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正岡貞雄のブログ一覧

2017年03月30日 イイね!

「30年前のベスモ映像」にハマり続けた10日間

「30年前のベスモ映像」にハマり続けた10日間〜プレゼント付き『疾れ!スープラ』創刊期の晴れ姿 Part.2〜

 その頃(1984=S59年)の国内ではお目にかかれなかったTOYOTAセリカXX2800GT。さまざまな窮屈きわまる規制や力不足から、貧弱だったこの国のスポーツタイプ車に比べて、なんとも誘惑的なスタイルをもち、一段上のポテンシャルを持っているという噂に、明日への夢を感じとっていた。

 そいつになんとか触れられないものか。
 TOYOTA側に交渉すると、ハワイまで行ってくれれば、お世話できます、という嬉しい返事。ハワイ? いいねえ。



 そこで五木寛之さんを誘惑してハワイへ飛んだ。いい機会だから、ついでに北米仕様のフェアレディZXターボも用意してほしい、という五木さんの注文にも、応えることもできた。

 その時のフィーリング試乗記は、いまでも「なるほど、クルマとの交流レポートとはこうありたいね」と触発されるものが満載されている。改めて、ぜひ読んでいただきたくなる。

 そのセリカXX2800GTが帰国子女よろしく、日本仕様版「A70」スープラ(セリカとしては3代目)として登場するようになったのが’86年6月で、翌’87年1月になって、7M-GTEUに5速MTが設定され、ドアミラーにブリスターフェンダーOKの3ナンバー車が追加されている。「ベスモ」創刊とドンピシャリ、歩調があっていたのだ。



 そこで改めてA70スープラの姿を鑑賞してみようと、VHSから変換しコンパクトな形で保存してあるDVDを引っ張り出した。

最初に「再会」できたのが、イタリア・ミラノ郊外にあるピレリタイヤのテストコースを疾走する白のスープラ3.0GTターボの晴れ姿。が、こちらが捜し求めていたのは、もっと攻撃的な姿で、それが前回BLOGで紹介した『激走対決 トヨタvs.日産』の号で、スープラはその特集の中で『独占試乗 国産最強270ps 最高速253.5km/hをマーク‼︎ スープラ3.0 GT-turbo A全開フルテスト』と、特別な扱いを受けていた。そこからわたしの「30年前のベスモ映像」にハマり続ける10日間がはじまったのである……。

 創刊して11号目に当たる1988年10月号がそれだった。チェカーフラッグをバックに、CONTENTSが軽快なリズムに乗って紹介される。

 1st.CORNER フェラーリF40
(いきなり、真紅のスーパーカーが、水煙を巻き上げて疾走し、コーナーをターンし、下り勾配を駆け下りる姿)
 2nd.CORNER 激走対決 トヨタvs日産 壮烈な戦いを徳大寺有恒が斬る!
 (おお! その特集の中に、やっと捜し求めていた黒のスープラ3.0 GT-turbo Aが全開フルテストを敢行する姿が収録されていた!)
3rd.CORNER HONDAコンチェルトで北へ1000km Report伏木悦郎
……and 
  4th.CORNER BMステーション ゲスト/五木寛之
 (なんという奇縁。五木さんのスープラ試乗からはじまったこのSTORYが、ここで再び交錯していたのか⁉︎ とはいいながら、それがどんな内容であったのか、全く記憶がないとは情けない。しかし、この後の鑑賞が楽しみ、と思えばそれでいいか)

 お決まりの『BEST MOTORing』オープニングCGが流れると、画面は深い霧に包まれ、「7月20日、箱根にモンスターが現れた」と白抜きのテロップが浮かび上がってきた。レーシングカーさながらの後ろ姿。初めて見るF40だった。
 お馴染みのナレーター、荻島正巳さんの声も興奮気味で、いつもより甲高く聴こえた。



「フェラーリが創業40周年に因んで発表されてF40の市販1号車が日本へ上陸した。(中略)リアカウルを跳ね上げる必要もなく、ゼーンブ見えてしまうパワーユニットは、90度のバンク角を持つV83ℓ、ドーンと目立つインタークーラーを見ての通り、ツインターボで最高出力は478馬力、しかしまだまだ余裕があって、過給圧をチョイといじれば650馬力まで出力アップされる(後略)」

 車両価格=4500万円 生産予定台数=600〜1000台。

 この日、F40は40台のオーナーズフェラーリとともに修善寺サイクルセンターでデモンストレーション走行を行った。ドライバーはグループCの経験を持つフェラーリの社員。
 午後6時を過ぎたとき、助手席へ試乗する機会が与えられた。誰に? その頃、ベストカーから転籍したばかりの大井貴之くんだった。そのときの彼の行動と判断は、特筆ものだった。カメラと録画用デッキを強引に自分の体に縛りつけ、手ブレ覚悟であの狭い助手席からの撮影を敢行したことだった。






 外絵の赤いマンモスの走りと、エンジンサウンド、タイヤのスキール音。それに加えて、薄闇の中、にわか仕立ての車載カメラが辛うじて捉えるドライバーの運転ぶりがシンクロする。映像メディアの利点を、このとき、はっきり嗅ぎ取ったのを、思い出させてくれた。尺にしてわずか4分16秒の短い巻頭のコーナーだったが、インパクトは強烈だった。

 さて、次のコーナーは? 喜多郎のむせび泣くようなメロデイに乗って、今度は黒のスポーツカーが、ウォータースクリーンを背後に残しながら、ワインディングを楽しんでいる。ドライビング byジェフ・リース。TOYOTA 3000GT。いま、限界域に独走する……のナレーションがかぶさる。恐ろしくお洒落なNEW SUPRAのCMが、こんなふうに呼応して挿入されていたとは! 広告もまた、時代を映しとる重要な「データ」だと、改めて感じとる……。







