「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京」とは
"ファッション・ウィーク" とは、年2回、世界のファッション都市で開催されているファッションの祭典で、
ファッション・ショーや展示会で発表される最新コレクションから、
次のシーズンのトレンドが生まれています。
世界のファッション・ウィークの中でも、歴史性、話題性から情報発信力が大きい、
パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨーク、そして東京の5都市で行われるものは、
「5大ファッション・ウィーク」と総称され、大きな影響力を持っています。
東京のファッション・ウィークが「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京
(Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO = MBFWT)」です。
一般社団法人日本ファッション・ウィーク(JFWO)が主催し、毎年3月と10月に開催しています。
渋谷ヒカリエと六本木のメルセデス・ベンツ コネクションという2つの拠点、
そして東京各所から、世界で注目される最新の日本のクリエーションを発信していきます。
「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京」のスローガン
1. 世界に向けた新人デザイナーの登竜門に
2.「創」(デザイナー)、「匠」(製造事業者)、「商」(アパレル・小売)の連携の起点に
3. 東京をもっとおしゃれで楽しい街に
Mercedes Benz Fashion Week Tokyoより
ファッションとは最も縁遠いところにいる自分ですが、今、にわかに話題になっている事と繋がるので今回はこのファッション、デザインという観点から問題を提起してみたいと思います。
自動車メーカーとファッションショーというのは傍から見たら全く別世界かと思われますが、メルセデス・ベンツの場合、自社製品に合うファッションやライフスタイルを提案するという観点において、行なっているように思われます。
例えば
こちらはSクラスの広報用の動画ですが、Sクラスに合うライフスタイルというのはこういう感じだと言うイメージを作っています。あるいは
こちらは新型Aクラスの広報用動画ですが、Sクラスとは真逆に若者向け、つまりカジュアルな感じをイメージを取り入れています。
しかし、メルセデス・ベンツの根底的なイメージというのは
Premium、Exclusive、Elegance
というのが大抵の方のイメージではないのでしょうか。そういうブランドがファッションショーを行うと必然的にこういうメルセデスに合うファッションとはこういう感じだと刷り込まれることでブランド価値が高まると思います。
また、今年のパリモーターショーで、メルセデス・ベンツはS Lifeという小冊子を配布しており、Sクラスであればどういうライフスタイルが合うのかというのを提案しております。
たとえばダンディー系であればIWCの時計だったり、スポーティー系であればイッセイミヤケのSPORTという香水だったり、あるいはビジネスであればモンブランのシティーバックだったり等、どれをとっても一流品の商品を提案していたりします。
つまり同じSクラスでもあらゆるスタイルに合わせることができるという点を強調しつつも、プレミアム性を損なわないブランド戦略を練っているような気がしてなりません。
またファッションショーに関しても必ずしもこれらのスタイルがドライブに適しているとは思えませんが、少なくともドライブするためとは一言も入ってない以上、一緒にドライブに行ったり、こういう感じでこういうシーンだったらと想像を掻き立てる様な感じがします。
無論、これはメルセデス・ベンツに限ったことではなく、BMWも同じようにライフスタイルの提案行なっていたりします。例えば
これはBMW 7シリーズですが、BMW Magazine(France版)内ではBMW 7シリーズの場合に似合うライフスタイルの一つの提案としてジョルジオ・アルマーニのスーツやドレス、エルメスの蝶ネクタイだったり、あるいはBMWで行ってみたい場所として
Hotel du Castellet
France MegeveにあるChalet
だったり等、無論誰もがこの様な場所にいけるわけではないですし、買えるわけでもありませんが、一つの夢を売るというのがこれらプレミアムメーカーのブランド戦略であるような感じがします。
それに対して今回、話題になっているのはこちらでして。
【お台場学園祭2012】ミスキャンパス候補が考えたドライビングファッション[写真蔵]
