ダボスで響いた「開国」「絆」「最小不幸社会」
今、ダボス会議(世界経済フォーラム)から日本に戻る移動中に書いている。
ダボスは、雪の中の美しい町。滞在時間はわずか6時間だったが、特別講演の他にも様々なミーティングや個別会談を行うなど、多くのプログラムをこなした。
講演では、私が年初以来強調している《開国》という言葉を、初めて海外で語った。「日本は内向きにならず自信を持ちたい」と開国の精神を話したが、聴衆や有識者との昼食会などでも、それに応えて我が国に対する期待の声が多く寄せられた。また、《絆》は日本社会の誇る素晴らしい言葉なので、敢えて日本語のまま“KIZUNA”と紹介した。
《最小不幸社会》という言葉も、海外で初披露した。“The Least Unhappiness”という耳慣れない表現が理解してもらえるか少し心配だったが、ベンサムの「最大多数の最大幸福」を前置きで述べてから、きちんと意味を説明して話したところ、大きな反響があった。最小不幸社会という言葉は私が若い頃から使ってきたオリジナルな言葉だが、逆にそのことが、好感をもって受け入れられることになったようだ。
終了後のロビーでは、わざわざ歩み寄ってきて「素晴らしかった」と握手を求めてきてくれた外国の方もいた。「哲学的なスピーチだった」という感想もいただいた。総理として、日本のプレゼンスが示せたように思う。
Kan-Full Blog より
まず、最初のツッコミですが
> 今、ダボス会議(世界経済フォーラム)から日本に戻る移動中に書いている。
政府専用機を不要と言ってる政権がなんで政府専用機を使うんでしょうね。
それ以前に、政府専用機に備わっているインターネットへのアクセス、こんなことに使うためじゃないだろうと。
で、演説の内容はこのような感じです
菅内閣総理大臣ダボス会議特別講演 「開国と絆」
1.はじめに
まず、私の講演を始める前に、現下のエジプト状況について一言申し上げたいと思います。我が国とエジプトとは長い友好関係にあり、また、エジプトが中東、アフリカ全体の平和と安定に大変大きな貢献をされてきたことを、高く評価をいたしております。現在、エジプトが社会的に不安定になっていることについて、ムバラク大統領は改革をするということを表明されております。是非ともエジプト政府が多くの国民との対話の中から国民が広く参加をする、そうした政権をつくり、政治的な安定と市民生活の平静を取り戻されることを強く期待をいたしております。
さて、シュワブ会長、そして御列席の皆さん、本日は歴史あるダボス会議において、私にスピーチの機会をお与えいただいたことを、心から感謝を申し上げます。それはこの会議が世界の政治・経済のリーダーの集まりであるというだけではなくて、弱い人の立場に立って市民の叡智を受け止める、そういう会議である(ということ)からであります。
私は大学で応用物理学を勉強し、その後、弁理士という仕事をしながら市民運動に参加をしてまいりました。その中からわずか数名の国会議員を有する政党の結成に加わり、それ以来約30年を経て、昨年400人を超える国会議員を有する民主党の代表に選ばれ、同時に日本の総理大臣となりました。そういった、この30年間の活動を思い出しながら、この会に出席できることについて感慨深く思っているところであります。
さて、実は今週初めから日本では国会がスタートし、この週末、ユーラシア大陸を越えてスイス、ダボスにやってきたのは、もちろんこのダボス会議の重要性もありますけれども、特に今回のダボス会議の「新しい現実のための共有規範」というテーマが、私にとっては一番私自身の考えていることとマッチしている。そのことが大きな理由であります。20世紀の後半には我が国日本は経済的に世界にはばたき、経済大国として成長してまいりました。しかし、21世紀に入り(まして)日本経済が停滞する中で、例えば若者の海外への留学が減るなど、国民全体にも内向きな傾向が強まっているところであります。そうした内向きの傾向をもう一度精神面でも、あるいは経済面でも世界に向かって大きく開いていく。その「開国」こそが今、我が国がとらなければならない大きな方向だと考えております。同時に、開国にはややもすれば社会の変化に伴って人と人との関係の断絶を生み出すことがあります。私はこの開国と同時に、人と人との間のつながり、日本語では絆という表現をいたしておりますけれども、この新しい絆を形成していきたい。
