• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2014年11月27日

ベストカー誌の『徳さん追悼特集』

ベストカー誌の『徳さん追悼特集』 ~それぞれの鎮魂の想いが谺(こだま)する~


 合掌してから『ベストカー』の12月26日号を開く・・・・・・。広告ページを2見開き通過すると、徳大寺有恒さんの笑顔が待ってくれていた。愛車メルセデスのスリーポイントがちらりとのぞき、ズボンのポケットに両手をいれて、こちら向かって、屈託なく破顔している。80年代後半のショットだろう。この徳さんの笑顔に、つい、いつまでも見入ってしまう。

「講談社ビーシー社員一同」が心のこもった追悼の言葉を贈っている。
「徳さん、長い間本当にありがとうございました」
 わたしも、同じ言葉を口にして、次のページを開く。



 黒沢元治さんと、HONDAの元社長、川本信彦氏が沈痛な想いを披露する。ガンさんは、自らが開発に取り組んだ「ポルシェ承認タイヤ」も「初代NSX」も徳さんの励ましがどんなに効果があったかを、想いをこめて明かす。
 川本社長は、歯に衣着せぬ評論から、真にいいクルマ作りのために大切な示唆をいただいた、と鎮魂の言葉を送ってくださる。

 次に登場するのがテリー伊藤さんだ。雨の中にたたずむクルマの美しさ、光の中で輝くクルマに心を撃ち抜かれる・・・・・・そのすばらしさを教えてくれたのが徳大寺さんだった、と。短い文章だったが、テリーさんに、共感した。



 さらにページを開く。生沢徹さんが「杉江(徳さんの本名)がいなければ、今のアタシはいない・・・・・・」と、往時の秘話を述懐している。それに加えて、1967年の日本グランプリで、生沢さんのドライブするポルシェ906をサポートする徳さんの姿が、なんとも初々しい貴重なシーンとして添えられている。必見である。





 カラーグラビアの最終ページは、谷田部でのテスト前夜、徳さんと夜通しでクルマ談義をした思い出を、竹平元信さんが語っている。

 さて活版ページである。目次の1ページをめくると、徳さんの『俺と疾れ!! 2014』の最終回がトップ記事扱いで待っていた。恐らく、これが徳さんの最後の原稿だったろう。
 
 その4ページが終わると、「追悼特集」が再開する。舘内端さんが『徳大寺有恒が日本の自動車ジャーナリズムに残した功績』に言及する。火を吐くような追悼の想いが、こちらの胸を打つ。ぜひ、ご一読をお願いしたほどの、真実の徳大寺有恒の姿勢を指摘している。



「徳大寺さんは、あらゆるバッシングにも負けず、真実を語ることを貫いた。だから間違いのないクルマ選びができる人たちがたくさん生まれた。そして自動車メーカーは、クルマに対する目を鍛えることができた。
 クルマは地球温暖化と今後の石油需給の逼迫という大きな問題を抱えている。大きく変わらなければ生き残れない。今こそ、バッシングを恐れず、真実を語る自動車評論が求められている。
 だが、それは簡単ではない。強い心と体力がなければできない。自動車評論家の末席を汚す私とて例外ではない。徳大寺さんに恥ずかしくない自動車評論を心がけなければならない」

 そして最後に、徳さんを励まし続けた読者にお礼をいう舘内さん。
「徳大寺さんは、皆さんの励ましがあったからこそ、自動車評論をやり続けられたのだと思う」

 次に、元ベストカー編集部員であった国沢光宏さんが、彼の声が聞こえてくるような、軽妙な筆致ながらどこか人の心をシーンとさせるいい味で「一から十まで徳さんの背中が教えてくれた」さまざまなエピソードを書き綴っている。



*追加PHOTO


 さて56ページ目に、わたしの『運命の人「杉江博愛」と黎明期のベストカー』が登場する。「みんカラ」BLOGの11月12日付け『何シテル?』の拡大版といっていい。徳さんのやらかした「創刊号、空白の19行」事件が、彼に自動車評論専業を踏み切らせたのかも、というエピソードを織り込んだのが、耳新しいかもしれない。





 最後の見開きページは、3代目編集長の勝股優、4代目の宇井弘明の両君が
徳さんとの別れがどんなに辛いことなのか、その切々たる想いを述べてくれている。

 特に注目なのは、宇井くんさりげなく明かす徳さんの亡くなった「11月7日」のこと。
誰にも迷惑をかけず、さっさと逝かれたのはいかにも徳さんらしい、と心のなかの涙を拭きながら、憎まれ口を叩いているのも好ましかった。

