
3月14日、三菱重工は「アンモニアを燃料とする大型アンモニア輸送船の設計基本承認(AiP)を船級協会から取得」を発表しました。
以下、発表内容です。
○ クリーンエネルギーであるアンモニアの海上輸送量増大を見込んで開発
○ 三社協業による基本設計開発でAiP取得
三菱重工グループの三菱造船株式会社(社長:上田 伸、本社:東京都港区、以下、三菱造船)は、株式会社商船三井(社長:橋本 剛氏、本社:東京都港区、以下、商船三井)ならびに株式会社名村造船所(社長:名村 建介氏、本社:大阪市西区、以下、名村造船所)と共同で、アンモニアを燃料として航行する大型のアンモニア輸送船を共同開発し、このたび、一般財団法人日本海事協会(会長:坂下 広朗氏、本部:東京都千代田区、以下、NK)から設計基本承認(Approval in Principle : AiP)(注1)を取得しました。
本件は、基本設計に基づきNKによる図面審査とリスクアセスメント(HAZID)(注2)を経て取得に至ったものですが、今後の需要に迅速に対応するため、一般的にAiP取得に必要なレベルより詳細な設計を完了しています。
現在は肥料原料としての利用が中心で海上輸送量も限定的なアンモニアですが、近年では、燃焼時にCO2を排出しないクリーンエネルギーとして注目されており、発電所の燃料トランジションや水素キャリアとしての活用など、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた有力な選択肢の一つとして、今後の需要拡大が見込まれています。
三菱造船と商船三井ならびに名村造船所の三社は、このような背景から、大型アンモニア輸送船の基本設計に取り組んでいましたが、このたび、NKからAiPを取得するに至りました。
同船は、アンモニアを主燃料とする機関の採用を前提としており、船自体から排出される温室効果ガスの排出削減を狙うとともに、従来の大型LPG・アンモニア輸送船(VLGC・VLAC)よりもさらに大型化し、海上輸送効率を高めた設計としています。
また、日本国内の主要な発電所への入港制限を満足し、かつ、アンモニア荷役基地との荷役時接続部の整合性などは既存のVLGCとほぼ同等を確保した船型となります。
三菱重工グループはエナジートランジションの事業強化に戦略的に取り組んでいます。
その一翼を担う三菱造船は、従来からのものづくりを主体とした造船に加え、造船を基盤とした海事エンジニアリング技術で国内外の海事産業の発展に貢献することを目指しており、今回の取り組みもその一環です。
今後も、顧客ニーズに応じた造船関連技術や環境対応製品を提供する海洋システムインテグレーターとして、海上物流のさらなる発展と脱炭素化社会の実現に寄与していきます。
(注1)設計基本承認(Approval in Principle : AiP)とは、認証機関が基本設計を審査し、技術要件や安全性の基準を満足すると承認されたことを示すものです。
今回はアンモニアを燃料とするアンモニア輸送船を対象として、NK鋼船規則N編及び代替燃料船ガイドラインに基づき、審査が実施されました。
(注2)Hazard Identification Study : HAZIDとは、プラントやシステムにおける安全性評価手法の一つであり、設計概念の潜在的なリスク(ハザード)項目を洗い出し、そのリスクの大きさや対策の有効性を評価するものです。
Tags: カーボンニュートラル,エナジートランジション,アンモニア,VLGC
担当窓口:三菱造船株式会社
https://www.mhi.com/jp/group/mhimsb/
※画像は、三菱重工のプレスリリース資料掲載のものを使用しております。
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Posted at
2025/03/15 16:15:42