政権交代で拉致問題後退?
自民党、民主党のマニフェストが出そろい、政策選択選挙が始まる。風向きは民主党の方に吹いているようだが、民主党の大きな支持母体といえば日教組(日本教職員組合)。かつて北朝鮮を礼賛し、今も社会主義的イデオロギーを強く持つことで知られる。政権交代したら、対北朝鮮政策や拉致問題解決はどうなるのか。日本の教育現場はどう変わるのか。安倍、福田内閣では教育再生担当の首相補佐官をつとめ、現在は自民党拉致問題対策特命委員会事務局長である山谷えり子・自民党女性局長は強い危機感をもって、日教組の影響力を甘くみてはいけないと警告する。(政治部 福島香織)
【北朝鮮に友好的な政党】
--解散で北朝鮮の船舶貨物検査法案が廃案になりがっかりでした。民主党マニフェストを見ると、対北朝鮮の姿勢は自民党と同じ方向性なのだから、民主党は審議拒否する必要なかったのにと思います。
「民主党は、政局として審議拒否したと解説する人と、いやいや民主党は事務局や多くの人が北朝鮮と友好関係にあった歴史があるから賛成しなかったんだろう、と両方の説があると思うんですね。マニフェストはもちろん、保守系の票を取り込まないと政権交代にならないので一応、保守系を安心させるようなことを書いたんだと思います。夫婦別姓も永住外国人参政権も本当は、立党の精神といっていいものだと思いますが、マニフェストでは隠しましたでしょ?」
「ソマリアの海賊行為対処法も、北朝鮮の船舶貨物検査法も調子のいいときは、民主党内の保守系の安全保障関係の委員たちに外では言わしておく。そして、民主党でもいいじゃないか、なかなか現実的だと思わせておいて、いざとなったら反対する。私は民主党が政権とっても(現実路線には)変わらないとは思います」
--現実路線に転換したのではなくて、保守系の有権者を安心させるための偽装なんでしょうか。民主党が政権をとったら、拉致問題はどうなるでしょう。
「民主党政権というのは、日教組という極めて左派の人たちが実際に運動して、お金を集めて当選させている政権ですから、彼らの言うことを聞かないと、選挙活動もままならなくなります。日教組の歴代の委員長(槙枝元文氏)が北朝鮮に行って表彰されたり、いろいろ深い関係があります。日教組新聞を読んでいても、拉致問題を教えるな、民族主義、排外主義につながるから、と主張している。扶桑社の教科書に横田めぐみさんの記述がのったときも日教組系の強い団体は、そんな教科書を採択するなんてとんでもない、というような運動をおこしてきているわけです。極めて北朝鮮に友好的な政党である。ベースの部分がですね、そういうふうに思っています」
「ブッシュ政権末期に、6カ国協議の枠組みで北朝鮮を重油を支援しようじゃないか、ということで、日本に20万トン分の受け持ちをもってほしいと言ったときも、予算委員会で民主党は『支援しろ、支援しろ』と言いました。150億円くらいなんですが。安倍晋三内閣で、安倍首相(当時)はとんでもない、拉致問題を抱えている日本なのだから、被害者全員取り戻すまではできないということを言ったわけです。そういう政党が政権とったからといって変わるとは思えないですね」
【現実路線転換への期待は甘い】
--北朝鮮の船舶貨物検査法案は、国連の決議に基づいているわけですし成立させないと、国際社会における信用の問題にもかかわります。この法案は民主党から新たに出しなおすことになるんでしょうが。
「法案は一刻も早く成立させなければいけません。でも、民主党はどういう法案をつくってくるんでしょう。民主党の法案は、一見いい法案にみえて、じつは抜け穴がある場合が多いんです。たとえば児童ポルノ法案については、民主党案では児童ポルノの定義を『ことさら性器を強調する』という風にしているんですよ。では、“ことさら”でなければいいのか、性器以外ならいいのか、ということになる。法案自体を意味のないものにしてしまうんですね。でも民主党の人たちは定義をしっかりしないと、取り締まれないじゃないか、という。混乱を助長するような、悪を見逃すようなものにしていくというのが民主党の体質です」
--乗船検査を許可しても、船舶航行を停止させる手段をみとめないとか。