 都合、カラーグラビア4ページ、活版12ページを投入してくれたベストカー誌の「追悼特集」は、徳大寺夫人の読者への謝辞で締めくくる。

「読者の皆様
 ベストカー創刊から現在にいたるまで
 長い間、徳大寺を支えて頂き
 本当に、本当にありがとうございました。
 徳大寺が少しでも皆様のお役に立ち
 ご記憶にとどめて頂けたなら、
本人にとって望外の喜びです。

本来なら直接皆様に
お礼申し上げるべきところ、
誌面を借りてのご挨拶お許し下さい。

ありがとうございました。

平成26年11月14日     徳大寺有恒


【局長追記】徳大寺さんとの最後の仕事になりました『指差して言うTOYOTAへ』を、わたしの始めた『ぽらりす』から、電子書籍ストア「CONTEN堂」を舞台に、電子版をご覧いただけるようになりました。徳さんの熱い想いを受け止めてやってください。お願いします。アクセス先をリンクしておきました。
 
 ●ContTenDo
ブログ一覧 | ちょっと一服 | 日記
Posted at 2014/11/27 01:08:04

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

娘2号家族が赤坂TBSテレビへ
kuta55さん

8/17)皆さん~おはようございま ...
PHEV好きさん

㊗️・みんカラ歴1年!(実は、約4 ...
IS正くんさん

帰省先から新潟県妙高へ。上手く行か ...
なうなさん

明日、手術決定しました😂
なつこの旦那さん

良い燃費^_^
埼玉の猫さん

この記事へのコメント

2014年11月27日 10:13
局長こんにちは。早いもので11月も去ってゆきます。この11月、徳大寺さんをはじめ、ベストカー・デザイン論の前澤さん、そして我々九州男児の誇り・高倉健さん・・・次々と訃報にあいました。ワタシは今から26~ 7年前、中学生の頃に間違いだらけと出会い、影響を受けたからこそ今もこうしてクルマに何かしら興味を持てているのだと改めて思います。「外車かぶれ・ダンディズム気取り・贅沢おじさん」・・・確かに徳さんに対し色々な意見もあった事でしょう。ご自身も30代で体を壊し、挫折を味わい、コンプレックスを抱え・・・今のワタシ自身にも重ねるところが多々あります。そして何より徳さんが『人間臭い、クルマ好き少年』を全うされたからこそ、我々読者は氏を慕い、ついて行ったんだと思います。昨今のクルマ業界、「自動車への度重なる課税・メーカーのご都合主義・エコごっこ・プレミアムごっこ・お節介デバイス・・・」  ベストカー、ベスモで培ってきた我々読者がこれからも「確かな目」でクルマ選びをして、クルマを楽しんでゆく事こそが、徳さんから頂いた恩に報いていく我々クルマファンの姿なのか、と。 イベントでお会いして握手した時の手の温もり、32スカイラインはイイねぇ~と言って下さった時の笑顔、リップサービスで周りのスタッフに『彼は(ワタシの事)友達だから・・・』と言って下さった事・・・決して忘れない。              また、逢えるような気がします。
コメントへの返答
2014年11月27日 17:47
徳さんへの哀悼の意、間違いなく徳さんに届いていると思います。これから、わたしたちが喪ったものの大きさを、知らされるのでしょうね。

今度ゆっくり、お話しできればいいなぁ。わたしに中山でサーキット走行の真似事をさせてくれたあなたの35にも、逢いたいなぁ。

来年の春には、その機会が来るかも。そう願っています。
.


2014年11月27日 10:57
徳大寺さん、まことに稀有な存在でしたね。

私がクルマ好きとなったのが氏の「間違いだらけ~」とは先日書いた通りですが、そこに書いてあった文章を真に理解出来るようになるまでは(クルマ好きとして歩んできたつもりでも)20年ほどの時間が必要でした。

うちのオヤジは長年トヨタ党で、息子である私にもトヨタ車以外を選択させる気はありませんでした。 そんな中、最初に買ったのはトヨタでしたが、その後 スバル→VW→BMWと乗り換えてきて、徳大寺さんが仰っていた事が今になってようやくわかってきた気がします。

これからもクルマ好きとして人生を楽しんでいきたいと思います。それが徳さんへの一番の供養になると信じて。
コメントへの返答
2014年11月27日 17:52
ベスモ同窓会にゲストとして、徳さんをお招きしなかったことが、改めて悔やまれます。

「一粒の麦、もし死なずば」

徳さんの蒔いてくれたものが、どう育っていくのか。あなたのことばに、いろいろ期待するもんがあります。

楽しみにしています。
2014年11月27日 19:20
正岡さん。当時、読むことが出来なかった記事や当時の徳大寺さんのお写真。ブログで、みなさんのそれぞれの気持ちも読むことができ、ありがとうございます。