 いよいよ目玉の「トヨタvs.日産」の激走対決である。行司は徳さん。この人の喋りはいつ聴いても、見事だな、と感心させられる。まるで文章を綴るように、おのれの論理や感じたことを言葉にできる不思議な才能の持ち主で、もう逢えなくなったのが、なんとも残念でならない。



 特集の最初の舞台は7月24日、真夏の富士スピードウェイ。’88 JAF-GP 全日本富士500マイルレースであった。来日したポルシェ962C(フロムA)に挑むトヨタ88C-VとニッサンR88Cの闘いぶりが注目されていた。

 徳さんが真っ直ぐトヨタと日産、それぞれの両陣営の基地を訪れる。わたしも同行していた。まずトヨタのトムスガレージへ。豊田章一郎社長の姿があった。次に日産の専用テントで当時の久米豊社長にインタビュー。時代はモータースポーツをベースに開発が進み、V84ℓ、大型車時代への移行に焦点が絞られつつあった。
 徳さんのこの解説が、その辺の事情を噛み砕いてくれる。

「トヨタがスープラをベースにグループA仕様の車を出しました。もともとスープラは、年間5000台以上を継続して生産されるクルマとして、グループAのホモロゲーションを受けていて、すでにレースをやっている状況ですが、もう一段強化するためにレース用のレギュレーションでは500台つくると、また相当に、そして大幅に改造できる。
 今回の主な狙いは吸気系らしい。ターボを大きくしたり、インテークマニホールド、バルブ……その辺を改造して、エンジンのパワーUPを図っている。この追加改造された500台は270馬力で、これは相当なものですが、レースに使う車はもっともっとブーストチャージをあげてハイパワーになっている。
 このクルマをテストするにあたって、比較対象として250 馬力エンジンをもつポルシェ944ターボSを谷田部に持ち込んだのですが、大きな差はブレーキですね。時速200キロからのフルブレーキングで、944の方は144m、スープラは183.3m。これはウエイトの差。スポーティカーの場合、これが重要な課題。(竹平テスターも指摘していますが、と前置きして)スープラの場合、素晴らしい性能だがちょっと重い。それがウィークポイントですね」





 最後に、こう締めくくっている。
「グループAのホモロゲーションカーとは、メーカーがレースでそのクルマを鍛えていい成績を上げ、信頼を高めるために送り出されたクルマです。その点、今度のスープラはどうか。豪華で、しかも270馬力でスピードを味合わせてやろうという、そこの一点に絞られているようで、本来、グループAカーというのは、スポーティであるはずなのに、そのことをちょっと忘れているかいな、という気がします」
 徳さんがそう語り終わるのに合わせて、夜闇の中へスローモションで吸い込まれて行くスープラ。《3.0GT turbo A主要装備》がテロップで紹介され、情感たっぷりなピアノの音に乗って、赤いテールランプがフェイドアウトした瞬間、谷田部の高速バンクに切り替わる。遠くから空気の壁を切り裂きながら迫ってくるスープラの気配。それが、轟音とともにあっという間に目の前を過(よ)ぎった。



 ああ、「一人はうまからず」だ。この’88年10月号をベスモ仲間と一緒に、ワイワイガヤガヤやりながら鑑賞できたら、どんなにいいだろうか。

 閃めくものがあった。そうだ! この動画を「もう一度」か「新しく」は別にして、ぜひ見たいと言ってくれる「ベスモDNA」の持ち主に、何らかの方法でDVDに焼き付けたものを、プレゼントする方策はないものか、と。



 この10月号にしても、この後、新設したばかりの『BMステーション』に、五木寛之さんを迎えて、聞き上手の渡辺典子さんとの、弾みっぱなしのトークも用意してある。
「クルマっていうのは、人生の伴侶なんですよ。よくベターハーフというでしょ? 人を愛するようにクルマと付き合ってほしいな」
 こんな五木さんのメッセージを引き出したあのころの渡辺典子さん。何とも明るいお嬢さんだったが……。

 書き出しでも触れたが、この3月に入ってからずっと「スープラの晴れ姿」を求めて、ベストモータリングの創刊時映像にはまり続けている。すっかり記憶から消えてしまっていたが、その前後の主要な企画には、必ずと言っていいほど「70スープラ」が絡んでいたのだ。



 例えば、その前々号の88年8月号では、グループAの世界最強マシンといわれた「シエラRS500」の実走テストでも、グループAスープラを絡ませているし、翌月号の88年11月号では「中谷明彦、スープラ3.0GTターボAを全開で走らせる」を間瀬サーキットで収録しているし、明けて89年2月号では、こんな仕掛けが待っていたのだ。
 
 わたしがベスモ創刊20周年を記念して書き上げた『ベスモ疾風録』の第6話に、こんなくだりが紹介されていたので採録したい。 





−—−—疾走するF40の赤いボディが霧の中に消えていくシーンが「売り」となったこの号を機に「ベスモ」は上昇気流に乗る。創刊1周年と銘打った12月号は『男が疾る!星野一義』で話題を集めた。そのころから編集部に寄せられる声の中に、発売と同時に書店に駆けつけ、いま仲間と一緒に鑑賞会を開いている、という内容が多くなった。
 1989年2月号、新しい金脈となったガンさんの「ドラテク特訓道場」に、その「新しい風」が合流してきた。ガンさんが熱く忠告する。「キミがレーシングドライバーとして、もっと先を目指すのであれば、路面に対してタイヤがどうなっているかを感じとらなくてはダメなんだ。将来、フォーミュラーカーに乗った場合、ドライビングの前に、マシンのセッティングがあって、それが感じとれないとセッティングはできないよ」
 膝に手をおいたまま「はい」と肯く。晴れやかな表情だった。実はこのとき、すでに土屋圭市に「F3に挑戦してみないか」という声がかかっていた。碓氷峠で腕を磨いた、いわば「異端の星」が「メジャ-」から「正統」にシフトチェンジした第1歩が、実はこの瞬間だったのかもしれない。その時の使用車がまた、スープラだったのである。

