
2018年9月7日(金)。
地震から丸1日が経過した7日の朝。
今にも泣き出しそうな空模様だった。
真っ先に確認したのは、通電エリアの情報だった。
この時まではおおかた2時間おきに情報が更新されていた。
全道の4割程度に電力供給が再開されているようだ!
1(湖面に渦が見える洞爺)
とはいえ、今は相変わらず電気は点かず、昨晩の状況に変わりはない。
朝8時過ぎに更新された6時時点の情報で、ついに洞爺湖町も函館も通電エリアに掲載された。
しかし、それは供給有無の問題であって、実際の電気使用再開を直接指すものではない。
地域によって差は出るだろうし、ホテルなどでは通電テストなどを経ないと再開できない。
前日電話した函館のホテルからは8:30を目処に状況連絡をもらうことになっていたのだが、
おそらく混乱しているのだろう、時間を過ぎても電話はなかった。
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気長に待つことにして、ホワイトボードの確認と朝食をとりにロビーに降りることにした。
フロントで仮の話としてもう1泊出来るかを訊いてみたところ、昨日団体4グループが延泊し、
更にキャンセルがゼロだったため、部屋数に余裕がなく厳しい旨丁重に説明された。
さてと、そうなると当日のホテルは、昨日仮押さえした洞爺湖畔か連絡待ちの函館か、
はたまた難儀しそうだけど別口をあたるか、ということになる。
バトラーと、昨日何回階段を昇り降りしたかなどの馬鹿話をしながら、
ホテルの状況を詳しくアップデートしてもらった。
水や予備電力は昨日までは100%保つと分かっていたがこの日1日は不確かであること、
温泉街の一部では電力供給が再開されたがここはいつになるかは分からないこと、など。
翌日のフライトで東京に帰らなければならないと話すと、彼女なりに考えてくれ、
洞爺に残るより、他に回るより、やはり函館に向かうのが正解に近いのではないか、と。
確かに前日段階で函館空港は通常に近い稼働状態だったからね。
あとは函館のホテルから朗報を待つしかなさそうだ(^_^*)
朝食は3箇所(和、洋、ブッフェ)開けてくれていたので、この日は和をチョイス。
最後の1組だったけど、有事にしては必要十分以上の味と量で、満足度が高かった。
中でも伊達納豆は独特の姿形で、それを塩で食べるというのが気に入った^_^
部屋に帰りリラックスしていると、函館のホテルから連絡が入った。
何でも昨夜通電が再開され、今日からほぼ通常に近い営業が可能との力強い内容だった。
電気・トイレはもちろん、温泉や料理も問題がないと説明を受けた。
これであっさり方針が決まり、洞爺湖畔のホテルにもキャンセル連絡を入れ、
2日間世話になったウィンザーをチェックアウトすることになった。
3(この景色ともお別れだ)
停電の影響で支払時にカードが使えず請求書払となったが、
取り立てて混乱もなく、バトラーたちに見送られながら、ポロモイ山頂を後にした。
今考えると、体力のあるホテルに偶然泊まっていたことで、随分救われた気がする。
思い切りの闇を経験せず、トイレも使え、水も可で、食事の提供もあったのだから。
また機会があれば平時に利用してみたいと思わせる、存在感のあるホテルだった。
やはり雨が降りだした。
道央道長万部〜八雲辺りでは雨足が強まって周りが見え難いほどの降り方だった。
大沼公園で道央道を降りると、ロードサイドに明かりの点いた店が!