ダボスにおけるこの会議で、開国と私の目指す絆について、中心的にお話をさせていただきたいと思います。
2.自らを開く
(1)新しい現実
世界は現在、安全保障の面でも、経済の面でも、地殻変動とも言うべき大きな変化の中にあります。日本の外交も新たな展開を求められております。私は先週、東京で外交政策に関する講演を行いました。その中で5つの柱を外交・安全保障に関して表明をいたしました。第一は従来から重視している日米同盟を、さらに深化させて機軸に据えていくということ。第二に、アジア外交の新しい展開を図る。第三に、経済外交を積極的に推進する。第四に、地球規模の課題に積極的に取り組む。第五に、我が国として新たな安全保障環境に対応する。この5点を挙げました。「新しい現実」を強く意識した柱立てになっています。
アジアが大きな地殻変動の中心となっている中で、第一に掲げた日米同盟の重要性は、過去にも増して一層強まっていると認識をいたしております。日米同盟はこれまでも、そして、これからもアジア太平洋地域の多くの国々にとって、平和と繁栄のための公共財としての役割がある。我が国は米国とともに、この地域の安定と繁栄のためのこうした役割を、しっかりと担ってまいりたいと考えます。
そのアジアで著しい経済成長を背景に影響力を強めている中国との関係は、言うまでもなく我が国にとっても極めて重要であります。日中両国はアジアにおいてばかりでなく、国際社会で大きな責任を担っております。両国は経済の面、地域の安定の面、さらには地球環境など、あらゆる分野での協力関係を強めていかなければならないと考えております。
私が総理大臣になって大変うれしい思いをしたのは、多くの新興国のリーダーの皆さんとお会いをしたときの話であります。そのリーダーの皆さんから、自分たちは日本の成功を目標にしてこれまで努力してきた。その成果が今上がっているんだと言ってくださったことを、大変うれしく感じました。私たち日本はこれからもそういう新興国の経済成長に対して技術の面、さらには資金の面で、さらに応援をしていかなければならないと考えております。それと同時に、こうした新興国の沸き上がるエネルギーを我が国のエネルギーにつなげていく。このことも同様に重要な課題だと考えております。
(2)150年に学ぶ開国の思想
我が国は過去150年の間に2度の開国を成し遂げました。第一には約150年前に武家政治による鎖国政策を改めて、開国に踏み切った明治維新の開国であります。そして第二は世界大戦の終了によって、我が国が民主主義国として、そして自由主義経済の下で再出発した開国であります。この2度の開国によって我が国はまさに経済を世界に開き、同時に我が国の固有の伝統や文化も発展させつつ、外国の技術や知恵を取り入れて新しい政治、新しい社会の構造を組み立ててまいりました。言わば内なる開国を実行してきた2度の経験が我が国にはあります。
(3)開国を具体化する経済連携の推進
今、日本は改めて「開国の精神」が求められていると思います。そうした信念から、私は今年を「第3の開国」を実現するという大きな目標を掲げたところであります。その具体的な政策の大きな1つが経済連携の推進です。日本は既に最も経済が開放された国の1つであることは言うまでもありません。自由貿易こそが世界の繁栄を共有する最良の手段であると日本は認識をして、これまでもそれを実践してまいりました。WTOのドーハ・ラウンド交渉の推進にも取り組んでまいります。今日までに11の国と地域の間で経済連携協定を締結いたしております。
しかし、この10年間を見ますと多くの国が2国間や地域内で積極的に経済連携を進めているのに対して、日本はやや足踏み状態にあります。そこで私の政権では昨年11月、積極的に経済連携を進めるために、「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定いたしました。TPP、環太平洋パートナーシップ協定については、この基本方針に基づき、昨年関係国との協議を始めました。日本政府は、米国を始めとする関係国と協議を続け、今年6月を目途に交渉参加について結論を出します。また、重要な貿易パートナーであるEUとも今年こそは是非ともEPA交渉を立ち上げたいと考えております。
(4)農業の再生に開国の精神で挑む