これからも正岡さんを中心に、ガンさん、中谷さん、本田さん、当時の編集部のみなさん、ベストモーターリング同窓会メンバー、みんなで車について考えたり、サーキットを走ったり、ファミレスで集まったりと活動して行きましよう。きっとそれを、徳大寺さんが、微笑みながら見守ってくれていると私は、思っています。
コメントへの返答
2014年11月27日 20:02
覚悟はしていても、こうやって喪ったものの大きさを、改めて、思い知らされています。

それでも、心を励まし、こうやってブログにアップしたり、「ぽらりす」で電子書籍を送り出したり、と、わたしなりの徳さんへの供養。

確かに、徳さんは、例の笑顔で見守ってくれている。そう思って、また明日へ立ち向かいます。ひらさん、どうぞ、よろしく。
2014年11月27日 23:56
こんばんは。

個人的に印象強いのがベスモでのある一コマです。ベスモ1991年4月号の日産特集で、当時無敵のGr.A GT-Rのニスモの白無垢のテストカーが谷田部に舞い降りた時です。
早速テスト!となろうとした際に徳さんが現れ、弾んだ声と共にバンクへピットアウトしてゆきました。徳さんのこうゆう一面、好きですね。
また、徳さんの駆るGT-Rを見守るこの時のガンさんの笑顔も非常にいいです。

明後日になりますが、本屋で購入します。カートップ派だったので、ベストカーは十数年ぶりです。
コメントへの返答
2014年11月28日 5:42
もう、その号は手元にありませんが、機会があったら見てみたいものです。

そうか、波田さんからも連絡をいただいたが、書店の発売は、地方によっては、2日位遅くなるんだよね。

読んだ感想を、お願いします。
2014年11月28日 8:59
おはようございます♪ コンビニの立ち読みですが、チラチラと読ませていただきました。
私は23歳なので、同年代で徳大寺氏を知っているクルマ好きは少ないでしょうが、私は、小学生のことに、図書館で間違いだらけを読んで、こんなに面白い文章があるものかと、すっかり虜になりました。

徳大寺氏が評価していたクルマで記憶にあるのは、三代目プリメーラ、ディオン、シャリオグランディスのV6、ティーダ等です。今の時代でもイイクルマですよね。

徳大寺氏が、新型レガシィをどう評価されるか、気になっていました。
ご冥福をお祈りいたします。
コメントへの返答
2014年11月28日 14:07
こんにちは。まっすぐなコメントをありがとう。

徳大寺さんは、クルマを人と接するような気持ちで愛していました。だから、努力しないもの、驕っているいるものに対して厳しく物言いし、志高く闘っているものには肩を貸していました。そしてどんなクルマでも、どこかにいいものがあったら、そこを引き出していましたね。レガシィについては、どうだったのでしょうかね。初期のものは認めていましたが。
2014年11月28日 22:44
FRマニアさん、お久しぶりです。1991年4月今見直しました。徳さんの谷田部、ガンさんの笑顔が素敵ですね。ベスモ同窓会の一員として楽しみながら、車に接したいですね。この号は、波田さんの旋回ブレーキですね。
コメントへの返答
2014年11月29日 0:58
ああ、1991年4月号って、ベストカーではなく、ベスモの「日産特集」でしたか。それなら、どっぷり、記憶のツボに納まっています。

また、みんなで鑑賞会をやりましょうよ。
2014年11月29日 12:53
買いました!(笑)
今月はNAVIにベストカーにと徳大寺だらけですね^_^
コメントへの返答
2014年11月29日 13:20
蔦屋のイベント、行っていてよかったね。あれが最後の輝きとは思いたくないけど。

時間を作って遊びに来られたし。

スペシャルブログ 自動車評論家&著名人の本音

プロフィール

「前日の4点リードを代打の本塁打攻勢で逆転負けした口惜しさと、朝11時からのパドレス戦に気を取られこの日は長嶋茂雄追悼デーで午後2時からの試合開始だったのを見逃した。折角の実況中継だったのに。ま、エースの村上が2安打のG完封、森下翔太のメモリアルアーチ先制。マジックは「24」に。」
何シテル?   08/17 07:44
1959年、講談社入社。週刊現代創刊メンバーのひとり。1974年、総合誌「月刊現代」編集長就任。1977年、当時の講談社の方針によりジョイント・ベンチャー開...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

リンク・クリップ

富士のヘアピンで息絶える! ~ミラージュCUP闘走の記憶・第2幕~ 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/06/08 16:07:17
新しい光が《わがクルマ情熱》を再生させた! 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/12/08 20:15:35
『10年前、五木さんの500SEを譲り受けたのが…』(黒澤) 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/12/03 16:35:03

愛車一覧

トヨタ プログレ トヨタ プログレ
「NC」とは、ニュー・コンパクトカーの略と記憶している。(その後、NEO CATEGOR ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2015年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation