2019年12月01日
なぜマツダしか成功しなかった?究極のエンジンといわれる「スカイアクティブX」とは
■夢のエンジン? マツダ「スカイアクティブX」とは
マツダは、新型「マツダ3」に世界初の技術「SPCCI燃焼」を採用したスカイアクティブXを搭載するグレードを、2019年12月5日に発売します。
以前からスカイアクティブXは、ガソリン車とディーゼル車の良い部分を合わせ持つ夢のエンジンといわれていましたが、なぜマツダが完成させることができたのでしょうか。
現在、市販されているクルマには、ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車(ガソリンエンジン+モーター)、電気自動車と大きく分けることができます。
それぞれ、メリット・デメリットを持ち合わせています。そんななか、おおまかにはガソリン車に分類されるものの、マツダが新しく設定したスカイアクティブXは、世界初の燃焼方式を採用したまったく新しいエンジンです。
具体的には、ガソリンエンジンの歴史において長年課題とされていた、圧縮着火をコントロールする技術を実現し、内燃機関に求められる性能を飛躍的に向上させています。
これによって、ガソリンエンジンの伸び感や排気浄化性などの優れた部分と、ディーゼルエンジンの初期レスポンスの良さや燃費の良さを合わせた理想的なエンジン(スカイアクティブX)が完成しました。
理想のエンジンといわれるこの技術は、ほかの自動車メーカーの開発に挑んだものの、断念したといいます。なぜ、その技術をマツダが完成させることができたのでしょうか。
マツダのエンジン性能開発部・高松氏は、次のように話します。
「マツダには、世界一の高圧縮比ガソリンエンジンで異常燃焼などの限界を知ったエンジニアと、世界一の低圧縮比ディーゼルエンジンで燃料と気体の混ぜ方によって着火の限界を知ったエンジニアの両方がいる会社だから挑戦できた技術だといえます」
※ ※ ※
スカイアクティブXのベースは、2リッター直列4気筒エンジンです。これに「Mハイブリット」という24Vのマイルドハイブリッドシステムを組み合わせています。
最高出力は180馬力(モーター:6.5馬力)、最大トルクは22.6kgfm(モーター:6.2kgfm)となり、燃料はハイオク(無鉛プレミアムガソリン)です。
マツダ3(ハッチバック)のスカイアクティブX搭載車のカタログ燃費(WLTCモード)は、16.2km/Lから17.8km/Lです。
同じマツダ3の2リッターガソリン車が15.6km/Lとなり、1.8リッターディーゼル車は18.8km/Lから19.8/Lとなっています。
マツダが公表した実測燃費では、ワインディングから街中という走行ルートにて、同じハッチバック車(2リッター/AT/2WD)という条件で比較したところ、ガソリン車は15.1km/Lを記録。対するスカイアクティブX搭載車が18.2km/Lとなり、約21%の差があったようです。
なお、マツダ3(ハッチバック/セダン)のそれぞれの価格(消費税込/特別仕様除く)は、ガソリン車が222万1389円から269万8055円、ディーゼル車は279万741円から320万9555円、そしてスカイアクティブX搭載車が319万8148円から361万6963円となります。
近年のマツダは、ディーゼルエンジンの特性が上手く時代とマッチしたこともあり、国産車において「ディーゼル車=マツダ」というイメージを抱く人もいるといいます。
そんななか、新たに登場したスカイアクティブXは、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの良い部分を上手くアピールして、「マツダ=スカイアクティブX」というイメージが定着できるのか、注目したいところです。
マツダ、スカイアクティブ搭載車 来月5日発売
マツダは25日、「マツダ3」に新方式のガソリンエンジン「スカイアクティブX」=写真=を設定し、12月5日に発売すると発表した。これまで明らかにしていなかった燃費も16・2~17・4キロメートル/リットル(WLTCモード)と公表した。
スカイアクティブXは、同社独自の燃焼制御技術「SPCCI(火花点火御圧縮着火)」により、ガソリンエンジンの高回転までの伸びとディーゼルエンジンの燃費やトルクを融合させたエンジン。24㌾マイルドハイブリッドシステム「Mハイブリッド」を搭載し、燃費性能を高めた。例えば、FF(前輪駆動)のセダンタイプの場合、ガソリンエンジンの燃費は1リットル当たり15・8キロメートルだが、スカイアクティブXでは17・4キロメートルとなる。
マツダは当初、10月にスカイアクティブXをマツダ3に搭載する予定だったが、推奨燃料をレギュラーからハイオクに変更するために発売日を12月中旬に延期すると発表していた。価格は319万8148~355万5648円(消費税込み)。エントリーグレードの価格はガソリン車と比べて約70万円高。
世界初のエンジン登場! マツダ「スカイアクティブX」の実力はいかに?