 この号も、改めてじっくり、みんなと鑑賞できたらいいな。
 そんな風に何かを抱え込んでいると、必ず解決への道筋を教える出来事がやってくるものだ。
 現在、わたしが取り組んでいる電子書籍「疾れ! 逆ハン…」の販売サイト『コンテン堂』から、こんなキャンペーンの連絡がはいった。

春のコンテン堂フェア

コンテン堂モールの電子書籍を購入決済するだけで電子マネー2000円分が当たります。
対象店舗:電子書籍ストア ConTenDo|コンテン堂
     コンテン堂モール内専門書店
     

     応募はこちらから

期間  :2017年3月31日(金)~2017年4月10日(月)23:59
応募口数:期間中の各店舗で購入決済 (「eレンタル版」も対象)を行なった人が対象
     ※各店舗エントリーは共通で一人一口まで
     ※無料コンテンツは対象外
賞品  :2,000円分のWebMoney×100名様
     ※ConTenDo|コンテン堂モール用WebMoney
配布方法:キャンペーン期間終了後に抽選
     抽選時に会員登録いただいているユーザーID(メールアドレス)に

 これを受けて、わたしの肚は決まった。ベストモータリング同窓会のメンバーに限って、先に紹介した 
        
①BM‘88年8月号

②BM‘88年10月号
        
③BM‘88年11 月号
        
④BM‘89年2月号


 この中から①項目だけ希望の月号を選び、わたしの「メッセージ欄」へ、わたしの指定した「キーワード」を添えて、ご連絡いただき、各号、先着5名さままで試作品として該当月号のDVDを送らせていただきます。



「キーワード」は恐縮ですが、一旦、電子書籍『PREMIUM版 疾れ!逆ハンぐれん隊 PART.9』(こちらからどうぞ)を購入いただき、そこへ登場する「セリカXX 2800GT」のボディカラーの色を確認の上、応募いただきたい。その上で、是非、コンテン堂の電子マネーキャンペーンに応募いただき、2000円の幸運を射止めていただくのはどうでしょうか。
 こちらの締め切りは、先着5名とさせていただくが、キャンペーンの方は4月10日いっぱいとなっている。グッド、ラック!
2017年03月14日 イイね!

疾れ!スープラ、ベスモ創刊期の『晴れ姿』

疾れ!スープラ、ベスモ創刊期の『晴れ姿』
〜PREMIUM版パート9付録企画からの「贈り物」〜

 ちょうど1ヶ月前に『ベストカー』で、1ページをまるまる使って紹介してもらった「五木寛之先生の痛快カーアクションロマン『疾れ!逆ハンぐれん隊』の電子書籍PREMIUM版」に、また新しいパートを補充することができた。

 本編の小説セクション『Part.9 バンドー先生の逆襲』は、ジロー、ミハル、竜さんの逆ハンぐれん隊をスポンサーとして支えてきた、漫画家・バンドー先生が廃業宣言することからはじまる。そして真紅のフェラーリ・テスタロッサの助手席に竜さんを押しこむと、自らがハンドルを操って高速道路を目指す。それまで時速5キロ以上のドライビングをしたことのない先生が200キロオーバーの世界へ!



*新しく登場したPREMIUM版 PART.9 [バンドー先生の逆襲」はこちら

 そしてはじまる4人の、修学旅行さながらの冒険の旅。新しく仕立てたスーパー4輪駆動車のゲレンデ・ヴァーゲンで西へ向かった。舞台は奈良・大和路。美しくも妖しい二上山に秘められた一千年の謎とは……。逆ハンぐれん隊がタイム・スリップして見たものとは!

 五木さん独特のエンターテインメントの味は、今もなお生き生きとわたしたちを魅了してくれるが、今回はとくに「PREMIUM」として用意した4つの「挿入部」にも、特色を持たせたつもりである。



 まずは連載スタートから第5部まで、国内を舞台にしてさまざまな事件や出来事に遭遇しながら、クルマとともに青春をたくましく生きていく『逆ハンぐれん隊』を、次の6〜7部で海外に飛ばした後で、しばしの休息を与えていた。そして次の連載再開までの幕間(まくあい)で、作家・五木寛之の「クルマを描く心構え」を率直に吐露している珍しい「独白」。それをたっぷり聴ける仕掛けとした。それが4部構成となっている「PREMIUM」版の①部と②部で、

① 連載ひと休み…幕間からの本音
クルマを書く心構えについて
② キミをきっと小説好きにして見せる!
「メルセデスの伝説」からの招待状

 そのあとは、かねてから取り扱いを狙っていた「スープラ&フェアレディZ  ハワイ特別試乗記」を投入できた。今年初頭に、こんなふうに触れていた、この部分である。

 ――ヨーロッパから帰国して一息ついたところで、また五木さんを熱く誘惑したものだ。五木さん、ハワイでなら、ジャパニーズ・スーパースポーツとして登場したばかりのTOYOTAスープラを味見できますが、いかがですか、ハワイへいきましょうよ、と。
 
「いいね、ついでに北米仕様のフェアレディZXターボも用意してください」
「あ、よくご存じなンだ。それもいいですね。やってみましょう」

 決めた! 2002年に「排ガス規制」への対応ができないため、累計28万5280台の実績を残して生産を終えた、あのスープラへの挽歌を、ぜひ本編に添えるとしよう。そして、その次の回でオアフ島を縦断した『ZXターボ』の試乗記も……。




 それが今回、やっと実現した。こんなタイトルで!
③ 疾れ! 汝の名はジャパニーズ・スープラ
  ――五木寛之フィーリング試乗 in ハワイ 第1回
④『ダッツン・ジー』に死ぬほど憧れてみたいか?
――五木寛之フィーリング試乗 in ハワイ 第2回
 
