社員自殺賠償命令 父親、勝訴でも表情晴れず
「質、量とも過重な労働状態だったのは明らか。だが、マツダは何ら対策を講じなかった」。2007年に自動車メーカー「マツダ」(広島県府中町)の社員だった県内出身の男性(当時25歳)がうつ病になり、自殺したのは長時間労働などが原因として、同社の責任が問われた訴訟で、地裁姫路支部が原告の主張をほぼ全面的に認めた判決が言い渡された28日、中村隆次裁判長は、男性を自殺へと追い込んだ職場環境の問題を次々と指摘した。
男性は当時、入社3年目ながら、ベテラン社員が担当していた業務に配置換えになり、時間外労働が増えた。中村裁判長は取引先とのトラブルを上司に相談した際、「何が言いたいのか分からん」などと叱責(しっせき)されたことについて、精神的負担は相当なものだったと指摘した。
自殺直前の1、2か月間、会社や自宅での残業時間が労災死認定基準の月80時間を超えていたと推認されるとし、「孤軍奮闘し、問題を抱え込まざるを得ない状況でうつ病を発症。危険な状態だったのは、男性が追いつめられていたとの同僚証言などから明らかで、自殺は予見可能」と同社の安全配慮義務違反を認めた。
また、男性の自殺後、上司が笑いながら「この忙しいのに」などと発言し、葬儀で冗談を言うなど、原告が二重の精神的苦痛を受けたことも認定した。
判決後、男性の父親(63)らは姫路市北条の県弁護士会姫路支部会館で記者会見。菊井豊弁護士は「最近は労働状況から精神病を発症する労働者が多く、判決が一定の警鐘になった」と意義を強調したが、父親は「社会人としてこれからという時に息子は悩み苦しみ、死に追いやられた。裁判に勝っても、うれしいという気持ちはない」と述べ、「今も怒りの気持ちでいっぱいだ」と表情は晴れなかった。
自殺後のマツダ側の対応について、「原因を調査せず、自己保身を優先させた責任は重い」と非難。これまでの裁判では地裁姫路支部から和解案を提示されたが、「法廷でマツダ側の責任を認めてもらい、社会に現状を訴えたい」と判決を迎えた。
父親は「二度と不幸な社員や家族を作らないことを肝に銘じて、社員が安心して働ける職場にしてほしい」と訴えた。
読売新聞より
過労自殺で「会社の責任認める」判決が増えたワケ
大手自動車メーカー社員の男性が自殺したのは、会社が長時間労働や上司のパワハラを放置したため――。2011年2月28日、神戸地裁姫路支部は会社に対し、男性の両親に約6400万円の損害賠償を支払うよう命じた。
入社3年目、25歳だった男性は、入社20年のベテラン社員が担当していた購買業務を引き継ぐ形で異動。前任者も過重労働で体調を崩していたという。
裁判所の「常識」が変わりつつある
男性の時間外労働は、自殺直前に月80時間を超え、部品をめぐってリコール問題が起きるなど取引先とのトラブルも頻発していた。
しかし上司は、男性に対して「残業は業務効率が悪いからだ」「自宅に持ち帰ってやれ」などと叱責。孤立無援の状態に置かれた男性はうつ病を発症し、社宅の自室で首つり自殺した。
この上司は男性の自殺後にも、職場で笑いながら「あ、亡くなったわ」「この忙しいのに」と発言したり、同僚が男性の机に花を飾ろうとしたときに「大っぴらにするな」と制したりした。
葬儀の場でも、弔文原稿に目を通しながら冗談めいた口調で「泣かすよなあ」と言ったという。こういった事後対応の悪さについても、判決は「両親は二重に精神的苦痛を被った」として損害賠償の加算要因と認定している。
(以下略)
J-Castより
従業員への取り組み
人権尊重
マツダは企業活動の基本は人権尊重であると考え、人権擁護活動に積極的かつ誠実に取り組んでいます。
基本的な考え方
マツダは企業活動の基本は人権尊重であると考えています。会社生活において、一人ひとりの尊厳と人格を尊重することは大変重要であり、明るく働きやすい職場でこそ従業員の能力が発揮され、大きな組織力を生み出します。
こうした考えに基づき、2000年に人権宣言を採択。法令順守や児童労働・強制労働の禁止はもちろん、社内外を問わずすべての企業活動において、人種・国籍・信条、性別、社会的身分、門地、年齢、身体障がいまたは同性愛による差別や嫌がらせなど、いかなる人権侵害も許さないという強い信念のもと、人権侵害の完全撤廃を社内外に発表しています。
