ジョブズもいってた、日本メーカーがAppleに負けっ放しの理由
自分自身も顧客の商品開発に少しは携わる人間で、自分の立案でヒットした商品はジョブズと比較すると市場で数億単位のマーケットのものが何個かくらいなのでカスみたいなものだが、ジョブズ語録から非常に響くものがあるので本日はそれを紹介してみたい。
トヨタ、ホンダなどの自動車メーカー以外の日本のメーカー、特に黒モノメーカーが海外メーカーに全く太刀打ちできなくなったと言われて5年くらいもたつが、ウォークマンで世界を凌駕したソニーをはじめ、IT関係、家電系は特にその兆候が痛々しい。ネット上でいろんな討論があるが、要は現在の日本の家電(特に黒モノ)メーカーはマーケティング力がめちゃくちゃ弱い、ということは間違いないように感じる。シャープのガラパゴスの惨敗なんてそのいい例だ。
理由として挙げられる最大のものは、“素人の顧客の意見を聞きすぎる”ということにあるのではないかと考える。言い方を変えるならば、素人のユーザーの意見に左右されるのはいい加減にしたほうがいいということでもある。まあ日本のメーカーの経営者自体が素人に近いので、こうした資料がないと開発にゴーが出ないのかもしれない、というのが最大の問題ではあるのだが……。本田宗一郎さんやソニーの盛田昭夫さんが懐かしい今日この頃です。いまの日本のメーカー経営者ってみんなサラリーマンで、出世が上手くて上がってきた人ばっかりだもんね。
昔から大手広告代理店などでは“リサーチ”“顧客調査”“ヒヤリング”などのもとに多額の予算をとって調査をかける。実は自分もけっこう参加したことがある。大手代理店にはユーザー集めてミーティングさせて、メーカー担当がこっそりそれを見るマジックミラー張りの部屋まで用意されているし、世の中には女子高生を集めて商品企画するような会社もあると聞くが、これで本当にヒット作を企画できるのかと言えば、自分もジョブズも全く必要ないと思っている(神と自分を同じ扱いですみません)。実際、ユーザー集めてのミーティングの場にいたことも何度かあるが、たいしたアイデアは出たことがない。
ジョブズの語録より
◆消費者に、何が欲しいかを聞いてそれを与えるだけではいけない。
◆製品をデザインするのはとても難しい。多くの場合、人は形にして見せて貰うまで自分は何が欲しいのかわからないものだ。
まったくその通りだと思う。素人の消費者にリサーチして、彼らが欲しい(と思われる)ものを作っても、彼らは全く別のものを買う。それが今の日本の黒モノ家電だ。
試しに「どんな携帯電話が欲しいか」聞いてみたらいい。
絵文字が打てる、メールが片手で打てる、ワンセグは絶対欲しい、 防水がいい、おサイフ機能は必須、いろんな機能が付いていると楽しい……ETC……結果が世界に通用しないガラケー戦隊ですよ……。
そう答えた消費者が、ワンセグもなくお財布もなく入力もしにくい『iPhone』に殺到しているのである。これは何故か。つまり、素人の客に聞いて、彼らがどんなものが欲しいのか忠実に作っていく方法は、まったく無意味ということなのだ。素人が考えつかないようなものでないと売れない。
考えてみたらいい。素人の客にそこまでの考察力があるのなら、その客はとっくに素人ではなくてプロの商品開発者としてやっていけてます。つまり、
素人 = ノーアイデア
なのである。できたものについてあれこれは言えるが、存在してないモノに対しては意見を期待しても意味がない。実は10年くらい前にネットを使って商品企画を何度かしたことがあるが、そのときにこれを察知して以来、消費者を巻き込んでの新企画立案は、プロモーションの意味はあっても、それ以上の意味はないということを悟りました。もちろんほぼ完成に近いモノを見せて、欲しいか欲しくないかを聞くのは有効だと思います。
流行ってるラーメン屋は新作ラーメンを開発するのに客に「どんなラーメンが好きですか」って聞きますか? 絶対に聞かないですよ。自分で考えた新作をお得意さんに食べさせて意見を聞くことはあっても、どんなラーメンが食べたいかって聞くことはない。それと同じです。
つまり、本当の商品企画というものは、独善的に“ユーザーに思いつかないような斬新なコンセプト”がひらめくような人しかできないということです。ラーメン屋でもケーキ屋でもパソコンメーカーでもこれは同じなんです。日産が復活したんだって、絶対売れないといわれて生産中止になっていた『フェアレディZ』をカルロス・ゴーンが再開発したからじゃないですか。『Facebook』だってザッカーバーグが独善的に機能を詰め込んでいまのかたちになったから世界を支配した。極論をいえば顧客の意見なんて聞く必要はないのだ。顧客にスゲエ、と言わせれば良いだけの話です。