 ぜひぜひ、また一つ、新しく輝く星を加えた「ぽらりす eBooks〜クルマ仲間名作ガレージ」へお立ち寄りいただきたい。

 この作業を終えたところで、妙に心が浮き立っているのに気づいた。『スープラ』という名の悲運のクルマ。その走っている姿にあってみたくなっていた。‘80年代終盤から、’90年代序盤にかけて「ジャパニーズ・スポーツカー」の代表としてTOYOTAスープラは、生き生きと先頭を走っていたではないか。

 そのあと、NSX、GT-Rが追従して賑やかな時代へと爆走していくわけだが、それはまた、ベストモータリングの創刊された時期でもあった。

 さて、どの号でその頃のスープラに逢うことができるのか。生憎とこの数年「断捨離」を迫られていることもあって、ベスモのVHS入りのパッケージは整理してしまった。行き先は「ベスモ同窓会」のプレゼント景品だったから許されるとして、一目で「どの号に何が掲載されているか」を知る手がかりは、すっかり消滅していたのである。

 幸い、自分が制作・企画に関わった号だけは、VHSからDVDに変換して、コンパクトな形で保存してあった。

 記憶をまさぐった。たしか創刊1周年記念号の前後に「漆黒のボディカラー」で谷田部の高速バンクを悪魔のように走り抜けたあいつが潜んでいるはずだ。


*そのころ北米ではセリカXX2800GTの名で販売されていたスープラ。

 まず、1989年新年号をピックアップして、PC内蔵の再生機にセットする……。
 目次ページが軽快なメロディーに乗って紹介されていく。

 お、まずガンさんだ。NEWレジェンドV6Tiエクスクルーシブの「TEST&MOTORING」。続いて「海外取材from ITALY ピレリの“聖域”を初公開!! by 徳大寺有恒」か。ピッと記憶を刺激するものがあった。申し訳ないが、エビスサーキットと磐梯吾妻ラインでのガンさんTESTコーナーは早送りして、先を急いだ。




*ドライバーは大井貴之君。ベストカーから移籍してきての海外初取材。初々しかった。




 この時期のベスモはCM満載。日本交通公社の30秒ものが終わったところでアルプスの山肌を縫って駆け下りて来る赤のアルファロメオ164 V6に、チェロの弦の低音が響きながらシンクロする。スイスとイタリアの国境、セント・ベルナルドを超えたところで牛の群れに行く手を阻まれるシーン。今もなお、鮮烈に記憶していた。

行き先はミラノ郊外にあるピレリタイヤの『ヴィッツォーラTEST TRACK』で、案内役を徳さんにお願いしていた。
 全てが自然を生かしたテスト環境で、走行路には風に吹かれて、落ち葉が舞っているし、路面もごく一般路に近い、鈍い光沢をもっている。





 徳さんもお気に入りの「聖域」であった。3度目の訪問だという。
「ここは考えられるすべての道路のパターンが収められている。一般の人が一般路を走るような状態でテストできなければ、生きたタイヤは開発できないから、という思想を貫いているからね」

 その先進の思想とテクノロジーに共感させられた取材だったが、そこでデビューしたてのスープラが、すでにここのテスト車両に採用されていたのを知り、スープラの立ち位置を直感したものだった。









 テストシーンはP700-Zでウェット限界を走る姿を捉えていた。
 BMW-M5にはじまって、300E—AMG、フェラーリ328GTS、ランチアテーマieターボ、サーブ9000ターボ、ポルシェ911ターボ、フォードシエラコスワースがつぎつぎと顔見世をし、最後に白のスープラ3.0 GTターボがウエットハンドリングコースを、ひらりひらりとこなす晴れ姿で締めくくっていた。





 こうなると、もっとないのか、と捜索の手を広げたくなるではないか。で、発見! 3号を遡った1988年の10月号こそ、わたしの脳裏に焼きついていた「黒のスープラ」の躍動している号だった。

 表紙パッケージもそれ! 題して『激走対決 トヨタvs.日産』。

 スープラはその特集の中で特別扱いで『独占試乗 国産最強270ps 最高速253.5km/hをマーク‼︎ スープラ3.0 GT-turbo A全開フルテスト』と、ある。

 これは改めて「ベストモータリング公式チャンネル」にお願いして、You-Tubeで鑑賞できるといいのになあ。 

 (この項、次回更新まで)
2017年02月13日 イイね!

ベストカーからの『恋歌』に心ふるわせて…

ベストカーからの『恋歌』に心ふるわせて…〜週刊現代連載小説『新 青春の門』と結ばれる一本の糸〜


 今にも暗い空から白いものが舞ってきそうだった木曜日の夕刻、つまり2月9日にいつもの年より早めに厄介な「確定申告」を終わらせることができた。この10年を、お世話になっている「青色申告会」で、始めから指導・担当を受け持ってくれたMさんは往年の(?)ベストカー愛読者で、手続きの終わったところで、こう訊ねてきた。

「今年の仕事始めとしてベストカーへ行って、かつて連載中の『疾れ! 逆ハンぐれん隊』に夢中だった読者あてに、電子書籍の『Premium版』ができるので紹介してと頼み込むつもりだ、と「みんカラ」で予告してありましたが、あれはいつ掲載されるのですか?」
「ありがとう。そこまでご存知とは! 明日発売の3月10日号です。どんなページになっているか楽しみにしていてください」

 嬉しいじゃないですか。その上、赤いスイフトRSで佐倉まで行ったのもご存知だった。そんなこともあって、心待ちしていた2月10日、そのオープンする時間を見計らって、駅までのだらだら登りの坂道を、この日は明るい日差しに包まれながら弾む足取りで駅前書店へ……。



 この書店にはクルマ関係の専用棚があるのが嬉しい。目勘定で5冊の「ベストカー」が積んであった。表紙には「新型SUBARU XVカタログ」のタイトルが派手に謳ってある。『SUPER SPY SCOOP』という懐かしい嗾しかけ見出しが、ペラペラとめくったカラーグラビアの扉ページで躍っている。そうか、正式発表は4月6日か。で、こちらの手は勝手にページをめくる。

