
お客様の業務改善検討の一環として先端技術の調査・評価の依頼を受けることがあります。
今から約8年くらい前にスマホやタブレットで撮影した画像(動画を含む)から撮影者の位置を特定できないかと言う依頼がありました。
いまはGPSの精度が向上し、QZSS(みちびき(準天頂衛星システム))を利用できる端末も増え測位情報を地図連携することで、実現可能ですが、当時は、まだGPSの精度(利用想定端末の性能の問題もあった)に問題もあり、補完技術として画像認識の検討を行いました。
画像は、Googleレンズ(画像を用いた検索機能)の結果です。
ここ数年、Googleレンズの精度向上も目覚ましく、特にこの1年飛躍的に向上した印象を受けます。
これは、利用者数、利用回数の増加によるデータ蓄積が背景にあると考えられます。
この手のAI的な画像識別の仕組みは蓄積データが多い程(学習と言っても良いかもしれません)、精度が上がる傾向にあります(過学習の問題はありますが)。
例えば、東京駅や横浜元町の画像は、利用者がGoogleに登録している画像が多く、特徴点の抽出も精度よく行え、場所を特定できたものと推察されます。
ところが、慶応義塾大学日吉キャンパスの場合、特徴点が類似する場所が他にもあり、見た目が一致する候補に留まっています。
見た目が一致する候補の傾向を見ていると、おそらくスコアを出させれば、日吉キャンパスが上位に来ると思われますが、いま1つ絞り込めない感じがします。
いまいまの技術でも、このように精度の問題がある為、当時は、どの画像識別ソリューションを使っても、なかなか期待値に辿り着くことが出来ず、また、精度向上のためのコストも実用化する上でのネックでした。
一番の問題は、画像は判別できても撮影者の位置を類推できなかったところです。
いまなら、それもある程度、可能ですが、当時は、残念ながらお蔵入りしてしまい、その後、GPSを使った機能で実用化しました。
もし実用化出来ていた場合の利用シーンは、例えば、自動車の事故や故障発生の際のレスキュー要請で、位置の特定をスムーズに行う等の利用シーンが想定されていました。
この他にも実証実験を行った画像識別技術では、事故車両の車種の特定や破損程度の判定、被災建物の損壊程度の判定等々、いろいろありますが、いま1つ日の目を見ずにいます。
ただ、10年前の結果、5年前の結果、最近の結果では、明らかに精度向上が成されていますし、コンシューマー向けのサービスが盛んになることでコストも下がっていますので、引き続き生暖かい目で推移を見守り、適時、評価試験を行いたいと思っています。
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Posted at 2022/10/14 01:38:08 | |
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