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イイね!
2017年03月02日

土屋圭市『NSXの愛し方』

土屋圭市『NSXの愛し方』 〜箱根路での恍惚と筑波バトルの死闘〜


『みんカラ・SPECIAL BLOG』に専用の席を設けてもらってから、5年と8ヶ月……。

 時には、おのれを省みるためにも、そのスタートとなった《ファーストラン》から読み返すことがあるが、とても一日かかってもこなせないほどの量になってしまった。気ままな昔話のおしゃべり、勝手な「情報発信」に、呆れることなく付き合ってくれている「仲間」の励ましや反応が、何よりのエネルギー源であった。改めて、深く、お礼を申し上げたい。

 単純なことかもしれないが「コメント」や「メッセージ」が賑やかに寄せられると、かつて販売セクションから報告される売れ行き調査を気にしていた現役時代の気分に戻ってしまうのだ。

 そうした中で、もっとも「イイね!」が寄せられたのは2016年10月22日にアップした『緊急特報‼︎ ベストモータリングは生きているぞ!』(こちらをクリック)であった。「158」という圧倒的な数字は、普段が40〜50だから、その意味は大きい。





「ホットバージョンの本田編集長の声が、1オクターブ、高い」というのがその書き出しで、一度は諦めた「New NSX」を黒澤元治さんが単独アタックして、それを引鉄(ひきがね)にして『ベストモータリング』を復活させる、という秘密のプロジェクトが続行可能になった、という報告だった……インパクトは強かったが、残念ながら肝心の『ベスモ復活』は、まだ実っていない。

 もう一つ、印象が強烈だったのは、鈴鹿サーキットを周回しながらの「ガンさんのNSX辛口インプレッション」。締めのコメントでズバリと言い切った……。
 
「やっぱり車が重い。ダイナミクスをもっとあげるためには重量を軽くしなくてはダメ。それとサスペンションのつくり方が間違っている。荷重変動が大きすぎる。もうちょっとサスペンションの勉強をしければダメだな。シャーシーデザイナーにいいのがいない」
 レーシンググローブを外す手つきから、ガンさんの想いがまっすぐ伝わってきた。これまでのNSXを生み、磨き上げてきたガンさんにしてみたら、今回のNew NSXは、どうやら別物であるらしい、とわたしも締めくくったが、その時から気になっていたのが、ガンさん同様、NSX-Rを今もなお愛蔵しているドリキン土屋がどう評価するのだろうか、ということだった。

「Hot-Version Vol.144」がやっと出来上がり、待っていた「回答」が明らかになった。文字になっているものではなく、直接に新型NSXを箱根のワインディング路から、筑波のバトルステージまで、「疾っている土屋圭市」の心、息遣いを映像で丹念に伝えてくれた。それはまさに、土屋圭市の『NSXの愛し方』公開といってもいい出来上がりだった。





 その辺を、少し。トレースしてみようか。
 大都会の夜のイルミネーションを映しとったNSXのボデイは、確かにため息の出るほどに艶かしい。が、スーパースポーツの主戦場でどうなのか。

 はじめのステージは御殿場から乙女峠の手前で長尾峠へつながるワインディング。枯葉を巻き上げながらコーナーを抜けるNSXからは、間違いなく「新しき帝王」の威厳すら感じられた。







 続けて芦ノ湖へ下っていく箱根スカイライン。ドライブする土屋圭市の声が上ずる。感激し、やがて恍惚ゾーンに入っている。
「いやァ、速ッ! これはスポーツカーだ。当然のことながら、旧型のNSXにはこういう加速感はないですよ!」
 4駆を感じさせないHONDAの新しい技術力に触れたところで、まずはSPORTモードで飛び出した。

「ワインディングを気持ちよく走るんなら、SPORTモードで十分行けちゃう。フロントが逃げない。これは欲しくなるなあ。メッチャ、いいよゥ」

 続けて、スポーツ+モードも試す。
「鋼のような踏ん張りになってきたぞゥ」
 インプレの声も弾む。
「でも、ワインディングではスポーツ+モードはいらないかも……+(プラス)はサーキットだろうね」



 霧に包まれたパーキングエリアで。
「最初に新型のNSXを見たときに、メイドインUSAでしょ、という感覚。しかしこうやって走ってみると、間違いなくHONDAの血は流れていると感じた。ワインディング・インプレッションに関しては、100点でいいと思う。乗りやすく、攻めても安定感がある。ただ、このあと、われわれは筑波サーキットに行って検証したい。ピュアースポーツになるのか、ならないのか、楽しみにしています」



  筑波サーキットでは、晴れやかな冬の日差しを浴びながら、頼もしい仲間が待っていた。織戸学と谷口信輝の常連キャスターと世界標準のスポーツカーとして、ニッサンGT-R Track edition engineered by NISMOとPORSCHE 911 turbo Sが選ばれて、待機していた。

