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８月末所用にて宇都宮に出掛けた。


昼食の際、東武宇都宮駅に程近い

カトリック松が峰教会を訪れた。





国の有形文化財に指定された聖堂は、日本では珍しい双塔を擁すものだ。

献堂80余年、現存する最大級の大谷石造りのネオロマネスク建築である。

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聖堂内外壁の大谷石は旧帝国ホテルに用いられた石と同じ採石場のもので、

石工職人の様々な意匠が施されている。

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まずは荘厳な外観に圧倒される。

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この日の泣き出しそうな低い雲を突く双塔。

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角がとれ色がくすみ始めた大谷石が歴史を感じさせる。

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「大谷石の教会」はイメージがつき難かったが、

素材としての親和性は意外にも高かった。

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決して巨大ではないが、小さ過ぎることもない聖堂。

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内部にもふんだんに大谷石が用いられるため、

黄色味のある窓の光と相俟って、堂内は独特のセピアトーンに覆われる。

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最奥にはバロック様式のパイプオルガンが設置されている。

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自分の訪れた際、ひと家族が聖堂内を見学していたが、

程なく退出され、静かな堂内に独り取り残される形になった。

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物音のしない教会にぽつねんと佇む経験など、

これまでもおそらくこれからもそうそうあるものでもないだろう。

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主からお叱りを受けぬよう敬虔な気持ちを忘れず、

立入りが可能な範囲で教会内の細部を写真に収める。

【１２】






信者でもない自分が解説すべきものではないが、キリスト教に限らず、

カトリックに限らず、宗教的なツールにはそれぞれの意味があるのだろう。

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込められた祈りの全ては分からずとも、

静謐の空間に、普遍的な思いの一端を「感じる」ことはできる。

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長くこの聖堂で唱えられた祈りは、

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石の壁の芯にまで浸透していることだろう。

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繁華街に近いにも関わらず、大谷石の教会はあくまで静かに建っていた。

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※Leica　Q（Typ116）


（了）