こうした経済連携を推進すれば、日本の農業が危うくなるという意見があります。しかし私は、貿易の自由化か、それとも農業の存続かという二者択一の考え方には立ちません。経済連携の推進と農業の再生は両立可能です。例えばこのダボス会議でも、2日前に日本食のフェアが開催されたとお聞きしております。楽しまれた方も多かったのではないでしょうか。日本の風土に育まれた日本食が、おいしくてヘルシーであるという評判を聞くと、私たち日本人は大変うれしくなるわけであります。実は日本の農業は、生産高で見ますと世界で第4番目に位置いたしております。日本の食文化が、この魅力が世界に広がることによって、日本の農業も成長産業として再生することができる。これが私の考え方であります。
(5)開国の精神によるイノベーションによる成長制約の克服
こうした経済面での取組に並び、地球環境の問題にも新たな挑戦をしていきます。地球環境問題と経済成長についても両立可能性を懸念する方がありますが、私はこれも両立可能だと考えております。そのキーになるのは、言うまでもありません、イノベーションです。この分野で我が国は最先端を走っております。ハイブリッド自動車では、現在、世界の市場の9割を占め、LED照明においても先行し、これらは二酸化炭素の排出量を4割削減する可能性を秘めております。また、私が注目する植物を利用して再生可能な形でエネルギーを取り出す。端的に言えば、植物からガソリンをつくる。こういった技術も日本で開発が進んでおります。
天然資源に乏しい日本が育ててきた技術や知見で、発展途上国の気候変動対策も支援していきます。具体的には、メキシコでは、省エネ家電の普及により、消費電力を2割削減するという試みを応援しています。マレーシアでは、工場の空調設備の省エネにより、消費電力を削減する試みに協力しております。こうした日本の技術の普及は、環境保全に役立つだけでなく、各国の資源・エネルギーの調達のための負担を軽減する効果もあります。環境分野も含め、世界が直面する課題に日本が率先して取り組み、これを解決するモデルを世界に示していきたいと考えております。
3.新しい絆を創造する
(1)最小不幸社会の実現に必要な新しい絆
一方、開国を進め、新たな経済・社会システムを導入する過程で、その流れに取り残される人たちが必ず出てまいります。新たなシステムに移る中で、こうした人々を従来助けてきた社会や地域や家族といったつながりが薄れてしまうことが往々にして(よく)あるからであります。これが、改革と成長が、一方では豊かさや自由をもたらしながら、他方では格差や人々の孤立の拡大につながってしまうという問題を生じます。こうした状況に陥らないために、「新しい絆」を創造することが必要だと考えます。
かつてベンサムは、「最大多数の最大幸福」という政策を提案いたしました。私は、政治の果たすべき役割は社会の不幸を最小化すること、つまり「最小不幸社会」を目指すことだと、若いころから考えてまいりました。
なぜ、「最小不幸」なのか。(それは、)幸せや豊かさは、自由な個人がそれぞれの価値観の中で理想を抱いて追求するものです。政治という権力行為で、あなたの幸福はこれですと決めつけることは、政治が行うべき役割ではないと考えます。しかし一方では、病気とか貧困とか戦争といった、だれにとっても不幸をもたらすこと、この不幸を最小化することこそが政治という権力行為のやるべき仕事だと考えるからであります。こうした不幸が残っていては、一人ひとりの皆さんが安心して幸福や豊かさを追い求めることができません。不幸の最小化こそが政治が果たすべき役割なのです。だからこそ、従来の絆が希薄化する中で、開国に伴う格差や孤立を何としても解消していくため、「新しい絆の創造」が必要となります。
この観点から、「社会的包摂」の取組が大変重要だと考えます。不幸に陥った人を、家族だけでなく政府やボランティアも協力して社会全体で包み込むことが必要なのです。私は今月、社会的包摂の取組を日本で広げるための特命チームを内閣に設置いたしました。
(2)絆の観点から働くことの価値を再定義する
同時に日本では、働くことが大きな絆を提供してきたことについて申し上げたいと思います。我が国では、働くことは単に賃金を得るためだけではなく、何かを成し遂げる達成感、あるいは社会に役立つことの喜びをもたらすものと考えられてきました。これが、「働きがい」という考え方の中身であります。働くことで自分と社会の間をつなげる「居場所」と「出番」を得ることができたのであります。この絆を復活させるため、私は経済的な側面ばかりだけではなく、社会的な側面からも雇用政策を中心に据えております。毎日のように私は、雇用、雇用、雇用と国会で叫んでいるところであります。
