玄海原発 見切り“再開”では困る
定期検査中の九州電力玄海原発2、3号機について、佐賀県知事が運転再開を認める姿勢を見せた。福島の惨状を目の当たりにしながら、なぜ見切り発車へと急ぐのか。安全は置き去りなのか。
現在定期検査などで三十五基の原発は止まったまま、震災後、再開には至っていない。
古川康佐賀県知事は「原発の安全性の問題はクリアされた」という。だが何が、どう安全なのか、具体的な説明はできていない。
九州電力は四月、福島第一原発の事故を踏まえた緊急安全対策を打ち出した。非常電源車の配備、仮設給水ポンプの設置など応急処置は終えている。しかし、原子炉の安全停止に導く本格的な設備には、まだ時間がかかるという。
津波対策だけで安全が確保されるわけではない。原子力安全委員会は、原発の安全設計審査指針の見直しに着手したばかりである。改定には、やはり数年かかる。
海江田万里経済産業相は、定期検査中の原発について「きちんと責任を持つ」という。どのように責任を持つというのか、こちらも明確になっていない。
福島の事態収拾は一向に進まない。原発が大事故を起こした時に有効な対応策を、私たちはまだ持ち合わせていない。
政府には相変わらず、夏本番前に原発稼働再開ありき、の思惑が見え見えだ。佐賀県は他地域に先駆けて、使用済み核燃料からプルトニウムを抽出、再利用するプルサーマル計画に同意した。歳入の六割を原発に依存する地元玄海町長は、早期再開を求めていた。
疑うのなら、首都圏や関西圏からも遠く、説得のしやすそうな地域で先鞭(せんべん)をつけ、後は“容認”の連鎖を待つという政治的思惑すら透けて見えそうだ。だが、もしそうなら国民の不安はさらに増す。
経産省が二十六日に佐賀市で開いた説明会では、質問一分、回答二分という進め方が、住民の不信を募らせもした。
十三基の原発を抱える福井県知事は、再開に不同意の姿勢を崩さない。隣の滋賀県知事が「関西の水がめ、琵琶湖があります。浜岡以外は安全だと言われても、どう信じれば」と述べるなど、原発再開は、立地県だけの問題ではなくなっている。
その安全性が十分に立証もされず、エネルギー政策の未来図が示されない中で、国民は一体何をどう判断すればいいのか。時間と議論が必要だ。
東京新聞より
同友会“縮原発”宣言 再生エネ法案に「賛同」
経済同友会の長谷川閑史代表幹事は5日の会見で、菅直人首相が成立に意欲を見せる再生エネルギー特措法案への支持を表明した。同法案は太陽光、風力など自然エネルギーで発電した電力を電力会社に全量買い取りを義務付けるため、経済界では電気料金負担が重くなるとして反対論が根強かった。それだけに同友会の“転向”は経済界で驚きをもって受け止められそうだ。 (花井勝規)
長谷川氏は「原発問題で今いろいろ論議が進んでいる。大きく分けると原発推進派と脱原発派に分かれるが、第三の道がある」と指摘。原発依存率を段階的に引き下げていく“縮原発派”が「もっとも現実的な道ではないか」と、自らの立場を明確にした。
さらに「このまま新興国が経済成長を続けていけば化石燃料の高騰は避けられない。代替エネルギーの促進は当然、国家として考えねばならない」とし、「菅首相の言う方向は大いに賛同する」と再生エネ法案を支持する姿勢を示した。
同法案をめぐっては経団連が電力料金の高騰を招くとの見方から反対姿勢を貫いている。米倉弘昌会長も「産業政策としてこれほど社会主義的政策はない」と酷評。再生可能エネルギー政策の必要性自体は「中長期的な課題」と認めているが「今すぐやらないといけないものなのかは疑問だ」と批判していた。
産業空洞化を防ぐ観点から原発再稼働を容認したり、原発事故に絡む賠償金負担に「キャップ(上限)をはめるべきだ」と発言するなど長谷川代表幹事はこれまで、エネルギー問題では米倉会長に歩調を合わせる発言が目立っていた。
東京新聞より
電力制限令 信頼できる節電情報を
東京電力、東北電力の大口需要者に電力使用制限令が出された。節電は家庭の協力も欠かせない。関西電力のように節電要請が「原発再稼働が狙い」と疑われるようでは真夏の電力が危うくなる。
電力使用制限令は電力の使用量が供給能力を上回って大停電を起こさぬよう、工場などの大口需要者に前年比15%の節電を義務づけたものだ。東京都心で三五度を超える猛暑日となった先月二十九日、東電管内のピーク需要は東日本大震災後最高の四千五百七十万キロワットを記録した。
猛暑はこれからが本番なので、単純比較はできないものの、昨夏のピーク、約六千万キロワットを大きく下回った。大口を除く家庭や商店などに15%節電の強制力はないが、節電への取り組みが広く浸透している実態をうかがわせた。
自動車業界は九月まで土、日曜を操業日とし、木、金曜に休業する生産体制に切り替えた。鉄道各社は電力使用のピークとなる平日の午後に間引き運転を行う。
