低速域でトルクが必要なわけで,ある意味ガソリンエンジンの特性には向いていません。
そこでトランスミッションの登場です。
トランスミッションでエンジン回転を減速させることにより,タイヤでの発生トルクを増やすことができます。
エンジン出力(馬力)=トルク×タイヤ回転数
ですから,タイヤ回転数が減った分,トルクが増えるのです。
変速式の自転車で,坂を登るときに,ローギアにすると坂は登れますが,速度が出ないのと同じです。
トランスミッションは,低速域のトルクを増大させるために必要なんです。
私のS15のシャシダイ測定結果を示します。
チューニングは吸排気のみの頃の結果です。
よくこのグラフは見るんですが,これがトランスミッションを介すとどうなるでしょうか?
計算結果を以下に示します。
エンジン出力はどのギアでも同じですから,
タイヤ回転数の遅い1速のトルクが最も大きく,6速が一番小さくなります。
これは,感覚的にも理解できるかと思います。
1速では加速が鋭く,シートに押しつけられると思いますが,6速では全開にしても加速が鈍く,シートに押しつけられる力も小さいですよね。
また,1速ではアクセル全開にすればホイルスピンしますが,6速ではホイルスピンしませんよね。
(6速でもホイルスピンしちゃうモンスターは除く。)
繰り返しになりますが,ローギアほどタイヤで発生するトルクは大きいのです。
つまり,3.7→3.9ファイナルへの変更は,
「1速から6速全てのギアがローギア化し,トルクアップする」のです。
では,どの程度トルクアップするのでしょうか?
2速→3速へのシフトアップを想定し,実際に計算した結果を示します。
エンジン出力は,先ほどと同じく,S15吸排気のみチューンです。
当たり前ですが,全域に渡ってトルクアップしています。
ギア比が変わった分だけトルクアップすることになりますから,
トルクアップ割合[%]=変更後のギア比÷変更前のギア比×100
=3.916÷3.692×100=106[%]
となり,3.7→3.9ファイナルへの変更により6%のトルクアップをすることになります。
ここからの表現は,完全に誤りですが,ファイナル変更の効果をイメージして頂くためにあえて書きます。
ファイナル変更のみをした場合,当然ながらエンジン出力(馬力)は変わりません。
しかし,ドリフトに必要なトルクを得ることができます。
仮に6%のトルクアップを,エンジンチューニングで得ようとした場合,
エンジン出力(馬力)=エンジン出力軸トルク×エンジン回転数÷716.6
ですから,6%馬力を上げるのと同じような効果を得ることができると言えるのではないでしょうか。
ピーク馬力で250PSであった場合,3.7→3.9のファイナル変更は
265PS相当のエンジンチューニングしたのと同等の効果があると思ってください。
15PSアップを,エンジンに負担をかけることなく,実現することができるのです。
これってすごいことだと思いませんか。
もちろん,正確にはエンジン出力は変わりませんから,トルクアップした分,車速は遅くなり,
トータルのエンジンの仕事量(=馬力)は変わりませんけどね。
ローギア化のファイナル変更とクロス化を錯覚する理由は,
この「ローギア化によるトルクアップ」があるためだと思います。
実際にシフトチェンジした場合,同じ回転数まで落ちますが,トルクアップしている分,
吹け上がりは早くなります。(2速のほうが3速より吹け上がりが早いのと一緒)
その分,次のシフトアップのタイミングも早くなるため,クロス化したのと錯覚するのだと思います。
長々と書いてきましたので,ファイナル変更についてまとめておきます。
① ファイナル変更により全てのギアがローギアorハイギア化する。
② ローギア化した場合,全てのギアでタイヤの駆動トルクがアップする。(ハイギアはその逆。)
③ ローギア化した場合,最高速は低下する。(=高速巡航での回転数はアップする。)
④ ファイナル変更はクロス化ではないため,シフトチェンジの際の回転数ドロップは変わらない。
⑤ 但し,ローギア化した場合,各ギアのトルクアップにより,吹け上がりがよくなるため,クロス化と錯覚する。(笑)
⑥ ドリフトには,クロス化より,ファイナル変更のほうが向いている。(私見)
以上,長文にお付き合い頂き,ありがとうございました。m(_ _)m
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ファイナルギア変更 | 日記
Posted at
2012/01/11 23:25:43
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