若者にクルマやバイクの魅力を伝えるイベント「お台場学園祭2012」。10月14日の最終日、イベント会場ではクルマをテーマにしたファッションショーが開催され、東京大学、慶應義塾大学、立教大学、青山学院大学、東洋大学のミスキャンパス候補者が登場した。
最終日2回目のファッションショーのテーマは「マイドライビングファッション」。“このクルマをオシャレに運転するならどんなファッションでキメたいか?”と、「スポーツカー」「4WD/SUV」「エコカー」「ミニバン」「バイク」をテーマに、各ミスキャンパス候補者がファッションを考えた。
ショーではそれぞれ、ミニバンで行ってみたいリゾートファッションや、スポーツカーをイメージしてレザーを取り入れたスタイリッシュなファッションなど、自分が乗ってみたい憧れのクルマやクラシックカーをイメージしたファッションが披露された。
Carviewより
まず、評価できる点としては、ファッションという概念から車、カーライフと向き合ったという事でしょう。
何しろ、今まで日本メーカーにはなかったものですから。
問題となっている点は
カーライフではなくドライビング=運転という概念でこのファッションショーを行ったことでしょう
記事の後半にも書かれているように
> ミニバンで行ってみたいリゾートファッションや、スポーツカーをイメージしてレザーを取り入れたスタイリッシュなファッションなど、自分が乗ってみたい憧れのクルマやクラシックカーをイメージしたファッションが披露された。
この点を重視するのであればドライビングではなくカーライフファッションという風にすれば物議は起きなかったとおもいます。とは言っても物議を醸す=話題になるということなのである目線から見れば成功なのでしょうけど。
ただ、あまりにもドライビングとはかけ離れた服装も出ているので、ドライビングにしたいのであれば一つのガイドラインを用意しておくべきだったと思いますし、ドライビング+ライフスタイルというのであれば無難にカーライフファッションという風にした方が良かったと思います。
もう一つの問題点としては個人的には
潜在顧客からアイディアを募る(=提案される側=受け身な姿勢)
という点だと思います。本来、自動車メーカーと言うのは夢を売る=日常を非日常的にすることだと思うのですが、このファッションショーを見る限り、どうもアイディアを募る側に回ってしまったことだと思うんですよね。確かにこういう事を行えばメーカーは顧客の意見を積極的に聞くというイメージはつくかも知れませんが、逆に夢を売るという行為からはかけ離れているような感じがしてなりません。
例えばトヨタの86やマツダのロードスターの人気が高いのか。単に価格やデザインだけの問題だけではなく
乗って楽しいだけではなく、カスタマイズ可能等一つのカーライフ、ライフスタイルを提案している
からだと思います。具体例としては
まずトヨタ主催の
Fuji86Styleの様な86に特化したイベントでカスタマイズ性の高さやドレスアップコンテスト、あらゆるシチュエーションに合わせたスタイルが可能だということをアピールしています。
また、動画はないのですが、以前BS朝日で放映されていた
新しい道をゆこう
以前、たまたま飛行機内で上映されていたのですが悪くないと思いました。主役となる車はトヨタの
カムリ・ハイブリッドで、行き先は軽井沢だったり、金沢だったりするのですが、自分が見たのは軽井沢編だったのですが、非常に車とマッチした場所だったりしたので、こういう車でこういう場所に行きたいなぁと思わせるような作りだった記憶があります。
それに引きかえ、今回のこの企画というのはどうも
一部のごく限られた人間の要望を取り入れる=ある種の歪んだ現実路線を取り入れる
という感じしかしません。つまり日常のものをどこまで取り入れられるかということなので夢というものがわかない感じがします。
例えば今回のファッションショーのテーマにもなっているスポーツカーやSUV、エコカーというのであれば単に女子大生のファッションだけではなく、どれだけその車に合っているかというのも引き合いに出すだけでもかなり違ってくると思うんですよね。
例えば86ならこんなファッションだったりとか、CX-5ならこんなファッションとか、GT-Rならこんな服装だとか、そうするだけでもかなり違ってくると思うんですよね。実際にその場に居たわけではないのでなんとも言えませんがせっかくスクリーンがあるのですから、事前にロケを行い、映画なり写真なりを流してからキャットウォークを歩かせたりしたらまた効果も違ったと思うんですけどね。例としてはこんな感じで
つまりは潜在顧客からの提案を利用して逆にメーカーが作っている車にあうファッションとはこういう感じであるというふうにすれば、またイメージも違ったと思います。
ただ、今回のお台場学園はいろいろな角度から車やカーライフと向かい合った試みだと思うので個人的には評価できる点は多々ありますし、また反省点もあるのでそれを踏まえた上で次回につなげていただければと思います。