BMWがアップル流販売術 “知識マイスター”を大量配置
独高級車BMWは、米電子機器大手アップルを手本にして、自社製品についての専門知識が豊富な販売員をショールームに大量に配置する計画を決めた。ブランド力を引き上げ、富裕層顧客の獲得につなげる狙いだ。
英イングランド東部にあるBMWの販売拠点に勤務するオリバー・ワトキンスさん(21)の仕事はタブレット端末を駆使して、多くの選択肢から顧客に合った車を選び出す内容だ。購入を強く迫ることはない。ワトキンスさんは「これまでになかった刺激的な役割。顧客に『私はBMWのオタク』と説明することもある」と話す。
同社は、アップルの店舗に常駐する「ジーニアス」と呼ばれる同社製品専門家にヒントを得てワトキンスさんらの職務を新設した。BMWは世界3000の販売拠点にジーニアスを配置する計画だ。さらに、5月下旬にパリ中心部に開設したショールームを、ロンドンやニューヨーク、上海などの大都市約20カ所にも開設する。通りすがりの買い物客にブランドの魅力を知ってもらう狙いだ。
英消費者調査会社TNSのグローバル開発ディレクター、アンディ・タートン氏は「市場は飽和状態にあるので、顧客忠誠度が鍵となる。成長する唯一の道は、顧客を他社から奪うことだ。しかしまずは、今いる顧客を捕まえておかなければならない。そうでなければ、穴の開いたバケツに水を注ぐように去ってしまう」と話した。
米市場調査会社ストラテジック・ビジョンによると、昨年のBMWの顧客忠誠度は約47%だった。独ダイムラー傘下「メルセデス・ベンツ」は業界首位の62%、独フォルクスワーゲン傘下「アウディ」は37%だった。
TNSのタートン氏は「やり手セールスマンが契約をとりまとめる昔ながらのショールームのやり方は高級車部門ではうまく機能しない。高級車の顧客は体験を求めている」と話した。
高級車売り上げ首位のBMWは2016年までに販売台数を20%増の200万台にする目標を掲げている。一方IHSオートモーティブは、2位のメルセデスとの差は今年は10万9500台だが、来年には3万400台に縮まると予想している。
ストラテジック・ビジョンの自動車業界調査責任者、アレクサンダー・エドワーズ氏は「メルセデスの顧客忠誠度は上昇を続けている。製品ラインアップが豊富で、ブランドの特徴に関するメッセージを次々と送り出しているからだ」と指摘した。
メルセデスはコンパクトクーペ「CLA」など入門モデルを充実させるほか、旗艦モデルSクラスのシリーズを倍増しており、こうした可能性はますます大きくなる見通しだという。(ブルームバーグ Chris Reiter)
SankeiBizより
これから起業するにあたっての課題は当然ながら新規顧客開拓、獲得ですが、それと同じくらい重要なのは
如何に顧客をキープできるか
この2つは同じくらい、いや、今のような御時世では顧客キープは新規顧客開拓よりも重要なことだと思います。
ここではBMWが例に上がっていますが、実際にはほぼすべての業種の関わると思います。
> 独高級車BMWは、米電子機器大手アップルを手本にして、自社製品についての専門知識が豊富な販売員をショールームに大量に配置する計画を決めた。ブランド力を引き上げ、富裕層顧客の獲得につなげる狙いだ。
> 同社は、アップルの店舗に常駐する「ジーニアス」と呼ばれる同社製品専門家にヒントを得てワトキンスさんらの職務を新設した。BMWは世界3000の販売拠点にジーニアスを配置する計画だ。さらに、5月下旬にパリ中心部に開設したショールームを、ロンドンやニューヨーク、上海などの大都市約20カ所にも開設する。通りすがりの買い物客にブランドの魅力を知ってもらう狙いだ。
まず、アップルストアのジーニアスとは何なのか?そこから始めないとお話にならないと思います。
Appleのサイトを見てみると
> 専門的なアドバイスと技術サポートを受けられます。ジーニアスが豊富な知識を活かして技術的な質問に答え、問題を解決し、修理を行います。
これは営業職よりも技術職に近いと思います。と言うことはBMWの場合
営業もできる技術者
というように感じられます。ただ、そういう知識をもった人間が自動車には本当に必要なのか?疑問に思えます。すべてのBMWオーナー、あるいはオーナーになりえる方が技術に精通しているわけではないですし、いくらBMWの技術のことが説明できて顧客が確保できたとしてもアフターサービスが悪かったり、車自体がトラブル続きであれば、そこのディーラーには残らないと思います。
Apple Storeの場合、Geniusの役割はアフターサービスがメインである以上、BMWだとBMW Serviceの人間に相当しますし、どうも的外れな感じがしてなりません。それかこの記事を書いた記者自体がよくわかっていないのかもしれませんが。
実際、Apple Storeのサイトを見ても
> 技術的な質問なら、Genius Barにお立ち寄りください。
> Genius Barでは、ジーニアスが毎日お客様をサポートしています。Apple本社によるトレーニングを受けたジーニアスは、Apple製品についての幅広い知識の持ち主。技術的な質問にすべてお答えします。トラブルシューティングから修理まで、何でもおまかせください。ジーニアスへのご相談はお気軽にどうぞ。ご都合のよい日時を予約してご来店ください
