先の
皮肉なもので出たコンピュータ関係の続きでもう少しこのクラウドとスパコンの違いを掘り下げて書いてみたいと思います。
まず最近よく聞く言葉としてクラウドとかSaaSとかWeb 2.0とかお聞きになったことはありませんか?
これ何を指すかといえば具体例をあげれば
Google
Windows Live
とかといえばお分かりになるでしょうか?
単純に言えばクラウド=雲=業界ではインターネットの中のことを指します。
つまりインターネットのどこかに巨大サーバー群を用意してサービスを提供するということなんですよ。
クラウドが高性能な結果を出すかといえば、極論を言えば出しません。すべてはそこに組み込まれているアプリケーションしだいで変わってきますから。
簡単に言うとGoogleで検索をかけたらどのような答えが出るかというと大抵は望んだものに近い結果が出ますよね。でもそれはブラウザとかじゃなくてGoogle側で使われているデータセンターに蓄積されているデータや、それを瞬時に探し当てる検索エンジンの性能によって変わってくるんですよ。検索している間は自分のコンピュータは動いていません。(実際には動いてはいますが検索自体には関与していません)
なのでクラウドがスパコンを凌駕するというのは完全に間違った解釈なんですよ。
スパコンを凌駕する結果をもたらすコンピューティングを指すのであれば
グリッドコンピューティングであってクラウドではないです。
ではグリッドとは何か?
インターネットっていろいろなコンピュータが接続していますよね?
身近なものだとWindows搭載のCore2DuoのPCとか、MacOS搭載のCore2QuadMacとか・・・
で、インターネットに繋がっているPC全てが常時CPUのパワー100%使っているわけじゃないですからね。そのあまったCPUの計算能力を利用して研究目的に使おうというのがグリッドコンピューティングです。
具体例としては
SETI@Homeでこれ既存のパソコンなどにインストールして
SETIがその計算能力の余った部分を利用して分析するという取り組みです。
ではグリッドコンピューティングがスーパーコンピュータを凌駕できるかといえば、できなくはないです。ただし業務で使おうとしたら世界中のデータセンターを超高速専用線等でつないで解析できる方法がないと無理でしょう。それに秘匿性の問題もあるので正直インターネット経由では非効率です。
次はスーパーコンピュータなんですが、これ単純に言えば演算能力を最大限にあげたCPUを大量に使って特殊な計算や分析を行うんです。もちろん一台とかじゃなくて何台も並列でつないで行うのですが。
簡単にいえばコンピュータ界のF1なんですよ。ただ、F1はレースと技術の発展につながりますが、スーパーコンピュータは様々な用途に使われます。
具体例は天気予報です。えって思う人いるかもしれませんよね?
天気予報って様々なデータを使って予報を出すんですよ。過去何十年分の膨大なデータと統計、気象衛星からの情報、風の動き、気温、あらゆる情報を集めて総合的に演算を行いその結果をもとに気象予報士が明日の天気などの目安を決めるわけであって、気象予報士が全部調べ上げてなんて言ったら途方もない時間がかかりますし、精度にも問題が出てきます。
だからスーパーコンピュータの需要がなくなるかといえばありえないとまで言い切りませんが、現時点では絶対に必要な技術なんですよ。
どのくらい違うのか見てみましょう。
ちなみにこれらのスピードを評価する場合はGhzとかではなくFLOPS、Floating point number Operations Per Second、1秒間に浮動小数点数演算が何回できるかという能力を理論的/実際的(実験的)に表したもののことを言います。
ゲーム機
*プレイステーションポータブル: CPU 2.6GFLOPS / 9.6GFLOPS(ピーク時/システム全体)
* ドリームキャスト: 1.4GFLOPS
* Xbox: 1.5GFLOPS
* プレイステーション2: 6.2GFLOPS(Emotion Engine単体)[2]
* ゲームキューブ: 13GFLOPS (ピーク時/システム全体)[3]
* Xbox 360: 1TFLOPS (システム全体)
* プレイステーション3: CPU 218GFLOPS / GPU 1.8TFLOPS / 2TFLOPS (システム全体)[4]
PC&サーバー
*Core 2 Quad: 51.20 GFLOPS(QX9775)
*Core i7: 51.20 GFLOPS(i7-965)
グラフィックカード
* GeforceGTX280: 622GFLOPS / 933GFLOPS(積和算 / 積和算、和算合計)
* Geforce9800GTX+: 470GFLOPS / 705GFLOPS(積和算 / 積和算、和算合計)
* Geforce9600GT: 208GFLOPS / 312GFLOPS(積和算 / 積和算、和算合計)
* Geforce8800GT: 336GFLOPS / 504GFLOPS(積和算 / 積和算、和算合計)
* Geforce8600GTS: 92.8GFLOPS / 139GFLOPS(積和算 / 積和算、和算合計)
* RadeonHD5870: 2.7TFLOPS(積和算)
* RadeonHD4870: 1.2TFLOPS(積和算)
* RadeonHD4670: 480GFLOPS(積和算)
* RadeonHD3870: 496GFLOPS(積和算)
* RadeonHD3650: 192GFLOPS(積和算)
グリッド
* BOINC: 約 1,745.444 TFLOPS 2009年6月8日 平均値
スーパーコンピュータ
*地球シミュレータ(現行システム): 122.40TFLOPS
* Blue Gene/L: 478.2TFLOPS
*IBM Roadrunner: 1.105PFLOPS
*Blue Gene/P: 1PFLOPS(最大で3PFLOPS・予定)
いずれも
Wikipediaを参考
つまり、スーパーコンピュータを利用すればはるかにグリッドよりも効率よく演算ができるわけですから需要があるわけですし、原子力(発電、爆弾問わず)の研究などにも必須ですから、これの日本国内における開発を据え置きにするのはいかに国益を損なうかというわけなんですよ。
極端な例を出すとしたら
プリウス10台、連結して走らせるのとBugatti Veyron1台走らせるの、どっちが早いか
正直答えだせないですよね。プリウスを10台、何らかの形で一つの車にして走らせたら理論上ではVeyronと同じくらいの馬力になるわけですが、そこまで持っていくの大変ですよね?で、はたしてこれが同じスピードで走れるかというとまた別問題ですから。
これと同じことなんですよ。スーパーコンピュータとグリッドコンピューティングの差というのは
すいません、コンピュータの話になるとつい熱が入ってしまいました汗