 活版の見開き144〜145ページで、ピタリと止まった。右がフジスピードウェイの開設50周年記念イベント(3月12日=入場無料)『富士ワンダーランドフェス』の告知で「歴史が、伝説が、ここによみがえる」と呼びかけている。そして左側で……。

 ベストカーガイド時代の人気連載
 30年の時を経て電子書籍で帰ってきた!
 疾れ! 逆ハンぐれん隊 五木寛之
 本誌初代編集局長:正岡貞雄が電子化実現

 OH! ビューティフル! 本文の文章も配慮が行き届いている、というより率直な、その頃の空気で育った人でなければ書けない想いが、そこに弾けていた。

 ミハル&ジロー、名車バトル
 手に汗握ったコーフンが再び…

 長年ご愛読の皆様には懐かしいタイトルでしょう。本誌がまだベストカーガイド時代だった‘85年7月、月2回刊を記念して始まった連載小説が、五木寛之先生の痛快カーアクションロマン『疾れ!逆ハンぐれん隊』である。
 わたせせいぞう先生のイラストを表紙とした単行本、文庫本も当時、トレンディで話題となった。若き日、興奮しながら読んだ方も多いと思う。
 そして30年の時を経てついに電子書籍となり、気軽にiPad、タブレット、スマホなどでも読めることになった。
 電子書籍の実現には、本誌初代編集局長の熱い想いと奔走があった。

 そんな前置きをしてくれたところで、五木さんの「読み出したらブレーキが効かなくなる」この小説に加えて、パートごとに登場するクルマや著者お気に入りの車を中心に文化的背景などを語る、徳大寺有恒氏、黒澤元治氏、初代編集局長とのトーク集が入り、各章扉ページにはスタイリッシュな写真が入り、付加価値が高いのである、とまで紹介してあるではないか。

 そして、感激的なトドメを。この電子書籍の配信元『ぽらりす e-Books 名作ガレージ』(コンテン堂モール専門店)に簡単に「訪問」できるQRコードまで掲載してくれる心配り。このベストカーからのラブコール=恋歌にわが心はジーンと熱く震えてしまった。それは創刊以来、ベストカーへの協力を惜しまなかった五木さんへの感謝の念が、今もなお、ベストカー編集部に醸成されている証しでもあった。


 
 当然のように、1冊をピックアップした。でも、まっすぐレジへ向かったわけではなかった。もう1冊、買って置きたいものがあった。オンセール中の週刊現代(2月18日号)である。五木さんが23年ぶりで再開した『新 青春の門』の第九部『漂流篇』も第3回目に……。そのスタートした第1回については、すでにわたしの『みんカラ』では、こう触れてあった。

 ———−いよいよスタートした第九部『漂流篇』。舞台となる場所はシベリア。
 それに備えて、改めて第八部『風雲篇』を書棚から取り出している。物語は、裏ルートに便乗して渡ったシベリア・ハバロフスクから馬に乗ってイルクーツクを目指す信介が、同行のロシア娘との「熱い渦巻き」にのめり込むシーンでフリーズしている。だから、五木さんがどんな書き出しを用意してくれたか。ドキドキしながら『週刊現代』の活版ページ、100P目を開く……。



『バイカル湖への道』という小見出しタイトルのついた見開きページの左側から、いまの「時代の寵児」SUVまがいのクルマが、崖際を右回りしながらこちらへむかって疾走してくる。嬉しいね。いきなり、ソ連製の4WD車、ワズの登場だ。今回の書き出しも、クルマからはいっている。五木さんの得意技の一つである。次回は、このワズ450Aがなぜこの物語を牽引していくのか、からはじめたい。(この項、つづく)と。

 この「次回」に書き継ぐために「第3回」を購入しようとしているのだが、その前にちょっとばかり驚いた出来事があったので報告しておきたい。実はその準備のためにGoogleで「ワズ450A」を検索すると、そのトップに、わたしのアップした「五木寛之『新 青春の門』がスタートした日」が収まっているではないか。

 それはそれで光栄なことだが、こちらの目的は別にあった。たしか、かつて小沢コージ君が「ワズ試乗」のレポートがあったはずだが、と検索するつもりが、いきなりこの出来事。悪くないね。で、その結果は?

 右往左往してやっと探し当てたのがこれ。
『走るシーラカンスに試乗 ロシアが作るバン、UAZ』(小沢コージ)


  PHOTO BY 中野英幸

 これはみんカラの本家にあたるCarviewの編集記事欄(2011年9月22日)所載の得難い読み物となっているので、ぜひこちらへどうぞ。

 第3回目は「さすらい人」の小見出しのついたもので、こんな「あらすじ」付きではじまっていた。

1961年、夏の終わりのシベリア。足を負傷した伊吹信介はドクト ル・コジヤーエフの世話になっていた。KGBの検問をドクトルの機転で突破した信介たちは、バイカル湖へ向かい車を走らせる。

さすらい人(びと)の歌

 検問を無事にくぐり抜けたことで、信介はようやく落ち着きをとりもどした。さっきま でドクトルにきこえそうなくらいに、心臓の鼓動がはげしく高鳴っていたのである。
 ひと安心したせいか、急に眠気がおそってきた。四駆の太いタイヤから、リズミカルな振動が伝わってくる。信介はいつのまにか、しばらく居眠りをしていたらしい。

