
数年前にNHKテレビで「人生、50歳が近づいたら、子どもの頃に夢見た憧れのものをもう一度思い出して、再トライする準備を始めましょう」というようなことを言っていました。もういつまでも若くはないので、この歳になったら早くも人生の総決算に入らないといけないのかもしれません(苦笑)。
私の人生の大きな夢としては、独力でのヨーロッパ旅行とか、その延長線上で独力でのF1モナコGP観戦とか、鈴鹿サーキット国際コースを自分の愛車で限界まで目一杯走らせることとかあって、なんとか実現してきたのですが、子どもの頃に憧れたものの中のひとつにブルートレインのA寝台個室に乗ることがありました。
我々の子どもの頃にはブルートレインブームというのがあって、当時東京から九州方面にたくさん運行されていたブルートレインの、特にA寝台個室はファン垂涎の的でした(当時は個室自体が珍しく、B寝台はもちろん、A寝台も個室は一部の列車にだけ連結されていました)。
今はブルートレインはすべて廃止され、定期運行で残っている夜行特急列車は唯一このサンライズ出雲・瀬戸だけ。ブルートレイン(客車)ではなく電車です。でも、今は品川-岡山が新幹線でわずか3時間ちょいの時代。あえてこの夜行に乗る必要もあまりなく、存在は知っていたものの、利用するという発想自体があまりありませんでした。
昨年秦野公演が発表された時も、新幹線ではギリギリ帰宅できないことが判明して、調べていたのはなぜか夜行バスばかり。今年改めて秦野参戦が決まって冷静に考えていたら、このサンライズ作戦が浮かんできたのです。
思いついたのが遅かったので、秦野公演の夜のA寝台は取れませんでした。サンライズのA寝台は鉄道ヲタクの間でもチケットの取りづらさで有名なようです。なにしろ1編成に6部屋しかないんですね。
そして、秦野公演の夜はB寝台個室を取って、人見公演の夜は発売初日の発売時刻に予約して、無事A寝台をゲットスマイルしました!!やったぞ!!
それからしばらくはサンライズの研究です。サンライズのA寝台は、鉄道ヲタクさんたちがこぞってYouTubeに乗車レポ動画を載せるほど貴重な経験です♪
サンライズの寝台・座席区分は6種類もあって、それぞれ値段と特色が異なります(値段は寝台券のみの値段。このほか、特急券、乗車券が必要です)。
1. A寝台個室(シングルDX) 13,980円
2. B寝台2人用個室(ツイン) 7,700円(ひとり当たり)
3. B寝台1~2人用個室(シングルツイン) 9,600円(ひとり目の値段)
4. B寝台1人用個室(シングル) 7,700円
5. B寝台1人用個室(ソロ) 6,600円
6. ノビノビ座席 寝台券はなんとゼロ円!!
4番のシングルがいちばん標準的な部屋数の多い区分で、私が秦野公演の夜に使ったのがそれ。6番のノビノビ座席は、場所は指定だけど長距離フェリーのようなカーペットにゴロ寝するタイプで個室ではありません。でも、区画はちゃんと指定されており、隣の人の顔が見えないように一定程度のプライバシーは保たれるようです。さすが今の時代の夜行列車。なんと言っても寝台券ゼロ円はお得ですね♪
そして、1番のA寝台個室(シングルDX)こそが、今回利用する最上級グレード。先ほども書きましたように、1編成に6部屋しかありません。では、いよいよご案内しましょう!!
人見公演のあった土曜の夜、東京駅に着くと、コロナ禍緊急事態宣言下の都内、20時を過ぎていても弁当屋さんはガンガン営業していました。さすが東京駅!! 先週の秦野公演のあとの小田原駅では夜の食事に困って放浪したのです。
行きつけの駅弁屋さん(行きつけと言っても、前回は2年前に利用しました(笑))で夕食と言うか夜食を購入して東海道線ホームへ。東海道線ホームのコンビニでは、サンライズのお客さん用に、おにぎりとかガンガン売っていたので、さすが東京駅!!と感激して、カツサンドを追加購入してしまいました(笑)。
サンライズ出雲・瀬戸の入線を待つ東京駅東海道線ホーム
東京駅21:50の発車に対して、21:25いよいよ入線です。ホームでは多くの鉄道ヲタクさんたちがカメラを構えて、動画や写真を撮って走り回っていました。
入線完了!!
