全文を載せると長くなりすぎますので、かいつまんで書いていきたいと思います。
安倍晋三第90代内閣総理大臣
この度、私は、内閣総理大臣に任命されました。日本が、厳しい時期を乗り越え、新世紀の発展に向けた出発点に立った今、初の戦後生まれの総理として、国政を預かる重責を与えられたことに、身の引き締まる思いです。多くの国民の期待を正面から真摯に受け止め、身命を賭して、職務に取り組んでまいります。
国政を遂行するに当たり、私は、まず、自らの政治姿勢を、国民の皆様並びに議員各位に明らかにいたします。私は、特定の団体や個人のための政治を行うつもりは一切ありません。額に汗して勤勉に働き、家族を愛し、自分の暮らす地域や故郷を良くしたいと思い、日本の未来を信じたいと願っている人々、そしてすべての国民の期待に応える政治を行ってまいります。みんなが参加する、新しい時代を切り拓く政治、誰に対しても開かれ、誰もがチャレンジできる社会を目指し、全力投球することを約束いたします。
我が国は、経済、社会全般にわたる構造改革と、国民の自助努力の相乗効果により、長い停滞のトンネルを抜け出し、デフレからの脱却が視野に入るなど、改革の成果が現われ、未来への明るい展望が開けてきました。
一方、人口減少が現実のものになるとともに、都市と地方の間における不均衡や、勝ち組、負け組が固定化することへの懸念、厳しい財政事情など、我が国の今後の発展にとって解決すべき重要な課題が、我々の前に立ちはだかっています。家族の価値観、地域の温かさが失われたことによる痛ましい事件や、ルール意識を欠いた企業活動による不祥事が多発しています。さらに、北朝鮮のミサイル発射や、テロの頻発など、国際社会の平和と安全に対する新たな脅威も生じています。
このような状況にあって、今後のあるべき日本の方向を、勇気をもって、国民に指し示すことこそ、一国のトップリーダーの果たすべき使命であると考えます。私が目指すこの国のかたちは、活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、世界に開かれた、「美しい国、日本」であります。この「美しい国」の姿を、私は次のように考えます。
1つ目は、文化、伝統、自然、歴史を大切にする国であります。
2つ目は、自由な社会を基本とし、規律を知る、凛とした国であります。
3つ目は、未来へ向かって成長するエネルギーを持ち続ける国であります。
4つ目は、世界に信頼され、尊敬され、愛される、リーダーシップのある国であります。
この「美しい国」の実現のため、私は、自由民主党及び公明党による連立政権の安定した基盤に立って、「美しい国創り内閣」を組織しました。世界のグローバル化が進む中で、時代の変化に迅速かつ的確に対応した政策決定を行うため、官邸で総理を支えるスタッフについて、各省からの順送り人事を排し、民間からの人材も含め、総理自らが人選する枠組みを早急に構築するなど、官邸の機能を抜本的に強化し、政治のリーダーシップを確立します。未来は開かれているとの信念の下、たじろぐことなく、改革の炎を燃やし続けてまいります。
(中略)
本格的な人口減少社会の到来に備え、老後や暮らしに心配なく、国民一人ひとりが豊かな生活を送ることができる、安心の社会を構築しなければなりません。年金、医療、介護を柱とする社会保障制度は、本来日本人が持っている助け合いの精神の延長上にあるもので、「人生のリスクに対するセーフティネット」であります。自立の精神を大切にし、分かりやすく、親切で信頼できる、持続可能な「日本型の社会保障制度」を構築すべく、制度の一体的な改革を進めます。
(中略)
私が目指す「美しい国、日本」を実現するためには、次代を背負って立つ子どもや若者の育成が不可欠です。ところが、近年、子どものモラルや学ぶ意欲が低下しており、子どもを取り巻く家庭や地域の教育力の低下も指摘されています。
教育の目的は、志ある国民を育て、品格ある国家、社会をつくることです。吉田松陰は、わずか3年ほどの間に、若い長州藩士に志を持たせる教育を行い、有為な人材を多数輩出しました。小さな松下村塾が「明治維新胎動の地」となったのです。家族、地域、国、そして命を大切にする、豊かな人間性と創造性を備えた規律ある人間の育成に向け、教育再生に直ちに取り組みます。
(中略)