大震災、津波、さらに東電福島第一原発の事故で生じた電力不足は、関東、東北だけでなく全国に広がっている。だれしもが等しく節電に努めねばならないときだ。
それだけに、電力の安定供給を担う側の電力会社の対応には首をかしげざるを得ない。関西の自治体や経済界などから反発を招いた関電はその代表例というべきだ。
説明を尽くさず、唐突に15%の節電を求めたため、橋下徹大阪府知事から電源の五割を原発に頼り切る関電の体制をつかれ、定期検査を終えた原発を「再稼働させるための脅しだ」とかみつかれた。
信頼を失う不誠実な振る舞いは、国民の節電意欲をそぎ、企業の海外進出も加速させてしまう。厳に慎まねばならない。むしろ電力業界が招いた電力不足だけに、日本経済の新たな出発点に転じさせるくらいの気概を示すべきだ。
電力不足は短期的に企業活動を制約するが、長期的には技術革新の呼び水として経済成長を促す潜在力を秘める。日本は二度の石油危機という窮状をはね返し、省エネ技術を深化させて低燃費の小型車などを大量に世界市場へ送り込んだ。
その歴史を教訓に、導入機運が高まってきたLED照明や太陽光など自然エネルギー技術をさらに磨きあげ、世界に打って出る。
経済の強い国に、エネルギー消費は小国に。そんな国のかたちこそ、温暖化防止が叫ばれる二十一世紀の国際社会にふさわしい。
東京新聞より
あの福島原発の問題以降、やたら節電だの、脱原発だのと煽り、まるで節電や脱原発を唱えなかったら非国民的な扱いをするメディアですが、現実をみると
熱中症死、1か月で19人…搬送は8372人
5月30日~7月3日の熱中症による死者が19人に達し、昨年同時期(6月1日~7月3日)の5人の約4倍となったことが5日、総務省消防庁の統計(速報値)でわかった。
搬送されたのは8372人で、昨年同時期(2704人)の約3倍。梅雨のさなかに猛暑が続いているのが原因とみられ、総務省消防庁は「節電が呼びかけられているが、無理せず、エアコンや扇風機を上手に使って、熱中症を予防してほしい」としている。
気象庁によると、昨年は、7月3日までに、最高気温35度以上の猛暑日が計4日で延べ20か所だったが、今年は3日までに計11日、延べ245か所と猛暑ぶりが際立っている。6月29日には、今年最多の全国74か所で猛暑日を記録し、全国で1154人が熱中症により搬送され、うち6人が死亡した。
読売新聞より
此の様に、熱中症による死亡者などが増加しております。そういう中…
「節電熱中症」 我慢せず冷房も使おう
猛暑が各地を襲い熱中症患者が続出している。一方、夏の節電が本格的に始まった。家庭でも協力が求められているが、高齢者や子供たちなど弱者の節電による熱中症は防ぎたい。
梅雨だというのに晴れ間が続き、連日三〇度を超える暑さだ。
総務省消防庁によると、六月に全国で熱中症で救急搬送された人は、約六千九百人になった。死者も出ている。昨年は猛暑で約千七百人の死者を出したが、搬送者数は昨年六月の約三倍にもなった。
熱中症患者は高齢者や子供たちに目立つ。直近の一週間(六月二十七日~七月三日)の搬送者でみると、半数は高齢者だ。子供も約一割いる。
高齢者はのどの渇きを感じにくく、室内にいても体温が上昇して熱中症になる可能性がある。子供たちは屋外で活動する機会が多く、乳幼児は体温調節機能が弱い。体調を崩しやすい持病のある人も含め注意が必要だ。
一方、今月から家庭でも本格的な節電が求められている。大規模停電を防ぐために節電への目配りは必要だろう。だが、心配なのは広がる「節電ムード」から、暑さを我慢してしまうことだ。高齢者や子育て家庭などでは室温が二八度を超えるようなら、迷わずエアコンなどの冷房を使ってほしい。
被災地も暑い日が続く。エアコンを備えたプレハブを併設する避難所もあるが、エアコンのない避難所は多い。せめて扇風機の設置や水の配布、保健師の巡回などで被災者の体調への配慮が要る。
各地の自治体も住民の熱中症に備えよう。夏の高温で知られる岐阜県多治見市では五年前から、熱中症注意情報のメール配信サービスを始めた。登録者数は当初の約三百人から昨年度は七千人を超えた。高齢者世帯には民生委員が訪問し注意を呼びかけている。
六月に三九・八度を記録した埼玉県熊谷市は今夏から、屋外にいて体調を崩した人の救護所を市内十七カ所に設けた。中学生向けの熱中症予防講座も実施した。
東京都は、公民館や商店街の空き店舗を住民の日中の避難場所に活用する市区町村への補助事業を始めた。一カ所に住民が集まることで、熱中症予防と節電効果を狙った。各自治体もこうした対策に知恵を絞るべきだ。
節電のために健康を害したり、命にかかわる事態になってはならない。地域で弱者を見守る配慮をしたい。
東京新聞より
上記の東京新聞の記事を読んでも、説得力など全くないのですが。
対案なき反原発推進の方にお聞きしたいものですが
現状を鑑みても電気が足りてると言えますか?