荒涼たる原野に　〜オロロンラインを抜海からサロベツ湿原センターへ〜

北海道は「広い」と言われる。


平らな大地が地平線まで続く、

そんなイメージで捉える北海道。




今回道北を旅してまたこれとは違った広さを実感した。

僕らは離島を含めた道北をレンタカーで移動した。

その距離は約1,000キロ。

随分走ったなという実感がある。

しかし地図で改めて移動エリアを確認すると、

道北も本当に最北部に限られていたことが分かる。


【１】（抜海の海にあった係留用のロープ）






今回のブログは広義のオロロンライン上の話だ。

但し、抜海〜天塩辺りの区間限定で、

全ルートのほんの一部に過ぎない。

それでも道は平坦な海岸線を真っ直ぐ一直線に伸びている。


【２】（オロロンラインは天塩までほぼ一直線だ）






稚内からオロロンラインを南下して、

抜海岬を超えしばらくすると、

利尻礼文サロベツ国立公園内にある唯一の休憩施設

こうほねの家(浜勇知展望休憩施設)が見えてくる。


【３】（曇天時のこうほねの家）






名前の通り、ここは初夏から夏にかけてこうほねが咲く。


【４】（遠くて分かりにくいが、こうほねが咲いていた）





所謂原生花園の一部であり、季節にはエゾスカシユリや


【５】（エゾスカシユリ）





エゾカンゾウ、ハマナス、エゾニュウなどが咲き乱れ、

【６】（鮮やかなハマナス）






賑やかな場所になる。


【７】





間近に迫る利尻富士や夕陽のビューポイントでもある。


【８】（初めに訪れた時：厚い雲に覆われ利尻は沿岸部のみが望めた）






初めに訪れた際は利尻は沿岸部が僅かに望める程だったが、

好天時に訪れると、ものの見事に利尻富士が屹立していた。


【９】（雪の残る利尻がはっきりと見えた）






オロロンラインをさらに南下してゆく。


【１０】（道北ではよく眼にした牧草ロール）





ルートは日本海側の湿原地帯を真っ直ぐに下っている。


【１１】（ルートサイドにはエゾカンゾウが咲き乱れる）





エゾカンゾウやエゾスカシユリの群生が見られたり、


【１２】（エゾスカシユリも鮮やかで綺麗な花だ）





エゾシカの親子に出逢ったりしながらどんどん進む。


【１３】（右手に利尻富士を望む）





誰もいない海岸線が延々と続くなか、


【１４】（夢の浮島 利尻島）





利尻富士だけが並走するライダーに大人気のルートだ。


【１５】（カモメも気持ちよさそう！）






程なくしてサロベツ湿原センターへの案内板が見えると、

海岸沿いを離れ、一路原野に向かうことになる。


【１６】





豊富町のサロベツ湿原センターはサロベツ原野の玄関口。


【１７】





「人と自然の共生」をテーマにサロベツの自然や


【１８】





見所、人文・歴史などの情報が提供・展示されている。


【１９】





例年であればエゾカンゾウで黄色く染まる原野だが、


【２０】（遊歩道脇の木に止まったノビタキ）





今年は霜やエゾシカの食害で花の量は少なかった。


【２１】（雨に濡れるエゾカンゾウ）





それでも杜若やバイケイソウ、コバイケイソウ、


【２２】（サロベツで最もポピュラーだったコバイケイソウ）





ヤナギトラノオ、カラマツソウ、ワタスゲ、


【２３】（遊歩道脇にひっそりと咲くヤナギトラノオ）





ツルコケモモなどの花が咲いていた。


【２４】（これもよく見たカラマツソウ）






かつてこの地では資源として泥炭が採掘されていた。


【２５】（泥炭の採掘跡）





その名残りもそこここに見ることが出来る。


【２６】（泥炭採掘機）






見渡す限り遮るもののない原野は、

普段の生活と対極にあって不思議な清々しさを覚える。


【２７】（遊歩道が伸びる原野）





何もないことの贅沢を改めて考えさせられた場所だ。


【２８】（果てしなく続くサロベツ原野）





いや何もないことがもたらす充足感と言った方が正しいか。


【２９】（バイケイソウ）





花に一面彩られる原野とはまたひと味違った、

厳しい自然の姿のほんの一部が垣間見えた。


【３０】（雨粒を纏う杜若）






「サロベツには何もない、だから総てがある」


【３１】（原野の風になびくワタスゲたち）






宗谷丘陵に続く…。



※X Pro2　XF 16-55㎜ F2.8 R LM WRほか


（了）