(3)日本が発信する螺旋階段型の発展
日本は、社会的包摂を大切にする文化、働くことを大事にする伝統を古くから培ってまいりました。復古主義を唱えるつもりはありません。私は、過去を参考にしながら、時代と地域に適した形で新しい絆づくりが必要だと考えます。螺旋階段を思い浮かべてください。つまり、絆がだんだん薄くなって、それをもう一度取り戻す、それはただぐるっと回って元に戻るのではなく、そのときには一段上がった形でこの絆を取り戻すことが重要だ。こうしたモデルを日本はつくっていきたい。らせん階段型の発展モデルを世界に示して、世界に貢献いたしたいと考えております。
(4)「新しい絆の創造」を柱に国際貢献を進める
日本が以前から重視し、ここダボスでも議論されている「人間の安全保障」という考え方は、まさにこの「新しい絆」の創造でもあると考えます。なぜなら、それは人間の一人ひとりに手を差し伸べ、その保護と能力強化を通じ、尊厳をもって生きることを目的としているからであります。日本は、この考え方に基づき、ミレニアム開発目標、MDGsの貢献に当たって、保健や教育分野の強化に努めてまいります。私のその意思は、昨年9月の国連首脳会合で表明したところでもあります。
また、アフリカの自立と発展や、平和・民主主義の定着のために、日本は1993年からアフリカ開発会議、TICADを主導してまいりました。アフリカ諸国が国際社会とのつながりを強め、また、アフリカ経済が世界市場に参加するきっかけをつかむ絆づくりの発想で、これからもしっかりと支援してまいりたいと思います。
(5)APECの「あまねく広がる成長」の取組
さらに、アジア太平洋地域でも「新しい絆の創造」を進めるため、昨年11月、私はAPEC議長として地域全体の成長戦略をまとめる際に、「あまねく広がる成長」、インクルーシブ・グロースという目標を掲げました。各国ですべての市民が経済成長に参加し、貢献し、同時に恩恵を受ける機会を確保することが重要だからであります。この考え方に立ち、APECの成長戦略では、雇用創出、中小企業支援、社会保障制度の整備、女性・高齢者・脆弱なグループの支援といった政策に焦点を当てることといたしております。
4.結び ~日本を、そして世界をクロスカップリングする~
さて、昨年、2人の日本人がノーベル化学賞を受賞いたしました。根岸博士と鈴木博士であります。彼らの業績は、原子や分子の従来の結合を一度切り離して、それらを別な形で結びつけ、革新的な材料を生み出すクロスカップリングという技術に関するものであります。この技術を応用して、新しい医薬品や液晶などの多くの分野で新たな製品が生み出されてきております。彼らの発明において重要な役割を果たしたのが、パラジウムという触媒であります。この触媒の働きで原子や分子のつながりを切った後に改めて新しい形でつなぐことが可能になったわけであります。
今、世界のリーダーに期待されているのは、このクロスカップリングにおける触媒の役目ではないでしょうか。開かれた将来を築く挑戦においても、人々が社会から切り離されないように、新しい結合、絆でつなぎ直すことが求められていると思います。そして私は日本の総理大臣として、日本を、そして世界をクロスカップリングしていきたいと考えております。
その決意を表明し、私の講演を終わります。
外務省HP より引用
読んでいて、頭が痛くなりましたがツッコミを
> しかし、21世紀に入り(まして)日本経済が停滞する中で、例えば若者の海外への留学が減るなど、国民全体にも内向きな傾向が強まっているところであります。
海外への留学が減った原因として経済的な理由もありますが、ゆとり教育で海外に行っても通用しない学生が増えたのも一つの原因ではないのでしょうか。
現に優秀であれば、サッカーの代表選手のように果敢に海外で挑戦しておりますし、日本だけでなく、海外に行って外から見た日本、海外生活とはどうなのかというのに興味がある人はいると思います。
> 150年に学ぶ開国の思想
> 開国を具体化する経済連携の推進
こう言うのを開国の思想などではなく、売国、亡国の思想だとしか思えませんが。
> 農業の再生に開国の精神で挑む
減反政策を辞めていないのにもかかわらず、どうやって農業の再生できるのでしょうか。まさか、農地を支那、朝鮮、露助などに解放するとでも言うのでしょうか?
