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2012年05月19日

筑波最終コーナーの極秘ライン ~ミラージュF第3戦に学習効果を問う~

筑波最終コーナーの極秘ライン ~ミラージュF第3戦に学習効果を問う~  最初に、ガンさんと中谷クンから特別に伝授された秘法を、今回もまた生かすことができなかった、という情けない話から始めよう。

 富士SWにくらべると、筑波のように、ストレートが短く、Rの小さいコーナーが連続するサーキットは、予選の順位がレースの趨勢を、大きく支配してしまう。
 それもそのはず、スリップストリームを使う機会は少ないし、勝負を賭けるコーナーは、第1コーナー、第1ヘアピン、ダンロップブリッジ下、第2ヘアピン、最終コーナーの5つで、ワンメイクスともなれば、性能の差はほとんどないし、あとは僅かな技量の差で、特にコーナーの立ち上がりを大事にする以外にない――というのが、専門家の分析である。
 にもかかわらず、ぼくの場合、筑波での予選順位が、致命的に悪かった。


*スタート直後の第1コーナーはご覧のようなラッシュ状態

 ミラージュカップ・フレッシュマン戦は全部で5戦が用意されていた。そのうち、第2戦だけが富士SWで、残りの4戦はすべて筑波なのだ。すでに、ぼくが得意とする富士SWは消化済みで、上位入賞を念願するぼくは、ともかく筑波を征服しないことには話にならないのだが、どうにもうまくいかない。

 まず第1戦は、PPの秋谷幸彦が1分11秒20(決勝7位)だったのにくらべて、ぼくはほとんど4秒の差をつけられて15位(決勝12位)。まあ、新しいエンジンに当たりをつける時間もなく参戦した酬いだと言い訳できたとしても、なんとも情けない結果であった。

 ちなみに、富士の第2戦は、PP辻村寿和=1分54秒71、正岡=1分56秒39で、その差は、筑波とは2倍以上の周回距離にもかかわらず、1秒63に過ぎない。距離にして45メートルか。

 そして1986年6月15日の第3戦は、シリーズポイントで上位につけるためには、重要なレースであるのだが、予選順位は出走27台中、18位に低迷してしまった。

 PP福井守生、1分10秒51、ぼくは前回より2秒近くタイムを縮めて、1分13秒22。それでも2秒61の大差なのである。その差は、いったいどこから来るのだろうか?

 正直な話、この第3戦には大いなる自信をもって、予選に臨んだ。例のごとく、わが師、黒沢ガンさんにしつこくつきまとって、「筑波攻略」の秘訣を聞き出した上に、いまやハコのレースなら(いやいや、過日の鈴鹿JPSのF3でもシュアな走りを見せてフォーミュラーもいけると評判である)向かうところに敵なしの中谷明彦クンからも、とっておきの極秘ラインを伝授されていたのである。加えて、2戦を消化してエンジンは絶好調、足回りもテスト&サービスの宇賀神大先生の絶妙なセッティングでバッチリ、「これで予選上位に入れなければ引退ものだよ」と、周りの親衛隊にもハッパをかけられていた。にもかかわらず――。


*最終コーナーへ飛び込む武器は度胸ではなく、知性だった!

 予選出走直前のぼくは、コックピットにガッチリ縛りつけられながら、自分にこう言い聞かせていた。

「いいか、最終コーナー(100Rと90Rの複合で、立ち上がりポイントのグリーンが小さい上に、400mのバックストレートを全開で駆け抜け、いざコーナー突入となると、スポンジバリアの向こうが観客席で、まるで壁のように見えて、たいへん度胸のいるコーナーなのだ)は富士SWの100Rよりやさしいのだ。ガンさんが教えてくれたじゃないか。富士は下り勾配からのブレーキング、筑波はフラット。だとしたら、答えは簡単でしょ! 
 その通りだ。最終コーナー恐れるなかれ!」と。

