【新たな「冤罪」】PC遠隔操作の恐怖(中) 早期の「白旗」、先延ばし批判回避
「真犯人でない方を逮捕した可能性は、高いと考えている」
遠隔操作ウイルス事件で18日、会見の席でこう述べて、誤認逮捕を事実上認めた警察庁の片桐裕長官。4都府県警が、逮捕した4人に対する捜査の検証を進める中、警察トップが早々に“白旗”をあげたことの意味は、4人の名誉回復を早期に図ろうというものだ。
ある警察幹部は「捜査の適否をしっかり調査し、教訓にすべき点があれば教訓とするという意味で、検証はきちんと行うべきだが、誤認逮捕という結論を先延ばしにしている印象を国民に与えるのは、警察全体としてよくないということもあります」と解説する。
一方、事件は検察内部でも、衝撃を持って受け止められている。お茶の水女子大付属幼稚園に脅迫メールを送ったとして、威力業務妨害容疑で警視庁に逮捕された男性(28)を釈放した理由を、東京地検幹部は「一般論では、やはり刑事罰を与えるということはかなり重い処分だから、慎重にして、しすぎることはないということだ」と話す。「ただ、想定外の事態が起きたことも事実」と述べ、遠隔操作という新たな犯罪に、検察も対処できなかった苦悩を吐露した。
■遅れる法規制
「先進国の中でみても、日本はネット犯罪の法規制など対策が圧倒的に遅れている。『通信の自由』は保障されるべきだが、それを『錦の御旗』のように掲げて法規制を骨抜きにしようとする官僚が政府部内にいるのでは、話にならない」
ネット規制の法制化にかかわった経験のある警察関係者は、こう語気を強める。これは、インターネットを「省益」ととらえて、ネット対策の主導権をやみくもに握ろうとする一部省庁を揶揄した言葉だ。こうした動きが、結果的に対策を遅らせているという。
日進月歩で“進化”するネット犯罪。平成22年8月に作成者が逮捕されたイカタコウイルスなど、悪質なコンピューターウイルスが次々と生み出されている中で起きた遠隔操作ウイルス事件に警察、検察は「想定外」と口をそろえるが、ネット社会に生きるエンジニアなどは「起きて当然」との受け止め方が一般的だ。
米国のネット犯罪事情に詳しい警察OBは「米国は国家戦略として、大手コンピューターソフト会社と組んで、ネット社会を取り締まっている。どんなソフトにも、開発者にしかわからない部分があるので、ソフトの『裏』の仕様まで知ることができる米国の捜査機関は強い。日本とは大違いだ」と現状を嘆く。
■「萎縮するな」
「真犯人」が犯行声明で「警察・検察の醜態をさらさせたかった」と動機をつづったように、今回の事件には警察、検察ともに翻弄された。最高検関係者は「IPアドレスは、これまで堅い証拠とされてきた。さらに容疑を認めたのならば、起訴できる要件が整ったといえる。それでもこうしたことが起きた以上、検察でも、供述や証拠をよくよくチェックするという姿勢で臨まなくてはならない」と言葉少なに語る。
一方で警察、検察ともに「これを契機に、取り調べの際に現場が萎縮することがあってはならない」とも強調する。誤認逮捕なのに容疑を認めた人がいる以上、取り調べに問題があったことは間違いない。冤罪で逮捕された人たちへの謝罪も早急に行われるべきだが、捜査現場が萎縮して、犯罪者を野放しにする事態は避けなければならない。
警視庁幹部が語る。
「私たちがなすべきことは、何としてでも『真犯人』を逮捕することだと、考えています」
産経新聞より
遠隔操作と言うのはかなり前からある技術であります。
例えばUNIXユーザーなら馴染みのあるTelnet。これ、要はホストコンピュータに接続してコマンド入力でサーバーの管理や保守作業ができるものです。比較的新しい例を上げればMicrosoft Remote Desktop、この技術を使えば遠隔からWindowsのデスクトップが現れるのでインターネットさえ繋がっていれば自宅から会社の自分の端末を操作するということも可能です。
本来遠隔操作と言うのはその場に行かなくともメンテナンスや作業をするために作られた技術なのですが、便利なものは必ず悪用されたりします。今回のこのウイルスにしても要はIESYS.EXEというプログラムを起動時から常駐させ、遠隔からそのパソコンをコントロールするというものなので開発が出来る人にとってはとりわけプログラム自体はそんなに難しいものではないのですし、また既に存在するものを改良することにより亜種がいくらでも出来るようなものです。
むしろそういう技術を知らなかったということが問題ですし、そういうのは規制云々よりもまずは教育することが重要なのですが、なぜか…
> 「先進国の中でみても、日本はネット犯罪の法規制など対策が圧倒的に遅れている。『通信の自由』は保障されるべきだが、それを『錦の御旗』のように掲げて法規制を骨抜きにしようとする官僚が政府部内にいるのでは、話にならない」
官僚のせいになったり
> ネット規制の法制化にかかわった経験のある警察関係者は、こう語気を強める。これは、インターネットを「省益」ととらえて、ネット対策の主導権をやみくもに握ろうとする一部省庁を揶揄した言葉だ。こうした動きが、結果的に対策を遅らせているという。
まるで規制が無いのが悪いなんて言い方すらしています。
> 米国のネット犯罪事情に詳しい警察OBは「米国は国家戦略として、大手コンピューターソフト会社と組んで、ネット社会を取り締まっている。どんなソフトにも、開発者にしかわからない部分があるので、ソフトの『裏』の仕様まで知ることができる米国の捜査機関は強い。日本とは大違いだ」と現状を嘆く。
さもアメリカはネット社会を取り締まっているなんて言ってますが、冗談ですかと?