さて、ジョブズ亡き後、Appleはどうなるか。
間違いなく絶対に衰退するに決まっている。ジョブズが追放されたあとのApple社製品は惨たんたるものだったことがそれを証明している。自分も『Performa』を買ったけど、あまりのダサダサぶりに二か月で捨てたくなったほどだ。ジョブズ以外に“ユーザーに思いつかないような斬新なコンセプトがひらめくような人”がそうそういるとは思えないから、衰退するのは間違いないと思う。サムスンみたいにコンセプトを真似て成功した会社も、真似するものがなくなって困るだろう……。
最後に……ジョブズはこんなことも言ってます
お金が目当てで会社を始めて、成功させた人は見たことがない。
この言葉をうるさいスパムを送ってくる情報商材屋に捧げたいと思います。
ガジェット通信より
> 特に黒モノメーカーが海外メーカーに全く太刀打ちできなくなったと言われて5年くらいもたつが、ウォークマンで世界を凌駕したソニーをはじめ、IT関係、家電系は特にその兆候が痛々しい。ネット上でいろんな討論があるが、要は現在の日本の家電(特に黒モノ)メーカーはマーケティング力がめちゃくちゃ弱い、ということは間違いないように感じる。シャープのガラパゴスの惨敗なんてそのいい例だ。
マーケティングより、もっと根本的な部分からおかしくなっていると思いますし、家電だけではなく、自動車もダメになっているのはその根幹が同じ所にあるからだと思います。
> 理由として挙げられる最大のものは、“素人の顧客の意見を聞きすぎる”ということにあるのではないかと考える。言い方を変えるならば、素人のユーザーの意見に左右されるのはいい加減にしたほうがいいということでもある。まあ日本のメーカーの経営者自体が素人に近いので、こうした資料がないと開発にゴーが出ないのかもしれない、というのが最大の問題ではあるのだが……。本田宗一郎さんやソニーの盛田昭夫さんが懐かしい今日この頃です。いまの日本のメーカー経営者ってみんなサラリーマンで、出世が上手くて上がってきた人ばっかりだもんね。
顧客の意見を軽視しろというわけではないのですが、まずニーズと求めているものをきちんと把握していない感じがします。その主たる理由としては
> 。いまの日本のメーカー経営者ってみんなサラリーマンで、出世が上手くて上がってきた人ばっかりだもんね。
ここにあると思います。例えば日本のものづくりで最近のヒットと言えば
サンヨーのゴパン
単なるホームベーカリーなら色々なメーカーが出ていますが、ご飯をパンにするというアイディアは今までになかったのですから。しかも価格は最安値36000円、最高値5万円なのにもかかわらず、売れ筋という事は
如何にその商品が高く評価されているか、如何にその商品に魅力があるか
ということだと思います。
逆に失敗例は上記にも出てきましたが
シャープ ガラパゴス
個人的な感想を言えば、誰をターゲットにしているのか、何のために存在しているのか全くわかりません。しかも国内向けとは言えど顧客層が見えない製品を作っても無意味だと思います。
> ◆消費者に、何が欲しいかを聞いてそれを与えるだけではいけない。
> ◆製品をデザインするのはとても難しい。多くの場合、人は形にして見せて貰うまで自分は何が欲しいのかわからないものだ。
商品開発が難しいものはわかっておりますが、他人が作ったものをそのまま歩いているだけでは値段競争に陥るだけですし、かと言ってあまりに画期的すぎるものを作っても時期尚早で売れないのですが、時期尚早なものを適切なものとして売るにはやはりマーケティング力が物を言うと思います。
例えば3Dテレビ、個人的にはアレは売れないと思ってますが、画期的だと思います。ただ、個人的な解釈として
1)専用の眼鏡を使わないと見れない
2)見る角度にも制限がある
3)コンテンツが追いついていない
これらに尽きると思います。
例えば、最近3Dテレビを買った方、実際3D機能を使っているかというと疑問だと思います。何しろ3Dを見るには
1)ブルーレイプレーヤー(3D対応)が無いと見れない(最近は値段がかなり下がって来ましたが)