 オフィシャルの誘導で、コースインがはじまった。と、左右2列、前から順番に並んだというのに、長い列となった左側のマシンを優先させているではないか。おい、それはちょっと困るじゃないか。予選時間はわずか10分間。せっかく右側の前列に並んで、素早くコースインできるよう構えた作戦は水の泡。つまり、走行時間が先に入ったマシンより1分近く少ない勘定になる。

 カーッと血が頭にのぼるのがわかった。とはいえ、耐火マスクにヘルメットをかぶったぼくの抗議の声がオフィシャルまで届くわけもなく、予選は開始されてしまったのだ。

 冷静さを欠いた男に、余裕などあるはずもない。コースインするや否や、先行車に少しでも追いつくべく、アクセルを踏む。#25下里吉浩と⑪秋谷がダンロップ下でゆっくり駆け引きをはじめたのを目にしながら、彼らを利用する計算もできずに、先行する黄色いマシン#32中田雅久のお尻を追いかけてしまった。


*第1ヘアピンで競う⑩井上弥生ちゃんと、われらがホープ、白石隆クン。フロントカウルを割ってしまったらいくらかかるか!?

 2周目、#32が第1コーナーのアプローチをミスしたのに乗じて、あっさり前へ。3周目、ダンロップ下でスピンした#37白石隆をパス。1台として、ぼくを追い抜こうとするものもいない。快調だ! ところが、ピットからのサインでは13秒台に過ぎない。他車はもっと遅いのかな? 暢気なことを考えているうちに、バックミラーに#37白石が大きくなり、さかんにコーナーの入り口で、仕掛けてくるではないか。

 もう、そうなると、中谷クンの教えてくれたラインも、ガンさんのアドバイスも、ぼくの頭の中からあっさり霧散し、#37とのバトルに夢中になってしまったのだから、どうしようもないね。

■レース2戦目の新人に追いまくられて

 午後1時30分。スタートの位置につくべく、ぼくらはパドックからマシンを押していた。あまりの予選結果のだらしなさからか、メカの坪井、高橋両君、手伝いのマツダ、粕谷俊二両青年のマシンを押す仕草に、力強さとか、弾みといったパワーが感じられない。
 さて――信号は青に! 第1コーナーで黄色いマシンが背後から襲いかかってきた。#32の中田だ! 前戦の富士ではぼくのほうが競り勝った相手だ。負けてたまるか。が、あっさり、S字でパスされてしまう。⑭保田薫がしつこくつきまとう。それでも第2ヘアピンからバックストレートで白いマシンを2台パス。

 最終コーナー。ぼくの視線は左側の50の看板を見る悪癖を出さないよう、インのある目標へむけられる。これは最終コーナーの壁を意識しないですむ大切なポイントである。 充分に、ミラージュのフロントに荷重をかけ、ぼくは100Rへ飛び込んだ。また1台、パスしたぞ。保田ははるか後方に退いたようだ。

*予選アタックで前を塞いでくれた27番の高橋一仁選手

*妙にウマが合った中年トリオ。左から照沼、後藤、そしてボク。
 
3周、4周。いつの間にやら、あの#37白石が背後にはりついている。こりゃ、予選の二の舞だ。果敢に#37がコーナーの入り口でタイヤをきしませながら、ぼくのインをとろうとする。それをがっちりブロックすることに気をとられ、マシンはアンダー気味に大きくふくらんでいく。が、パスされるまでにはいたらない。

 そんなやりとりで12周目に入った。残りは3周しかない。目標としていた⑨後藤政規の黒いマシンはコーナー一つ分、先行している。なんとかせねば!

