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2011年03月27日

カンバン方式の弱点をもう少し掘り下げてみた

自分もモノづくりの現場で働いているので先ほどの記事だけだともしかしたら漠然としすぎて、わかりにくいと思うのでもう少し掘り下げてみたいと思います。

カンバン方式の念頭には

コスト削減と品質の維持

がこれが大前提となっています。

何がコストの対象となっているかとなると

1)不良品
2)在庫
3)それ以外にかかるコスト

大まかに言えばこの3点です

先ず不良品ですが、不良を出せば最終的にはゴミとなる以上不良は極力出さないようにしなければいけません。と言う事は不良もコスト悪化の一環と考えられます。
故に生産関係の人ならこれらの文字を見るとすぐわかると思いますが

ポカ除け、アンドン、自働化、カイゼン

ポカ除けはその名の通りポカミスを防ぐためのものです
アンドンはどのラインが動いているのか、止まっているのかがすぐ見えるようにすることにすることです
自働化、これが一番説明の難しいところですがまず普通なら自動化、にんべんのない”動”が使われるのですが、製造の場合だとにんべんがついた”働”が使われます。要は不良がおきた、あるいは起きかねるときに即ラインを止められるようにして不良対策を行うということです。
そしてカイゼンですが、これも文字通り改善を行う事によってより効率化を高めるようにします。そのためには低投資(金がかからなければなおよし)で高効率を求めるような方向で動いてます。そのためにQC活動(Quality Circle)とかが積極的に行われたり、現場レベルで改善を進めさらなる効率化を図るように促しております。

次に在庫ですが、在庫が多ければ多いほどお金が眠っていると思われているので基本的に完成品の在庫は極力減らさないとお金が眠っていると思われています。
なのでものづくりの現場では在庫を持つのであれば

原材料>未完成品(工程途中品)>完成品

この順序で在庫を持つことを優先します

そして3のそれ以外のコストというのが非常に幅広いものにまで及びまして

1)工数
2)歩留り
3)外注に出す費用
4)エネルギー代
5)人件費

主要項目を並べてみましたがまず工数というのは一つモノを作るのにどれだけの時間や人が関わったかってことになります。モノづくりの現場ではこの工数を下げるのに必死です。

次に歩留りですが、これは使われた原材料でどれだけのものが作られたかと言う事を表す数字ですが100がすべて不良なく作り上げたことなのですが、まず100という数字はめったに出ませんので(あるいは本当に単純なもの位)、メーカーは如何に工数を下げながら歩留りを上げることに腐心します。

外注の費用ですが、これも重要でして何を重視するかというと(ここでは段ボール箱を例にします)

A社が箱100個作るのに1000円かかるとしたらそれと同じ品質をB社、C社に要求し見積もりを取ります
B社が箱100個作るのに900円かかり、C社が同じ量を800円で作るとなったらC社が当然選ばれます。

ただ800円の箱が1000円の箱と同じものができるかとなるとかなり疑問符が付きますが、そういう感じで安いところを優先的に採用します。(大抵は初回は問題なくても後から問題が多発することが多々ある)

エネルギー代はこれは大抵は簡単には業者は変えられません。となると、生産ラインレベルで省エネで同じレベルのものが作られるかというところに腐心します。とは言っても大抵は限界があるので他のところで削るように心がけたりします。

例えば事務職のところでは今まで冬場の暖房は22度だとしたら20度に下げる、ボイラーの温度を若干下げる、コンプレッサーを使う場合には限界領域まであげて使う等様々なところに省エネや効率化を重視します。

そして最後の人件費ですが、これモノづくりの現場ではかなり大きな部分を占めているので、アメリカみたいなところだと簡単に切れるかもしれませんが、このフランスだと下手に行うと袋叩きに合うので、人数は増やさない、やる内容は増やす、他工程もできるようにし休みの時期はカバーできるようにする。結局そうなると人的な無理がかかるんですけどね。それゆえに多機能工員になってもなかなか給料は上げませんし、カイゼンの提案が多かったり、内容が良くても何かとケチをつけて過小評価するようになります。

つまりこのカンバン方式の最大の難点というのは

本来効率化や不良低減によるコスト削減からコスト削減至上主義に走りやすい

その結果が昨今の日本車の質の低下と言われているゆえんだと思います。
この災害を機に見直してほしいものです
ブログ一覧 | 自動車関係 | 日記
Posted at 2011/03/27 08:19:51

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morly3さん

この記事へのコメント

2011年3月27日 9:11
自分も試作、小ロットの製造業界で働いてますが・・・・
まさしくその通りですね。

トヨタ、ホンダは酷いものですね(特にトヨタ)
最近は見積もりをコンペと称して取り
一番安いところに出して・・・
不良品を連発しちゃうと引き上げて
別のところに泣きつきしつつ
不良品を出したところには罰金を取るらしいです?