「それはわかりません。ソマリアの海賊行為対処法案のときも、海上保安庁でいいって言っていた。他の国が軍の船を出しているわけで、日本も自衛隊でなければ、対応できないとこちらが主張したとき、対応できるんだと根拠なく言い切るわけですよねぇ。海上給油についても、港に行けばいいじゃないか、という。船列をはなれ海賊船がきたらどうするの? 非現実的で、子供じみたことを主張なさるんですよねぇ」
--政権を担うと現実路線に転換してくると期待するのは甘いですか
「私は甘いと思いますね」
【頼りは世論の後押し】
--政権とは関係なく、私たちができる拉致問題解決に向けた方策にはどんなものがありますか。
「昭和53年に、産経新聞が拉致問題を報道してね、昭和63年に梶山静六国家公安委員長(当時)が政府の答弁で(昭和53年以来の一連のアベック失踪(しっそう)事件は)北朝鮮の工作の疑い濃厚と、政府としてはしっかりやっていく、といって、何もやれなかった。そして被害者の家族の会が12年前にできて、街頭で訴えたんですが、マスコミも産経以外は十分に報道してくれなくて、本当に家族会と救う会の皆さんは焦燥感にかられているんです。私はアメリカにも直接訴えに行きました。アーミテージさんが国務副長官のころで、北東アジア関係の政策スタッフや米国の議員たちが話を聞いてくれた。受けた質問が『特殊部隊出しましたか』『海上封鎖しましたか』ってことだったんです。国内的には、まだ経済制裁も何もできない状況だったんですね。もちろん、政治が悪いんですよ。でもマスコミも、ジャーナリズムとして何をしていたんだろう、って思います。世論自体がそういう事態をわかっていなかったんですよ」
「そのとき思ったのは、本当に、憲法の制約、海上封鎖や特殊部隊を出す、情報収集能力の面などをみて、日本というのは本当にどういう国なのだろうか、ということを考えましたね。安全保障と独立国として、やるべきことをきちんとやる国でないと、国民の安全も守れませんし、海外のほかの国からも相手にされない国になってしまうという風に思いました。そのときは拉致問題対策特命委員会すら、国会に作られていなかったんですよね。それをまずつくって、国際社会にも世論を喚起しないといけないので(めぐみさんの母親の)横田早紀江さんを公聴会に呼んでくれとか、いろんな働きかけをした。横田さんが公聴会に呼ばれたとき、安倍官房長官の政務官だったので、拉致問題担当として随行していくことができ、国際会議や首脳に取りあげられ、なんとか来られたと思うんです」
--世論の後押しがあれば、法律を通さなくてもできることはありますね。北朝鮮のミサイル実験後のときに、特命委員会として、制裁案を出されていて、やれることはあると知って、心強かったです。
「私たちがやってほしかったのは科協(在日本朝鮮人科学術協会)の人たちが北朝鮮に行って(ミサイルなどの)技術指導したと思われる場合、もう再入国できないようにするとか、輸出の全面禁止とかですね。アメリカの公聴会で、北朝鮮のミサイル部品の80%は日本製だという証言もあったものですから。今、それら対策は取り入れられてよかったんですけど。あとは情報収集能力強化ですね。アメリカと協力して、金融取引停止など、ひとつずつ網の目が詰まってきているので、それはよかったかなと思います。北朝鮮の体制がどうなるかによって、具体的に救出していくか、ということですね。それはいまいろいろ情報集めているところです」
【道徳、地理、歴史教育は骨抜きに】
--政権交代となれば、日教組の影響が日本の教育のあり方をどのように変えるかも気になるところです。
「今は、自民党政権ですけれど、それでも日教組の人たちは、ずいぶん戦略的に村山富市政権以来、文部科学省と一部手を握ったり、あるいは教育委員会の中に日教組の人間を送り込んだりしているので、今でもなかなか、私たちのやりたい教育ができない、というのは事実なんですね。ただ、日教組が40年以上にわたって闘争してきた全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)はできるようになりました」