水源地対策もままならないのにも関わらず、どう考えてもこの発言は特亜に対する農地解放としか言い様がないかと。
> TPP、環太平洋パートナーシップ協定については、この基本方針に基づき、昨年関係国との協議を始めました。日本政府は、米国を始めとする関係国と協議を続け、今年6月を目途に交渉参加について結論を出します。
鳩のCO2 25%削減と同じくらいキチガイな発言かと
> 天然資源に乏しい日本
そのガス田(油田)を支那に良いようにされて、しかもなにもやらない政権が何を言っているのか理解できません。
> (1)最小不幸社会の実現に必要な新しい絆
> この観点から、「社会的包摂」の取組が大変重要だと考えます。不幸に陥った人を、家族だけでなく政府やボランティアも協力して社会全体で包み込むことが必要なのです。
こう言うのを社会主義というのですが、経済会議で社会主義宣言するとはキチガイの沙汰としか言い様がないかと。
> 各国ですべての市民が経済成長に参加
世界市民・地球市民思想って、これじゃ世界から見たら赤の政権が日本を牛耳っている宣言しているようなものかと。
> 私は日本の総理大臣として、日本を、そして世界をクロスカップリングしていきたいと考えております。
どう考えてもこのクロスカップリングは支那、朝鮮の属国を推進するとしか思えません。(所謂東アジア共同体推進)
民主党は国際的な場所で発言すると国威が失われ、売国宣言しかできないのかとしか思えません。まぁ売国奴が集まっている政党なので致し方無いのですが。
おまけに具体策もない、理想しか語らず、これじゃあ哲学的なスピーチ、つまり世界からはあんたは一体何をしたいのかと言われているようなものですし、恥を晒してきたようなものです。
で、その対極がこちらですが…
ダボス会議における麻生総理大臣特別講演
「私の処方箋 ~世界経済復活に向けて~」
シュワブ会長、
ご列席の皆様、
(冒頭)
今、世界経済は100年に一度と言われる危機に直面しております。本日は、世界は何をすべきか、その中での日本の役割について、話をいたします。
(私の信念)
私には信念があります。「経済的繁栄と民主主義を希求する先に、平和と人々の幸福がある。(Peace and Happiness through Economic Prosperity and Democracy)」これは、我が国が戦後歩んだ道です。経済的繁栄は新しい中間層を創出し、中間層は、更なる自由、民主主義、平和を希求します。多くのアジア諸国もこの道を歩みました。そして、驚異的な経済成長と、国によって濃淡がありますが、民主主義の伸張がもたらされたのです。日本が、アジア諸国の努力を支援することによって果たした役割は小さくなかったと自負しております。この成功体験により、「経済的繁栄と民主主義を希求する先に、平和と人々の幸福がある」との考え方が、日本外交の背骨となりました。
私は二年前、外務大臣として、「自由と繁栄の弧」という考え方を示しました。これも、市場経済、民主主義を志向する諸国の努力を支援し、繁栄の道を共に歩みたいという決意に他なりません。
ご列席の皆様、
(私の処方箋1: 金融危機への措置)
現在、全世界で、経済的繁栄は挑戦を受けています。今日の金融危機においては、マーケットとして金融市場には大いなる改善の余地があることが明らかになりました。
昨年11月、ワシントンで金融・世界経済サミットが開催されました。私は、日本の経験を踏まえて、金融機関の不良債権の迅速な処理と、公的資金による資本注入の必要性を提言しました。さらに、中小国・新興国のため、ドルを中心とした流動性の確保が必要と考え、最大1,000億ドル相当の対IMF融資を表明しました。産油国や外貨準備を多く保有する国が、こうした努力に加わることを歓迎します。今でも強くそう思っています。
(私の処方箋2: 世界経済の体質改善・体力強化に取り組む)
このようないわば応急手当てに加え、経済の体質改善や体力強化も必要です。
(市場ルールの再構築)
まず、市場のルールの再構築です。これは、競争と規制のバランスを図り、経済理性を回復する取り組みでもあります。私は、従来から、金融市場への監督体制の導入、格付会社への規制、市場混乱時の時価会計基準の明確化を主張してきました。これらを含め、4月のロンドンでのサミットに向けて、合意された「行動計画」の着実な実施が重要です。
(保護主義に陥らない)