2008年には企業として全国で初めて法務省と全国人権擁護委員連合会が主催する「人権擁護功労賞」を受賞しました。
人権宣言
マツダは人権を尊重し、公正な処遇を行う日本のリーダーカンパニーを目指す
24時間体制の相談窓口
マツダは、専任相談員による24時間体制の相談窓口、「人権相談デスク」「女性相談デスク」を設置し、人権問題の被害者の早期救済や対応、解決にあたっています。
「秘密厳守」「報復の禁止」「相談者に不利益がこうむらないこと」を規則に定め、面談、電話、eメールなどを通じて相談を受け付けています。相談から24時間以内に対応に着手し、相談者の職場環境を速やかに回復しています。この窓口はコンプライアンス統括部が運営しており、対応の内容は人権委員会へ報告され、さらに実効性のある全社方針の策定や、啓発活動の実施に役立てています。
(以下略)
マツダHPより引用
>
この上司は男性の自殺後にも、職場で笑いながら「あ、亡くなったわ」「この忙しいのに」と発言したり、同僚が男性の机に花を飾ろうとしたときに「大っぴらにするな」と制したりした。
>
葬儀の場でも、弔文原稿に目を通しながら冗談めいた口調で「泣かすよなあ」と言ったという。
こういう上司が野放しにされてるのも断じて許されぬべきことですがそれ以上に
なぜマツダの相談窓口がきちんと機能しなかったのか?
なにを持って人権尊重なのか?
二つの疑問が生まれます。
マツダが宣言しているように
> 2000年に人権宣言を採択。法令順守や児童労働・強制労働の禁止はもちろん、社内外を問わずすべての企業活動において、人種・国籍・信条、性別、社会的身分、門地、年齢、身体障がいまたは同性愛による差別や嫌がらせなど、いかなる人権侵害も許さないという強い信念のもと、人権侵害の完全撤廃を社内外に発表しています。
というのであれば、当然この自殺した25歳の方は相談窓口の存在を知っているはずです。にも関わらず、悲劇は避けられなかったとなると考えられるケースは
1)対外的なものでそもそもそんなものは存在しない
2)あったとして、相談は受け付けても対処はしない
3)対処は行ったがこの上司が報復措置に出た
4)そもそもそういう部署があるということ自体知らされていなかった
最低でも4つのパターンのどれかだと思います。
> 自殺直前の1、2か月間、会社や自宅での残業時間が労災死認定基準の月80時間を超えていたと推認されるとし、「孤軍奮闘し、問題を抱え込まざるを得ない状況でうつ病を発症。危険な状態だったのは、男性が追いつめられていたとの同僚証言などから明らかで、自殺は予見可能」と同社の安全配慮義務違反を認めた。
この記事からすると1、2、4のどれかの可能性は高いですし
> 自殺後のマツダ側の対応について、「原因を調査せず、自己保身を優先させた責任は重い」と非難。
ましてやこのような非難が出るということは1か2のどちらかとしか考えられません。
従業員を軽視し、ましてや死者を冒涜するような発言をするような上司を野放しにしたマツダの責任は非常に重いですし、その上にHPに載せていることが不誠実であるというのは企業責任は重大だと思います。
BMWに乗っていてもマツダというクルマは好きでしたし、また乗りたいと思ってましたが
とても今の状態ではマツダを積極的に選びたいという気持ちにはなれません
何もマツダに限ったことではなく他のメーカーや企業でも起きていると思いますが、それを踏まえてもとても許されるようなことではないと思います。
従業員を軽視する企業に未来は無いと思います
今、日本企業が目指すべきは儲けの為に従業員を軽視するのではなく、儲けるためにはどう従業員を活用し、やる気を引き出すかという路線に切り替えるべきだと思いますが、自分の認識は甘いでしょうか?
参考:
トヨタも驚愕!伊那食品工業「48期連続増収増益」の秘密
Posted at 2011/03/03 00:58:08 | |
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