〜『北総の小江戸』と近頃評判の佐倉へ〜
海浜幕張駅の脇を抜け、湾岸千葉ICからのった東関東自動車道をスイフトHYBRID RSは快活に疾走していた。
ボディカラーは情熱を感じさせる緋色で、メーカーではそれに『バーニングレッド・パールメタリック』の呼称を与えていたが、率直に言ってMAZDAの『ソウルレッド』に比べると、もう一つ、ハートに迫ってくる深みに欠ける印象だった。が、走るリズム感は悪くない。VWゴルフのもつFFスポーツのDNAが学習され、しっかり移植され尽くした印象である。
千葉・木更津方面と分岐する宮野木JCTの手前では、京葉自動車道へむかうクルマの流れでいくらか渋滞したものの、そこを抜けると再び快適に、成田方向を目指す……。
さて、足元の動きはどうだ?
開発陣はヨーロッパの道で走りこみ、鍛えてきたRS専用の足元のチューニングを、しきりにアピールしていたが、100kgを超える軽量化もあってか、アップテンポのミュージックを聴きながら、ちょいとスラローム・テストしたくなる、悪戯っぽい誘惑が……。
ま、そんなアホなことができるわけはないじゃないか。おのれを叱った途端に少しばかり、車線をはみ出したようだ。ピピピッと警報で注意を促してきた。メーカーオプションだけど、セーフティーパッケージが用意されているわけだ。「単眼カメラ+レーザーレーダーが、いつでもあなたの走りと万一の危険を見張っている」とアピールしていたご自慢の一つだ。特に「前方衝突被害軽減ブレーキアシスト」と「自動ブレーキ」の機能は、この200万円を切るコンパクトクラスで手に入るのだから、有り難い。
幕張を出て20分。四街道ICまで「あと2km」の標識。Carナビで四街道ICから佐倉へむかってR136が伸びているのを確認する。
佐倉は、利根川南岸沿いにあって、「江戸防衛の東の要衝及び西方面より西国大名に江戸が攻撃された際の将軍家の退避処として徳川譜代有力大名たちが封ぜられ、幕府の老中職についた大名が徳川各藩中最多を数えたことから、俗に『老中の城』とも呼ばれ、それとともに城下町も栄えました」(佐倉市公式Webより)とあるが、プロ野球界で永遠の輝きをもつ長島茂雄の生まれた町として有名だろう。
わたしたちの世代では講談で、処刑覚悟で佐倉城主の悪行を将軍に直訴した「義民・佐倉宗吾」を知る程度だが、運河沿いに立ち並ぶ古い商家の風情は、なかなかのモノだと聴いていて、一度は訪れてみたい町の一つであった。近頃は「北総の小江戸」として注目されはじめた町でもある。
*GOOGLE MAPより
四街道ICで降りると、すぐにR136が正面で待機していた。左折してすぐのY字型の交差点で右手へ、「物井・佐倉」方面を選ぶ。適当なカーブを描いて小高い丘を駆け上がり、下っていく。左手は小ぶりな工業団地や学校が適当に陣地取りをし、右手には一般住宅が肩を寄せ合っている。どうやら細長い丘陵地帯で、その背骨に当たる部分をR136は走っているらしい。
珍しく交差点の赤信号にぶつかった。アイドリングストップでストンと回転計の針が真下に垂れしまう。
青になった。アクセルON。まったく再始動のショックもノイズもない滑らかなスタートぶりである。
どうやらマイルドハイブリッドはエンジン駆動の支援から、メーターなどの電装品への電力供給など、さまざまな役割を担っているようだ。アイドリングストップした累積時間と積算節約燃料がmlの単位で表示されるのが、新しい。
*GOOGLE MAPより
スイフトRSは丘陵から駆け下りたようで、視界いっぱいに冬枯れの水田地帯が広がっている。佐倉の町の中心は、まだまだ先のようだ。時間が足りない。諦めて引き返そうか、と車速を落としたところで、左前方に小ぶりだけれど白いアーチ風の橋が目にとまる。そろそろ、ここまで来ました、という証拠写真を抑えていたかったので、肚がきまった。
鹿島川大橋と呼ばれる白い橋。真っ直ぐ行けば臼井という町へ通じるらしい。長島茂雄が育った町がそこだった。が、本日は断念。それよりも撮影のために駐めたあたりの背後の小山は、間違いなく、かつては古墳だったに違いない。もっこりと森が盛り上がっている感じで、絵になった。
そのあたりを羽鳥と呼んで、神社や寺院が木々の間に散在しているなど、なにやら由緒のある妖しげな地域であるらしい。いつか再訪して確認したい。
さて引き返そうか、とRにシフトギアをセットして嬉しくなった。ナビ画面が後方と、真上から見下ろしているかのような映像を映し出してくれる。これなら後方確認はバッチリだ。

残りの時間は30分か。
再びR136に復帰して、四街道ICまで大急ぎで引き返す。
スイフトのランナバウトしての立ち位置は、今回の新型を創り上げたことでさらに「磨きがかかった」と評したい。
東関東自動車道をクルージングしながら、スイフトRSの
この頃は、航空機を使う旅の場合は、空港からのレンタカーを、ホテルとセットでネット予約することが増えた。だからレンタルしたクルマがコンパクトクラスなら、何になっているのか、いつも楽しみにしてきた。
TOYOTA車ならプリウスかヴィッツ、HONDAならFIT。日産はノートあたり。MAZDAならDEMIO、そしてSUZUKIならスイフト。そんななかでもっとも気に入ったのが、去年の5月にしまなみ海道にある《海賊の島》へ行ったときのスイフトだった。その時の先代スイフトの写真と今回のNEWスイフトとを見比べて見たくなった。何かが感じとれる予感が湧いてくる……。
●註:「海賊の島へ」はこちらからどうぞ。
あ、そうだ!あの時の《海賊の島へ》はあのままになっている。あのつづきは、是非とも仕上げておかなければならない内容だった。
幸い、持ち時間70分を2分残して、HYBRID RSは幕張の基地に帰着することができ、ランチにありつくことができたのである。
午後はRSのもう一台、1ℓターボ、6ATのRStを試す予定が待っている。午後も同じコースをとって、佐倉の町まで再挑戦するのも悪くない。しかも「四街道IC」のもう一つ先に「佐倉IC」があったのである。それなら持ち時間の70分でも往復するのは可能かも知れない。
さてどうしようか?

(この項、おわる)
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還暦+青春の21歳 | 日記
Posted at
2017/02/07 11:06:19