外交と安全保障の国家戦略を、政治の強力なリーダーシップにより、迅速に決定できるよう、官邸における司令塔機能を再編、強化するとともに、情報収集機能の向上を図ります。
日米同盟については、その基盤である信頼関係をより強固にするため、総理官邸とホワイトハウスが常に意思疎通できる枠組みを整えます。在日米軍の再編については、抑止力を維持しつつ、負担を軽減するものであり、沖縄など地元の切実な声によく耳を傾け、地域の振興に全力をあげて取り組むことにより、着実に進めてまいります。
(中略)
新しい国創りに共にチャレンジしたいと願うすべての国民の皆様に参加していただきたいと思います。年齢、性別、障害の有無にかかわらず、誰もが参加できるような環境をつくることこそ、政治の責任であります。戦前、戦中生まれの鍛えられた世代、国民や国家のために貢献したいとの熱意あふれる若い人たちとともに、日本を、世界の人々が憧れと尊敬を抱き、子どもたちの世代が自信と誇りを持てる「美しい国、日本」とするため、私は、先頭に立って、全身全霊を傾けて挑戦していく覚悟であります。
国民の皆様並びに議員各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
個人的には安倍さんらしい、真面目さを前面に出しながらも、静かなる闘志を感じる演説だったと思います。
福田康夫第91代内閣総理大臣
この度、私は、内閣総理大臣に任命されました。時代が大きな転換期を迎えている現在、政権を担うことの重大さを痛感し、身の引き締まる思いであります。日本の将来の発展と国民生活の安定を最優先に、自由民主党と公明党の連立政権の下、全力を傾けて、職責を果たしてまいります。
所信の一端を申し述べるに当たり、自由民主党総裁選挙の実施に伴い、国会運営にご迷惑をおかけしたことについて、議員各位、そして国民の皆様に対し、お詫び申し上げるとともに、今後、誠実な国会対応に努めてまいります。
(中略)
私は、政治と行政に対する国民の不信を率直に受け止めております。国民の皆様の信頼なくしては、どのような政策も必要な改革も実現することは不可能です。政治や行政に対する信頼を取り戻すことが、喫緊の課題です。
国民の皆様から厳しいご批判を頂いた政治資金問題につきましては、与党において、政治資金の透明性をさらに高めるため、その改善に向けた考え方を取りまとめたところであります。今後、野党の皆様と十分にご議論させていただきたいと思います。まず閣僚から襟を正すべく、政治資金について、法に基づき厳正に管理を行い、問題を指摘された場合には説明責任を尽くすことができるようにするとともに、大臣規範に定められている事項の遵守はもとより、政治倫理にもとることなく、法令を遵守し、政治家の道義を守るよう、閣僚に徹底したところであります。特に、自らについては、厳しく戒めてまいります。
全体の奉仕者である公務員についても、公の立場にあることを自覚し、職務を忠実に遂行し、自己に恥じることのないようにしなければなりません。行政に対する信頼を取り戻すため、特に、各府省の幹部職員が、それぞれの職務全般を掌握し、国民の立場に立った行政を、責任をもって遂行するよう、徹底してまいります。同時に、公務員一人ひとりが高いモラルを維持し、能力を高め、誇りをもって職務に専念できるような総合的な制度となるように、公務員制度改革を進めてまいります。
(中略)
国民生活に大きな不安をもたらした耐震偽装問題の発生を受け、安全・安心な住生活への転換を図る法改正が行われました。成熟した先進国となった我が国においては、生産第一という思考から、国民の安全・安心が重視されなければならないという時代になったと認識すべきです。政治や行政のあり方のすべてを見直し、国民の皆様が日々、安全で安心して暮らせるよう、真に消費者や生活者の視点に立った行政に発想を転換し、悪徳商法の根絶に向けた制度の整備など、消費者保護のための行政機能の強化に取り組みます。
毎日の食卓の安全・安心は、暮らしの基本です。消費者の立場に立った行政により、食品の安全・安心を守るため、正しい食品表示を徹底するとともに、輸入食品の監視体制を強化します。
今なお頻発する災害による死者の発生は、国民生活に大きな不安をもたらしています。災害が発生した場合の「犠牲者ゼロ」を目指し、対策の充実に意を用いてまいります。
(中略)
