〜パルサーEXA・フレッシュマン時代への回帰・序章〜
ちょうど『みんカラ』で『つれづれクルマ一代』をスタートさせて満6年。みなさんに支えられて、いろんなテーマに取り組むことができました。深く、厚くお礼を申し上げたい。
あの時は「そのまんま」の75歳だった。それが今では『還暦プラス青春の21歳』などとほざいている。それでも体調・健康には気をつけながら(闘いながら、と言うべきかな)手応えのある日々を楽しんでいられる。それも『みんカラ仲間』との交遊のお陰です。もう少し、この道を究めてみたい。どうぞ、お力添えを。
さて、1ヶ月ぶりの「近況報告」は、終点を『ラストラン、菅生に燃ゆ』に設定して取り組むが、果たして完走できるだろうか。シグナルはGO! おっとスタートで逆噴射しないように……。
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《PVランキング第2位》の大異変騒動の発火点となった『5速MT新型スイフトRSを味見しに行かないか?』の続きを書きたくて、SUZUKI広報のミスター神原に連絡を入れたところ、電話の向こうから、申し訳なさそうな女性の声が返ってきた。
「神原は4月から、本社の宣伝部の方へ異動しまして……」
*SWIFT RS 5MTでご機嫌。ひとっ走りしてきます!
*こちらが「北総の小江戸・佐原」の運河めぐり。
おお、そうであった。ご挨拶のメールをいただいていたのだ。で、早速、浜松の方へ連絡をしなおした。が、会議中とやらで、後刻、電話をもらうことにした。こちらの要件は、改めて5速MT新型スイフトRSを用意してもらい、今度こそゆっくりと、この4月19日に『北総四都市江戸紀行・江戸を感じる北総の町並み』として『日本文化遺産』に認定されたばかりの佐倉と、さらに、かつては利根川水運の基地として栄えた佐原(香取市)まで足を伸ばして、運河めぐりでも楽しみたい、とムシのいい注文をするつもりだった。
時を置かず、浜松から電話が入った。久しぶりの挨拶の後、こちらからの要件を伝えると、ミスター神原の申し訳なさそうな声で答えが返ってきた。
「あの時の5MTのRSは広報車じゃなかったのです。実はアルトの時に5MTを用意したのですが、ほとんどご利用がなかったので、今回は広報車としてのRS5MTは準備してありません。東京広報の方でディラー関係を当たらせますので、ちょっとお時間を……」
2日経って、東京広報から連絡が入った。2時間くらいの試乗なら世田谷のディラーで調達できます、とのこと。話にならない。で、今回はRS の5MTは諦めることにして、方針変更。かねてから約束していた日産ノート e-POWER NISMOにそろそろ空きが出る頃だが、と日産広報に探りを入れることにした。
ちょうど6月8日に「X-TRAIL」のマイナーチェンジの発表会がある。その時に受けとれれば好都合だが、と。
「う〜ん。残念ながら、まだ出ずっぱりなんです。それよりもノートのNISMO Sならどうですか? マニュアルの5速ですよ」
「え⁉︎ NISMOノートに5MTがあったのか! それいいね!」
*NOTE NISMO SのイメージPHOTO
ニヤリと笑みを浮かべているに違いない若手広報マンの清水君。チーフの志水氏ではない(念のため)。何しろ彼は熱心なベスモフアンでわたしのBLOGもちゃんとチェック済みのはず。だから、コンパクトハッチの「5MT車」という人参を、わたしの鼻先に突きつけたのだ。
そんな経緯もあって、6月8日の朝は、午前10時半開催の発表会に出席すべく、浮き浮きと私鉄電車で池袋へ出、9時26分発の湘南ライナーで横浜へ向かった。通勤・通学の時間帯を外したつもりがほとんど満員電車状態。つり革にぶら下がって耐えていると、やっと恵比寿からは座席にすわれて、そこからは一息をつく。実はこのところ、いささか体調が優れず、まだ横浜行きは無理だったか、と悔い初めていたのだ。
