ルノー、高級ブランド計画…メルセデスベース
フランスの自動車大手、ルノー。同社がルノー、ダチアとは異なる高級ブランドを計画していることが判明した。
これは22日、フランスの有力紙、『Les Echos』が報じたもの。同メディアによると、ルノーのカルロス・タバレスCOOは、アナリスト向け説明会の場で、ルノーが新たな高級ブランドの立ち上げを検討していると明かしたというのだ。
同メディアによると、この高級ブランドの名前は、「イニシャル・パリ」。ダイムラーと提携関係にあるルノーが、メルセデスベンツの車台を使って開発する高級車をラインナップするという。
その一方、ルノーは現地時間25日夜、アルピーヌ『A110』のデビュー50周年を記念した同車の復刻コンセプトカーを、モナコで初公開する予定。新たな高級ブランドとアルピーヌブランドの2つが、今後のルノーの戦略を占うカギとなりそうだ。
Carviewより
今回は自動車関係にするべきか、ルノーに特化するべきか、それともビジネス一般にするべきか悩みましたが、一般的なことにも関わるのであえてビジネスにしました。
まず、メルセデスベースと言う話ですが、仏語の記事を見ると、まだ何も決まっていないので、メルセデスベースになるという可能性であって、メルセデスベースで作るという記事はありません。少々飛ばしの感じも否めません。
本題に入りますが、ルノーがInitial Parisというブランドを立ち上げ、成功するかというとかなり疑問符が浮かびます。幾つかの事例を踏まえて考えていきたいと思います。
1)ルノーが高級車で成功するのか
ルノーはすでに幾つかの高級車を出していますが結果を見るとここ最近はことごとく失敗しているというのが現状です。

現在発売されているルノー Latitude。ベースはルノーサムスンのSM5がベース。
ちなみにフランスでは公用車で見るくらいでほとんど見かけません
ルノーVelsatis。これも殆ど見かけません。公用車か極稀に個人が所有している位です。
ルノーAvantime。ワンボックス型クーペ。ほとんど見かけません。
この様にここ最近のルノーの高級車は売りに出しても売れないというのが現状です。何もルノーに限ったことではなく

Citroen C6

Peugeot 607
この二台も公用車か、社用車位で使われているくらいです。ただ、見かける頻度はルノーのVelsatisやLatitudeに比べれば若干多いですが、それでも売れている、あるいは売れていたかかとなると否と言えます。
ではフランス車に限ったことなのかというと、VWも失敗しているケースがあります。
VW Phaeton
これも極々少数しかみかけません。
こう見る限り、ルノーやVWというブランドだと大衆車のイメージが強く、高級車のイメージが全く無いので、いくら良い上級車を出したとしてもブランドイメージで売れないというが現状です。
2)新ブランドを立ち上げることで太刀打ちできるのか?
今回、ルノーはParis Initialという全く新しいブランドを立ち上げますが、これだけで勝負になるかというとやはり疑問符がつきます。具体例としてはこちら
Lexus(写真は新型GS)
Infiniti (写真はMシリーズ)
どちらも欧州に参入しておりますが、Lexusの売れ筋はRXがメインでISやGS等殆ど見かけません。RXが売れている理由の一つとして、ハイブリッドSUVということであって、リアシートのフォールディング機能もない、ISやGSでは太刀打ちできないのが現状です。ちなみにCTも殆ど見かけません。ハイブリッドであればプリウスの方に流れているの現状です。
Infinitiはほとんど見かけません。むしろレアな車な類に入ります。何しろInfinitiが発売されているのがフランスではパリ、リヨン、マルセイユ等、ごく限られたところでしか入手並びにメンテナンスができないというのが余計足を引っ張っているとおもいます。
Lexusは参入してから10年近くなってようやく認知されたくらいなので、いきなりたちあげて売れるものではないと思います。
ではフランスのシトロエンDSはどうなのかというと、まずDSという車があったので、DSという呼称を再生し、あくまでもシトロエンの高級グレードと言う位置です。
では売れているかというと、
DS3は売れています。しかし、DS4やDS5はあまり見かけません。
ただ、DS4やDS5は発売されてから間もないので、なんとも言えませんが、DS4は売れないでしょうが、DS5は伸びる可能性があります。
この様に売れるモデルが限られたり、あるいは認知されるのに時間がかかると思います。
3)なぜ、BMW、Mercedes、AUDIが強いのか
どうしても避けて通れないのがこのドイツ車御三家ですが、この御三家に追いつこうとするには相当な時間、そしてブランド認知度が重要だと思います。
あくまでも個人的な意見ですがこの3ブランドと言えば何を思い浮かべるのか。
BMW:スポーティセダンとSUV
Mercedes:高級な実用車
AUDI:洗練されたデザインと内装の品質の高いVW
こんな感じでしょうか。なぜ、メルセデスに対して実用車という言葉を使ったかというと、やはり個人的には
Mercedes Eクラス=タクシー
のイメージが強く、荷物が詰められ、快適であり、そして信頼性が高いというのがあり、あえて実用車という言葉を使いました。当然ブランド力も知名度も高いですし、これらは長年かけて作り上げられたものである以上、簡単には追いつけないと思います。アメリカではレクサスが善戦しているみたいですが、欧州では苦戦している理由として
1)ディーゼル車がない
2)セダンタイプの車の使い勝手の悪さ
3)価格帯が御三家に近い
こういう理由もあり、レクサスが普及しないのが現状かと。
ならばディーゼルエンジンを持っているルノーなら成功するかというと先の事例のように一筋縄ではいかない上に、仮にメルセデスプラットフォームを利用して作り上げても、EクラスとParis Initialの車がどう価格帯であれば、個人的にはEクラスにします。それだけブランドというのが強いのですから。唯一勝ち目があるとしたら、今あるディーラー網を如何に活かすかということではないでしょうか。
AUDIが伸びたのも基本的にVWディーラーはAUDIも兼ねているので、比較的ディーラーが見つけやすい=メンテもしやすいということがAUDIが成長した理由の一つだと思います。
個人的な考えとしては
Alpineの復活の方がParis Initialブランドより成功する
と思います。ただ、Alpineもずいぶん長く作られていないのと、どの程度のスポーツカーが作れるかが勝敗の鍵をにぎるのではないかと思います。
あとは、やはりアメリカ市場に参入して受け入れられるかどうかですね。この手の車の最大市場はなんといってもアメリカですから…アメリカにベースがないルノーではかなり苦戦すると思います。
以上のように、一からブランドを立ち上げるというのは大変な労力と根気なくては出来上がらないですし、たとえ他社のものを利用したとしてもそう簡単には伸びるわけではないですし、ブランドを購入する人はやはりそのブランドに対して信頼や信仰があるわけですから。いい例としてはiPhoneやMacを作っているApple。
多少劣っているところがあったとしても、やはりAppleのデザインや使い勝手に惚れ込むとなかなか変えられません。
AsusやAcer、HP等がUltrabookでMac Book Airに近い物を作ったとしてもコアなファンはMacを買い続けるのと同じなのでブランドを立ち上げるというのは一筋縄ではいかない行かないと感じます。要はどれだけ食い込めるかが新規ブランド立ち上げの課題だと思います。