ロシア「北方領土領有は合法」 ヤルタ協定、国連憲章など論拠に
ロシア外務省は24日、北方領土問題について「ロシアはこの領土(の領有)に関して必要な全ての権利を有している。ロシアの主権は完全に合法的で疑う余地はない」とする声明を発表した。前原誠司外相と枝野幸男官房長官が同日の衆院予算委員会で、北方四島は「法的根拠のない状態で支配されている」と述べたのに反応した。声明は領有権主張の根拠を「第二次大戦の結果」とし、それがヤルタ協定▽ポツダム宣言▽サンフランシスコ講和条約▽国連憲章107条(旧敵国条項)-で認証されたとしている。
産経新聞より
相変わらずロシアは訳のわからないものを論拠にしておりますが
ヤルタ協定
ポツダム宣言
サンフランシスコ講和条約
敵国条項
どれをどう読んでも論拠に値しないと思います。
まずヤルタ協定ですが
極東密約
ルーズベルトは千島列島をソ連に引き渡すことを条件に、日ソ中立条約の一方的破棄、すなわちソ連の対日参戦を促した。ヤルタ会談ではこれが秘密協定としてまとめられた[2] 。ヤルタ協定では、ドイツ降伏後90日以内にソ連が日本との戦争に参戦すること、モンゴルの現状は維持されること、樺太(サハリン)南部をソ連に返還すること、千島列島をソ連に引き渡すこと、満州の港湾と鉄道におけるソ連の権益確保、などが決められた。
Wikipediaより引用
ただし、
1956年に共和党アイゼンハワー政権は「(ソ連による日本北方領土占有を含む)ヤルタ協定はルーズベルト個人の文書であり、米国政府の公式文書ではなく無効である」との米国務省公式声明を発出した
ソースは同上
つまりアメリカは公式に否定している以上、法的論拠にはなりません。
次にポツダム宣言ですが
1. 吾等(合衆国大統領、中華民国政府主席、及び英国総理大臣)は、吾等の数億の国民を代表し協議の上、日本国に対し戦争を終結する機会を与える。
2. 3ヶ国の軍隊は増強を受け、日本に最後の打撃を加える用意を既に整えた。
3. 世界の自由な人民に支持されたこの軍事力行使は、ドイツとドイツ軍が完全に破壊されたと同様、日本と日本軍が完全に破壊される事を意味する。
4. 日本が軍国主義者の指導を引き続き受けるかそれとも理性の道を歩むかを選ぶべき時が到来したのだ。
5. 吾等の条件は以下のとおりであり、これについては譲歩しない。執行の遅れは認めない。
6. 日本を世界征服へと導いた勢力を除去する。
7. 第6条の新秩序が確立され戦争能力が失われたことが確認されるまでの日本国領域内諸地点の占領
8. カイロ宣言の条項は履行されるべき。又日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国ならびに吾等の決定する諸小島に限られなければならない。
9. 日本軍は武装解除された後、各自の家庭に帰り平和・生産的に生活出来る。
10. 日本人を民族として奴隷化しまた日本国民を滅亡させようとするものではない。一切の戦争犯罪人の処罰。民主主義的傾向の復活強化。言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立されること。
11. 日本は経済復興し、課された賠償の義務を履行するための生産手段のみを保有出来る。戦争と再軍備のためのそれは認められない。
12. 日本国国民が自由に表明した意志による平和的傾向の責任ある政府の樹立。これが確認されたら占領は解かれる
13. 全日本軍の無条件降伏。以上の行動に於ける日本国政府の誠意について、同政府による保障が提供されること。これ以外の選択肢は、迅速且つ完全なる壊滅のみ。
Wikipediaより引用
> 8. カイロ宣言の条項は履行されるべき。又日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国ならびに吾等の決定する諸小島に限られなければならない。
ちなみにこのカイロ宣言の中身は
* 米英中の対日戦争[1]継続表明
* 日本国[2]の無条件降伏を目指す
* 日本への将来的な軍事行動を協定
* 第一次世界大戦により占領した太平洋の全島奪還、及び日本が中国領土から奪った領土を中華民国へ返還(例として満洲、台湾、澎湖諸島)
* 日本の、強欲と暴力により獲得された全領土剥奪
* 朝鮮の独立(朝鮮人の奴隷状態に配慮して)
Wikipediaより引用
となっておりますが、まずこの宣言には署名もされていない上に、日付なども記載されていない以上、法的論拠はないですし、おまけに千島列島のことは一切書かれておりません。ましてや、ポツダム宣言には極東密約のことも書かれておらず、諸小島というのは千島も含まれることになる事になります。
それからサンフランシスコ講和条約ですが
* 日本と連合国との戦争状態の終了(第1条(a))
* 日本国民の主権の回復(第1条(b))
* 日本は朝鮮の独立を承認。朝鮮に対する全ての権利、権原及び請求権の放棄(第2条(a))
o 英文では“Japan, recognizing the independence of Korea”なので、“独立を承認”ではなく“独立を認識”が妥当と考えられるという少数意見も存在する。しかしその独立はポツダム宣言の受諾日1945年8月9日ではない。詳細はラスク書簡を参照。
* 日本の台湾・澎湖諸島及び南沙諸島の権利、権原及び請求権の放棄(第2条(b))
* 主権を持っていた千島列島・南樺太の権利、権原及び請求権の放棄(第2条(c))
* 南洋諸島の権利、権原及び請求権の放棄(第2条(d)(f))
* 南西諸島や小笠原諸島を合衆国の信託統治に置くことの承認(第3条)
* 賠償は役務賠償のみとし、賠償額は個別交渉する(第14条(a)1 など)
* 日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷(例として南京軍事法廷、ニュルンベルク裁判)の判決を受諾(第11条)
Wikipediaより引用
> * 主権を持っていた千島列島・南樺太の権利、権原及び請求権の放棄(第2条(c))
このサンフランシスコ講和条約には千島列島は明記されておりますが、当時のソ連は署名しておりません。
仮に放棄したとしても、帰属先が未定となるわけである以上、最悪紛争地域であって、ロシアの統治が合法とは言えません。
それ以前に署名すらされていないのですから、一概に放棄したとは言えません。
最後に敵国条項ですがまず敵国が明記されていない、そして1995年に
第53条と第107条を憲章から削除する決議案を提出し、賛成多数によって採択された(賛成155、棄権3(北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)、キューバ、リビア)。
Wikipediaより引用
つまりロシアもこの敵国条項に削除に賛成した以上、論拠にもなりません。
結論を言うと
これらの論拠は成り立たないどころかむしろロシアの不当占拠を確信させるものに他ならない
ということになります。
北方領土は竹島と同じく日本国固有の領土にほかなりません。