私の乗るサンライズ瀬戸の方は四国の高松・琴平行き。
私の利用するA寝台は4号車。
いよいよA寝台シングルDXに突入すると、ベッドのほか、洗面台と机と椅子が完備された、まさしく走る列車ホテルでした。
角度を変えて撮影するとこんな感じ。洗面台は水とお湯が切り替えられます。
ベッドの上には備えつけの浴衣とスリッパと、マニア垂涎のサンライズA寝台特別アメニティセット!! 右側が個室の入口のドアです。
この私の部屋を外側から見るとこんな感じ。中央の2階部分が私の部屋で、真下の1階は別のシングルツインの部屋です。
まもなく東京駅発車です。
ちなみに、秦野公演の夜に乗ったB寝台シングル個室はこれ。ベッド部分はA寝台と変わらない感じですが、B寝台シングルはこのベッドが部屋のすべてです(笑)。

(2022/3/11追記:このレポを書いた当時は、A寝台シングルDXもB寝台シングルもベッド部分は同じだと思っていましたが、いろいろ調べてみると、実はA寝台の方が明らかにベッドの幅が広く、またB寝台には毛布が備えつけられているのですが、A寝台はなんと羽毛掛けふとんになっているとのこと!!2週連続でB寝台シングルとA寝台シングルDXを乗り比べたくせに、そこら辺の違いに私は気がついていませんでした(笑))
東京駅を発車する時も、駅のホームでは多くの人がカメラを構えて、写真を撮ったり動画を撮ったりしてましたね~。彼らに見送られるようにして、東京の夜の街へ列車は出て行きます♪
東京、神奈川を走行するうちは、通勤電車などと混走するため、比較的ゆっくりと走りますが、品川駅は通過!! 今やのぞみも全部停車する品川を通過ですよ(笑)。
写真はつけてませんが、サンライズ号には車内にシャワールームがついています。B寝台以下のお客さんは競ってシャワーカードを購入しますが、A寝台にはA寝台乗客専用の別のシャワールームがあって、シャワーカードも最初からついてきます♪ 車掌さんに尋ねたら、シャワーカードは20枚ほど発券されるらしく、B寝台以下では仮にシャワーカードをゲットスマイルできても、20人で共用するのでなかなか自分の希望の時間に利用できないかもしれません。A寝台は6部屋しかないので、わずか6人でひとつのシャワールームを共用できるわけです♪
早いとこシャワーを浴びてスッキリしたかったので、早速利用してみました。シャワーは6分間使用できるようになっていて、途中で一時停止もできます。シャワールーム内には大きなタイム表示とスタートボタンと一時停止ボタンがあって、なんだかシャワールーム内でゲームをやっているような楽しい感覚♪
いろいろな試乗レポを読んでも、一時停止を駆使すれば6分間というのは十分過ぎる長さで、サラッと汗を流したいだけだった私なんぞは2分も使わずに終えました。ドライヤーも完備されているのですが、こんなとこで長髪の人がドライヤーを長時間使われたら、順番を待つ他の人がちょっと迷惑かも。
あとは、自室で思うままに過ごせます。机があるので、ビジネス客は仕事ができますし、私なんかはやろうと思えばここでコンサートレポを書けます(書きませんでしたけど(笑))。
前週に引き続いてのサンライズ利用で、ちょっと慣れてきていたのもあってか、その後あっさりと爆睡してしまいました。沼津から大阪まで記憶がありません。この日のサンライズは、大垣かどこかで前方を行く列車が動物と衝突したとかで遅延が生じていました。A寝台を長く楽しめるので私はむしろ歓迎です♪ 岡山から他の列車に乗り継ぐ予定のお客さんは大変。車掌さんはてんやわんやで、姫路から新幹線に乗り換えられる特別手配をされていました。
前週に引き続いて、神戸・須磨の海岸線を眺めます。
サンライズは、一度遅延が生じると、朝方は通常の電車のダイヤの合間をぬって走るようになるので、なかなか遅れを取り戻せないばかりか、遅れがだんだんと大きくなっていきます。最初は25分程度の遅延だったのが、結局岡山到着時には1時間遅れにまで拡大していました。
岡山1時間遅れで到着
ここで出雲と瀬戸の切り離しが行われるので、鉄道ヲタクのみなさんは切り離し作業の撮影に群がりますが、私はとっとと帰宅します(笑)。
遅延が生じたため、琴平行きのはずが高松で運転打ち止めに変更されていました。
本日の切符を記念に撮影
A寝台だけで配られるアメニティグッズセットはマニア垂涎の品らしく、マニアは使用せずに大切に持ち帰るらしいのですが、私は普通に使用(笑)。この白いJRマークの入った石鹸ケースがレアものらしいです。これは結局未使用で持ち帰ったな(笑)。
以上、私のA寝台乗車記念で書いただけの拙い乗車レポ?でしたが、ちゃんとした紹介記事はネット上にたくさんあるほか、YouTubeではいろいろな乗車レポが動画公開されています。
それらをチェックしていると、この貴重なサンライズ出雲・瀬戸も、利用客が低迷すれば廃止される恐れがある、とのこと。そもそも寝台列車は乗車定員が普通の列車より少ないので採算性が悪いし、乗務員等の深夜労働のこと、深夜に毎日この列車が1本走ることによって深夜の線路の保守作業が制約を受けることなど、いろいろデメリットもあるので、このコロナ禍の中、油断していると廃止される恐れは十二分にあると思います。今後は機会あるごとに利用して、廃止されないように少しでも利用率アップに貢献したいと思うのでした♪