「日教組は、国家を悪として教えるんですよね。悠久の長い歴史を教えないで、昭和6年くらいからの歴史を、国家が悪い悪いと教えるんですね。歴史には光と影があるんですけど、影ばかりを教えていく。非常にバランスを欠いた歴史教育をしていくんですね。それから君が代、日の丸を否定して、道徳教育も反対して」
「日教組はよく、個人というけれど、個人というのは、自分ひとりで作ったものではなくて、ご先祖さまからいただいた遺伝子や伝統、文化からできているもの。伝統、文化、価値観を次世代に伝えるものが教育だと思うのに、価値観を教えちゃいけないというのが日教組なんですよ。ということは、教育が成り立たないわけですね」
「(第2次世界大戦で敗戦して日本を占領した)GHQ(連合国総司令部)が最初、修身と地理と歴史を禁止しました。日本独立後、復活したんですが、日教組は相変わらず道徳教育と地理を骨抜きにしようとしています。ゆとり教育に便乗して、47都道府県教えなくなっちゃった。富士山が何県にあるかわからないとかそういう子供が出てきた。それをやっと新学習指導要領をきめて、47都道府県を教えるようにしたんですけれど。日教組はGHQの日本弱体化、国家弱体化政策をそのまま日教組は受け継いで、律義にやっているんです」
「それと文部科学省の人たちに言おうと思っているんですけど、常用漢字に『恥』って漢字がないの。耳に心ってとても簡単な漢字なのに。淫とか賭とか難しい漢字を入れて、恥を入れないんですよ」
民主党の影に日教組あり
【早寝早起きは憲法違反?】
--教科書が変わってしまいますね。
「再来年の教科書の中学の部が来年3月が執筆締め切りなんです。で、今執筆者は、微妙な部分を空欄にして執筆をストップしていると思いますよ。どっちの政権になるかによって、教科書の表現がかわるから。やっと今度ね、北方領土や竹島など、領土問題を、きちんと教えるということを、新学習指導要領にやっと今回書いたんですよ。それが、また書き換えられるかもしれない」
「なぜ、正直・親切・勤勉・親孝行・チャレンジ精神教えちゃいけないんですか、って日教組幹部の方に聞いたことがあるんです。そしたら、ザ・価値観の押し付けになるからいけないっていうんです。それで、日教組のシンクタンク(国民教育文化総合研究所)のホームページをみたら、早寝早起き朝ご飯も憲法違反って書いてあるんですよ。なんでかな、と思ったら、憲法は思想信条の自由を保障しているのに、早寝早起き朝ご飯はライフスタイルの押し付けになるから、憲法違反だっていうんです」
「日教組は、子供の権利条例で、ありのままでいる権利、というのを大事にしようということを言い始めているんですね。子供の権利条例というのは、兵庫県川西市とか神奈川県川崎市とか札幌市とか革新系の都市でどんどん制定されていっているんです。今度、新潟とか広島とかでも制定されるんじゃないかといわれているんですけれど」
「子供の権利パスポートというのがあって、親が『誰と遊びにいくの?』と聞いても、プライバシーを守る権利があなたたちにあります、と書いてあるのよ。ほかにも体力テストを受けない権利、つまらない授業を拒否する権利、夏休みの絵日記もプライバシー侵害にあたるから書く必要ないっていうのよ」
--最近、めいの学校で夏休みの宿題がない、絵日記もないっていうので驚いたんですが。
「そうよ。宿題は押し付けになるからダメなのよ。あと職員会議を傍聴する権利。内申書の記載を訂正させる権利。内申書は個人情報だから、個人情報は自分がコントロールする権利があるというのよ。セックスをするかしないかを自分できめる権利。こういうことなんですよ」
--子供は野性のままがいいということですか。礼儀も良識も知らない人間が大量に生まれる。でも、民主党のマニフェストを読んでも、教育がそんなふうになるとは想像できません。本当にそんなむちゃくちゃなことできるんですか。
「だって、革新系自治体の教育委員会がつくった性教育教材なんですが(といって男女が裸で絡み合う絵の写真をみせる)、こういう授業をしている実例がありませんか、って呼びかけたら、3500例まったんです。小学校1年生の授業ですよ。ちゃんと何市の何小学校何年何組ってちゃんと調べてありますよ。で、親は『僕と妻がソファに座ってテレビを見ているだけでも、息子は汚らわしいものを見るような目になった』と嘆いているんです。こういうのも(両親を模した男女の抱き合っている写真と、犬の交接写真を並べた教材を見せて)ひどいでしょ。で私たちがこういう問題を実例を集めて批判すると、日教組は平成17年の定期大会で『憲法や教育基本法改悪の動き、性やジェンダーフリー教育への組織的攻撃など、平和が危機的状況にある』とか言っているのよ」
