日本における企業の「人材不足感」は81%、最も不足している職種は?
マンパワーグループはこのほど、日本企業1,011社を対象に実施した、現在の労働市場における企業の人材不足感、および人材不足を感じている職種に関する調査の結果を発表した。同調査は、マンパワー雇用予測調査の追加調査として2006年から開始し、毎年行っているもの。今回は、世界では39ヵ国・地域の約4万社の企業を対象に、2012年1月に実施された。
2012年の日本における企業の「人材不足感」は、前年同期比1ポイント増の81%と過去最高値を記録した。
世界の平均値である34%と比べると、日本は47ポイント高く、調査対象の国・地域中、日本企業の人材不足感が最も高い値を記録した。
同社は、「長引く円高や世界的な金融不安など、企業にとって厳しい経営環境が続いており、人材の採用についても慎重になっている企業が多く、企業が必要とする人材の不足感はいまだ解消されていないことがわかる」としている。
企業が人材不足を感じている職種は、2011年からほとんど変化は見られないが、順位には変動が見られ、2011年は3位だった「エンジニア」が1位、2011年は4位だった「会計・財務スタッフ」が3位に順位を上げており、総じて専門性の高い職種において人材不足感が強い。
人材不足を感じていると回答した企業826社に、必要な人材が確保できなかった場合、顧客の要望にこたえる能力にどの程度の影響があるかを聞いたところ、「非常に影響がある」と回答した企業は25%(210社)、「やや影響がある」と回答した企業は59%(486社)となった。
続けて、826社に人材確保が難しい理由を聞いたところ、27%と「対人力」と回答した企業が最も多かった。以降、「チームワーク・協調性」「熱意・モチベーション」がそれぞれ26%、「柔軟性・順応性」が23%、「不明瞭なことや複雑なことへの対応力」が22%と続く。
同社によると、昨年は「実務経験不足」を理由に挙げた企業が最も多かったほか、「給与でのミスマッチ」や「企業に対する知識や業界知識がない」と回答した企業も多かったが、今回は、数回の面接ではなかなか判断できないヒューマンスキルを重視する企業が増えており、希望する人材の確保が難しくなっているという。
マイナビニュースより
> 長引く円高や世界的な金融不安など、企業にとって厳しい経営環境が続いており、人材の採用についても慎重になっている企業が多く
確かにここまでは理解できます。実際にデフレですし、円高なども影響し、特にものづくりの様な業種ではおいそれと雇わないのは、ある主致し方ないとおもいます。しかし
> 企業が必要とする人材の不足感はいまだ解消されていないことがわかる
本当に人材は不足しているのでしょうか?
リンク先に幾つかの業種が載っておりますが、実体験を交えて語りたいと思います。
自分の場合は5位のIT関連スタッフ、7位のITマネージャーを経験しております。
まず、現在日本で募集中のとある会社の概要と募集要項を見てみたいと思います。(正社員雇用です)
会社概要:
■業種:
ソフトウェア・情報処理/その他IT・通信系/その他サービス/その他専門コンサル
■事業内容:
●ITサービス(IT支援)/システムコンサルティングを始め、汎用系、オープン系、インターネット系システム開発・運用管理やネットワーク・マネジメント、更にはセキュリティソリューションまで幅広く展開●マーケティングサポートサービス(営業支援)/営業代行やコンタクトセンター業務等の様々なサービスを提供●データマネジメントサービス(業務支援)/データ入力・管理等の情報処理サービスを提供
募集要項:
ネットワークの運用・保守・構築・設計いずれかの経験をお持ちの方◆お客様目線の提案を行いたい方
【具体的には】
下記のような志向性をお持ちの方
●もっと顧客志向な提案をしていきたい
●中立的立場で製品に制限されない技術提案を行いたい
●もっと規模の大きな案件で自分の力を試したい
●安定した企業で、腰を据えて取り組みたい
●色々なことに挑戦できる会社で力を発揮したい
これ、以前いた会社の業種に非常に近いものです。もう少し掘り下げてみると。
勤務時間
9:00~17:45
※担当案件によって異なります
まず、今までの経験上、17時45分で終わることなどあり得ません。
早くても18時、19時は当たり前ですし、遅ければ23時くらいまでかかりますし、場合によっては徹夜コースは避けられません。特に都内であれば残業コースは間違いありません。
給与
月給21万円以上
※あくまで最下限給与です。
経験・資格・能力等を考慮し当社規定により決定します。
※別途手当あり
資格
残業
通勤/月3万5000円迄
【年収例】
450万円/30歳・1年目/月給28万5000円+残業手当
600万円/32歳・マネージャー/月給42万5000円
1年目の方は残業手当が出ますが、なぜかマネージャー職になると残業手当が削除されています。裏を返せば、最初の数年は残業手当をだすが、早めに肩書きだけでもマネージャー職にし、残業手当は出さないですし、何か問題があったら全てマネージャーに押し付けるという体質が見え見えです。
つまり、この会社の場合
1)万年の人材不足
