長い間休館となっていた
東京都庭園美術館が
リニューアルオープンしたのは
昨年のことだったか…。
白金高輪に通っていた頃からずっと気になっていた場所。
【1】
漸くその機会を得て、白金のこの地を訪れることになった。折しも、
『アールデコの邸宅美術館 建築をみる2015+ART DECO COLLECTORS』
の開催中で、品格ある建物のみならず、エッジの利いた家具類などを鑑賞できた。
【2】
ハイライトはやはり今年5月に重要文化財に指定されたばかりの旧朝香宮邸だ。
Part1では、その素晴らしい建物と「灯り・光」関連写真を何点か掲載する。
【3】
朝香宮家および旧朝香宮邸について庭園美術館のHPから引用・要約すると、
『朝香宮家は久邇宮朝彦親王の第8王子鳩彦王が1906年に創立した宮家である。
鳩彦王は陸軍大学校勤務中の1922年から軍事研究のためフランスに留学した。
しかし彼の地で交通事故に遭い、看病のため渡欧した允子内親王とともに
期せずして1925年まで長期滞在することとなった。
当時フランスはアールデコ全盛期で、その様式美に魅せられた朝香宮夫妻は、
自邸の建設にあたり、フランス人芸術家アンリラパンに主要な部屋の設計を依頼し、
アールデコの精華を積極的に取り入れた。
また建築を担当した宮内省内匠寮の技師も西洋の近代建築を熱心に研究し、
その設計に取り組んだ。邸は、朝香宮夫婦の熱意と日仏のデザイナー、
技師・職人が総力を挙げて造り上げた芸術作品と言っても過言ではない。
旧朝香宮邸は、美術館となった今でも内部の改造は僅少で、アールデコ洋式を
正確に留め、昭和初期における外来文化受容の様相を如実に物語っている。
邸は貴重な歴史的建造物であるとともに、和の匠とアールデコが見事に融合した
建築作品の傑作でもある』とのことだ。
【4】
位置的には目黒と白金台の間、都心でも指折りの高級住宅街の一角にあたる。
【5】
ここに、本邸に連なる一連の建造物、増設された展示館、カフェ、
【6】
大型オブジェを伴う芝生広場、ミュージアムショップなどがゆったりと配置される。
【7】
シンプルながら気品と重厚感を併せ持つ本邸はとりわけ拡張高く、
細部にまで拘った設計とそれを忠実に造り上げた技術者たちの力量に感服する。
【8】
内装や装飾品、実用品に至るまで、アールデコの精神が息づく室内はまた圧巻だ。
【9】
部屋毎に微妙に異なる雰囲気を持ち、それぞれが独立した美を放っている。
【10】
しかし一方、それらが不思議な全体調和をもたらしていることに驚きを禁じ得ない。
【11】
当然のことながら、照明器具や明かり取り等も部屋の用途や雰囲気との整合が
計算され、取り付け位置、材質、形状、カラーなど、拘りの選択が見受けられる。
【12】
とても全てを網羅できないが、掲載分からだけでも秀逸なデザインの多様性が分かる。
【13】
邸は都心にありながら静か過ぎる環境も相まって極めて魅力的に映った。
【14】
その芸術的な価値を過小評価される不遇の時代もあったアールデコであるが、
【15】
あらためて1920年代半ばのフランスの風に身を任せると、先鋭的でありながらも、
【16】
経年によって角の取れた丸みを感じさせ、優しく身体を包み込んでくれる気がした。
【17】
学術的なデザインに普遍性はないのだろうが、それが醸す空間には、
【18】
時が更に追熟のスパイスとなって、静清とした癒しの空気が満ちている。
【19】
アールデコは、100年近い時を経てなお、新鮮この上ない。。。
【20】
Part1掲載のコンテンツは限定的なものとなったが、
Part2において、内装や調度品をもう少しだけ追加して取り上げてみようと思う。
【21】
To be continued‥
※EOS 6D SIGMA Art 35㎜ F1.4 DG HSM
(了)
Posted at 2015/08/14 17:47:33 |
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