〜ナンバーワンよりオンリーワンを、と自らを励ましながら〜
東京の冬空が珍しく暗く、淀んでいる。いまにも白いものが舞い落ちてくる気配が満ちて来た。
こんな薄暗い、鉛色の空が、遠い、古い記憶を刺激する。生まれ故郷、北九州・八幡の空である。「八幡」のことは、2014年8月に『鎮魂の夏
』(ここをクリック)と題して3回に分けて触れているので、よろしかったら、そちらも併せてお読みいただければ、ありがたい。

*北九州・八幡の夜景。現在では「世界産業文化遺産」への登録推進活動で燃え上がっている(写真は北九州市HPより)
79年前の1936年1月15日、その頃は「八幡市」とよばれ、官営日本製鉄所の本拠地として繁栄の頂点にあったその街で、わたしは生を享(う)けた。溶鉱炉が四六時中燃え盛り、七色の煙がいつも街を覆っていた。
時代は『満州事変』から『日支事変』へと右傾化し、その年の2月26日には陸軍若手将校ら粛清テロが勃発するなど、どんどん悪くなっていく……そして『太平洋戦争』へと。そんな時代に産まれたわたしには、当時の国民的スターに祭り上げられた「陸軍」のリーダーにあやかって「サダオ」の名前がつけられた。ま、「貞夫」ではなく「貞雄」でよかったが……。それとなく聞かされていたのは、その陸軍のリーダーが八幡にやって来て、歓迎のドン(午砲)がなった瞬間に生まれたので、その将軍の下の名をいただいた、と。
八幡の冬空は、背後に600メートル級の皿倉山塊が控えているため、北の方角だけに広がっていた。洞海湾越しに玄界灘の一部となる響灘が鈍く光る。それでも、星の光る夜は、北斗七星が浮かび、北極星の位置を教えてくれた。
「あの星だけは動かんとよ。そやけん、海や陸で方向がわからんようになったら、北極星を探すといい」
はじめに教えてくれたのが、9歳年上の兄だった。だから、上京してからも、心が迷って夜空を仰ぐと、いつも北極星、つまりポラリスを探した。
東京に上ってちょうど60年が過ぎた。出版社に入り、いろんなメディアの編集に携わることができた。そんなある時期、多分、「ヤングレディ」という女性週刊誌に席を置いていたときだったろう、新宿のマスコミ人の溜まり場スナックに出入りする「星占いの女王」に誕生日を告げたところ、こういわれたことがあった。「あなたはナンバーワンにはなれないがオンリーワンにはなれる」と。
その予言とも言える指摘が、今でもこころの奥深くに刺さっている。ナンバーワンにも、オンリーワンにもなれなかった。が、これからでも、オンリーワンにはなれるかもしれない。そうか、還暦を超えてから、本日より「プラス19歳」の日々がはじまる。そう考えれば、またオンリーワンに挑戦しようという気力も湧いてくるではいか。
不思議なことに、このところ、心が西に向かっている。「第4回ベスモ同窓会」を岡山・中山サーキットで開催すると決めてからは、そのお供のクルマに何を選んで西へ向かおうか、と。
たまには長年連れ添ったプログレもいいなあ。いやいや、折角、中山サーキットにいくのだから、マニュアルミッション装備のマシンにしたいな。去年のアクセラ・ディーゼルのMT車は走りといい、燃費といい、刮目すべきものがあったじゃないか。だったら、新しくMAZADAからデビューするCX-3がそのころならロング試乗OKのサインをもらっている。いいなあ。
しかし、先だってのRJC 2015年次「ブリテン」には、こんなラブコール的文章を掲載しているではないか。それをどうしてくれるのだ、と自問する。ま、その件は、この6月に北九州市で開かれる予定の、中学時代の同窓会出席を想定しての心映えであったが、この4月の岡山行きも、Cクラスをチョイスしてこそ、「還暦プラス19歳の青春」に相応しいのかもしれない。
それはこんな書きっぷりだった。割り当てが400字強。いささか窮屈で詰め込みの感あり、か。
■RJCブリテンへの寄稿 ベンツC200が『人生最後の1台』か
78歳の筆者、目も足腰も衰えていない。許されればサーキット走行も辞さない「チョイ悪爺ィ」。それがこのごろ「人生最後の1台」に何を選ぶか、真剣に取り組んでいる。条件はFRセダンに限る。
そんな矢先に登場してくれたのがベンツC 200。なにしろ世界のCセグメントのベンチマークリーダー。その誇りにかけて、可能な限りの新手法投入を謳ってのお目見えに食指が動き、早速に一般道、高速自動車道、山道の各舞台で試乗。
まずホイールベースの80ミリ延長で、居住性と運転性能を劇的に高めようとした意図に好感。量産プレミアムカーで初めてアルミと鉄のハイブリットボディの採用。走行中でも「アジリティ」とよぶ切り替えダイヤルで、好みの走行モードを選べる仕組み。そのシステムに上級スポーツタイプ限定のエアサスが絶妙に呼応する。
それらを確認したところで、『ディストロニック』と呼ぶドライバー支援システムとカーナビの精度も試す。
これなら、念願の九州往復(片道1000km)ドライブのお供にしても大丈夫ではないかな。
☆ ☆ ☆ ☆
まだ迷ったままでいる。
ただし、今回こそ、この19年間、眠ったままのヘルメット、レーシングスーツ、それに靴とグローブ……に、わが生命を吹き込むつもりである。浮き浮きと、こころが弾み始めた『還暦プラス19歳の青春』初日の、つれづれなるままの「抱負」であった。
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ベストモータリング同窓会 | 日記
Posted at
2015/01/15 19:15:22