
中国浙江省で起きた中国の高速鉄道の追突事故は、死傷者を多数出す残念な事故になっています。
北京-上海の開通に合わせて、中国当局がコメントした、中国の高速鉄道の技術は、中国独自の技術であり、日本の新幹線より優れていると言う発言、また、米国・南米・欧州等における特許申請の問題等、記憶に新しいと思います。
ところが、早速、中国では、今回の事故は、停車していた列車が、カナダのボンバルディアの技術をベースにした車両、追突した列車が川崎重工業のE2系の技術をベースにした車両と報じている様です。
次に出て来るのは、カナダと日本(特に大破している追突した列車を取り上げて)の技術に問題があるかの如く騒ぐことです。
中国の政治体制を考えれば、これは普通に起こり得る外交的行為ですから、日本国政府は、是非、対応を誤ることなく対処して欲しいものです(絶望的ですけどネ)。
間違っても、先に中国側がアピールした独自の技術と言う部分を指摘しないことです。
日本政府も認めた我が国独自の技術と言う形になり、しかも、事故の件では、技術指導した責任を問われることになります。
最も有効な初期の対処方法は、我が国の鉄道事故調査委員会の受け入れと、全権調査を要求することです。
さて、この独自の技術と特許の件については、今までコメントしませんでした。
それは、おそらく鉄道技術に少しでも関わったことがある方なら分かると思いますが、列車を単に速く走らせるだけであれば、車輪とレールの摩擦が失われない限り(高速走行中に失われれば…(苦笑))、難しい技術ではありません。
ですから、中国が新型車両の高速性を誇って、独自の技術と誇示しても、騒ぐには値しないと思いました。
また、特許の件については、JRと川崎重工が、バカなだけです。
国際競争の中では、極々普通に起こる(日本だってやっていますからネ)ことで、それに対する脇が甘過ぎると思いました。
今回の事故で、列車の集中制御が出来ていなかったことが話題になっていますが、正に、日本の新幹線技術が優れているのは、CTC(Centralized Traffic Control:列車集中制御装置)初めとする列車運行管理システムが整っている(最近、少し怪しいですが…)からです。
例えば、東海道新幹線であれば、列車そのものの運行管理は、東京駅近くの制御センターで行われており、センターでは、運行されている全列車の情報が、個々の列車の運転席の端末と連動する形で管理されています。
列車を運行する為の運行ダイヤシステムも運行障害の種類、範囲等を加味した形で、システム化されており、素早い(利用者としてはイラとすることもあるとは思いますが)ダイヤ回復が行える様になっています。
更にマルス(MARS : Multi Access seat Reservation System)に代表される予約発券システムが、スムーズな座席の提供を実現しています。
こう言った、様々な運行に関わるシステムが有機的に機能しているからこそ、安全できめ細かいサービスが提供できると思います。
ですから、幾ら車両技術だけを持っていっても、仮に、丸ごとコピーされても、慌てることは何もないと思います。
問題は、この運行システムの技術が、他国に渡ってしまう場合です。
北京オリンピックの頃、何処かのメーカが絡んで、非常にグレーな感じのする出来事もあった様に記憶しています。
車両が速い遅いは、分かり易いので、クローズアップされ易いですが、本当に重要なのは、全体としてのシステムだと思います。
この様な知的財産が海外へ流出しない様に法整備をして欲しいものです。
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Posted at
2011/07/25 00:56:11