一方、危機の克服には、貿易、投資の流れが阻害されないことが大前提です。我が国の輸出企業も、極めて厳しい状況にあります。しかし、日本は、1929 年の大恐慌の教訓を踏まえ、決然と保護主義と闘います。そして、WTOドーハ・ラウンドの早期妥結に向け各国と協力してまいります。
(グローバル・インバランスの是正と内需拡大)
次に、グローバル・インバランスの是正です。実体経済が大きく痛んできています。世界経済を再び安定的な成長軌道にのせるには、米国における過度の消費と、各国、なかんずく黒字国の不十分な内需に起因する世界的不均衡を是正しなければなりません。外需依存からは、脱却すべきです。なお、この1年半の間、主要通貨の中で、円は最も増価しました。各国は、それぞれの状況に応じて内需を拡大し、自律的な成長を達成する必要があります。私は、世界第2位の日本経済が活力を取り戻すことが、何よりも日本の責務と心得ます。
(日本の経済対策)
そのため、私は事業規模で約75兆円(8,400億ドル相当)の景気対策を決断しました。財政措置だけで約12兆円(1,350億ドル相当)、日本の GDPの約2%に相当します。金利をゼロ近くまで下げても民間資金が設備投資に向かわない状態では、政府の財政出動が必要です。これは我々が1990年代のアジアの通貨危機から学んだものです。異常な事態には異例な対応をもって当たる。日本の90年代の経験です。
(アジア経済)
また、世界人口の約4割を占め、近年の平均経済成長率が約4%と、世界で最も大きな潜在力を有するのはアジアです。この地域が、「開かれた成長センター」として世界経済に貢献することが重要です。私は既に、アジアに対する緊急支援として、100億円(約1億ドル)の資金拠出を補正予算に盛り込みました。加えて、アジア自身の成長力強化と、内需拡大の推進に向けた、域内協力の強化が必要です。
例えば、メコン開発や、インドの鉄道整備を含むデリー・ムンバイ産業大動脈といった広域開発構想に、日本は積極的に参加しています。さらに、来たる東アジア首脳会議に向け、東アジア・アセアン経済研究センターも活用しつつ、具体策をアジア諸国と共に検討します。もちろん、日本は、ODA、OOFから民間資金まで動員し、アジア諸国を後押しします。そのためODAについては、総額1兆5000億円(170億ドル相当)以上の支援をする用意があります。
なお、アジアでは、地域の金融面での協力スキームであるチェンマイ・イニシアティブの強化が進められています。更に、日本は、昨年12月に、日中韓首脳会議を初めて独立した形で主催しました。日中韓の経済は、世界のGDPの15.9%と、独英仏の合計を上回ります。この会議は、定例化され、今後3カ国間の協力強化は、首脳が直接進めます。これは歴史的な一歩であり、こうしたアジア域内の協力の深化が、ひいては世界経済の回復にもつながると確信します。
(アフリカ)
アフリカ諸国は、資源価格急落等により深刻な影響を受けています。国際社会は、開発支援により人道問題に対処し、さらに民間資金をアフリカに呼び込む方策をとるべきです。日本は、昨年第4回アフリカ開発会議を開催し、2012年までの対アフリカODA倍増、民間投資の倍増支援を始めとする支援策を打ち出しました。日本はこれを必ず実行します。来たる3月には閣僚級フォローアップ会合を開催し、4月の第二回金融・世界経済サミットに向けてアフリカの声をとりまとめます。
(中東)
中東地域の安定も、世界の持続的繁栄のために必須です。
治安対策と復興支援は「車の両輪」です。日本は、インド洋での海上自衛隊による補給活動に加え、ソマリア沖の海賊対策に自衛艦を派遣します。また、民生分野は日本の得意分野です。2つの事例を紹介します。
アフガニスタンでは、元兵士約6万人の武装解除と社会復帰を実現、のべ4千万人へのワクチン供与と50のクリニックへの機材供与、500以上の学校の建設・修復と1万人の教師育成、30万人の識字教育を行いました。今後も、こうした日本らしい支援を一層推進してまいります。
パレスチナのガザ地区では、多数の民間人が犠牲となり、人道的見地から見過ごし得ない状況となっています。日本は、紛争発生後速やかに1,000万ドル規模の緊急人道支援を行い、さらに23日には毛布等、我が国の備蓄物資を供与しました。こうした人道支援に加え、より長期的な取組として、ヨルダン川西岸地区のジェリコに、「平和と繁栄の回廊」として農産業団地を開発すべく、イスラエル、ヨルダン、パレスチナ自治政府と話し合い、当事者間の信頼醸成を図り、今プロジェクトを進行させつつあります。数年後、ジェリコの地に、青々とした農業団地が出来上がり、農産物が輸出される日を夢見ています。経済的繁栄により平和と幸福がもたらされるとの私の信念の実践です。
