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2016年11月10日 イイね!

ポルシェの殺し文句 「最新は最良!」の呪文は本当か?

ポルシェの殺し文句 「最新は最良!」の呪文は本当か?「ベスモ」のリトルマガジン的『718ボクスターS試乗記』


 ポルシェJAPANが新しく居を構えた虎ノ門ヒルズの地下3階の車寄せで、赤の718ボクスターSを受け取ったのが午後の4時過ぎ。お堀端沿いの千鳥ヶ淵の撮影ポイントに立ち寄ってから、代官山の蔦屋書店に向かったときには、立冬を間近に迎えて、足早に夕闇が迫ってきた。

 撮影を済ませてからも、この日、RJC第1次選考会からずっと一緒の飯嶋洋治さんは、まだ718ボクスターSのステアリングを握っていたそうだ。
「いいですよ。このまま代官山の蔦屋書店まで、どうぞ」





 多分、こうなるだろうと先読みして、ポルシェ広報室への試乗手続きには、飯嶋さんの名前も登録してあった。彼のドライビング・スキルの適確さは、この2年間、触れる機会が多く、安心してお任せできるのを誰よりも知っていた。何といっても『スピードマインド』の編集長も務めたモーター・ジャーナリスト。期待の星である。

 それに……彼は最近、『GOIN(ゴーイン)』というDeNAが立ち上げたWebマガジンの執筆者として活躍中、つい先日もこんな試乗記を書き上げているので、ぜひ『こちら』にもコンタクトして、ご一読を願いたい。


 靖国神社前をひらりと左折。車の量のすくない内堀通りを、桜田門方面へ、それなりの活発な速度で疾走する。この大通りは適当なアップダウンが連続することで知られている。背後で奏でるボクスターの心臓の脈動音。交差点を一つ、運良く青信号でパス。イギリス大使館。半蔵門。国立演劇場。4車線にふえた右寄り側をキープして、下り勾配を意識しながら、三宅坂交差点を右折して R246に合流した。

 伝統の「718」の称号に恥じない……それがポルシェのプライドと進化の「哲学」なら、その片麟がうかがえるはずだったが、そこまでの2キロを飯嶋さんは誘惑と闘い続けていた。この718ボクスターSにはポルシェの先進技術、デュアルクラッチトランスミッションの略称「PDK」が搭載されている。だから、MTモードに切り替えて、パドルシフトをパンパンとやって、加減速、コーナリングを、少しは楽しむことはできるのだが……。
「いや、このままAUTOでポルシェが選んでくれる設定で走って見ます」

 R246と呼ばれる青山通りをオープンCARで走るのは初めてだった。この日の午後、RJCカーオブザイヤー第1次選考会の舞台となった青学会館の脇を左折する。くだって行くと並木橋。代官山は目と鼻の先であった。



 午後6時きっかり、庭園風にしつらえてある「T―SITE」の駐車スペースへ718ボクスターを滑りこませ、蔦屋書店2号館へまっすぐ向かう。「車とバイク売場」の責任者S氏が笑顔で迎えてくれた。今年の4月末にこの蔦屋1号館で開催した『ベストモータリング・トークショー』のお礼をいったところで問うてみる。

「ポルシェ専用棚に置いてもらった『PORSCHE 偏愛グラフィティ』の売れ行きはどうですか?」
「ああ、80冊全部、売り切れました」
 この明るい声が聴きたくてここへやってきたわけではなかったが、やっぱり嬉しい。早速、本題の飯嶋さん紹介をする。発刊したばかりの『きちんと知りたい! 自動車メンテとチューニングの実用知識』(日刊工業新聞社刊)はまだ置いてなかったが、何冊かの彼の著書は書棚に飾ってあって、飯嶋さんを喜ばせる。
「また、トークショーのような楽しいイベントをやりましょうよ」
 S氏は上手にこちらの気持ちを盛り上げてくれたのだろうが、その内容は、本気に取り組みたくなるものだった。ひょっとしたら、また来年の春には……。