2)普通より少し高めの年収設定にして最大限利用する
という体質が見え見えなので、当然ながら定着する人間は少ないと思います。
少しでも安く利用して、問題があれば肩書きマネージャーにして責任を押し付ける。まぁこの手のやり方はこの業界ではもはや定番とも言えるでしょう。
実際休暇だってどれだけ取れるかわかりませんし、下手に取ると仕事が回らないなどといって、窓際にされ、辞表を出すような方向に持っていくというのが簡単に描けます。
実際、一番最後に勤めた会社がITマネージャーで入ったのですが、実際には肩書き課長でしたし、内容もユーザーサポートがメインですし、サーバー入れ替えの際には説明しても理解してもらえませんでしたし、上層部の意向に少しでも反したら窓際にされ、グループ内統合の際にはパリ側が優先され、こちらの意見は無視され、辞表提出に追い込もうとしましたが、絶対にそれだけはしなかったので(フランスで辞表提出をした場合は失業保険が出ない)、今度は辞表を出せと上層部から圧力が掛けられ、かたくなに拒否したので、最終的に協議退職という形で退職することになりました。
また、社内でも無駄を省け、コスト削減と散々言っていた割にはパリ側の管理職(課長職まで)には携帯電話や社用車の提供(個人使用OK)等がありましたが、自分がいた工場側は部長のみ社用車の提供、また出向者のパリ側の自動車の待遇は常に新車、工場側は何人か乗り継いだお古が使われるという異様な体質でもありました。
実際、こういう一件があって以来、現在の企業に価値が見いだせませんし、企業に勤めたいという気も失せましたので、3月から5月は起業講習を受け、現在起業に向けて準備しております。
起業するというのはそれなり覚悟と責任を伴いますが、少なくとも自分の起こした会社の場合、成功したら会社の利益にもなりますし、自分の利益にも繋がります。また失敗したら、その責任は会社の責任でもありますし、自分の責任でもあります。
つまり全ては
自分次第
である以上、やる気も意欲も、会社勤めの時よりはるかにモチベーションが高いです。
話を先ほどの記事に戻しますが
> 826社に人材確保が難しい理由を聞いたところ、27%と「対人力」と回答した企業が最も多かった。以降、「チームワーク・協調性」「熱意・モチベーション」がそれぞれ26%、「柔軟性・順応性」が23%、「不明瞭なことや複雑なことへの対応力」が22%と続く。
上記の具体例や、下名の実体験にも載せたように、どうやったらモチベーションや熱意が出るのでしょうか。また、チームワークや協調性と行ったところで、うまく行ってる時は良いが、問題があれば立場の弱い人間に押し付けて、チームワークを乱すと言って切り捨て、人事評価の際にも、エンジニア系というのは口下手なのを逆手にとって対人力が低いと査定し、やったことのないことを押し付けて、柔軟性、順応性、対応力に欠けているといって切り捨てられる以上、なぜ、そういう企業に留まり続けなければいけないのでしょうか。
躁鬱病になった場合はこれ幸いと追い詰めますし、最悪、過労死や自殺したとしても、一時金を払えば済むと思っている会社もあるくらいですから。それに労災が適用されるには裁判に持ち込んで長い時間争わなければならないのですから。
そういう御時世で、人材不足というのはあまりにも違和感がありますし、人材を単なる使い捨ての駒と思ってる企業があまりにも多数あり過ぎます。
また、人を育てるということをしませんし、人を育てるという事は金と時間が割かれる以上、今の企業の体質ではそんな無駄なことをするより安い上に高い能力を兼ね備えた即戦力を望んでいるみたいですが、そんな人材は存在しません。
> 同社によると、昨年は「実務経験不足」を理由に挙げた企業が最も多かったほか、「給与でのミスマッチ」や「企業に対する知識や業界知識がない」と回答した企業も多かったが、今回は、数回の面接ではなかなか判断できないヒューマンスキルを重視する企業が増えており、希望する人材の確保が難しくなっているという。
能力が高ければ高い給与を要求するのは当然ですし、初心者や大学等から出たばかりの人間に知識や業界知識を求めても無理があると思います。しかも、ある一定の年齢を超えたらどこの会社も雇わなくなりますしね。
今では更にヒューマンスキルまで望むとなるととてもではないですが、そんな完全無欠の人間などどこにいるのか、自分も知りたいところです。
景気回復も重要ですが、現在の歪んだ社会構造も直さないと、日本の経済力は更に低下するのではないのでしょうか。
逆に言えば、今後はむしろこういう社会構造に嫌気がさして起業する方も増えるかもしれません。そうすることで、今の社会構造が壊れ、新しい社会構造ができる可能性もあります。実際、このフランスでも最近は起業する方も増えています。もちろんビジネスプランもなく起業した場合は倒産する会社も出てきますが、きちんとしたビジネスプランをかき上げれば、商工会議所や銀行、公認会計士などもついてきてくれますから。少なくともこのフランス、特に地方ではそういう動きが活発になってきております。地方の商工会議所は中小零細企業、あるいは農業が地元経済を活発にするということで色々と支援策を行なっていますから、日本でもそういう動きが活発になればそれはそれで面白いと思うんですけどね。