こうした不安定な状況の中でこそ、次世代に思いを致し、守るべきものは守り、育てるべきものは育て、引き継ぐべきものは引き継ぐという大きな方針を示し、舵取りを行っていくことが、私に課された責務であると考えます。
将来のあるべき日本の姿を見据え、どのようにその姿に近づけるかを常に念頭に置きながら、国民の皆様の目線に立って、改革を続行してまいります。
改革の続行に当たって、私は、「自立と共生」を基本に、政策を実行してまいりたいと思います。老いも若きも、大企業も中小企業も、そして都市も地方も、自助努力を基本としながらも、お互いに尊重し合い、支え、助け合うことが必要であるとの考えの下、温もりのある政治を行ってまいります。その先に、若者が明日に希望を持ち、お年寄りが安心できる、「希望と安心」の国があるものと私は信じます。激しい時代の潮流を、国民の皆様方とともに乗り越え、「明日への道を一歩一歩着実に歩んでいる」ということを実感していただけるよう、持てる力のすべてを傾けて、取り組んでまいる所存であります。
国民の皆様、並びに議員各位のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。
個人的な感想を述べますと、可もなく不可もなく、当たり障りもないですが、現実的なものだと思います。
麻生太郎第92代内閣総理大臣
わたくし麻生太郎、この度、国権の最高機関による指名、かしこくも、御名御璽をいただき、第九二代内閣総理大臣に就任いたしました。
わたしの前に、五八人の総理が列しておいでです。一一八年になんなんとする、憲政の大河があります。新総理の任命を、憲法上の手続にのっとって続けてきた、統治の伝統があり、日本人の、苦難と幸福、哀しみと喜び、あたかもあざなえる縄の如き、連綿たる集積があるのであります。
その末端に連なる今この時、わたしは、担わんとする責任の重さに、うたた厳粛たらざるを得ません。
この言葉よ、届けと念じます。ともすれば、元気を失いがちなお年寄り、若者、いや全国民の皆さん方のもとに。
申し上げます。日本は、強くあらねばなりません。強い日本とは、難局に臨んで動じず、むしろこれを好機として、一層の飛躍を成し遂げる国であります。
日本は、明るくなければなりません。幕末、我が国を訪れた外国人という外国人が、驚嘆とともに書きつけた記録の数々を通じて、わたしども日本人とは、決して豊かでないにもかかわらず、実によく笑い、微笑む国民だったことを知っています。この性質は、今に脈々受け継がれているはずであります。蘇らせなくてはなりません。
日本国と日本国民の行く末に、平和と安全を。人々の暮らしに、落ち着きと希望を。そして子どもたちの未来に、夢を。わたしは、これらをもたらし、盤石のものとすることに本務があると深く肝に銘じ、内閣総理大臣の職務に、一身をなげうって邁進する所存であります。
わたしは、悲観しません。
わたしは、日本と日本人の底力に、一点の疑問も抱いたことがありません。時代は、内外の政治と経済において、その変化に奔流の勢いを呈するが如くであります。しかし、わたしは、変化を乗り切って大きく脱皮する日本人の力を、どこまでも信じて疑いません。そしてわたしは、決して逃げません。
わたしは、自由民主党と公明党の連立政権の基盤に立ち、責任と実行力ある政治を行うことを、国民の皆様にお誓いします。
(中略)
緊急な上にも緊急の課題は、日本経済の立て直しであります。
これに、三段階を踏んで臨みます。当面は景気対策、中期的に財政再建、中長期的には、改革による経済成長。
第一段階は、景気対策です。
政府・与党には「安心実現のための緊急総合対策」があります。その名のとおり、物価高、景気後退の直撃を受けた人々や農林水産業・中小零細企業、雇用や医療に不安を感じる人々に、安心をもたらすとともに、改革を通じて経済成長を実現するものです。
今年度内に、定額減税を実施します。家計に対する緊急支援のためであります。米国経済と国際金融市場の行方から目を離さず、実体経済への影響を見定め、必要に応じ、更なる対応も弾力的に行います。
(中略)
第二段階は、財政再建です。
我が国は、巨額の借金を抱えており、経済や社会保障に悪い影響を与えないため、財政再建は、当然の課題です。国・地方の基礎的財政収支を黒字にする。二〇一一年度までに成し遂げると、目標を立てました。これを達成すべく、努力します。