 信介は夢を見ていた。幼いころ、父の伊吹重蔵に背おわれてボタ山の山裾を駆けている夢だった。

 赤い香春(かわら)岳が見える。タエの白い顔が迫ってくる。
〈待たんかい〉
 と野太い声がした。筑豊の新興やくざ、塙竜五郎の声だった。
 いつのまにかおぶわれている相手が、父親から義母のタエに変っていた。二人は小高い 丘の上にいた。目の下に炭住と呼ばれる炭鉱労働者の住 宅が見えた。住宅というより長屋 といったほうがいい粗末な建物である。そこが信介の生まれ育った 筑豊の土地だった 。 遠くの道を、白い花輪と黒い人影が見える。その行列はボタ山の下を、ゆっくりと進んでいく。
(あれは、なんばしよっとね)
 信介はタエにたずねる。
〈骨噛(ほねか)みたい〉
〈 ホネカミ?〉
〈 ああ。骨噛み〉
〈 骨ば噛むとね〉
タエはしばらく黙っていたが、ぽつんと言う。
〈落盤事故で、人が死なしたと〉
信介はなんとなく恐ろしくなって、タエの白い肩に顔をうずめる。タエは化粧をしていなくても、なぜかいい匂いがした。

「 おい、イブーキー」
  耳もとで呼ばれて、信介ははっと夢から目を覚ました。
「 あれがバイカル湖だ。見えてきたぞ」
「 バイカル湖――」 信介は目をこすって、ドクトルの肩ごしに青く光る湖面をみつめた。
(これがバイカル湖か)窓をあけると、冷気が勢いよく吹きこんできた。思わず胸が高鳴るのをおぼえた。信介にとってバイカル湖は、憧れの湖だった。
 一九五〇年代の学生たちにとっては、パリのセーヌ川よりも、カリブの海よりも、シベ リアのバイカル湖のほうがはるかに心をそそる神秘な存在だったのだ。
☆      ☆      ☆      ☆
 フウっと一つ、大きなため息がでた。「ワズ」については、「四駆の太いタイヤから、リズミカルな振動が伝わってくる」と、主人公が眠りの世界に落ちてゆく舞台装置に使われているだけだったが、早々と心の拠りどころである「ふるさとの山」が登場してきたのに驚いていた。



 五木さんは最近のインタビューで「主人公が29歳で筑豊に帰った時が、この物語の終わりだと思っている。ふるさとの山と向かい合う峠から、彼のふるさとを見下ろすところで」と語っているが、その布石が始まっているな、と感じ取ったからである。

 ともかく、クルマをメディアとして物語を動かす、この小説書きの名手が、その時、どんなクルマで伊吹信介が香春岳と向き合わせることになるのか、今から楽しみにしている。

その辺のクルマたちとの絶妙な絡みこそ、実は今回の電子書籍PREMIUM版の中で、改めて「五木ワールド」として構築したところに満載しているつもりなので、ぜひ機会を作って味わっていただきたい。


*こちらへどうぞ

 たとえば『メルセデスの伝説』(講談社刊)では、アウトバーンを、メルセデスの黒い280Eが、デュッセルドルフからフランクフルトを経由して、シュツットガルトヘむかってぶっ飛んでいくところを、徳さんたちと語り合う。さらに五木さんが1985年(S.60)に単行本化した『風の王国』(新潮社刊)は、主人公の駆るメルセデス300GDがパトカーに呼び止められるスリリングな場面で書き起こされるシーン。
――背後でスピーカーの耳ざわりな声がひびいた。ミラーのなかに赤いライト
が点滅している。
「品川ナンバーの白い車、左へよって停止しなさい」
 速見卓はブレーキをふんだ。さっきから追尾してくるパトカーに気がついては
いたのだ。だが止められる理由がわからない。
〈まずいことになったぞ〉





 それらはPREMIUM版のPart3『闇の巨宝を奪回せよ』編に収録されているのを、ぜひ知っていただきたいし、今後も手がけていく Part9以降も、ハワイでのスープラ(セリカXX)や、フェアレディZX Turboの試乗記や、五木寛之vs,わたせせいぞう対談など「宝の山」を公開してゆきたい。ベストカーからの「恋歌」に励まされながら……。
2016年12月16日 イイね!

【PREMIUM】版『疾れ!逆ハンぐれん隊』が発進!

【PREMIUM】版『疾れ!逆ハンぐれん隊』が発進!〜『五木ワールド』とドッキングする夢がやっと完成〜


やっと、できあがりましたぞ。
【PREMIUM】版と冠をつけた特製ものです。


「みんカラ」仲間には、4年前から何度もお伝えしていた五木寛之さんの『疾れ!逆ハンぐれん隊』(講談社・三推社刊・全15巻)の電子書籍化で、胸を張って、「できあがりました! みなさん、ぜひこの『五木ワールド』と「風の仲間たち」の見た夢の正体を共有して、おたのしみください」といえるものです。

 それが12月15日より、電子書籍の専門モール「ConTenDo」からお届けできるようになった。
 まあ、ともかく手にとっていただきたい。こちらからどうぞ。



 そこであわてて購入カートに入れなくて結構。気に入ったら、ぜひ購入をお願いするとして、まず「立ち読み」をクリックして【PREMIUM】版をご覧いただきたい。



 ここからが自慢の創りです。あの「わたせせいぞう」のパステルカラーの世界が待っている。で、左端に矢印を合わせて、さらにクリックして次のページへどうぞ。


*あえてPart.7の扉ページをシンガポール観光局提供の「F1シーン」にしたのは、ここまで創りあげました、というアピール。

 Part.1『深夜特走車No.1』のタイトル。さらに次のページへ移ると、縦書きで読めるように……。クルマに首ったけ野郎なら、ともかく「読み出したら、もうとまらない」はず。痛快だがどこか切ないロマンがクルマを媒介してグイグイと展開していく。

 そういえば「その面白さ、スピード無制限」と「ベストカー」連載当時に宣伝コピーが踊っていたのを、思い出す。それがなんと24見開きも「味見」できる仕組み。そして各章の頭につく扉として「小見出し」を真ん中におさめた写真ページ。五木ロマンを演出する光と影と色の世界を、カメラマン北畠主税さんの熱い協力で用意できた。紙のメディアとは異次元の鮮やかな「フォトギャラリー」がはじまる。