【日本人の破壊】
--日教組の人たちの狙いは何なのかがわからない。
「破壊ですよ。日本人の破壊。私は、こういう性教育は児童虐待だっていったんです。こんなの小学校の低学年で見せられたら、親を敬う気持ち失うでしょ」
--トラウマになりますね。政権交代となると日教組系の文部科学大臣が登場したりするのでしょうか。
「だからね、優しい人を出すと思いますよ。さすがに、輿石東さんを文部科学大臣にはしないでしょう。一見、国民には普通にみえる人を大臣にして、共感性の高い言葉を言い続けると思いますよ」
--小沢一郎代表代行は、輿石さんを閣僚にしたいようなことを言っていましたが。でも、日教組の主張をそのまま言えば国民から反感かいますよね。
「でも、現実にやることは、そういうことだと思いますよ」
--もし、今仰ったようなことになれば、高校無償化というバラ色の政策も一気に色あせてしまう。
「そうそう。君が代も教えない、日の丸もアジアを侵略したとき、亡くなったアジアの方々の白い骨と赤い血を表現している、なんていっている」
--国旗も変わるかもしれませんね。
「きょう剣道の錬成会で、武道館に子供たち6000人以上が集まって、最初君が代斉唱ではじまったんですけど、これ来年どうなるのかなあ、って思いましたよ」
--つまり、日本人の本質が本当に変わってしまうかもしれない選挙になるかもしれないということですね。
「天下分け目の戦いといつもいうけれど、今回は本当にそうだと思います」
【新指導要領の大綱化って?】
--政策集を見ただけで分からないところが怖い。学習指導要領の大綱化、とか。
「リンカーンは国民は記憶の糸で繋がっているって演説をしたんだけれど、私はそれが大好きで、国民というのは記憶なんです。個人というのも、ご先祖さまからの記憶を受け継いでいく、その中継ぎなんですよ。文部省唱歌なんていうのも昔は五百何十曲あったのに、今はないから、共通に歌える歌がないのよ。頭を雲の上にだし~っという富士山という歌など、どのくらいしっていますか? と聞いたら7%くらいしかないわけ。お母さんたちに、子供に子守歌うたっていますか、聞いたら、歌っていないという。なぜ?と聞いたら、知らないから」
「子守歌って、すばらしいお母さんたちの記憶なんですよ。それを今のお母さんたちが歌えない。だから、子守歌を歌って子供を寝かしつける母親の幸せもしらない。育児が負担だって、平気で言うでしょ。なぜ? 育児は恵みでしょ? そういう考えがなくなってきているんですよ。で、今回やっと、31曲だけ、『紅葉』とか『故郷』とか共通唱歌を新学習指導要領に入れたんですよ。それに対しても、日教組はなんたって自由と権利と多様性の人たちだから、型を教えるのを嫌がるの。で、学習指導要領を大綱化するといっているでしょ。つまり、細かいことをいうな、っていっている。だから、31曲の唱歌とか47都道府県教えるということが本当に学校現場で取り入れられるかどうかは保証されない」
「神話、昔話、歌といった長年、語り継ぎ歌い次いできたものを子供に伝えない国民は早晩滅びるといったのはアーノルド・トインビーだし、脳科学の学者たちは、そういうものを10歳までに教えると、ものすごく喜びのホルモンがわき、達成欲とか伸びようとかいう意欲がわくといっています」
「伝統を愛する、故郷を愛する、国を愛するというと、左派系はものすごく反対するけれど、それはご先祖様たちが大切にしてきた歌とかお話を教えることが、この国に生まれたことの喜びになるわけで、そういうことを教えたいと思って新学習指導要領をつくったんです。本当はあまり細かいことまで口を出したくはないと思っても、日教組があまりにも手を抜くからね。最低限でも47都道府県教えてよ、最低でも31曲くらい世代をこえてみんなで歌える歌作ろうよ、ってことですよ。だけど、学習指導要領大綱化って言われても普通の人、何のことか分かりませんよ」