しかし、目的と手段を混同してはなりません。財政再建は手段。目的は日本の繁栄です。経済成長なくして、財政再建はない。あり得ません。麻生内閣の目的は、日本経済の持続的で安定した繁栄にこそある。我が内閣は、これを基本線として踏み外さず、財政再建に取り組みます。
第三段階として、改革による成長を追い求めます。
改革による成長とは何でありましょうか。それは日本経済の王道をゆくことです。すなわち、新たな産業や技術を生み出すこと、それによって、新規の需要と雇用を生み出すことにほかなりません。「新経済成長戦略」を強力に推し進めます。
阻むものは何か、改革すべきものは何か。それは規制にあり、税制にある。廃すべきを廃し、改めるべきは改めます。
強みは何か。勤勉な国民であり、優れた科学と技術の力です。底力を解き放ちます。日本経済は、幾度となく厳しい試練に対して果敢に応じ、その都度、強くなってきました。再び、その時が来たのであります。
以上、三段階について申し上げました。めどをつけるには、大体三年。日本経済は全治三年、と申し上げます。三年で、日本は脱皮できる、せねばならぬと信じるものであります。
暮らしの安心について、申し上げます。
不満とは、行動のバネになる。不安とは、人をしてうつむかせ、立ちすくませる。実に忌むべきは、不安であります。国民の暮らしから不安を取り除き、強く、明るい日本を、再び我が物としなくてはなりません。
(中略)
今後日本の外交は、日米同盟から国連に軸足を移すといった発言が、民主党の幹部諸氏から聞こえてまいります。わたしは、日本国と日本国民の安寧にとって、日米同盟は、今日いささかもその重要性を失わないと考えます。事が国家・世界の安全保障に関わる場合、現在の国連は、少数国の方針で左右され得るなど、国運をそのままゆだね得る状況ではありません。
日米同盟と、国連と。両者をどう優先劣後させようとしているか。民主党には、日本国民と世界に対し、明確にする責任があると存じます。論拠と共に伺いたいと存じます。
第二に伺います。海上自衛隊によるインド洋での補給支援活動を、わたしは、我が国が、我が国の国益をかけ、我が国自身のためにしてきたものと考えてきました。テロとの闘いは、まだ到底出口が見えてまいりません。尊い犠牲を出しながら、幾多の国々はアフガニスタンへの関わりを、むしろ増やそうとしております。この時に当たって、国際社会の一員たる日本が、活動から手を引く選択はあり得ません。
(以下略)
個人的な感想を述べますと、現時点で最高の演説だと思います。非常に明快、わかりやすく、士気を鼓舞してくれるような演説です。
鳩山由紀夫第93代内閣総理大臣
あの暑い夏の総選挙の日から、すでに二か月が経とうとしています。また、私が内閣総理大臣の指名を受け、民主党、社会民主党、国民新党の三党連立政策合意の下に、新たな内閣を発足させてから、四十日が経とうとしています。
総選挙において、国民の皆さまは政権交代を選択されました。これは日本に民主主義が定着してから、実質的に初めてのことです。
長年続いた政治家と官僚のもたれ合いの関係、しがらみや既得権益によって機能しなくなった政治、年金や医療への心配、そして将来への不安など、「今の日本の政治をなんとかしてくれないと困る」という国民の声が、この政権交代をもたらしたのだと私は認識しております。その意味において、あの夏の総選挙の勝利者は国民一人ひとりです。その、一人ひとりの強い意思と熱い期待に応えるべく、私たちは「今こそ日本の歴史を変える」との意気込みで、国政の変革に取り組んでまいります。
この間、私たちは、新しい政権づくり、新しい政治の枠組みづくりに必死に取り組んでまいりました。その過程において、国民の皆さまの変革への期待を感ずる一方、「本当に変革なんてできるのだろうか」という疑いや、「政治なんて変わらない」「政治が変わっても、自分たちの生活は変わらない」というあきらめの感情が、いまだ強く国民の中にあることを痛感させられました。
ここまでの政治不信、国民の間に広がるあきらめの感情の責任は、必ずしも従来の与党だけにあったとは思っておりません。野党であった私たち自身も、自らの責任を自覚しながら問題の解決に取り組まなければならないと考えております。
ここに集まられた議員の皆さん。
