
改めて、今回の知床遊覧船で亡くなられた方々、そして、このあと取り上げる海難事故で亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、痛ましい海難事故が無くなることを願って止みません。
相変わらず無知をさらけ出してシッタカで陰謀論をまき散らしている方が散見します。
特に笑ってしまうのが、知床遊覧船の当該事故船舶の引揚について、普通は行わないだの税金を使って陰謀がある等々、もうお日様が西から昇るレベルの無知蒙昧ぶりをネット上にさらけ出しているのは、ひょっとしたら自虐的行為なのかと思ってしまいます。
海難事故は、事故なんですから、車、列車、航空機等々、他の事故と同様に、その発生経緯、原因、責任を調査し、責任を負わせる者については法令の定めによる手続きを行う必要があります。
日本は法治国家ですので、その過程で、証拠となる物の保全は必須であり、本件で言えば、当該事故船舶の調査は必須です。
ですので、どの海難事故でも可能な限り事故船舶が沈没した場合、引揚を前提に検討します。
特殊な事例で、事故調査と言うより行方不明者捜索の意味合いが強かった2001年2月10日の「えひめ丸事故」でも水深約600mの海底から約35mまで移動させる事例
2001年12月22日の「九州南西海域工作船事件」の北朝鮮のものと思われる工作船を水深約90mの海底から引揚た事例等もこれに準ずるものです。
また、民間船をなぜ引き揚げるのか云々も散見されますが、例えば1988年7月23日に発生した「なだしお事件」の遊漁船「第一富士丸」(水深約50mから引揚)は海上自衛隊がらみで特殊と言うなら、
2010年1月12日に発生した長崎県五島市福江島大瀬埼沖で発生した「漁船第二山田丸沈没事故」はどうです?(水深約150mから引揚)
完全に民間の漁船の単独事故ですよ(苦笑)
また、もっと深い場所から引揚たケースでは、1986年6月17日に発生した「潜水艇支援調査船へりおす遭難事件」は、水深230mから引揚ています。
これは前例のない水深からの引揚で相当に大変だったとお伺いしています。
これも税金の無駄遣いですよね(爆)
こう言う無知蒙昧を妄信されている方々、他人を批判する際にネットを調べれば…等々常套句のように並べ立てますが、ここに挙げた事例は、ネットをちょっと調べれば出て来ますよ(「海難事故」「沈没船」「サルベージ」「引揚」「事例」等のキーワード)
そうすれば引揚事例がないなんて少なくとも言わないですよね(苦笑)
先日も書きましたが、道志村の件でもそうですが、専門の知識、教育を受けていない者が事件性のあることに対して無知蒙昧な無責任な振舞をするのは如何なものかと感じてなりません。
正義感を持つことは大切ですが、知識もなく二次三次情報、しかもマスゴミフィルターが入ったものだけで扱えば、冤罪や誹謗中傷の加害者になる可能性があることを知るべきです。
※国土交通省・海難審判所、運輸安全委員会が公開している審判記録、事故調査記録等を引用しております。
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Posted at 2022/05/27 03:57:56 | |
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