 で、最終コーナー。いつものブレーキングポイントを変えることにした。アクセルオフを早めにし、ブレーキングはコーナーの奥に入ったところで、ガツーンと。37はぼくの動きが見えるわけがない。ぼくのマシンのブレーキランプがそれまでと異なるポイントで点いたから慌てたらしい。ハーフスピンを起こしてしまった。で、脱落。それにしてもぼくを追いまわした#37は、この日のレースが2戦目だという。若い人の、なんと進歩の早いことか。 

 15周のレースは終わった。どうやら14位までポジションをあげたものの、前戦ではぼくの後塵を浴びてくれた⑲鈴木哲夫が3位に入賞したのに比べれば、なんとも寂しい結果ではないか。

これで3戦を終了して、ぼくはシリーズポイント12位に(因みに10位になると賞金10万円である)。あと2戦でどれくらい順位をアップできるだろうか。やはり、もっと走りこんで筑波をマスターするほかなさそうだ。次戦のミラージュカップは7月20日、同じ筑波である。


*ミラージュCUP&VWゴルフ・ポカール、それぞれの正式結果
 それにしても、この筑波の1日くらい、晴れがましい「サーキット・ライフ」を堪能したことはなかった。なにしろ、ミラージュCUPとVWゴルフのポカールレース、二つのワンメークレースが一緒になって催されたのだから。コースのインフィールドにある芝生広場には、それぞれのテントが張られ、参加者も関係者もそこで食事をしたり、レース観戦をしたり、おしゃべりを楽しんだり……さながらモータースポーツ界の社交サロンのようだった。それだけ、自動車メーカーが力を入れていたというわけだ。


*筑波の社交サロンに顔を見せた徳大寺有恒と大川悠(元・二玄社/NAVI創刊編集長)の両氏

*女豹のごとき疾さでデビューした松本和子嬢、次の年からミラージュCUPへ!

 当日のVWポカールレースの模様を、ベストカーでは、特にページをさいてぼくがレポートしているので、次回はそれを紹介してみたい。なにしろ、改めてエントリーリストを見てみると、その顔ぶれがすごい。中谷明彦、清水和夫、小幡栄、岩城滉一、稲垣潤一、それに「みんカラ」SPECIAL BLOGでおなじみの吉田匠の各選手。
 それに混じって、小林里江、松本和子の名前も。おお、そうだ。あの日が松本和子嬢のデビュー戦だったはず。次回はタップリそのへんを!

ブログ一覧 | ミラージュCUP 闘走の記憶 | 日記
Posted at 2012/05/19 05:13:23

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この記事へのコメント

2012年5月19日 10:09
おはようございます。

当時のサーキットの様子が伝わりますね!
みなさん、スタートをすれば真剣にレースで競い合い、ゴール後はそれぞれの楽しみ方で過ごす。
こういう楽しみがまさにレースであり、文化だと思います。

「継続は力なり」という言葉のとおり、このようなレースが継続して現代でも残っていれば、日本のモータースポーツ(自動車文化)も、また違ったものになっていたのでしょうね…

若者の自動車離れなんて、考えられない時代でしたね。
コメントへの返答
2012年5月19日 11:33
こんにちは。箱根も快晴ですか。

おっしゃる通り、この国の自動車文化とのかかわりです。

もっと心、懐ろにゆとりがあれば、違っていたでしょうね。焦らず、こんな世界があるんだよ、と伝えていこうと願っています。
2012年5月19日 15:34
アンダー覚悟で1ヘアに突っ込んでますね〜。

もっとも、この頃の僕には、アンダーとかオーバーとかの概念すらありませんでしたが、、(笑

局長、一カ所訂正?が、、、

僕と争ってるのは#10ですから、井上弥生さんではないでしょうか?後藤サンは#9です。
コメントへの返答
2012年5月19日 16:12
だよね。マシンの色から、真田さんのところのものだな、、後で調べようと思っていました。
間違いなく、中村誠さんのところから出た弥生さんです。早速訂正。

そ、ドアンダーもいいところだけど、気合が感じられる。いいね。

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何シテル?   08/21 12:43
1959年、講談社入社。週刊現代創刊メンバーのひとり。1974年、総合誌「月刊現代」編集長就任。1977年、当時の講談社の方針によりジョイント・ベンチャー開...
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