世界で初めて圧縮着火エンジン(スカイアクティブX)を搭載した市販車となるマツダの「マツダ3」が2019年12月5日に国内で発売となります。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの良い部分を持つという、スカイアクティブXの乗り心地は、どのようなものなのでしょうか。
マツダ3のハンドル握って走り出すや「これは凄いことですね!」とウナります。
簡単にいえば、「ガソリンエンジンながらディーゼルエンジンと同じ熱効率を実現可能な圧縮着火エンジンの市販化」は、世界中の技術屋さんにとって見果てぬ夢だったのです。数多の自動車メーカーがチャレンジし、成功していません。
マツダが市販した圧縮着火エンジン、驚くほど普通で自然に回っています。むしろ普通のエンジンと比べて、アクセルレスポンス良く、中回転域のトルクだって太い。
ロータリーエンジンのように「レシプロとまったく違うエンジンフィール」だったり、ハイパワーターボのような「ガツンと手応えのあるトルク感」的な個性こそ薄いが、圧倒的な技術レベルです。
もう少し詳しく紹介すると、5千回転くらいまでの常用回転域では前述の如く圧縮着火させるため(それ以上の回転域では点火プラグだけで着火させる通常燃焼)、元気よく走らせてもディーゼルのように燃費良いといいます。
高回転まで引っ張ったときのエンジンフィールも「自然!」。複雑な構造や燃焼をおこなっているエンジンだとは思えないほどです。
圧縮着火しているときのエンジン音は、ガソリンエンジンよりディーゼルエンジンに近く、低い音階ですが振動は無し。
音もキッチリ遮音してあるため気にならりません。高回転まで引っ張って通常燃焼モードになるとエンジンフィールも普通のガソリンエンジンのようになって面白く、3千回転以下の常用回転域だと静かで滑らかです。
■価格は少し高い? 商品力の改善に期待!
一方、現段階では、マツダ3の2リッターエンジン搭載車と比べて、価格差が約68万円となり、「少し高いかな」と感じてしまいます。
素晴らしい技術に感心するものの、一方でクルマも商品だから「内容に見合った価格」じゃなければ成立しません。
解りやすい指針でいえば、普通のガソリンエンジンと24馬力違うため、1馬力1万円として24万円高くても良い。また燃費は、20%程度良いから燃料コストで浮く分が20万円となり、合計44万円といったイメージ。
逆に考えれば残る24万円分の魅力を付けると商品力が出るということです。パワーユニット担当の役員に聞いたら「今回は、世界初の技術ということで安全マージンを十分確保して180馬力にしていますが、高回転域でのパワーはもっと出せます」。
200馬力になれば普通のエンジンとの出力差は44馬力。それだけで妙味出てくるうえ、加えていまは普通のエンジン車と全く同じ外観ながら、ブレーキをアップグレードさせたり、エアロパーツなどを加えスポーツモデル仕立てのイメージにしてやれば(マツダスピード復活など歓迎)、さらに20万円分くらいの付加価値を付けられるだろう。
おそらくスカイアクティブXの評価はあまり高くないと思うし、売れ行きも伸び悩むでしょう。でもポテンシャルを感じます。
何よりパワフルながら燃費良い。6速MT仕様も試してみたが、低い回転域からトルク出ているためドライバビリティ良好です。
高出力バージョン出てくるまでは、マツダファンの皆さんで支えてあげたらいいと思います。
その間、マツダが頑張ったらスカイアクティブXに商品的な価値を付けられることでしょう。
スポーティモデルの雰囲気をキッチリ持たせたマツダ3に200馬力のパワフルなエンジンを搭載し、日常的な乗り方なら20km/Lくらい走ってくれるようなモデルであれば、いまの価格だって十分に魅力的ではないでしょうか。
マツダ3搭載の「スカイアクティブ-X」エンジン発表
マツダは2019年11月25日、リーンバーン/SPCC着火の新開発エンジン「スカイアクティブ-X」を搭載した「マツダ3」を12月5日から発売すると発表した。「SKYACTIV-X」搭載モデルは、当初はレギュラーガソリン仕様で10月発売の予定だったが、ハイオクタン仕様に変更し12月発売となった経緯がある。
スカイアクティブ-Xエンジンのスペックが判明