私たちが全力を振り絞ってお互いに闘ったあの暑い夏の日々を思い出してください。皆さんが、全国の町や村、街頭や路地裏、山や海、学校や病院で、国民の皆さまから直接聞いた声を思い出してください。
議員の皆さん、皆さんが受け止めた、国民一人ひとりの願いを、互いにかみしめ、しっかりと、一緒に、実現していこうではありませんか。政党や政治家のためではなく、選挙のためでももちろんなく、真に国民のためになる議論を、力の限り、この国会でぶつけ合っていこうではありませんか。
変革の本番はまさにこれからです。今日を、その新たな出発の日としようではありませんか。
(中略)
政治もまた、国民の信頼を取り戻さなければなりません。政治資金をめぐる国民の皆さまのご批判を真摯に受け止め、政治家一人ひとりが襟を正し、透明性を確保することはもちろん、しがらみや既得権益といったものを根本から断ち切る政治を目指さなければなりません。私の政治資金の問題によって、政治への不信を持たれ、国民の皆さまにご迷惑をおかけしたことを、誠に申し訳なく思っております。今後、政治への信頼を取り戻せるよう、捜査に全面的に協力してまいります。
(中略)
私もまた、この夏の選挙戦では、日本列島を北から南まで訪ね、多くの国民の皆さまの期待と悲痛な叫びを耳にしてきました。
青森県に遊説に参った際、大勢の方々と握手させていただいた中で、私の手を離そうとしない、一人のおばあさんがいらっしゃいました。息子さんが職に就けず、自らのいのちを断つしか途がなかった、その哀しみを、そのおばあさんは私に対して切々と訴えられたのです。毎年三万人以上の方々のいのちが、絶望の中で断たれているのに、私も含め、政治にはその実感が乏しかったのではないか。おばあさんのその手の感触。その眼の中の悲しみ。私には忘れることができませんし、断じて忘れてはならない。社会の中に自らのささやかな「居場所」すら見つけることができず、いのちを断つ人が後を絶たない、しかも政治も行政もそのことに全く鈍感になっている、そのことの異常を正し、支え合いという日本の伝統を現代にふさわしいかたちで立て直すことが、私の第一の任務です。
かつて、多くの政治家は、「政治は弱者のためにある」と断言してまいりました。大きな政府とか小さな政府とか申し上げるその前に、政治には弱い立場の人々、少数の人々の視点が尊重されなければならない。そのことだけは、私の友愛政治の原点として、ここに宣言させていただきます。今回の選挙の結果は、このような「もっとも大切なこと」をおろそかにし続けてきた政治と行政に対する痛烈な批判であり、私どもはその声に謙虚に耳を傾け、真摯に取り組まなければならないと、決意を新たにしております。
本当の意味での「国民主権」の国づくりをするために必要なのは、まず、何よりも、人のいのちを大切にし、国民の生活を守る政治です。
かつて、高度経済成長の原動力となったのは、貧困から抜けだし、自らの生活や家族を守り、より安定した暮らしを実現したいという、国民の切実な思いでした。ところが、国民皆年金や国民皆保険の導入から約五十年が経った今、生活の安心、そして将来への安心が再び大きく揺らいでいます。これを早急に正さなければなりません。
(中略)
年金、医療、介護など社会保障制度への不信感からくる、将来への漠然とした不安を拭い去ると同時に、子ども手当の創設、ガソリン税の暫定税率の廃止、さらには高速道路の原則無料化など、家計を直接応援することによって、国民が安心して暮らせる「人間のための経済」への転換を図っていきます。そして物心両面から個人消費の拡大を目指してまいります。
(中略)
日本は、百四十年前、明治維新という一大変革を成し遂げた国であります。現在、鳩山内閣が取り組んでいることは、言わば、「無血の平成維新」です。今日の維新は、官僚依存から、国民への大政奉還であり、中央集権から地域・現場主権へ、島国から開かれた海洋国家への、国のかたちの変革の試みです。
新しい国づくりは、誰かに与えられるものではありません。現在の日本は、黒船という外圧もなければ、敗戦による焼け野原が眼前に広がるわけでもありません。そのような中で、変革を断行することは、先人の苦労に勝るとも劣らない大きな挑戦であります。
つまずくこともあるでしょう。頭を打つこともあるやもしれません。しかし、後世の歴史家から「二十一世紀の最初の十年が過ぎようとしていたあの時期に、三十年後、五十年後の日本を見据えた改革が断行された」と評価されるような、強く大きな志を持った政権を目指したいと思っています。
