まずは想定内の反応のことから
三菱の不正問題にはまだ続きがあるかもしれない。清水和夫が緊急寄稿
> 4月20日、三菱自動車が軽自動車eKワゴンの燃費試験で不正を行っていた、というとんでもないメガトン級の情報が入ってきた。
> 最近の販売状況では日産自動車の約40%が軽自動車なので、同社のダメージも計り知れない。
> もし、これがクルマのエンジンを制御するプログラムの不正だとしたら、VWのディーゼルと同じ手法が行われていたことになる。大きな不正を隠すために小さな不正を明かした、なんて結末が待っていないといいが。
> 結果的にだったとはいえ、経営陣が理不尽な燃費競争を後押していたならば、法的責任はなくても社会公益性に対する責任は重い。
清水KはVWの時は…
5分でわかるVWの排ガス規制違反問題~清水和夫が真相に迫る~
> VWはディーゼル技術で世界をリードしているメーカーだけに、なぜこのような問題が起きたのか疑問が残る。
> 現在は少なくとも今回のVWの疑惑を除けば、使われていないはずだ。しかし、アメリカではメルセデスやBMWもクリーン・ディーゼルを販売しているので、排ガス規制が厳しいから違反したとはVWも言えないだろう。
> もちろんVWのトップが法令違反を認めるとは思えないが、強烈なトップダウンの結果主義が現場を混乱させたというのが私の推論だ。
> これからの調査で、故意か過失か、あるいは疑惑はなかったのかが明らかになるはずだが、制裁金の額以上にVWとアウディのブランドに傷がつくことが心配だ。
徹底擁護に回っておりました。
本質的な部分はVWも三菱も同じで
強烈なトップダウンの結果主義が現場を混乱させた
ここに至ると思います。にも関わらずVWに対しては心配だとかと書きながら三菱に対しては責任は重いなど、あまりにも書き方が違います。
VWは先の記事でも書いたように意図的に変更するプログラムを設け、NOxの基準などを回避する仕組みを作っていたこと(=通常走行の際には毒ガスをばらまく)、三菱は日本方式での燃費測定ではなくアメリカ方式の測定で行ったことによりカタログ燃費が若干下がること(そもそも、カタログ燃費だけで車を選んでいる訳ではない)なので、悪質の度合いは全く別物です。
確かに三菱自動車は過去に2度悪質なリコール隠しを行ったという前科があります。しかし、今回の問題と前回の問題の内容は全く別物です。
唯一の共通点というのは
・結果至上主義による現場の混乱
・風通しの悪さ
というところだと思います。悪質さで言えばよほど欧州メーカーのディーゼル車の不正の方がよほど悪質ですし、ルノーとPSA(プジョー・シトロエン)のディーゼル問題は前々からフランスでは疑われていたのですが、未だにこの件に関しては日本では全く取り上げません。それこそメディアに言わせれば
・輸入車メーカーのディーゼルは海外のみで発売されているので日本では無関係
・三菱の場合は日本の軽自動車という日本特有の規格で燃費詐称(しかもカタログ燃費とかJC08モードという部分を意図的に抜いて)しているので責任は重い
とでも言うのでしょうか。
私とほぼ似たような思いが書かれた記事がありましたので詳細はこちらをご覧いただければと思います
やり切れない三菱自動車の燃費偽装-事業構造の抜本的な再構築が不可避
本題の提言ですが、根本的な問題は日本国民の貧困化、つまりデフレだと思います。20年以上もデフレが続いており、このような状況においても
消費税「まず1%上げる考えも」 自民・稲田政調会長
消費増税、予定通りに=熊本地震は影響せず-自民税調会長
と更に景気悪化に繋がる様なことを述べている状態です。
先行きの見通しが立たない状態で個人や企業は投資をするでしょうか?
まずありえません。あるいは最低限の消費や投資に抑えるでしょう。
特に三菱の場合は
・リコール問題によるイメージの悪化による業績の悪化
・業績の悪化に伴い、視野が狭まり目先の利益のみを追求する
・目先の利益を追求するあまりに風通しの悪さに拍車をかけた
というのが今回のこの一連の騒動の本質だと思います。
また消費者に至っては生活防衛にあたり、いい車よりも安い車、燃費のいい車、税金の安い車に捉われすぎた結果、振り回されているのが実情だと思います。
それに考えてみればわかると思うのですが、もし本当に三菱が不誠実であれば速報レベルであれ
当社製車両の燃費試験における不正行為について
> 燃費試験については、該当車のいずれについても、開発を担当し認証届出責任を持つ当社が実施していました。次期車の開発にあたり、日産自動車が該当車の燃費を参考に測定したところ、届出値との乖離があり、当社が試験で設定した走行抵抗値について確認を求められました。これを受けた社内調査の結果、実際より燃費に有利な走行抵抗値を使用した不正を把握するに至ったものです。該当車にお乗り頂いているお客様に対しては、今後、誠実に対応させて頂きます。
> また、該当車については、生産・販売を停止することといたしました。日産自動車でも販売を停止して頂いており、補償についても今後、協議いたします。
> その他の国内市場向け車両についても、社内調査の過程で、国内法規で定められたものと異なる試験方法がとられていたことが判明しました。
こういう報告や
三菱自動車 第141回 企業倫理委員会について
こういう発表を迅速に行いますか?大抵の所は調査しますでお茶を濁して終わりです。
こういうことが出来る様になったのは相川社長に変わったことだからできたのだと思います。
無論、三菱自動車、販売店(ディーラーや協力店)もそうですが、我々ユーザーも試されていると思います。
ネットを見ると、もはや三菱は潰れるべきだとか、乗っていて恥ずかしいとかという意見もありますが、三菱を選んだということはそれ相応の理由があると思います。
・三菱車が好き
・三菱車と自分のニーズがあった
・三菱ディーラーとの付き合いが長い
・三菱の再生に期待している
理由は千差万別、十人十色だと思います。
今回はカタログ燃費の詐称ということもあり、実際の使用上の影響は多くないと思います。あえて言えばエコカー減税の対象になっていたか否か、実燃費が他社より劣っていたかくらいです。安全性の問題は特にない、対応も迅速に行っているという点を見ると、ユーザーとしてできることは、ディーラーやメーカーにクレームを上げるのではなく、真相の解明を追求すること、本当に三菱ユーザーが求めているものを伝え、ユーザー、販売店、メーカーが三位一体となって育てていくべきではないかと思います。
無論、清水Kの言う様に氷山の一角でもっと重要なことを隠蔽していたというのであれば、私も容赦なく責めます。しかし、今回の件はあまりにも腑に落ちない様な報道のされ方である以上、先の記事でも述べた様に意図的なものを感じます。
提言としては
三菱自動車に対しては何度も書いているので割愛致しますが、ユーザーに対しては
・今後の対応を静観し、是々非々で対応する
国や行政に対しては
・燃費基準のあり方を見直し、定期的に抜き打ち検査などを行い他社でも似た様な事例がないかを調査する
・自動車の税制を大幅に見直し、燃費(エコカー)至上主義、新車至上主義のあり方を見直す
・早期のデフレ脱却(=国民が豊かになる)を図るため、財政出動を踏まえた行動に移す
メディアに対してはもう何も言うことはありません。上級国民様達には自浄作用というのがない以上、何を言っても無駄ですし、むしろメディアこそ一度潰れて再生する以外ないと思っております。