(日本のODA)
国際社会が直面するこれらの課題に取り組むため、私は、厳しい財政状況ではありますが、近年減少傾向にあったODA事業量を、昨年より増やしました。 2009年も、その流れを堅持し、事業量は、ネットベースで約20%増加する見込みです。100年に一度と言われる危機への、決意を新たにした対応です。
ご列席の皆様、
(私の処方箋3:気候変動への対応を怠らない)
(日本の経験)
以上が、経済の体質改善と体力の強化への私の策です。これに加え、忘れてはならないのは気候変動問題です。これは、挑戦であり、新たな産業を創造するチャンスでもあります。世界一エネルギー効率の良い日本はそのモデルケースです。過去30年間、産業部門のエネルギー消費量を増やすことなく、実質GDP を倍増しました。単位GDPあたりの一次エネルギー消費量はOECD諸国平均の半分、世界平均の3分の一以下です。石油危機をチャンスに変えたのが、日本の歴史です。
(先進国のイニシアティブ)
日本は昨年、G8サミット議長国として、2050年に世界全体での温室効果ガス排出量を少なくとも半減するという合意の形成に貢献しました。今年は、具体的な行動を決める年です。すべての国がそれぞれの責任に応じ、公平に努力を分担しなければ、問題は解決しません。日本も一層の削減努力を行います。現在、環境、経済、エネルギーを総合的に捉え、科学的な分析に基づき、中期目標の検討を行っており、6月までには目標を発表する考えです。目標は、裏打ちのない宣言ではなく、経済面でも実行可能で、地球全体の温暖化対策に貢献するものにしたいと考えます。
(途上国への対応)
発展途上の経済も、高い経済成長を維持したままで、直接「低炭素社会」に移行することが、可能と考えます。鍵は、省エネルギーや低炭素エネルギーの先端技術の大胆な導入です。世界には、様々な技術やシステムが存在します。日本は昨年提唱した「クールアース・パートナーシップ」に基づき、こうした技術やシステムの導入を図る途上国に資金面等でも支援します。
ご列席の皆様、
(危機を乗り越え、より良い世界へ)
2009年が重苦しい幕開けとなったことは認めざるをえません。しかし、我々は、この挑戦を奇貨として、より良い世界を創り上げていく、強靱さ、しぶとさ、そして楽観性を持つべきです。
より良い世界とは、何か。
第一に、一人一人が自らの努力により能力を開花できる世界です。
第二に、人種、民族、宗教などを含めた、多様性が尊重される世界です。
第三に、経済理性が復権し、競争と規制のバランスのとれた世界です。
経済的繁栄は、このようなより良い世界の基盤であります。
ここダボスには、各界、各国で活躍するリーダーが大勢おられます。米国ではオバマ大統領という新たなリーダーが誕生しました。私は、そうした方々と連携し、本年を世界経済復活の年にして参りたい。フランスの哲学者アランは、「悲観主義は気分のものであり、楽観主義は意志のものである。」と述べました。意志ある者が、難局を克服する、この確信を述べ、演説を締めくくりたいと思います。
外務省HP より
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「経済的繁栄と民主主義を希求する先に、平和と人々の幸福がある。(Peace and Happiness through Economic Prosperity and Democracy)」
ここに今の日本の方向性のすべてが凝縮されていると思うんですが。
おまけ
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こう言うこと、当時のメディア伝えましたっけ?
当時のメディアで思い浮かぶことといったら
1)解散総選挙
2)政権交代
3)漢字が読めない
4)カップラーメンの値段がわからない
5)ほっけの煮付け
6)バー通い
等、政策などとは全く無関係のことばかりしか取り上げていませんでしたがね。
おまけ2
露担当相ら北方領土を訪問 インフラ視察へ
これの民主党の言う平成の開国の一環なんですかね?どれだけ国益失えばいいのでしょうか…