道の駅「なないろ ななえ」(初日にここに寄った時は温度計が30℃超えだった)、
それに続いてのラッキーピエロ(ラッピ)峠下本店だった。
久しぶりに明るい飲食店を見たことでテンションが上がり、
もう夕刻に差し掛かっているにも関わらず、思わず立ち寄ってしまった。
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バーガーならいいか!と都合よく解釈したんだけど、実は物流の関係で
バーガーは注文できず、カレーとオムライスのみオーダー可能だった。
おやつ感覚で摘もうと思ったのに、期せずしてガッツリ系になってしまった。
で、一杯のかけ蕎麦風にカレーを1つ注文し、あとはサイドメニューに。
とはいえコロッケとオニオンリングだから、油分に抜かりはない。
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しかし初めてラッピに入ったのだが、何だろうあのカオスの風情は。
峠下は「鳥」がモチーフになっていたけど、何故なのかは今も不明w
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7(実物大の回転木馬を押し潰すグリズリー以上の体格のベア)
店内から続く屋根付きデッキがあるのだが、その傍にある案内板がまたサイケ。
8(なるほど!DCまで10265kmか!って。おい!?深まる混迷)
途轍もなく広い駐車場には145台分が用意されていた(驚)
肝心の味の方は、良くも悪くも学食風の懐かしいテイストだった。
「ソウルフード」を感じるには、次回バーガーを逝かないとダメだろうな。
この日の宿泊は9/1に続いて2度目となる湯の川温泉。
天気が優れないので悪足掻きせず早めにチェックイン。
そこそこ大きな施設だったけど、地震の関係で宿泊客は少ないようだった。
こちらとすれば静かにゆったり過ごせるからむしろ有難かったけどね。
ラウンジで地元湯の川「銀月」の焼き団子をいただきながらチェックイン。
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ロビーやメインバーは、明と暗、赤と黒が特徴的なそそるコーデだった。
緩やかな水流上にビリヤード台や茶室が設えてあった。
落とし気味のライティングが七難を隠していたにせよ、インパクトはあった。
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部屋はメゾネット方式で滅法広いんだけど、ちょっと使い勝手が(汗)
特に上の階は玄関と洗面所とかけ流しのビューバスがあるだけなので、
温泉の湯温で熱がこもることになり、正直「暑い」。
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各階のラウンジもまた凝った装飾になっており、
フロアの意匠(モダン・ノスタルジック)に合わせられているようだ。
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最上階には大浴場と展望ラウンジがあり、函館の街並みを一望できる。
高価なマッサージチェアも2機設置されていたので、迷わず試乗(?)
最新機器の機能って凄いものだと実感したけど、自宅には置けないな。
あの巨大さは、一般家庭に特大マグロが届けられるに等しい(笑)
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ラッピったので、夕食のスタートは最も遅い時間で予約しておいた。
半個室の食事処で和食の創作コースを愉しんだ。
函館なのだから海の幸は間違いないと合点するが、
昨日の今日という環境でしっかりメニューを守るカバー力は素晴らしい。
従業員確保、物流、保冷、仕込み、調理と料理の提供までに
難問が多く立ちはだかったと思うけど、着実にクリアしたようだ。
感謝の気持ちを持って、五感で料理を堪能した(ちょい大袈裟)。
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サーヴしてくれた男性に地震のことを尋ねると、かなり大変だったようだ。
確かにホテルは採光を抑えたデザインだから、停電時は本当に暗かっただろう。
トイレはロビー階のものを共用で使ってもらい、利用の都度スタッフが、
バケツで強制水流を起こしてなんとか凌いでいたとのこと。
だはーッ!それはスタッフも嫌だろうけど、利用客はもっと嫌だっただろう。
とにかく復旧してくれて、僕らはお流しヘルパーの世話にならずに済んだということだ。
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部屋に戻り、再度パッキングを整えて、電子機器類を充電したり、
久しぶりにTVを観たり、存分に温泉に浸かったり、大満足。
明かりのある生活!なんとゆとりを感じるものだろう・・・。
北海道で過ごす最後の夜が、足早に過ぎていった。。。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
最終回につづく…。
FUJIFILM X-H1  FUJINON XF16-55㎜ F2.8 R LM WR & XF100-400㎜ F4.5-5.6 R LM OIS WR
(了)