 一段落したところで、3号館にあるコーヒーショップ「STARBUCKS」へ飯嶋さんを誘う。実はそろそろ、『偏愛グラフィティ』を創った時、編集・執筆を手伝ってくれた「ベストモータリング同窓会」メンバーの仁川一悟君がやってくる時間になっていたからだ。仁川君はボクスター981のオーナー。今日(11月1日)から4日まで、幸い、718を借り出せたから、新旧の比較を一緒にやってみてもらおうと企んでいた。

「ポルシェの『偏愛グラフィティ』に付録をつけるみたいに、新型車のインプレを紹介してみようか、と。そう、かつてのベスモに付けていた《リトルマガジン》と同じ発想で」
「あ、それは面白そう」と、飯嶋さん。そしてポルシェが今度の「ライトサイジング」開発が、かつてのエンジン水冷化と同等の、大きなマイルストーン(達成すべきプロジェクトの重要な節目)といっていることを論議し始めたところへ、仁川君がやってきた。

 しばらく歓談したところで、飯嶋さんが「じゃあ」と立ち上がる。そうだ、ボクスターは二人乗り。飯嶋さんは徒歩で代官山駅へと向かわなければならなかった。



 そして1週間後、仁川君から『最新は最良か? ポルシェ718ボクスターSに試乗!』とタイトルしたレポートが送られてきた。この「ベストモータリング同窓会編集部」の新しい試み、いかがかな。ややCG的なクールな筆致だが、間違いなく「ベスモDNA」が踊っているところが頼もしい。そっくりそのまま、紹介したい。

☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

最新は最良か? ポルシェ718ボクスターSに試乗!  仁川 一悟

『718ボクスターS、借りることにしたからよろしく頼むよ!』突然やってくるいつもの局長からの電話。なるほど、ポルシェがRJCカーオブザイヤーにエントリーするという前振りはそういうことだったのか!と気がついたところで、不安がやってきた。
『どうしよう、すごく良かったら……』旧型981オーナーに襲いかかるポルシェのあの呪文。
『最新のポルシェは最良のポルシェ』
 新型でどのように解釈されていたのか、新型の走りを報告する。

 911に引き続きボクスター・ケイマンシリーズもターボ化の波がやってきた。こちらは718という新たな名前をつけての再出発になる。水平対向6気筒NA、3.4ℓと2.7ℓだったエンジンは、それぞれ水平対向4気筒ターボ、2.5ℓと2ℓに置き換えられた。エンジンに加えて内外装もリファインされ、イメージを保ちつつ見た目も新たな車になった。

 待ち合わせの場所に置かれていた718ボクスターSは、なんとイメージカラーであるラバオレンジ!のボディーカラー。こりゃ目立つなぁと思いながら車に乗り込む。やや小径にそして握りも細くなったステアリングホイールに好感を抱きながらエンジンを始動するとボボボボボ・・・とターボであることが明確なエキゾーストを奏でながら、アイドリングが始まった。そして走り出すと今度はドロロロ…と不等長エキマニが奏でる聞き覚えのある音を出し始めた。NAとは明確に異なる音、しかしながらそれはポルシェであることが明確な迫力のある音を奏でながら。



 街中で乗る718ボクスターSは、明確に進化していた。何より乗り心地がすごくよくなったのは朗報だ。従来も悪いわけではないが『スポーツカーのわりには』という言い訳がついていたよさだったが、新型はそんな枕詞が要らない乗り心地だ。路面が荒れたところでもしなやかに動く足回りが、室内を揺らすことはない。2.5ℓターボエンジンの分厚いトルクとPDKのマッチングもさらによくなり、非常に乗りやすくなった。この印象は高速道路を走っても変わらない。非常に安定して速い車に仕上がっている。良くも悪くも、ゆっくり走っているとそれはポルシェなのか?分からなくなってしまうほど快適だ。

