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2014年03月23日

素顔のシンガポールF1市街地コース

素顔のシンガポールF1市街地コース
〜ちょっと気儘な『ぶらり、さんぽ旅』②〜

 ちょうど2年前のことだった。五木寛之さんのCar-action小説『疾れ!逆ハンぐれん隊』の電子書籍化にあたって、そのPart7『サザンクロスを追え』の舞台設定がシンガポールとあって、東京・日比谷のシンガポール政府観光局を訪れた。

 各章のはじまる扉ページに、シンガポールの雰囲気を盛り上げるための写真を借り出すためだった。シンガポール政府観光局は快く公式ホームページのPhoto boxから、好きなものを選べるようID取得の手続きを、即刻、進めてくれた。


*シンガポール政府観光局のPhoto boxからいただいたF!グランプリの夜景


*このアングルはどのポイントからだろうか?

 さまざまなシンガポールの魅惑の表情を伝えるものの中から、真っ先に選んだのは2枚のシンガポールF1グランプリのカットである。ナイトレースというのが、なによりのチャームポイントで、夜空に浮かぶ大観覧車と真下を走る白い光の筋が、シンガポールF1レースの特異ブリを表現している。もう1枚はS字シケインを抜けるF1マシンを真上から捉えているものだった。それにしても、と思った。政府の観光客誘致活動の主軸の一つに「F1」を据えている現実が確実にうかがえる。なにしろ開催費用の60%を負担し、F1開催期間に限って一般路を封鎖し、ベイエリアの中心地に特設市街地サーキットを出現させたほどである。

 願わくは、一度でいいから、わが目、わが耳で「ほんもの」を確かめたい。その想いを温めたまま、23年ぶりのシンガポールにやってきたものの、F1開催は9月19〜21日である。ま、今回はその下調べさ、とおのれに言い聞かせながら、マーライオンやマリーナベイ・サンズよりも、ベイエリアのどこからでも見える観覧車(シンガポール・フライヤー)にいつ乗ってやろうか、とムズムズしながら、頃合いを測っていたのだ。




*メイン通りのオーチャードから一歩踏み込むと、このエメラルド・ヒルと呼ばれる一帯が。プラナカン一族の邸宅がきれいに並んでいる。

 それでも、シンガポールの多民族・混合文化のルーツに触れるプラナカン・ミュージアムや、その人々の暮らすカトン地区や、オーチャード通りの真裏にあるエメラルド・ヒル居住区のぶらぶら歩きを楽しんでいる間に、いよいよ、この赤道直下の街から飛び立つ日がやってきてしまう……。

 この街に滞在できた最後の日、やっとラッフルズ・ホテルでのアフターヌーン・ティーを味わったところで、クルマで「シンガポール・フライヤー」を目指した。




*ラッフルズ・アベニューを海側へ進む。これはF1コースを逆走している形だ。




 いまにも雨に見舞われそうな暗い空。これはいかん、折角の空中散歩も雲の中からでは意味がない。ラッフルズ・アベニューを直進する。正面にマリーナベイ・サンズの独特な姿が浮かんでいる。すぐにピンと来た。この通りこそ、F1開催時には閉鎖され、時速300kmをマークする、もっともスピードの上がるセクションではないか、と。そのコースを逆走する形で、わたしは走っているわけだ。それならば、すぐに左に折れて行く……と気づいた瞬間、きり込んだフロント・ノーズの向こうに高さ165mの大観覧車がぽっこりと顔を出してくれた。



 10分後、わたしは空中のガラス張りゴンドラの中にいた。一望のもとにシンガポールが広がる。定員28名でゴンドラの数も28個。なんでも風水にこだわった縁起のいい数字だという。が、入場料というか、乗船料のほうもかなりお高く、大人で33シンガポールドル(2500円強)、子どもとシニアが21シンガポールドル(約1700円)。設計者は、あの黒川紀章さん(2007年に物故)。完成がシンガポールF1の誘致された2008年の3月だから、残念ながら黒川さんは、完成した姿をご覧になることはかなわなかったわけだ。







 まことにゆったりとゴンドラは円を描いて移動して行く。注文すれば名物のシンガポール・スリングを飲みながら夜景を楽しむこともできるという。が、こちらは、持参したF1コース図と、眼下に広がる景色とを重ね合わせる作業に夢中で、それどころではなかった。

 おお、あれが第1コーナーで、すぐにS字となって、あの大きな茂みのところでこちらへ向かってUターンか、と納得しながら、今度は目を市街地の方角に移しはじめたところで、真っ黒な雲が、こちらへ向かって突進してくるのに気づいた。

 激しくカプセル状のゴンドラの窓ガラスを叩く雨粒。とにかく、ここは肚を決めて、南国の気まぐれなシャワーのサービスの終わるのを、待っているしかなかった。
                       (以下、次回更新まで)

ブログ一覧 | 78歳の挑戦 | 日記
Posted at 2014/03/23 23:14:13

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この記事へのコメント

2014年3月24日 6:57
ゴンドラがカッコイイ!!
コメントへの返答
2014年3月24日 9:15
内部はテーブル付きのと、何もないのとがあって、前者は飲食しながら、外の景色を楽しむことができます。1周30分。F!開催中も乗れますが、このときのお値段はいくらだとおもいますか?
2014年3月24日 9:57
F1特価で2倍の5000円前後かと推測!
コメントへの返答
2014年3月24日 10:00
その答えは次回に!(笑い)
2014年3月24日 21:31
こんばんは。今日アパートを引き払い、明日卒業式です。

このゴンドラ、乗りました。私の場合は現地の係員から安く手に入れました。値段はあんまり覚えていません(笑)。
そんなことよりも、海を見渡した際に大型船が大量に行きかっており「貿易地」としての一面を思い出したのが印象的です。

黒川さんの設計でしたか!!だからゴンドラも日本の三菱重工製だったのですか!!
そういえば隣国のマレーシアのクアラルンプール国際空港も氏の設計らしいです。
コメントへの返答
2014年3月24日 22:29
いよいよ、新しい出発(たびだち)ですね。期待しています。
そう、ゴンドラも三菱重工製でした。

それにしても、こんな極端な消費一辺倒の街は見たことがない。その状態を悠々とこなしているのが、なんとも憎らしいね。どうして東京はこんなにも差を付けられたのか。答えははっきりしているよ。

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「私より一つ年上の小山正明さん(剛球で鳴った村山実と並んで精密機械と呼ばれた虎のエース)の訃報を敵地DeNAとの実況中継で知らせれた。同世代の星がまた一つ堕ちた。ゲームは森下の一発が前夜の大山弾と同じ左翼応援団席に落ちたところで勝負あり! 近本がつなぎ中野拓夢が返した後の逆転劇。」
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1959年、講談社入社。週刊現代創刊メンバーのひとり。1974年、総合誌「月刊現代」編集長就任。1977年、当時の講談社の方針によりジョイント・ベンチャー開...
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