トヨタはやってくれと依頼が来て用意してると
他所でやると突然言い出したりする
やるやる詐欺が多いですが・・・

ついでに不良品低減の最近の傾向は
本体、下請けはNO検査で製造から検査、全て孫請け任せ・・・・
孫受けもローコストだけに検査を簡素化

これが最近多発する日本車の大規模リコールの原因ですよ。
まあ、これ車業界以外も全て同じ傾向なんですが・・・・












コメントへの返答
2011年3月27日 20:01
> 最近は見積もりをコンペと称して取り一番安いところに出して・・・不良品を連発しちゃうと引き上げて別のところに泣きつきしつつ不良品を出したところには罰金を取るらしいです?

これが今の日本のモノづくりの現状ですからね。
結局何か問題が起きたとき、非常に高くつくのですが、視点があまりにも目先のところしか向いてませんからね。

> 本体、下請けはNO検査で製造から検査、全て孫請け任せ・・・・
> 孫受けもローコストだけに検査を簡素化

これがMade in Japanのイメージを失墜させた一つの原因ですからね。
2011年3月27日 11:12
カンバンはトヨタ方式と言われるだけあって、
やはり「トヨタならでは」のものですね。

カンバン方式が成立する3つの条件は

1.顧客が紳士的である

2.供給者が従順である

3.不良率が充分に低いこと

です。

つまり
1.客は納車されるまで待たされて
  当たり前なのだと刷り込まれている。
 競合製品が少ない。(商品指定買い)

2.下請業者は選択の余地がない。
 金型ものが多いので供給責任が重い。
 納期対応ために自己責任で在庫を積んで置く。
 納品トラックは高速のPAで待機する。

3.組立工場ならやり易いが、
 素材産業・部品産業ではやりづらい。
 
ということで、
まさしく自動車組立工場ならではのものです。

日本の製造業の本当の強さは、
カンバンに代表されるような
量産マネジメント力でなくて
他国製では代用できない
部品を作る技術力なのです。
そこを忘失してはいけませんな。


コメントへの返答
2011年3月27日 22:33
> 日本の製造業の本当の強さはカンバンに代表されるような量産マネジメント力でなくて他国製では代用できない
部品を作る技術力なのです。

まさにそこなんですよね。
大抵のみなさんカンバン方式だからできたなんて思ってますが、あれができたのはトヨタ+三河モンロー主義があったからこそできたものであって、これだけ生産拠点が分散し、しかも部品メーカーも海外進出している以上カンバン方式って成り立たないんですよね。

しかも海外製、特に支那や東南アジア地域製はまだまだ不良率が高いですから。

行うべきは日本生産による、技術力の高さ、つまり職人の養成だと思いますよ。
今のようなコスト競争に走っているようでは負け試合は火を見るより明らかかと。
2011年3月27日 17:22
・顧客が絶対的に強い

・サプライヤは何が何でもそれに従う

の二つが、昔の日本では成り立っていたんですよね。

でも、なまじグローバル展開なんて言って、
日系サプライヤだけじゃなくて海外のサプライヤにまで
これを強要した結果が品質低下とそのグローバルな拡大です。

VEにはカネも頭も使いますが、VAって単純に品質とトレードオフですからね。
短期間に結果の出る方に流れがちなのが残念です。


コメントへの返答
2011年3月28日 1:45
・顧客が絶対的に強い
・サプライヤは何が何でもそれに従う

ここが日本車と欧米車の決定的な違いだったと思います

日本車の場合はメーカーが顧客のニーズに合わせる
欧米車の場合は顧客にあったメーカーの車を買う

そこに日本車という所謂逆黒船状態になって、欧米メーカーも顧客のニーズに合わせるようになってきましたからね。その反対にグローバル化という言葉に乗せられた日本メーカーは如何にもお客のニーズに合わせたかと思わせながらも実際にはメーカーの都合をごり押ししていますからね

今度この件に関して記事を書いてみたいと思います。
カンバン方式の番外編として。

プロフィール

「スバル・三菱・スズキのAWD性能を比較してみた http://cvw.jp/b/205797/48144383/
何シテル?   12/15 22:42
どうも、在仏歴2X年を終えて帰国したHeeroと申します。 最近、みんカラの活動はほぼ冬眠状態です(;´Д`)
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