今回の発表により注目のスカイアクティブ-Xエンジンのスペックも正式に公表された。従来の2.0Lのスカイアクティブ-Gエンジンは「PE-VPS型」であるが、スカイアクティブ-Xエンジンは「HF-VPH型」となっている。エンジンの排気量1997cc、ボア・ストロークはともに共通で83.5mm×91.2mmとなっている。
燃料はスカイアクティブ-Gがレギュラー仕様だがスカイアクティブ-Xはハイオクタン仕様で、ヨーロッパ仕様と共通だ。圧縮比は15.0。出力は180ps/6000rpm、最大トルクは224Nm/3000rpm。従来のスカイアクティブ-Gに比べ、最大トルクの発生回転数が1000rpm低下している。
SKYACTIV-X エンジン諸元表
スカイアクティブ-Xの特長は、高圧縮で、軽負荷走行時には、空燃比30程度(ラムダ=2)の超リーンバーン、大量EGRでの燃焼域、高負荷では通常の燃焼+ミラーサイクル運転となる。つまり走行負荷に応じて空燃比、燃焼を切り替えているのが特長だ。
高速巡航で燃費を低減
この複雑な燃焼を実現するため、コモンレール式高圧ガソリン直噴/燃焼室中央噴射(スプレイガイド式)、通常燃焼から急速にリーンバーン状態に切り替えるための機械式イートン製スーパーチャージャー+水冷インタークーラー(高応答エアサプライと呼称)、水冷式EGRガスクーラー、気筒別筒内圧力センサー、さらにミラーサイクル運転のために吸気側に電動可変バルブタイミング機構などを装備している。
また同時に24V電源によるスターター/ジェネレーター式マイルドハイブリッドも併用している(M-ハイブリッドと呼称)。このモーター/ジェネレーターは6.5ps/61Nmの出力で駆動アシストを行ない、またブレーキ時には減速エネルギー回生を行なう。その回生電力は小型のリチウムイオン・バッテリーに蓄電され、加速時にはバッテリーから電力を放出して駆動アシストを行なうシステムだ。
注目の燃費は、WLTC平均モードで6速ATで17.2km/L、6速MTで17.4km/Lとなっている。6速AT仕様の場合、市街地モードでは13.7km/L、郊外モードでは17.6km/L、高速モードでは19.0km/Lと、100km/h程度での高速巡航でリーンバーンが多用され、つまり燃費が最もよくなるのが特徴になっている。
スカイアクティブ-Xエンジンは、機械式駆動のスーパーチャージャー、高圧直噴などによりエンジン・ノイズが大きくなる傾向があるが、その対策としてエンジン全体を樹脂製吸音材でカバーするカプセル化を行なうことで、エンジンの透過音を大幅に低減しているのも他にはない特長になっている。
なお価格は、下表のようにSKYACTIV-G 2.0エンジン搭載モデルに比べ、約55万円高となっている。
マツダ3、SKYACTIV-X搭載車を12月5日に発売…ガソリンの圧縮着火を世界初の実用化
マツダは、ガソリン混合気をピストンの圧縮によって自己着火させる「圧縮着火」を世界で初めて実用化した新世代エンジン「SKYACTIV-X」を搭載する『マツダ3』を12月5日より発売する。
SKYACTIV-Xは、優れた環境性能と出力・動力性能を両立。圧縮着火によるエンジンレスポンスの良さとエア供給機能を活用し、現行「SKYACTIV-G」に比べて全域で10%以上、最大30%におよぶ大幅なトルク向上を実現。またスーパーリーン燃焼によって、エンジン単体の燃費率は現行SKYACTIV-Gと比べて最大で20~30%程度改善する。
また、マイルドハイブリッドシステム「Mハイブリッド」や高剛性駆動力伝達システムの採用により、滑らかで気持ちの良い走りと、効率的な燃料消費をサポート。エンジンを吸音材で囲む(カプセル化)ことにより、静粛かつクリアで気持ちの良いサウンド伝達を実現する。
今回マツダ3に搭載するSKYACTIV-Xは2.0リットル直列4気筒エンジンで、最高出力180ps、最大トルク224Nmを発生する。
グレード展開は「Xプロアクティブ」「Xプロアクティブ ツーリングセレクション」「X Lパッケージ」「Xバーガンディセレクション(ファストバックのみ)」の4種類。価格は319万8148円から368万8463円。
整備性悪そう~
Posted at 2019/12/01 00:04:46 | |
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