アメリカのFBIとかが対処ができているのは元ネット犯罪に関わったクラッカーを警察側に取り込んで、捜査に協力させているからであって、こういうウイルスの配布サイトが多いのはそのアメリカ自身なのですから、全く論点がずれていますし、そもそも規制こそ正義だというのは如何なものかと。
まずはそういうネット犯罪に特化した部署を設けて、それに携わる警官を教育し、対処するのが筋なのですが、どうも、規制すれば犯罪が減るなんて思ったら大間違いなんですけどね。
何しろこういうのを使う連中はだいたい海外のコンピューター経由で遠隔操作するのでいくら日本で規制しても海外のコンピューターにアクセスなり情報開示なり、あるいは海外の警察と連携できなければ全く無意味ですし、日本国内で直接操作をしようというのは所謂Script Kiddiesと言われてる、クラッカー初心者がやることなんですから。
第一、この真犯人が絶対に日本国内に居るという保証もないのですし、いたとしても大抵はあとが見つけにくいように海外の匿名サーバーを経由して操作するのが筋なんですから。そういう事も理解せずにただ規制強化だなんて言うのは愚の骨頂だとしか言い用がありません。
身近な例を上げればみなさんもお使いかと思われる包丁、あれって料理では必須ですよね。でも使い方次第では刺殺のための武器にもなるのですから。じゃあ包丁で殺人が起きたから規制しようなんて言っても無理がありますよね?どうやって料理するんだよってなりますから。
あるいは車、移動やものや人を運ぶには最高のツールですが、車で人が集まってるところに80Kmで突っ込んだら武器になりますよね?じゃあ自動車による殺人事件が起きたら規制しますか?このご時世に出来る訳ありません。
ではこういう遠隔操作が問題だから規制するとなると手段としては
1)所謂シナと同じように金楯みたいなのを設けて海外からのアクセスは徹底的にフィルタリングやシャットアウトして日本版インターネットに特化する
2)インターネットをやめてかつてのようなパソコン通信やキャプテンシステムみたいなクローズドなものだけにする
3)パソコンの販売を禁止する
こんなことできるわけ無いでしょう。むしろ、警察自体が対処できなかったのですから警察が対処できるように仕向けるのが本来行うべきであって、ただでさえ、冤罪が起きかねないダウンロード禁止法の罰則化の様なわけのわからない法案があるのですから、これ以上、無意味な規制を作れなんて煽るべきではないと思います。
警察に至ってはまずは操作の立て直しを測り、ISPやNTT側に事件が起きる前後のログを開示してもらう事から始めないと真犯人はどこからアクセスしたのかすらわからないわけですから。特にこういう変なプログラムの場合、特殊なポート番号を使っているはずなのですから。
ちなみにポート番号と言うのは砕けた言い方をすると駅の何番ホームとか空港の何番ゲートというのに相当します。
例えばたいていのWebページのポート番号は80番(HTTP)か443番(HTTPS)が使われています。80番というのは平文通信で、443番は暗号化通信に使われています。
あんまり技術的な話をすると長いので(ただでさえ長くて読みにくいブログなのに)詳細は割愛しますがものすごく簡単に説明すると
例:ここみんカラ(https://minkara.carview.co.jp)に見に行く際の流れ
1)ブラウザにhttps://minkara.carview.co.jpと入力しリターンキーを押す(=通信を開始する)
2)minkara.carview.co.jpというのをとてつもない電話帳みたいなのを使ってIPアドレス([61.121.200.38])に変換する(DNSにIPアドレスを問い合わせる)
3)2で出たIPアドレスに接続する(接続できた時点で接続元のIPアドレスも解る)
4)httpと書かれているので80番ゲートに向かい情報をリクエストする
5)反応がでたら元のリクエスト元のコンピューターにデータを送る(文章や画像など)
これが一般的な流れです。
双方向通信なので接続する側、される側、何方のIPアドレスもわかっていますしサーバーにたどり着くには幾つものルーター等の通信機器を経由しますので、必ずどこかに記録が残っています。IPアドレスが分かるとある程度場所も特定できますし、所謂グローバルIPアドレスというのは一つしか無いです。それで警察はIPアドレスがわかれば云々と言って特定できたと思ってたわけです。今回の様な場合は必ずこの犯行が起きる前にこのパソコンにアクセスするために接続しているわけですからこういうところも犯罪時間前後のグローバルIPアドレスを調べられるような体制にすることこそが冤罪にしないための法整備であってさらなる規制は日本のネット環境を更に劣悪化させるだけです。
長々と書き連ねてしまいましたが、どういう流れで起きるのか、なぜ安易な規制には反対なのかを理解して頂きたいと思ったのであえて専門的なことではありますがご説明したいと思いました。