それでも西大井から先の、武蔵小杉、新川崎と快適に走りぬける頃には、これから5日間を一緒に暮らすノートNISMO Sへの期待感からだろう、靄っていたハートに明るいものが射しこみ始めていた。それに、万一に備えて、横浜でノートNISMO Sを受け取ってからの帰路については、同じRJC会員、飯嶋洋治さんにサポート同乗をお願いすることで、手配はちゃんと済ませてある。
午前10時05分、横浜着。そこからはいつものように中央改札出口から地下街を抜けて、「みなとみらい21」方向を目指した。日産グローバル本社まで、徒歩すでに5分で着くのはちょっときついかな。
運河に面した1Fのギャラリ・フロアーはすでに報道陣やTVカメラで満席状態。発表会がこうやって賑わうのは、御同慶のいたり、である。
定刻の10時半、マイナーチェンジしたX−TRAILが紹介される。今回の狙いは、ミニバン「セレナ」に採用して大ヒットした『プロパイロット』を、今度は時代の寵児になりつつあるSUVに搭載し、同時にエクステリア&インテリアの質感を大胆に高めたものだった。いずれ、試乗会がセッティングされるだろうから、「セレナ」搭載時からの『プロパイロット』機能の進化具合を、その際に味見させていただこう。付言すれば、今回のX−TRAILにもNISMOバージョンとAUTECH仕立ての2種類が用意されていて、一味、スープアップされたSUVになっているはずだが……。
やっとイベントが終了。すぐに飯嶋洋治さんと合流し、広報・志水チーフに先導されて、地下の広報車受け取りの事務所へ、エレベータで降りて行った。去年の11月11日に、もてぎツインリンクでのRJCのカーオブザイヤー・イベント出席のお供としてR35 GT-R 2017バージョンを借り出して以来だったが、あの時はデビューしたばかりのNOTE e-Powerの試乗会が絡んでいたのを思い出す。
今回はSWIFT RSの代打として登場してくれる特別のNOTE S。その対面が控えているのだ。
5日間にわたる試乗貸出の手続きが終わった。で、モータープールへ向かうべくドアを開けて一歩踏み出した瞬間、足が止まってしまった。例のNISMOバージョンのアイデンティティであるブリリアント・パールホワイトのNOTE Sが、その小ぶりなプロポーションを自慢げにくねらせて、目の前ですでに待機しているではないか。
2WD 1.6ℓ DOHC水冷直列4気筒140ps/6400rpm。専用チューンを施された心臓部。5速マニュアルミッション。スピードメーターは260まで刻んである。お値段も、このバージョンは約300万円だと聞く。いやぁ、早く外へ飛び出したくなる。が、ここはサポートをお願いしている飯嶋さんに、とりあえずステアリングを譲るべきだろう。
当方は助手席にお尻を滑り込ませた。すっぽりと収まりがよすぎて、いささか束縛感が強い。そこが気になった。
黒のスエード調スポーツシートはRECARO社との共同開発とかで、ホールド部分は赤でまとめている。
飯嶋さんがギアのシフトパターンを確かめてから、左足でクラッチを踏み、次にエンジンのスターターボタンを捺す。ウォオーンと嘶(いなな)くNOTE S。事前の打ち合わせで、この後、首都高速湾岸線の大黒パーキングエリアまでひとまず走って、それからのことはSAのレストランで昼食をとりながら決めましょうよ、ということになっていた
日頃はBMWのM3、MT車オーナーの飯嶋さんが、ゆったりと1速→2速→3速とギアをアップさせながら、上り勾配のアプローチから、光の溢れる「みなとみらい横浜」の街へと繰り出した。
さて、今回はここまで。試乗記はわたしがステアリングを握ってからにしたい。それに、あえてサブタイトルとして《パルサーEXA・フレッシュマン時代への回帰》と謳っていながら、まだそのことに触れないままでいる。
それもやがて謎解きをするつもりだが、これまで35GTRやフェアレディZのNISMOバージョンと、それぞれ1週間を一緒に暮らしてきたときには全く繋がらなかった《プロダクションレース》時代の記憶の数々……。「序章」という2文字を付け加えている所以(ゆえん)である。 (以下、次回へ)