このようにサービス担当をGeniusと呼称しているだけで、本質的な部分はアフターサービス担当ということです。なので、そういう人員がBMWに必要なのかは疑問に思えますし、むしろ既存の営業に対する講習を強化すれば対応できるように思えます。ではなぜ、BMWがこのような戦略出してきたのかというと
> 米市場調査会社ストラテジック・ビジョンによると、昨年のBMWの顧客忠誠度は約47%だった。独ダイムラー傘下「メルセデス・ベンツ」は業界首位の62%、独フォルクスワーゲン傘下「アウディ」は37%だった。
> TNSのタートン氏は「やり手セールスマンが契約をとりまとめる昔ながらのショールームのやり方は高級車部門ではうまく機能しない。高級車の顧客は体験を求めている」と話した。
顧客忠誠度が思ったより低いことが今回の様な戦略を立てたのだと思います。ではなぜ、BMWの顧客忠誠度がメルセデスに比べて低いのか、ここには色々な要因が絡まっていると思いますが実体験を含めて検証してみると
満足できる体験を得られない、ばらつきが激しい
これに尽きると思います。どういうことかというと
1)ディーラーによって営業、サービス担当のレベルの差が激しすぎる
2)車自体にトラブルが多く出るのと出ないものの差が激しすぎる
3)価格に見合ったサービスを受けられているのか
この3つだと思います。まず1ですが、これは実体験ですが、自分が買ったDには
戻る気もなければ、戻るつもりもない
なぜかと言うと
1)営業があまりにも近視眼的の利益ばかりを追求している
例:3年経ったら、買い替えを勧めてくる。下取り後、利益の出しやすい車を売りたがる
2)アフターサービスがあまりにも横柄すぎる
例:少々でも遅れたらさんざん文句をいい、挙句の果てにはそれなら次回から来ないよと言ったらああ、二度と来るなとまで言われた。
3)トラブルが有っても、治るのにあまりにも時間が掛かり過ぎる
例:ヘッドライトウォッシャー液漏れに2度も戻らなければ治らなかった。しかも1回目の修理ではもっと悪化して帰ってきた。おまけにろくな説明もなし。
こういうことがあった以上、このディーラーには戻る気もないですし、むしろこういうディーラーに当たると、他のディーラーも似たようなレベルではないのかと勘ぐってしまいます。実際には今のDがあまりにも素晴らしいので、今はBMWという車を満喫できておりますが、これがもし今のDも購入したところと同レベルだったら二度とBMWには乗る気も起きませんし、買う気もなくなります。たとえ車自体が良かったとしてもろくな整備ができないのであれば保有すること自体、苦痛になりますから。
次に2ですが、自分のはお陰様で先に書いたトラブル以外は殆ど無く、10万キロを超えても快調です。ただ、人によってはサンルーフのトラブルとか、色々なトラブルにあっているという話も聞きます。無論、機械ものですからトラブル0というのは難しいですが、アフターサービスが先のような対応であれば乗ることも苦痛になりますし、他社に比べて高い商品ですから、これでは顧客が満足する訳がありません。
そして3ですが、これはもう1と2の総括みたいな物ですが、高い商品ですし、サービスでも他と比べると高い対価を払うことになります。満足度が高ければ
高くてもしょうがない
と思えますし逆に満足度が低ければ
なぜ、高い料金を払わなければならないのか、安い車のほうが問題がなかった
と思われても仕方がないと思います。
つまりBMWやメルセデスに乗る人間が求めているのはトータルな意味での体験ですし、いくら技術に精通している営業をおいたとしても根本的な解決にはなっていない気がします。ましてやメルセデスの場合
メルセデス・ベンツ オーナー表彰制度
というのがあり、長く乗り続ける事を推奨しており、そのためにもディーラーも長く乗り続けてもらう(=顧客忠誠度を高める)事に躍起になります。
確かにアフターサービスの場合、一台新車を売るよりは利益にならないかもしれません。しかし、長く乗り続けてもらい、定期点検などはディーラーで行ったら、塵も積もればなんとやらで、小さな利益も積み重なれば高額になりますし、また、その人が口コミで人を呼び寄せることにもなるのですから、忠誠度を高めるというのはこれからは非常に重要になると思います。
この戦略が吉と出るか、凶とでるかは今後、はっきりすると思いますが、個人的にはあまりにも短期的な見方だなと感じたのが率直な感想です。
多分こういう戦略はもしかしたら支那やアメリカでは通用するのかもしれませんが、日本や欧州では必ずしも通用しないのではないかと思います。
むしろ、個人的にはディーラー間のばらつきを無くすように仕向けないと行けないと思います。そういう点ではBMW Japanが行なっている
BMW 優秀ディーラー表彰制度
なんかを全世界的に行うべきだと思うんですけどね。
実際トヨタも行なっていますし、こういうことがあのトヨタ大リコール問題の後でもトヨタに乗り続けている人が思ったよりも減らなかった(減ることは減りましたが)のはやはりこういう表彰制度でディーラーのレベルを高めているというのが背景にあったからだと思います。
どちらにしても顧客忠誠度を高めるには
1)魅力的な商品
2)高い満足度を得られるサービス
3)1と2がもたらす体験
しかないと思うんですけどね…