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2009年11月02日 イイね!

【日本よ】石原慎太郎 これからの国のなりいき

 政権交代という端的なキャッチフレイズの元に行われた総選挙で、人心に倦(う)みつくされた自民党の権威は崩壊し新しい政権の誕生となった。亡き司馬遼太郎氏が度々慨嘆していた、徳川政権崩壊の後誕生した太政官制度以来連綿と続いてきた中央官僚によるこの国の統治が果たしてこれで終わるのかどうか、その後この国の政治はどのように変質し、この限りない停滞から脱して新しい繁栄におもむくのかどうか。

 それを占うための新しい兆候はいくつか見られるが、今限りでそれをもって何をどう断じるまでにはいたらない。その大切なとっかかりはあくまで来年度の国家予算の態様を見てのことだろうが、すでにいくつかの懸念は窺(うかが)えもする。

 政治にとって国民との繋(つな)がりを支える言葉は不可欠なものだが、しかしなお政治の理念、目的を表現するための言語が全てということでは決してない。最近では戦後間もなく実存主義の手立てとしてしきりに使われた「マニェスト」なるものが突然復活し何やら政治に関することさら新しい方法のように喧伝(けんでん)されているが、要するに宣言、声明ということでしかない。

 選挙というある限られた政治の催しもののために使われる言葉は、それが使われる目的が投票による当面の効果に絞られているために、言葉としての絶対的な価値や意味としてはあくまで限られたものに違いない。つまり選挙の公約なるものの信憑(しんぴょう)性は絶対たりえまい。選挙の折の公約が財政的に完璧(かんぺき)に裏打ちされたものならばともかく、公約なるものの全き履行はある危うさを伴うに違いない。

 「初めに言葉ありき」ということでことが通るのは、それは人間の信仰、組織としての宗教の範疇(はんちゅう)であって行政はそれではすまない。私たちは新政権に期待はしてもそれを「信仰」している訳ではない。

 民主党のかかげた公約の多くについては、その財源の信憑性についていわれてきたことだが、しかし一方その所以(ゆえん)たる理念については共感をそそるものはあった。「コンクリートから人へ」というフレイズは確かに心に響くものはある。諫早湾の干拓とか長良川の河口堰(ぜき)といったあの馬鹿げた事業を眺めれば、アレックス・カーが指摘した日本の年間のコンクリート使用量がアメリカの倍という思いがけぬ数値のいわれに動揺しない訳にはいかないが、しかしなおそうした事例にこだわって「公共事業」が悪であり無駄という決めつけにはなり得まい。

 日本のコンクリートの使用量が膨大な所以は、官僚の恣意(しい)の故というだけではなしに、国土の面積に比してイギリスの可住面積は日本の八倍、ドイツは十五倍、フランスは二十三倍といった地勢の上での劣勢事情もある。要は公共事業のコスト・アンド・ベニフィットの指数の高低の問題である。それを無視した公共事業が過去に氾濫(はんらん)していたことは否めないし、それを放置してきたのは自民党政権の責任には違いない。

                   ◇

 公共事業の実態の放置を含めて自民党は結局、あの年金の破綻(はたん)問題などをみてもおんぶしていたつもりの官僚組織に滅ぼされたとしかいいようない。それにしても国民も延々と続出する年金行政の不始末を眺めてよくまあ我慢したものだと思う。あれがフランスやイギリスといった他の先進国ならとっくに超党派の抗議大デモが起こっていただろう。それなしに溜(た)まりに溜まっていた鬱憤(うっぷん)が選挙で爆発したともいえそうだが。

 政治の運営とその効果は結局財政、経済を無視しては考えられない。経済と財政は車の両輪であって、財政が狂えば経済は疲弊し、経済が進展しなければ財政は支えられない。その視点で眺めると、今の時点で云々(うんぬん)するのは早いかもしれないが、新しい政権の姿勢にはいささかの危惧(きぐ)を抱かざるを得ない。

 政策とそれに伴う予算の無駄というのは、いうには優しいが、その検証は複雑で難しい。いわれている教育振興のための家庭補助とか高速道路の無料化といった生活の保護策はかなりの財政支出となろうが、その財源に関する論だけではなしに、そのための金が果たしてどれほど還流するかの問題がある。それをばらまきとするならば、そうして支出される財源がどれほど還流して経済を刺激するかが論じられるべきと思う。

 先の選挙での民主党の公約の大きな眼目の幾つかは、それを実践することでの経済面での還流率が希薄なものが多い。もちろん政府からの家庭補助による教育の振興は金目では計りきれぬいわば無形の効果を挙げ得よう。しかしなお、教育に限らずそうした財政援助による福祉政策は、受ける側からは当然歓迎されようが、経済でのお金の還流という面ではほとんど力がない。

 だからそれに徹している国ではそれを高率な税金で支えている。先般訪れたデンマークでは教育費はただ、医療費も外国人までただという高福祉国家だが、消費税は二十五%、所得税はなんと六十%と聞いた。高福祉低負担のまかり通る日本では考えられぬ、というよりも口にすら出来ぬことだろうが。

 前述の通り来年度予算の様態をみなくてはいえぬことだが、私には今悪い予感がきざしてある。新政権のいうところを眺めれば、かつて戦後三代目の知事として首都東京に壟断(ろうだん)し都の財政を破綻させてしまった美濃部知事の都政に酷似している観を否めない。美濃部都政は徹底したばらまき福祉で、有名な老人のバス料金ただに始まって数多くの援助福祉と、公共事業は自民党の資金源の悪としてほとんどすべて中止凍結。ということで東京の経済は衰弱疲弊してしまった。

 私が願うのはあくまで、新政権の政策がかつての美濃部都政の全国版とならぬことだ。

 新しい政策を実現していくためには健全な財政基盤が必要だろうが、そのためには景気を回復させ総生産を向上させなくてはなるまいが、コンクリートよりも人間本位という理念が、予算の還流をはばみ経済を衰弱させてしまってはいかなる理念の実現もありえまい。

産経新聞より

まさに今の状況を的確に書いているとしか言いようがありません。
Posted at 2009/11/02 22:52:20 | コメント(4) | トラックバック(0) | 時事関係 | 日記

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