 それでお終いではない。五木寛之作品のドラマ展開に歩調を合わせて、登場するクルマや、その執筆時に著者は何を考え、何をしようとしていたのか、どんなできごとに時代の動きを予感していたのか。その「五木ワールド」に染まるべく、いまはなき徳大寺有恒さんを筆頭にして、黒澤元治さんや舘内端さんも加わって、ワイワイやった時代の空気を記録しておこうという試みを仕掛けてある。
 題して「五木作品に登場するクルマたちよ!」。そのトップバッターには「アルピナ B7 ターボ クーペ」を指名した。物語の劈頭にミハルが登場するシーンを盛り上げたのはこのBMWであった。





「立ち読み」はここで終了。それでも全4話でまとまっているPart.1の第1話分がそっくりオープンされていた。これがPart.7まで、今回は用意できた。4×7=28。つまり28の「エキストラ」をわたしも仕上げたことになる。

 ほっと一息ついたところで、ConTenDoを運営する「アイプレスJAPAN」から嬉しいプレゼントがあった。期限が12月21日(水)までという縛りはあるが、有料コンテンツ購入者の中から抽選で100名に電子マネー2000円分が当たるキャンペーンをスタートするが、その対象店舗のわたしの主宰する『ぽらりすeBooks~クルマ仲間「名作ガレージ」を指名した、というのだ。悪くない知らせじゃないか。



 さあ、4年前から志しながら実現できなかったこのプロジェクト、こんどこそ成功させたい。

 五木さんとこんなやりとりを交わした日を想い出す。
  おなじみの東京プリンスホテル1Fのティルーム「ピカケ」で。
「もう一度『風の仲間』を復活させましょうよ。その活動の基盤として、ベストカーで連載し、単行本にもなった『疾れ! 逆ハン……』を私の手で、電子書籍として生き返らせてほしい」と。

 すでに絶版となってから久しいから、気になっていた、と五木さん。作品の電子書籍化については『親鸞』で、作家の中でも先鞭をつけた立場にあるから、わたしなんかより、電子Bookに関する知識も進んでいる。アップルストアの仕切りに平伏している出版界の現状も、とっくにご存じだった。
「いいですよ。クルマに関する私のものを使用すること、それに異存なし。存分にゲリラ活動をしてください」
 力強いレスポンスだった。かつて展開した「フィーリング試乗」の連載や、「メルセデスの伝説」を、徳大寺さんや成江淳さんと目白・椿山荘で徹底的に、その内幕を語りまくった座談会なども、ぜひ今の時代で読み返してみたいね、とも。

 やっとたどり着いた。が、五木さんはもっと先をいっている。週刊現代で断続的に連載していた大河小説『青春の門』(講談社刊)を、完結編のかたちで「新 青春の門」とタイトルして、23年ぶりに来年1月から再開するというので、大きな話題をよんでいる。

 この作品は昭和10(1935)年に福岡・筑豊の炭鉱町に生まれた伊吹信介を主人公に、高度成長一途だった時代の熱気に躍った青春群像を描いたものだった。単行本と文庫で延べ2000万部を越すベストセラーである。五木さんは執筆再開の心境をこう明かす。
「読者に会うと、必ずつづきはどうなる?と訊かれる。そうした要望と自分の体力などの状況が重なって、機が熟した」(朝日新聞での談話)
 それと同時に、まだ書籍化されていなかった第8部「風雲篇」も、12月13日から出版された。五木さんは、3歳年上。いつも、いつも、凄い人である。

 青春の門の第八部に当たる「風雲篇」を確認すべく、発行元の講談社『Book倶楽部』にアクセスして状況をチェックしてみた。



『風雲篇 上』定価 : 本体2,500円(税別)四六 216ページ 「週刊現代」1993年7月24日号~1994年4月30日号分に加筆訂正とあって、そのあらすじをこう記してあった。

故郷の筑豊を離れ、上京してから七年。葛藤、挫折、再起をくり返し苦悩する伊吹信介は、ユーラシア大陸横断の大望を胸に秘め、シベリアへの密航を果たす。国際情勢の複雑多岐な現実に戸惑いながらも、大自然に生きる人々との出逢いに心打たれる信介。未知の世界の息吹に触れ、冒険の旅は続く。不滅の超大作・第八部。

斑鳩への単独行。ハーレーに乗る男。大和から河内への旅。主人公信介はやがて北の方向を目指して、日本を脱出して行くんだった。 

 早速、わたしはこのあと、書店へ向かう。これで「青春の門」の全巻が揃うことになる。


*ありゃ! 第7巻が抜けている。なぜ?
2012年03月05日 イイね!

「夢」の正体 ~『疾れ! 逆ハンぐれん隊 Part・6』までの全リスト~

「夢」の正体 ~『疾れ! 逆ハンぐれん隊 Part・6』までの全リスト~ もうすぐ㐂寿(きじゅ)を迎える元CARメディア編集者の「懐古」ものであることは、否定しない。この『疾れ!逆ハン……』という痛快カーアクションロマンの連載が「ベストカー」を舞台に、1985年夏からはじまったことと考え合わせれば、「なんだ、たかが四半世紀前の古い、カビ臭い話じゃないか」となってしまう。

 その通りだ。が、ちょっと待てよ、といいたい。㐂寿を越えてしまった五木寛之さんの、いまもなお衰えることのない、この躍動ぶりはどうだ。昨年の暮れに幻冬舎新書から出したばかりの『下山の思想』は、未曽有の時代にどう生きるかの究極のヒント、とサブタイトルをつけて、すでに16万部(2012年2月末)を超えるベストセラーに。そして、講談社からの『小説 親鸞 激動篇』の大ブレークぶりを間近で拝見していると、完璧にほかの『風の仲間』たちも後れをとっている。その存在感に圧倒されてしまう。