2)コンテンツがあまりにも高すぎる
3)ソフトの数が少ない
安ければ良いというわけではないですが、高いけど買ってみたが、あまりにも出来が悪すぎたという評判が広がれば誰も買わないでしょうし、正直Full HDでも十分楽しめますからね。それにそのほうが安あがりですし。
ではなぜiPhoneやiPadが売れているかというと、はじめからキラーアプリが入っていたわけですからね、iPodというキラーアプリが。
出た当初、そんなにアプリもなかったわけですが、電話と音楽プレーヤーを融合させており、なおかつiTunesで管理できるというのは一般ユーザーには受け入れたというところだと思います。何しろiTunesで買った音楽がiPodでもiPhoneでも聞けるというのはかなり大きなアドバンテージですから。
それに開発環境も無料配布されており、iPhone用のアプリを作りたければMacでないと作れないという囲い込みを行ったことが、Macの売上にも貢献したわけですから。iPhone 3Gが出たときはそこそこアプリが揃いはじめ、今ではかなり膨大なアプリが揃っています。そしてiPadではiPhoneのアプリがそのまま動いたり、iPad専用の物まで用意されていることで、iOS系商品の魅力は高まっていると思います。
そしてデザインも非常にシンプル。こういう諸々がApple製品と日本メーカーの大きな違いだと思います。
じゃあWalkman機能を持っているソニーエリクソンの商品は売れないのかというと、MoraというMusic Storeを構えていても当初はSony Music系しかなかったですからね。それに初期はATRAC3しか使えなかったのですから。
逆にアップルのiPod / iPhone ははじめからAACと一緒にMP3対応だった事、これが決めてだったのですから。
使いやすい音楽プレーヤー、MP3とAACの両対応、そしてMacとWindowsの両対応。これだけでもかなり、客層を広げますからね。WalkmanはWindows一辺倒だったのですから。
機能等は揃っていたとしても、結局ターゲットが狭まる商品作り、所謂歪んだ顧客目線が今の日本製品の根幹の一つだと思います。つまりは八方美人的なものづくりが日本製品のレベルを低めたとしかいい用がないと思います。
一部の誰かを満足させたとしてもそれがすべての人間が満足できるわけではないですからね。
> お金が目当てで会社を始めて、成功させた人は見たことがない。
これがもう一つの根幹の問題ですが、利益を出すことは重要だと思いますが、あまりにも今の日本企業の場合、良いものを作って利益を出すことよりも、いかに利益を出すかという事ばかりに腐心しているようにしか思えません。
例えばトヨタの80点主義+α、どこもすべて平均点だが一部分は突出している。これが本来続いていれば、トヨタもここまで落ちることはなかったと思います。
例えば二代目ヴィッツ、こっちでは結構売れた理由として、
1)ルノークリオ(ルーテシア)やVW Poloに比べると使いかっての良さが長けていた
2)他メーカーが肥大化する中、ヴィッツは四メートル以下のサイズに収まっていた
他社と比べて突出した部分があったからだと思います。
逆に三代目は二代目ほど売れるとは思えません
1)サイズも、他社と大差がない
2)装備がかろうじて、他社より若干良い
でもこれだけじゃあ商品力としての魅力は高くないと思います。
逆にBMW-MINIの場合、使いかっても大して良くない、値段も高い、ディーラーの数も少ないのに、売れているのかというと、
保有する喜び
これに尽きると思います。
例えば、同じ事をホンダのフィットや日産のマーチに求められるかというと多分難しいでしょう。
確かに装備などはいいかと思いますが、では喜んで今の日本車を10年乗り続けたいかというと多分、首を傾げる人は多々いると思います。
中にはそんなBMW-Miniと比べるのおかしいという方もいらっしゃるかも知れません。なぜ、おかしいのでしょうか。いや、むしろ何故おかしいと思われるようになったのか。それだけ、今の日本製品の魅力が利益追求ばかりを追い求めた事により、激減し、仮にいいものであったとしても低く見られるようになったのではないのでしょうか。
今の日本製品の課題はかつてのように最先端なものでリードし、欧米人では発想できないものを創り上げないと、日本のものづくりは斜陽化するようにしか思えません。