【ジェンダー教育は階級闘争】
--さっき、児童ポルノ法案の話やジェンダー教育の話も出ましたが、性の乱れや女性問題も複雑化するんじゃないでしょうか。
「性の乱れというのは、ただ、フリーセックスするだけではないんです。大人になることだけでなく、結婚することへの尊い気持ちというのを無くしていくんだと思います。もちろんモラルの問題、性病になりやすくなるとか、健康の問題もあるんですど、清らかな尊い気持ち、向上心とか道を求めるなど、日本人の最も大切な美徳の土壌が改悪されることですよね。日本は資源はないけれど、人材が資源だと思っている。人材というのは、日本人の美徳、正直・親切・勤勉・親孝行・チャレンジ精神ですよ。これを壊すんですよ。結婚というのは神聖なもの、だから結婚したら、どんなに思い通りにならないことがあっても踏ん張るだという、そういう気持ちを無くしたら、全部ばらばらになりますよね。民主党は、今回、夫婦別姓という、本来なら入れたかった項目をマニフェストに入れませんでしたよね。保守系を安心させるために。入れなかったけれども、配偶者控除と扶養控除は廃止するわけでしょう? つまり家族に対して実に冷淡、ある種の憎しみみたいなものを持っている」
「ですから国と個人を対立させて、結婚も男と女を対立させて、家族を対立させようとしているんです。今、うちの娘がジェンダー学を学んでいるんです。ジェンダー学って今、3分の1くらいの大学で必須科目なんですって。ノート見せてもらったら、結婚は男による女の支配だ、家事・性の奴隷である、って書いてあるんです」
「そんなふうにしか結婚をみなくなっちゃったら、どんなささやかなことでも、夫に対して攻撃的になってくるでしょう? それでなくとも、違う人間が一つ屋根の下で暮らす結婚って難しいのに、最初からそういうふうに対立概念を植え付けられていたら、修復できるものもできないですよ」
「もっとも被害を受けるのは弱い子供たちですよ。それで、親と子を対立させる。全部対立構造で、階級闘争を組み立てていくんですよ。だから、民主党の中になぜ、成長戦略とか国家戦略がないかというと、彼らは国家は悪だと思っているからですよ。だからばらまくことしかしないんですよ、分配しかない。でも、国家を成長させていかないと、ばらまくものもなくなるのに、国家戦略という言葉が嫌いなんです」
【小選挙区では政界再編にならない】
--日本人の美徳を破壊し、対立させ、国家というものを弱体化させるそういう教育政策が行われる一方で、北朝鮮や中国とどんどん融和的になっていくとしたら、わずか4年かもしれないですが、日本の形がかわるかもしれません。
「4年あればたっぷり法律が変えられます。それから細川護煕政権のときだって、村山政権のときだって短命だったと仰られるかもしれませんけれど、今は小選挙区制なんですよ。たっぷり4年間やられちゃうんです。多少の数の移動もありますよ。政界再編のまねごとはありますよ。でも基本的なものはそうは再編できないですよ。小選挙区だもの、どっちが勝つか、なんです」
【マスコミも学者も左派が多い】
--日本のメディアも世論も政権交代に期待する声の方が高い
「マスコミはね、民主党政権になったら100人の議員を政府の中にいれる、と新しいことのように書いているけれど、今の自公政権だって、約70人の議員が政府に入っているのよ。そういう基礎的なこと、マスコミは書かないのね。それから、国家戦略局なんて、国家戦略が嫌いな人たちがまたカムフラージュで作るんだっていっているけれど、あの安倍政権のときの“チーム安倍”(の首相補佐官たち)は事実上の国家戦略局なんですよ。安全保障と経済と、私が教育、それから拉致と戦略。5人でチームを作って、霞が関(省庁)から後ろを断ち切って応募してこいと呼びかけて、若手30代の官僚たちが100人くらい面接・試験を受けにきたんですよ。それで25人採用して30人で国家戦略を考えるチームを作ったんですよ。それをマスコミは、あれをお友達ナントカと、揶揄したわけでしょう。今度、民主党が安倍政権のまねして、国家戦略局をつくるっていったら、いかにも新しいことやるように書いているんですよ」
--ある意味、民主党は宣伝の仕方がうまいのかもしれません。