今なら間に合います。
これまで量的な成長を追い求めてきた日本が、従来の発想のまま成熟から衰退への路を辿るのか、それとも、新たな志と構想力をもって、成熟の先の新たなる飛躍と充実の路を見いだしていくのか、今、その選択の岐路に立っているのです。
私は、日本が正しい路を歩んでいけるよう、自らが先頭に立ち、国民の暮らしを守るための新たな政策を推し進めてまいります。私は、国民の積極的な政治や行政への参加を得て、国民とともに、本当の意味で歴史を変え、日本を飛躍へと導くために、全力を尽くしてまいります。
国民の皆さま、議員の皆さま、私たちの変革の挑戦にお力をお貸しください。
是非とも一緒に、新しい日本をつくっていこうではありませんか。
個人的な意見を言わさせていただければ、何を言いたいんだ?すべて理想ばかりじゃないかとしか言いようがありません。まったく現実が見えていないうえに、感動どころか、実際の出来事を振り返ればむしろ不安を煽ったのはどこの誰なんだと言いたくなります
管直人第94代内閣総理大臣
国民の皆さま、国会議員の皆さま、菅直人です。このたび、国会の指名により、内閣総理大臣の重責を担うこととなりました。国民の皆さまの期待に応えるべく、力の限りを尽くして頑張る覚悟です。
長きにわたる閉塞状況を打ち破って欲しい、多くの方々の、この強い思いにより、昨年夏、政権交代が実現しました。しかしながら、その後、「政治と金」の問題、さらに普天間基地移設をめぐる混乱により、当初いただいた政権への期待が大きく揺らぎました。私も、前内閣の一員として、こうした状況を防げなかった責任を痛感しています。鳩山前総理は、御自身と民主党の小沢前幹事長に関する「政治と金」の問題、そして普天間基地移設問題に対する責任を率直に認め、辞任という形で自らけじめをつけられました。
前総理の勇断を受け、政権を引き継ぐ私に課された最大の責務、それは、歴史的な政権交代の原点に立ち返って、この挫折を乗り越え、国民の皆さまの信頼を回復することです。
(中略)
第二の政策課題として、国民が未来に対し希望を持てる社会を築くため、経済・財政・社会保障を一体的に建て直します。九十年代初頭のバブル崩壊から約二十年、日本経済が低迷を続けた結果、国民はかつての自信を失い、将来への漠然とした不安に萎縮しています。国民の皆さまの、閉塞状況を打ち破って欲しいという期待に応えるのが、新内閣の任務です。この建て直しは、「第三の道」とも呼ぶべき新しい設計図によるものです。
(中略)
我が国が、憲法の前文にあるように、「国際社会において、名誉ある地位を占め」るための外交は、どうあるべきか。永井先生との議論を通じ、相手国に受動的に対応するだけでは外交は築かれないと学びました。この国をどういう国にしたいのか、時には自国のために代償を払う覚悟ができるか。国民一人ひとりがこうした責任を自覚し、それを背景に行われるのが外交であると考えます。
(中略)
これまで述べてきたように、私の内閣が果たすべき使命は、二十年近く続く閉塞状況を打ち破り、元気な日本を復活させることです。その道筋は、この所信表明演説で申し述べました。後は実行できるかどうかにかかっています。
(以下略)
ドラクエ用語を使えばラリホー状態に陥りますね。
つかコメントのしようがないんです。あまりにも空虚過ぎて。
管直人改造内閣
国民の皆さん、国会議員の皆さん、菅直人です。六月に政権を担って四か月、九月に民主党の代表に再選され、党と内閣の改造を行い、政権を本格稼働させる段階に入りました。「有言実行内閣」の出発です。何を実行するのか。一言で申せば、これまで先送りしてきた重要政策課題の実行です。経済低迷が二十年続き、失業率が増加し、自殺や孤独死が増え、少子高齢化対策が遅れるなど、社会の閉塞感が深まっています。この閉塞感に包まれた日本社会の現状に対して、どの政権に責任があったか問うている段階ではありません。先送りしてきた重要政策課題に今こそ着手し、これを、次の世代に遺さないで解決していかなければなりません。それが、「有言実行」に込めた私の覚悟です。解決すべき重要政策課題は、「経済成長」、「財政健全化」、「社会保障改革」の一体的実現、その前提としての「地域主権改革の推進」、そして、国民全体で取り組む「主体的な外交の展開」の五つです。本日は、この五つの課題について、私の考えを申し上げます。
