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正岡貞雄のブログ一覧

2011年07月04日 イイね!

ノンフィクション作家 佐野眞一さん

このところ、積極的に「逢いたい人」に、お目にかかり、めったに聴けない話を伺っています。

本来なら、べスモの「思い出」に書き込みを寄せていただいた方々を、ぼくなりの選び方でピックアップし、紹介させていただこうと取りかかったのですが、なにしろ200通をこえる、それぞれの想い。
全部、読み終えるのに、もう少し、時間を頂戴します。



で、時には趣きを変えて、《人物訪問》のコーナーを挟むことにします。そのトップバッターは、ノンフィクション界の実力者・佐野眞一さんです。お目にかかるのは初めてですが、民俗学者・宮本常一と渋沢敬三との交流を描いた「旅する巨人」という作品に触れて以来、ずっと気になっていた作家のひとりでした。近著「津波と原発」(講談社刊)は凄かった。


 
  曳舟駅で各駅停車に乗り換えるとき、プラットホームの真正面に!


その佐野さんの講演があるから聴きに来ないか、と「日向読書会」から誘いを受けたのです。会場の東向島へは、地下鉄大江戸線と東武東上線を乗り継いで。清澄白河とか、曳舟とか、雅びな趣きをたたえる駅名を過ぎて、やっと会場にたどり着いた時は、もう佐野さんの講演は始まっていて、120人を超す聴衆で、座る椅子もないほどの盛況ぶり。

話題は、東電のもつ「隠ぺい体質」を本当に暴けるのは、大文字の論評ではなく、たとえば原発から1キロと離れていない地点にあるほうれん草農家を探し当てることからはじまる小文字のノンフィクションレポートではなかろうか、というのでした。

「大文字」とは、新聞やテレビに、いつも出てくる言葉、たとえば「構造改革」というのがそれで、ほんとうは分かってもないのに、分かったようにさせる言葉。それは便利な記号に過ぎないのです。では「小文字」とは? そのひとでないと言えない言葉。その人でないと見えないもの。

とても静かな口調だが、事実だけをヒタヒタと積み重ねていく姿勢に、こちらはドンドン惹きこまれていく。講演のテーマは東日本大震災後の日本人の生き方。

嘘をつかない。逃げない。諦めない。この3点を貫いていく。それがジャーナリストとしての、佐野さんの〈戒律〉だという。佐野さんの「強さ」はそこにある。人物論も多くてがけている。近くは孫正義。彼のルーツについても、佐野さんは徹底的に取材する。韓国の大邱(テグ)まで足を伸ばす。そこまで御存知なら、と孫正義も笑顔で認め、むしろ積極的に取材に応じるようになったという。

ぼくにも、数多くの作家・ジャーナリストの友人・仲間がいる。が、ここまで、自信をもって、はっきり言い切れる佐野さんを、ちょっと眩しく感じてしまった。


 若者の声に佐野さんは真摯にむきあっていた。それが「小文字」で書くことにつながる 


講演会が終わると、近くの蕎麦屋の二階で「佐野さんを囲む会」があるというので、そちらへ移動。出席者は25人ほどにしぼられていたが、NHK地方局の記者、新潮社の編集者にまじって、地元の読書会の若者グループも参加して、結構、素直にはっきりと、佐野さんと対話している。生きることに、エネルギーを燃やしていたい、それが彼らの願いだった。


 佐野眞一ご夫妻

幸い、佐野さんの隣りにぼくの席が設けられていて、彼の単行本のタイトルのつけ方や、共通の友人の近況など、結構、話しこめたのです。

彼の好きな言葉は、宮本常一の「記憶に残ったものだけが、記録にとどめられる」を言い換えて「記録にとどめられるものしか、記憶にのこらない」だそうです。いい仕事を積み重ねている一人です。

いまのぼくは、クルマメディアと直接に関わっていませんが、かつて毎日新聞のエース記者だった内藤国夫さんに「実録モータースポーツ」を取材、執筆してもらっています。そこからうまれたのが当時、追放同然だった黒沢元治さんの復活です。よかったら「べスモ疾風録・第4話」をご覧ください。
この佐野さんにいつかは「クルマメディア」に新風を吹き込んでもらえないだろうか。そのためにも、逢いたい人に、逢いにいく。これからの、ぼくの新しい目標です。多分、7月7日には、次の「逢いたい人」に逢いにいきます。ちょっとおたのしみですよ。

佐野さんの署名入り近著『だから、僕は、書く。』(平凡社刊)が、お気に入りの1冊に、新しく加わりました。そして、もう一つの収穫。それは「べスモの思い出」に書き込みをしてくれた読者の声、思いこそ「小文字」だということ。そこにぼくの思いが至ったのです。そうか、それだ!と。
Posted at 2011/07/05 02:40:35 | コメント(1) | トラックバック(0) | この人に逢いたい | 日記
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「調子を落とした翔平とドジャースに比べてマジックをドンドン減らす虎軍団の紙面は踊ってる。この快音が聞きたかった。みんながこのアーチを待っていた、と3試合で無安打だったサト輝の32号ソロに大はしゃぎ。加えて才木が後半戦負けなしの5連勝とか明るいニュースばかり。このあとの横浜戦に注目。」
何シテル?   08/26 00:57
1959年、講談社入社。週刊現代創刊メンバーのひとり。1974年、総合誌「月刊現代」編集長就任。1977年、当時の講談社の方針によりジョイント・ベンチャー開...
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