「それと左派の評論家と左派のマスコミが圧倒的に多いじゃない」
--確かに学識者には民主党寄りの人が多いです。
「占領時代に、結局保守系の学者たちが追放されて、左派系の学者だけが残った。とくに法学部や教育学部はそういう傾向が強いんですけれど、それが戦後64年、自分の弟子を次の教授にしていくから、そういう循環システムができて、そういう大学が日本の場合はニュートラルだと思っているから、みんな自分のことを左派だと思っていないと思いますよ。一回、そのころに頭に入れたものって、なかなか調整することが難しいんですよね」
--でも非常に常識的な感覚で言えば、たとえば小学校一年生が過激な性教育を受けるのはおかしい、というのは誰もが気づくと思うんですけど
「性教育の件については、平河クラブ(自民党記者クラブ)で記者会見やったんですよ。週刊誌もいれたから数十人の記者たちとテレビカメラが8台くらい入った。それで報道してくれたのは、フライデーはおもしろおかしく、『お父さんもたまげる性教育』みたいな感じで報道して、そのほかに報じたのは週刊新潮と産経だけ。ほかは出さなかった。なんででしょうね。これを表に出せば日教組がいかに悪いかというのがみんなすぐに分かるのに。マスコミが伝えないから。まあ、北朝鮮の拉致問題もずっと、そうでしたけれど」
--かりに、政権交代が起こったとき、どうしたらいいのでしょう。
「私は、早く元にもどるように、いろいろ揺さぶりをかけますけれど。でもマスコミが事実を報道してくれることが大事ですけれど。過激な性教育の問題だって、産経が報道してくれたから、この世に存在することがようやく知られてきたけれど」
【家族再生で国直し】
--ただ今の日本人の多くが政権交代を望む空気というのは、分からなくもないです。サラリーマンの半分が年収300万円以下で12年間、毎年ずーっと給料が減り続けていて、大不況が来る、明日が不安だとみんなが思っているときに、自民党内の内輪もめや、議員の先生方の発言や行動、本当にささいな表現力の問題も含めて疑問に感じる人もいると思います。よくよく考えてみれば、民主党の代表も資産家のお坊ちゃんですから、日本の低所得層の生活実態を本当に理解しているのかどうかは怪しいとは思いますけれど、それでも年収が2割アップしますよといわれれば、期待する人も多いかもしれない。
「でも、みんな働かなくなるよね、もっと」
--そうですね、勤勉に嫌なことも我慢して働くことの美徳という価値観も日教組教育で崩壊していて、福祉手当が充実すれば、働かないで
福祉に頼った方がいいと思う人が増えるかもしれない。日本にスラムができるかもしれない。
「私の若いころって、もちろん家に冷暖房もなかったけど、今みんな、貧しいといっても、結構クーラーいれているでしょう?今の人って、ムダなところで結構お金つかっていると思うの。昔は年収が低くても3世代同居とかでムダを省いていた。やっぱり構造が変わったのよね。で、不満だけが増えたのよ」
--そう言われてみれば、私も子供のころは毎日も肉料理を食べなかった。一週間に1度か2度くらい。きょうはお肉の日だ、とか喜んでました。だけど、毎日が少しずつ豊かになっていくのが実感できていましたよ。サラリーマン家庭に希望があった。
「会社の上司とも家族的な付き合いがあった。企業の体質も昔は家族的だった。私はできれば、もう一度、3世代同居とか、家族的企業というのを復活させたいと思いますね。女性の育児休業だって、家族的な企業なら取りやすいのでは。だから企業に、育児休業を取りやすいように助成するとかね」
「今、ゼロ歳時の保育に月に50~60万円かかっているんですよ。国と都道府県と市町村と保護者負担を合計するとそのくらい。それなら、企業に月に10万円あげるから、母親にもっと育児休業を取らせてあげる政策があってもいいと思うのに、とにかくバラバラにする方向ばっかり応援しているんです。もう一度、集める方向の政策があってもいいと思うんですけど。そりゃ、仕事によってはゼロ歳児保育が必要な人もいると思うけれど。待機児童が多いといっても、都市部でゼロ歳児保育が足りないだけで、全国的には保育園が余っているところもあるんですよ」。