*『親鸞 激動篇』は上下に分かれ、その特装版は「琉球新報社」から刊行されている。

 そうはいうものの、徳大寺有恒、黒沢元治、舘内端の3氏とも、四半世紀をかけて、それぞれが見事に磨かれ、光り輝いているではないか。その『風の仲間』たちが寄り合って、中年ぐれん隊の青春を謳歌してきた「原風景」を、いまこそ書きとどめるのがぼくの役割。それが五木さんの「活動源」の一つだった、と気づいたとき、「疾れ!逆ハン……』を電子BOOKという今の時代のファッションに着せ替えさせ、そこへ五木さんを撮りつづけてきた「さいとうさだちか」作品を併載する。小説の区切りとなる各章の扉ページに、クルマをメディアとして、光と影と色を表現する「北畠主税のページ」を設けるのはどうか。やってみて、驚いた。とくにiPad を端末としてダウンロードしてみると、紙のメディアとは異次元の鮮やかな「フォトギャラリー」ができあがったのである。

 で、お前さんに何ができるのかい? 五木さんのドラマ展開に歩調を合わせて、登場するクルマやら、その執筆時に五木さんは何を考え、何をしようとしていたのか、どんなできごとに時代の動きを予感していたのか。「ITUKI’sVOICE」での五木さんのつぶやきや、試乗記、対談、海外遠征記を再検証しながら、「五木ワールド」の構築をできるのはぼくだけではないか。 
 この思いつきにとりつかれてほぼ一年、コツコツと積み重ねてやっとPart.6までたどりついた。そして念願の「CAR EYES」正式オープン。



*北畠主税PHOTOギャラリーとなった扉ページ。Part.3「闇の巨宝を奪還せよ」の第1回より。

 ジローというガソリンスタンドで働く北海道出身の青年が、アルピナB7を駆るミハルと、深夜の横羽線を時速250キロで疾走する「怪物」と遭遇し、その正体を追い求めることから始まる痛快ロマン……すでにお読みいただけただろうか。読み出したら止まらない、という快感をもう味わっていただけただろうか。その書きあがったばかりの原稿を、五木さんから横浜のご自宅マンションで受け取った瞬間からのかかわりを、各回毎に『コーヒーブレーク』代わりに書き継いで、すでに全24回を数えるにいたった。そこでFREEにダウンロードできるPart.1と、Part.2はいいとして、Part.3からは有料となっているため、その内容が伝わりにくいだろう。ならば、なにが収録されているのか。その「風の仲間」たちが紡ぎ、育ててきた「夢」の正体を、そっくりリスト・アップしたので、以下、「立ち読み気分」で目を通していただきたい。

 この「五木ワールド」を、ぜひ1冊の本にしてみたいな。それがまた、ぼくの新しい「夢」を育くみつつあるのだから、それを編集者根性とでもいうのだろうか。ともかく一読の上、ご意見やご感想をうかがわせていただければ、幸いだ。

【全リスト】

Part,1 深夜特送車No.1

1 アルピナB7ターボ クーペ
2 フェラーリ・テスタロッサ
3 メルセデス・ベンツ 300SEL 6.3
4 メルセデス・ベンツ 300SEL 6.3(そのⅡ)

Part.2 凄春スピン・ターン

1 サーブ 900 ターボ
2 アウトバーン ルートE4
3 シティ・ターボ
4 ひとりだけの箱根試乗会への招待


*鈴鹿サーキットでシティ・ターボのレース仕様にちょっとだけ試乗 Photo by さいとう さだちか


*天皇陛下の御料車だったグロッサー770K

Part.3 闇の巨宝を奪回せよ

1 『風の王国』(第2次休筆後の第1作)とSUZUKA
2 『メルセデスの伝説』の内幕トーク 門外不出の秘蔵資料
3 『メルセデスの伝説』の内幕(その2)  グロッサーのイミテーション秘話
4 『伝説シリーズ』への予感       イラン元国王パーレビは名車コレクター

Part.4 人食いザメ兄弟を狩れ

1 ‘82年話題の国産車8車に乗る!
2 「五木ボイス」という特等席にどうぞ!
3 Newソアラ(2代目)に何を見た!?
4 ソアラよ。無いものねだりがしたくなる!

Part.5 ジンギスカンの謎
1 五木寛之が『クルマ放浪』を夢見た時代
2 「義経北行伝説」は生きているか
3 「義経北行伝説」を追って「みちのく」に潜る
4 宮古、久慈、八戸を「義経北行伝説」が往く



Part.6 香港・マカオ大爆走

1 「義経渡海伝説」を追って、竜飛崎に立つ
2 『中年ぐれん隊』マカオGP遠征始末記(Ⅰ)
3 『中年ぐれん隊』マカオGP遠征始末記(Ⅱ)
4 『中年ぐれん隊』マカオGP遠征始末記(Ⅲ)

 さて、つづけてpart.7にとりかからねばならない。舞台はマカオから、シンガポール、インド・デーリーへ飛び、ついにはヨーロッパでアウトバーンを使ってのテスタロッサとの勝負が待っている。そうだ、オランダ・アムステルダムを振り出しに、フランス・ドービル、パリ、ナンシーを訪れ、ドイツ・デュッセルドルフまでを、五木さんと迷走したヨーロッパ3000キロの記録を、掘り起こしてみようか。

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「鬼門のバンテリンドームでの竜戦はTV中継が滅多にない。案の定、左腕大野に丸め込まれて0:2。が7回から竜の投手リレーが始まる。8回表、中野が右前安打で出塁、森下四球でサト輝の登場。このシーン、一発逆転が出るか出ないか。スマフォ速報で固唾を飲む。痺れる。敵はバンテリンの高い塀。」
何シテル?   08/06 09:17
1959年、講談社入社。週刊現代創刊メンバーのひとり。1974年、総合誌「月刊現代」編集長就任。1977年、当時の講談社の方針によりジョイント・ベンチャー開...
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