3部に分けて日本国内における国産メーカーの販売がどうなったのかを検証してきましたが、この20年間で見ると先のブログで書いた様にほとんど売り上げは変わっていません。ただ内訳を見ると2003年以降、つまりグリーン化税制適用以降、普通車は確かに伸びましたが、全体的に見るとむしろ低下傾向であり、仮にこのグリーン化税制を維持したまま、消費税を導入したら1997年の時より更に売り上げが低下するのは火を見るより明らかだと思います。
またグリーン化税制適用した事により、確かに一部のメーカー、特にトヨタは恩恵を受けましたが、その反面、もったいないと言う精神を希薄にし、エコと言う大義名分のもと使い捨て社会に繋がったのではないかと思えます。他にもグリーン化税制、エコカー減税、エコカー補助金と言うのはカンフル剤にはなったとは言えど長期的にはあまり役に立っているとは言えず、むしろ行うべきは抜本的な税制改革ではないかと思います。
グリーン化税制を廃止する事で旧車と新車の共存は十分可能ですし、むしろ旧車を維持する事によりレトロフィットの技術や板金、リストア技術の向上にも繋がりますし、こういう分野での技術革新が行われる事で他の分野にも波及する=雇用対策にも繋がるのではないかと思います。
先ず最新のエンジンを動かす為には当然ながらECUが必要なのでエンジン開発は当然の事、電気、エレクトロニクス関係に波及しますし、排ガス関係では環境適応技術の向上、板金、リストア技術の向上は塗料、シート周り(紡織関係)、板金技術の向上にもつながるので当然ながらそういう面での雇用にも繋がると思います。また、日本の場合、部品供給が比較的短い期間で終わると聞きましたが、そういう体制も見直すべきだと思います。特に良く出る言葉が在庫維持は費用がかかると言われますが、現在、エンジン開発を見ると単独開発と言うのが減っており、2、3社で共同開発が定番となりつつ有ります。ならば、旧車も資産である以上、日本メーカーが共同出資して旧車の部品を作る会社を作るのも一つの手では無いのでしょうか。むしろ大量生産ではなく、少数生産、受注生産を基軸とすることでビジネスは成り立つと思います。
抜本的な税制改革を行う事で新車を買う人、あるいは今有る車を維持したい人にも恩恵は当然あります。ただ、これらを同時に行うには何よりも
景気回復
では無いのでしょうか。今回は自動車と言う分野に特化しましたが、税金、景気回復、規制、これら全て
政治、政治力
に繋がっております。曲がりなりにもこうやってカーライフがなんとか続けられるのはやはり今までの政治の積み重ねがあり、政治が比較的安定しているからに他なりません。
今の様にデフレ時に増税なんか行ったら更にデフレが悪化するだけですし、ましてや車を購入したり、維持したりするのも難しくなると思います。
少々、話が脱線しましたが、今の様に何かとエコと言う言葉に踊らされていい物でしょうか?
今、自動車メーカーが行うべきは新しい車を短いスパンで出し、短い期間で開発費用を回収すると言うやり方ではなく、如何に長期に渡ってファンになってもらえる車作りこそ、課題ではないかと思います。
例えばマツダですが、この20年間売り上げは若干下降気味であるにも関わらず比較的抑えられているかと言うと
初代アテンザが発売されて以来、一貫としてZoom-Zoom戦略を継続しております。つまり乗って楽しい車を作るだけでなく、マツダのファンになって欲しいと言うのをこれらの動画に含まれております。つまり
このZoom-zoom精神は今でも宿っている事になります。
また最近の輸入車ではこんなCMも
http://youtu.be/1r7naQ5NAZI
残念ながら埋め込みは不可能となっておりますが、内容的には
良い物を長く使うそれが本当のエコ。VWにしませんか?
日本メーカーの人たちは悔しくないんですかね?このCMは色々な意味でのアンチテーゼとなっており
1)日本の買い替えるエコブームに一石を投じている
2)VWこそ良い物であって、日本車は駄作と臭わせている
1に関しては
このCMを真っ向から批判していますし(当然の事ですが)
2に関しては今の日本車に魅力などない、だからVWを体験してみませんかって事なんですよ。安ければ良いと言う時代はもう終焉を迎えつつ有るのですから。
むしろこれからは大量の安物を作るのではなく
40年近く、進化させながらも駆け抜ける喜びを追求するBMW 3シリーズ
これまた40年近く、進化させながらもハッチバックの王道を貫くVW Golfの様に長期にわたって愛される車を作る事こそ、今の日本メーカーに求められている事ではないのでしょうか。
そういう点では豊田章男氏になってから
カローラを原点回帰させ、コンパクトにし家族の為の車を作り上げたのは評価します。また、奥田一派の時代にカローラなんて名前はオールドファッションだからやめようって言った際に反発した技術者達に敬意を表しますよ。
それこそゴルフや3シリーズって呼称は古くないのかってなりますからね。
つまりは良い物は時代を超えても良い物であるんですよ。その良い例が先に取り上げた約100万キロ走り続けている三菱のパジェロだったり、100万キロ以上乗り続けた(ている?)メルセデスベンツだったり
参考:
車は長く乗り続けたい ベンツ:25年以上乗り続けたオーナーに聞く 100万キロ走破も
するんですよ。つまり旧車に乗っているから新車が売れないなんて言うのは単なる詭弁ですし、新車を買いたい人は買うんですから、いい加減、こういうインチキな税制をやめるべきですし、それに、その車がどうしようもなくなった場合は大抵は同じメーカーで買い替えたりするのですから。これも約100万キロ走行のパジェロオーナーで実証済みなのですから
> それまで三菱ギャランに乗っていて、週末だけ運転していた先生が、この山の中に開校することを決め、準備を始めた1988年にパジェロに乗り換えた。
> 一昨年、パジェロロングディーゼルを一台購入した。新世代のクリーンディーゼルが決め手となった。長距離はこちらに任せ、97万kmは近くを走るように乗り分けるようにした。
> 新しいパジェロの走行距離は、もうすでに8万kmに達しているのは、毎週のグランドツアーがいかに距離を延ばしているかの証拠だ。
要は如何にその車とメーカーにファンになってもらえるかで売り上げは左右されてくると思います。むしろ今みたいに、何でもすぐ乗り換えろなんて言う風潮の方がおかしいのですから。
それにディーラーでは出来ない事、頼みにくい事、あるいはディーラーでは高くつきすぎる物に関してはサードパーティの会社で出来るのですから。具体例としては
1)
村上タイヤさん:旧車向けのタイヤ販売、取り付け
2)
タイヤ館松本さん:エアコンガスクリーニングやヘッドライトクリーニング
3)アユミデンキさん:電装系全般(純正クルーズコントロール取り付けやオーディオ周り、コーディング等)
つまりは共存出来ると言う証明なんですよ。
今一度、カーライフとはなんなのか考え直してみるのも良いと思うのは自分だけでしょうか。