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2016年3月11日（金）。

あの日から5年の歳月が流れた。

今も残る傷痕は、過不足なく

後世に伝えなければならない。




1週間程前の3月5日（土）。

この日には開花しているだろうと再び小金井公園へ。


今年は既に御苑で河津桜を観る機会に恵まれたため、

【１】





第二の桜観賞として、寒緋桜を愛でにやって来た。

【２】





しかし思ったほど花は開いておらず、ひっそり静かな花見になった。

【３】





開花以降、少し低温の日が続いたことが影響したのだろう。

【４】






この日も予報に反して肌寒い曇天の朝。

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少ない光量でいかにこの花を際立たせれば良いのか、

【６】





考えながら撮影をしていたのだが、

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思いの外身体が冷えて、カメラを持つ手が冷たくなった。

【８】






寒緋桜は、下向きに釣鐘状の花を付ける。

【９】





花弁の色はまさに緋色に近い、早咲きの桜の代表格だ。

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早咲きと言えば河津桜が有名だが、かの品種は、

【１１】





この寒緋桜と大島桜との交配によって作られたと言われる。

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染井吉野の薄く透き通るような仄かな桜色とは、

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趣きを異にする濃い緋色の花弁は、

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この日のちょっぴりどんよりとした空の色と意外にも合って、

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薄暗い木立を背に、自然に溶け込む咲き姿を見せてくれた。

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やはり桜の開花は劇的で美しく、この国らしさを感じるものだ。

【１７】






これからますます春は広がり、各地で開花の声を聞くようになる。

【１８】





桜前線の北上とともに、震災による大きな被害の出た地域でも、

【１９】





5年という月日を経て、再び美しい花が咲くだろう。

【２０】





それを心待ちにする総ての方々に、様々な形で、

『サクラサク』の朗報が届けられることを願って‥‥哀悼。

【２１】






《後記》


あの日の地震には新都心の高層ビルの中層階で遭遇した。

激しく揺れるビル、停まるエレベーター、鳴り止まぬ警報、コンビニから消えた食品、運転停止となった主要路線、
繋がらない電話、TVから流れ続ける特撮のような映像、窓からは帰宅困難者と車で溢れかえる幹線道路が見えた。
翌土曜から怒濤のように押し寄せた震災関連の追加業務。
しかし自分の身に降りかかった出来事は、震源に近い地域の方々が経験された事柄に比べれば、何れも些細なことだった。
阪神淡路と東日本大震災は、自分が社会人として経験した忘れようにも忘れられない、未曾有の大惨事である。
地震をはじめ自然災害を防ぐことは難しい。
だからこそ備えること、助け合うことが何より大切になる。
起きてしまった後に、見て見ぬふりをせず、手を差し伸べる勇気を持つことこそが、唯一、人を救える術だと思っている。

あの日を越えて@がんばれ！日本



※EOS 5D MarkⅢ　EF70-200㎜ F2.8L IS Ⅱ USM


（了）