
3月14日、防衛省・陸上自衛隊は、UH-60JAの航空事故調査結果について、発表しました。
以下、発表内容です。
令和5年4月6日(木)に発生したUH-60JA航空事故の調査結果について下記のとおりお知らせします。
1.事故の概要
令和5年4月6日(木)、陸上自衛隊高遊原駐屯地所属の第8師団第8飛行隊のUH-60JAヘリコプターが、航空偵察のために15時46分頃に航空自衛隊宮古島分屯基地を離陸した後、15時56分頃宮古島北北西洋上において、レーダーから航跡が消失。
宮古島市伊良部島北約6キロメートル海上に墜落(搭乗員10名全員が殉職)
2.事故調査の状況
(1)組 織
ア 陸上幕僚副長を長とする航空事故調査委員会を設置(令和5年4月6日付)
イ より幅広い観点から更に検討を深めるため、令和5年10月以降、事故調査委員会に専門的知見を有する部外有識者が参加
(2)事故調査要領 機体・構成品の破損状況の調査、フライトデータレコーダー(FDR)の解析、当該事故機の整備状況、関係者からの聞き取り、関係企業、米陸軍への意見聴取等を実施
3.事故調査の概要
(1)調査の過程において、気象等の外的要因、機体整備については本事故に関連がないことを確認
(2)FDRの分析等から、2基のエンジンを搭載する当該事故機において、第2エンジンに引き続き、第1エンジンの出力も低下した事象を確認
(3)両エンジンの出力低下については、エンジン本体、動力伝達系統、燃料系統は関連がないものの、
○ 第2エンジンの出力低下については、エンジン制御系統の異常
○ 第1エンジンの出力低下については、エンジンのエンジン制御に影響を与える部位の 異常、機体のエンジン出力に影響を与える部位の異常、搭乗員の出力調整レバー(PC L)操作による出力抑制の可能性が残ったことから、これらを焦点として最終的な調査を 実施
4.事故の原因
(1)原 因
第2エンジンの出力が緩やかに低下し出力を喪失。
それに引き続き、第1エンジンの出力も低下するという、これまでに報告事例がない事象が生起し、高度保持が困難となり、墜落
(2)第2エンジンの出力の緩やかな低下の要因
「ロールバック」という取扱書に記載のない非常に稀な事象。
この要因は、エンジン制御系統又はそれに関連する空気圧ラインの一時的な異常(漏れ・詰まり)と推定
(3)第1エンジンの出力低下の要因 エンジンのエンジン制御に影響を与える部位の異常、機体のエンジン出力に影響を与える部位の異常及び搭乗員の出力調整レバー(PCL)操作による出力抑制のいずれも示す証拠はなく、要因の特定には至らず
5.再発防止策
(1)第2エンジンの出力低下関連
○ ロールバック予防のため、エンジン制御系統及び空気圧ラインのより詳細な点検・検査を実施するとともに、その回数を増やし、整備試験飛行による機能確認も実施
○ ロールバック事象発生時のエンジン挙動及び緊急操作手順を取扱書へ記載し、操縦士及び機上操作員に対して記載事項の普及・徹底を実施
(2)第1エンジンの出力低下関連
○ エンジンのエンジン制御に影響を与える部位及び機体のエンジン出力に影響を与える部位の網羅的点検を実施するとともに、その回数を増やし、整備試験飛行による機能確認も実施
○ 両エンジン出力低下時における対処要領を取扱書へ記載し、操縦士及び機上操作員に対して記載事項の普及・徹底を実施
(3)搭乗員への教育訓練として、エンジン系統の緊急操作要領、着水時の実施事項、機内連携 要領の徹底等を実施
6.航空安全確保のための施策 洋上飛行時の救命用装備(携帯用の救命無線機)や、FDR用のビーコンなどの導入
改めて殉職された方々の御霊の安寧をお祈り申し上げます。
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Posted at
2024/03/24 02:30:38