(中略)
今日の国際社会は、安全保障面でも経済面等でも「歴史の分水嶺」とも呼ぶべき大きな変化に直面しています。新興国の台頭で、世界の力関係も変貌を遂げています。我が国周辺地域に存在する不確実性・不安定性は、予断を許しません。こうした国際情勢の下、天然資源・エネルギーや市場を海外に依存する我が国は、如何にして平和と繁栄を確保するのか。受動的に対応するだけでは不十分です。国民一人ひとりが自分の問題として捉え、国民全体で考える主体的で能動的な外交を展開していかなければなりません。その際、国を思い切って開き、世界の活力を積極的に取り込むとともに、国際社会が直面するグローバルな課題の解決に向け、先頭に立って貢献することが不可欠です。また、防衛計画の大綱の見直しに当たっては、真に役に立つ実効的な防衛力を整備するため、これからの時代にふさわしいものを、本年中に策定します。
(中略)
日中両国は、一衣帯水のお互いに重要な隣国であり、両国の関係はアジア太平洋地域、ひいては世界にとっても重要な関係だと認識しています。近年、中国の台頭については著しいものがありますが、透明性を欠いた国防力の強化や、インド洋から東シナ海に至る海洋活動の活発化には懸念を有しています。尖閣諸島は、歴史的にも国際法的にも我が国固有の領土であり、領土問題は存在しません。先般の事件は、我が国の国内法に則り粛々と処理したものです。中国には、国際社会の責任ある一員として、適切な役割と言動を期待します。日中両国間に様々な問題が生じたとしても、隣国同士として冷静に対処することが重要と考えます。日中関係全般については、アジア太平洋地域の平和と繁栄、経済分野での協力関係の進展を含め、大局的観点から戦略的互恵関係を深める日中双方の努力が不可欠です。
(中略)
以上の課題に臨む我々国会議員のあり方について、一言述べます。カネのかからないクリーンな政治の実現。国民の強い要望です。私自身の政治活動の原点です。民主党は、企業・団体献金の禁止、国会議員の定数削減について党内で徹底的に議論し、年内に方針を取りまとめたいと思います。その後、与野党間で協議し、まとめたいと思います。
本日、国会が召集されました。日本が現在抱える課題を解決し、次の世代に先送りしない責任を、国会議員が協力して果たせるか。国民の期待に応えることができるか。この国会が試金石となります。郵政改革法案、地球温暖化対策基本法案、労働者派遣法改正法案などの審議もお願いすることとなります。私は、今回の国会が、具体的な政策をつくり上げる「政策の国会」となるよう願っています。そのために、議論を深める「熟議の国会」にしていくよう努めます。結論を出す国会になるよう期待します。この場にいる我々を隔てるものは、どこに座っているかではありません。野党の皆さんにも真摯に説明を尽くし、この国の将来を真剣に考える方々と、誠実に議論していきます。そして、何とか合意できないか知恵を絞ります。国民に選ばれた国会議員が全力を尽くし、この国の政治を築いていく。真の国民主権の政治に向け、共に頑張りましょう。
あまりにも呆れ果てる内容でコメントすることすら億劫に感じます。特に支那、エネルギー問題、政治と金、どれをとっても反古したあとでこのような声明を出しても誰が信じられます?
尖閣漁船衝突「政府対応は不適切」7割、内閣支持率も急落48・5% 本社・FNN合同世論調査
いまだに50%近くも支持とは…まぁメディアの世論
操作調査なのであてにはできませんが。
ただ、鳩山政権以降、所信表明を見る限りでも、全治3年から、余命3年になったとしか思えないのですが気のせいでしょうか。というかすでに余命はあと2年としか思えません。
お聞きしたい点は
1)まじめで堅実に取り組む指揮官
2)当たり障りがない代わり、それなりの現実を見ている指揮官
3)強く明るくを信念に掲げ、失言もあったがそれ以上に人を鼓舞することができ、行動力のある指揮官
4)理想ばかりを並べ立て、やることなすこと一貫性もない指揮官
5)現実を見ていると言いながら実際の行動と発言が一致しない指揮官
今現在で必要とされている指揮官はどういう方でしょうか。追加も可能ですので忌憚なきご意見、お待ちしております。