「子供をあずける場所ができたら、やはり人間はお金が欲しいから、働きに出るんですよね。でも、本当に必要なの? といったら、そうかなと思います。政治家というのは、票を集めるためにおいしいことばっかりいうから、あまりそういうことは言いませんけれど」
「介護だって、ドイツの家族型介護給付にしようかどうかと、意見がわれて、嫁を奴隷にするといって反対されて、介護の社会化を主張したけれど、どの程度の人間らしさを保って、社会の潤いを保って、個人のニーズに応えるかという議論も本当はもうちょっとしたいけれどね」
--ただ、そういうことを言い出すと、自民党のこの4年間に掲げた構造改革の方向が正しかったのか、という議論になるかもしれません。
「そういう極端な話になるからね、難しいのよ。私の政権公約は家族、教育、国直し、っていうんだけれど、家族政策の見直しなんです。家族というのは会社も故郷、地域の共同体も含めて家族っていっているのよ。今回、この4月の予算で、教育再生の予算を結構とったんだけれど、地方のいろんな故郷のお話や偉人伝などの本を作る場合は、国庫補助しちゃう。それから、武道も中学生の必修科目だから、地方が地元の木材をつかって道場などを造る場合も国庫補助しちゃう。ひとつの小学校に400万円ずつお金をつけて、放課後とかに地域の人が参加して、宿題みたり、釣りに連れて行ってくれたりする課外授業活動をしてもらうことにしたの。そういうことって報道されないのよね」
「なぜ、そういうことに予算をつけたかというと、地域の人も家族のようになって自分の子供だけでなく他の人の子供もわが子、わが孫というふうになってほしいから。介護だって地域で引き受けないといけない問題でしょう。施設つくれといって解決する問題ではないのよ。そういうのにお金を使っている自民党と、子供手当2万6000円をバラマキする民主党と比べてほしい。その子供手当だって、配偶者控除が廃止になって、実際には手取り4000円くらいだという人もいるのね。しかも初年度は1万3000円しかもらえないんでしょ。手取り4000円だという人は9000円の増税になるのよ、子供がいる家庭でも」
「バラマキというのは、政策がないからばらまくんでしょ。国民から税金として集めてお預かりしている金を最も戦略的に分配するのが政治なんだから、集めたものをそのままばらまくなら、それはぜんぜん政治じゃないですよ」
--自民党もバラマキという批判をうけていますが、結局バラマキ合戦の様相を呈しています。一番みっともない選挙になりつつあるかもしれません。最終的には国民がよく考えて選択するしかないのですけれども。そのさい、本当の意味での豊かな暮らしって何なのか、ということも、じっくり考えてみたいです。きょうはありがとうございました。(おわり)
産経新聞より
全体的な内容は非常によくまとまっており、特に日教組の問題、過激なジェンダーフリー問題等も取り上げられており、特にこれといったことを書く必要はないのですが、問題はこの山谷えりこ自身にありまして
失敗しないオトコ選び (1980年出版)
結婚後も、現在まで旧姓を名乗っている。初当選した2000年6月の選挙においては、民主党が公約とした 夫婦別姓選択制を導入する民法改正を自身の公約にも掲げており、同年9月にはその民法改正案の推進を求める申し入れに署名する等、夫婦別姓推進論者であったが、翌2001年には、一転して夫婦別姓反対を主張するようになった。
1995年の民社協会機関紙では、子供の勉強し過ぎ・詰め込み教育がイジメやオウム真理教事件につながったとし、「ゆとりを推進すべし」という趣旨の文章を寄稿していた[3]が、現在は「ゆとり教育が学力低下につながった」と批判している。
いずれもWikipediaより引用
どう過去を見ても民主党よりであり、今になって正論を述べても正直信用しろと言われましても、どうしても引っかかるところがあるんですよね。
あえて、自分のようなひねくれ者を納得させたいと言うのであれば夫婦別姓反対しているのであれば自らが模範となり
山谷えりこから本名の小川 恵里子に改名すべきだと思う
そうすることで過去の過ちから学び成長したとアピールできると思うのですが。
まぁ少なくとも小坂憲次よりははるかにましだと思いますけどね。