
報道されている通り、タイの水害は、大潮の時期を迎え、首都・バンコクでの水没被害が拡大しています。
大潮は、潮の満ち引き(干満)の差が大きくなる時で、満ち潮の時、普段より海水面が上昇します。
従って、元々上流で大量の雨が降って溢れ、排水能力が落ちているところに、海からの逆流も加わる為、水が益々溢れ出る状態になっています。
さて、ここで、理科の復習をしましょう(^^)v
まず、月の満ち欠けについて、説明します。
月は、地球の周りを、約27.32日で一周します(月の公転周期(地球の周りを一周する時間)と自転周期(月自身が1回転する時間)は一致している)。
また、月の満ち欠けの周期(朔望周期)は、月の軌道が複雑な為、変化が大きいですが、平均すると約29.53日になります。
この様に実際の月の満ち欠けの周期と、月の公転周期が一致しない為、月の満ち欠けを基本としている旧暦(太陽の動きを加味した太陰太陽暦を含む)では、誤差を吸収する閏の月が入り、1年が13ケ月になったりします。
これは、チョット難しくて複雑な話しになるので、もっと単純に月の満ち欠けについて説明します。
映像(理科の教科書で見たのでは?)を見て頂ければ分かると通り、地球から見て、太陽の方向に月がある時が新月です(地球から見ると月の太陽の陽が当たらない部分を見ているイメージになります)。
そして、その反対側に月がある時が満月です(月に一番太陽の陽が当たっている時です)。
新月から満月が約14日、満月から新月が約14日
つまり、1サイクル、約29.53日で変化していることになります。
この月の満ち欠けと、潮の満ち引きの大きさには、関係があります。
地球の潮の満ち引きに、一番、影響を与えているのは、月の重力です。
その次に影響があるのが、太陽の重力で、月の約0.45倍の力があります。
月と地球、太陽が一直線上にある時、重力の作用が最も大きく、この時、潮の満ち引きの差(干満差)が一番大きな大潮になります。
映像で見ての通り、月と地球、太陽が一直線上にある時と言うのは、新月と満月の時になります。
逆に重力の作用を消し合うのが、太陽・地球・月を結ぶ線が90度(270度)になる半月(上弦の月・下弦の月)の時です。
従って、月の満ち欠けが約29.53日で、1サイクル行われる時、大潮が2回あることになります。
1日の単位で考えると、地球が自転する中で、月と太陽が引っ張っている海水面が盛り上がっている場所(満潮)と引っ張られて谷になっている場所(干潮)があり、これが通常、1日、それぞれ2回発生します。
ところが、太陽・地球・月を結ぶ線が90度(270度)になる半月の時は、重力の作用を消し合っているので、引っ張る力が弱く、潮の変化が緩やかになり、変化に要する時間も長くなるので、1日の中で、それぞれ2回の発生が収まり切らず、見かけとして、満潮または、干潮が、1回しか発生しないことがあります。
最後に、もう1つ加えると、月と地球の距離は、月の軌道が複雑な為、一定距離ではありません。
また、太陽と地球の距離も同じく一定ではありません。
月と地球の距離、地球と太陽の距離が近い時の方が、同じ新月・満月の時でも、より大きな重力が作用することになります。
つまり、同じ大潮でも干満の差がより大きくなると言うことです。
整理すると、
1.映像のイメージで、新月(大潮)→半月(上弦の月・小潮)→満月(大潮)→半月(下弦の月・小潮)→新月(大潮)が、約29.53日のサイクルで起こっている
2.地球と月、地球と太陽の距離は、一定ではないので、距離が近い時は、より大きな作用を受ける
3.1日の潮の満ち引きは、通常、満潮・干潮、それぞれ2回あるが、干満の変化が緩やかな時は、どちらかが、1回しか起こらない時もある。
因みに、1ケ月の月の満ち欠けと潮の満ち引きの大きさを知るには、関連情報URLに貼った「こよみのページ」が便利です。
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Posted at 2011/10/29 02:30:06 | |
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