 細いワインディングに入ったところで、キャラクターの違いが明確になってくる。コーナーでの旋回速度が遅い。誤解を恐れずにいえば、それは十分に速いのだが比較をしてしまうと遅く感じる。同じペースで走っているとタイヤがむずむずと限界に近そうなインフォメーションを出し始める。もう少し踏み込むとすぐにESPが顔を出しはじめた。どうやら本当に限界のようだ。そして、PASMをシャシースポーツに設定しても相変わらずの乗り心地のよさと引き換えに、やや大きめのロールは変わらない。旧型のボクスターS、PDKはカタログ重量1,350kg、反面新型718は1,410kgと同グレードで比べても60kgの重量増となっている。足回りの印象も柔らかくなっている。



 新型718ボクスターは、明確によくなっていた。911と同じように乗り心地が良くなり、パワーがあがって燃費も良くなった。都内から箱根を往復して、ワインディングを飛ばしてたたき出した燃費は270km走って8.7km。アイドリングストップする範囲も広がって、停車する前にエンジンが止まるようになった。ターボエンジンの苦手なところはPDKが巧みにカバーして普通に乗ればターボラグを感じることはほぼ無い。新型718ボクスターSは燃費も含めて最良に進歩した。これならスポーツカーに乗るぞ!とドライバーの心の準備ももう要らないかもしれない。反面、心の奥底では別の感情も湧き上がる。スポーツカーってそれでいいのか? ポルシェってそれでいいのか!? 環境との共生を考えれば、それが正しいのは分かっている。他のメーカーのスポーツカーに比べれば、これがポルシェだ!という説得力は十分な車に仕上がっている。しかしながら乾いたフラット6のNAサウンドを知っているものには、新型のポルシェ密度が『薄味』に感じるだろう。初ポルシェとしてお勧めできる車が増えたことは、歓迎できることかもしれないが。


*フロントバンパーももちろん新デザイン。ウィンカーがバンパーインデザインになり、インテーク周りも変更。
ナンバー下については、PDKのオイルクーラー用インテークは廃止になり塞がれる形に。


*フロントバンパーのデザインも変わり、サイドビューはより伸びやかな印象に。


*ヘッドランプのデザインも変更。写真はOPのLEDヘッドライト。


*フロントフェンダーのキャラクターラインも強くなり、シャープな印象になった。
ミラーも支柱に穴が開いている新デザイン。従来は一部車種に手動しかなかったものが、
電動格納可能になって、全車標準採用!


*サイドのエアインテークもやや大型のデザインが標準に。


*リアビューは、ウィング部分が大きくなりややダックテール気味に。テールライトも一新され新しくなりました。
従来あった、リアウイング下のバックランプは廃止になり、ブレーキランプの下半分が兼用に。
なんとリバース時はレッドからホワイトに色が変わる仕様です!

<取材車両>
ポルシェ718ボクスターS PDK/RHD 8,520,000円
走行距離:13,990km 装着タイヤ:PIRELLI・Pzero
<装着オプション>
ボディーカラー(ラバオレンジ):426,000円
レザーインテリアパッケージ(ブラック):580,000円
電動ミラー:55,000円
PDK:524,000円
PASM:260,000円
PTV:238,000円
スポーツクロノパッケージ:379,000円
20インチCarerraクラッシックホイール:389,000円
カラークレストホイールセンターキャップ:30,000円
フロントウィンドウ クレーティント:21,000円
オートエアコン:139,000円
GTスポーツステアリングホイール:50,000円
シートヒーター:76,000円
フロアマット:20,000円
LEDヘッドライト:359,000円
合計:12,066,000円


                                    (この項、終わる)
Posted at 2016/11/11 01:20:05 | コメント(3) | トラックバック(0) | 還暦+20歳の青春 | 日記
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「翔平の663日ぶり2刀流復帰に朝日まで大騒ぎ。スポーツ欄の大半を動員して28球内容まで図解入り。そんな時、聖地に帰ってきた虎軍団のロッテ戦は? 頼れる右腕・才木が6回までゼロで押さえながら、7回、右手に打球を受けて失速して遂に7連敗。サト輝にいたっては見事な4三振。面白くない!」
何シテル?   06/18 09:40
1959年、講談社入社。週刊現代創刊メンバーのひとり。1974年、総合誌「月刊現代」編集長就任。1977年、当時の講談社の方針によりジョイント・ベンチャー開...
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