スラロームTEST、タイムアタック、そして5ラップの真剣バトル。

 NSXがトコトン、裸にされていく。はっきり言えることは、35RT-Rにせよ、911turbo Sにせよ、モデルごとに徹底的に鍛えられ、磨かれ、進化している。だからサーキットを走る姿に、それぞれ特有の美しさがある。
 それに比べて、一旦、開発・製造を止めてしまったNSXには空白の10年が付いて回る。サーキットを駆け抜ける姿は、華麗ではあるが、躍動感に欠ける。コーナー毎に腰が引けている姿が頼りなかった。







 そこのところを、土屋圭市がどう伝えてくるか。「土屋圭市の愛し方」という今回の命題も、実はそこにあった。

 結果は、ホットバージョンの本編をご覧いただきたい。ただし、これだけはいえる。タイム・アタックッでは1分3秒台だった土屋NSXが、ライバルたちとのバトル中は、なんと2.2秒台で走行、その秘術を尽くした様子を証明してくれる。

 最後に、土屋圭市は、こうまとめあげていた
「アメリカ生まれの新型NSXを日本のHONDAがどこまで仕上げていくかという楽しみができた。バトルの後、自分のNSXを走らせてみたが、それがHONDAなんだね。ドライバーに挑戦状を叩きつけてくる。そのレベルに今度のNSXを創り上げられないはずがない。ワインディングでは100点満点なのに、サーキットでは電子制御があまりにも介入しすぎて、安全は安全なんだけど、それが楽しいか、というと、スポーツカーとしてはチョット、と首を傾げざるを得ない。しかし、これからHONDAがタイプRのように進化させてくれるのかな。それをわれわれは期待して待っていたい」



 なるほど、それが彼の「NSXの愛し方」であったのか。最後に問われていた。
「で、新型に乗り換えるのですか?」
  その答えは、すでに見えていた。手元の旧型Rをもっと進化させるプロジェクトをスタートさせるらしい。   
                (この項、終了)
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Posted at 2017/03/02 23:30:57

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この記事へのコメント

2017年3月3日 0:08
黒澤先生と土屋先生の表現の違いが整合する所、辻褄が合う部分に真実があると思うので、私の感想ですが「使用想定されている速度域がタイヤの限界域より低い所がターゲットに成っている」と考えると両先生のインプレが繋がるかなと思っております。

その領域内では最高の感触、越えるとネガが出るのかなと感じました!
コメントへの返答
2017年3月3日 0:41
想定領域もあるのでしょうが、お二人の、人生に対するものさしの違いを、私は感じます。同じ問題点に対して、さてそれからどうする、という目標意識。

またみんなで話し合いましょう。
2017年3月3日 0:40
私が大好きなSH-AWDというシステムが、今度のNSXを唯一無二のスポーツカーの高みまで引き揚げてくれるのか、期待して待っています。

ただ、最近のHondaでは不安が多いですが・・・
コメントへの返答
2017年3月3日 7:24
同じ想いです。

新しい世代のHONDAファン、残念ながら、あまり逢えなくなりました。S660だって、新世代をどれだけ惹きつけているのでしょうか。
2017年3月3日 4:39
>>最近のHondaでは不安が多いですが・・・
中国とF1ですね。技術を育てるのは簡単ではないですよ。
為替政策とデフレは物づくりを壊すので・・。
でもGMとの技術提携で期待をしていますが・・。
(ホンダ単独独立のままではいずれ中国(韓国)にやられます)
(VWはどうなるかなぁ・・。)
>>「使用想定されている速度域がタイヤの限界域より低い所がターゲットに成っている」
これはトルクベクタリングシステムで後輪側に
軽量化した物を載せられないという事です。
(三菱や日産の特許が・・。ボルシェはここがダメ)
後は前下がりになっている事(フロントリフトアップ装置が無い)。
それと空力対策(下回り)(458や488はここの出来が良い)
軽量化するならフロントに付けているSHAWDは外して二駆しかない。
(マクラーレンP1)でも電池の重さが出る。
マラネロと日産は分かっているけど・。最近の本田はダート(グラベル)や空力や後輪駆動を知らない技術者が増えましたね。
もう少し先を読んで技術や物づくり改善をする余裕が現場に
無いのかもしれません。車を見ていてそう感じます。
http://minkara.carview.co.jp/userid/2587122/blog/39333811/
http://minkara.carview.co.jp/userid/2587122/blog/39333299/
http://minkara.carview.co.jp/userid/2587122/blog/39327969/
http://minkara.carview.co.jp/userid/2587122/blog/39329329/
コメントへの返答
2017年3月5日 13:52
お久しぶりです。

社長が新しくなっただけでは、空白を埋めることはできませんね。どの世界も同じです。

顧みて、かつてのように青山に、用がなくても立ち寄る。そんなリビドーが、こちら側でも消滅してしまいました。ましてや、栃木を訪問することもなくなりました。

追記 PROGRESSの新車情報'98は参考になりました。このころの三本さんの活気、懐かしい。多謝。
2017年3月3日 7:45
ベスモ的に標準車同士で対決させた今回の動画を見て、ホンダ魂を持つ開発者の皆さんも火がついたことでしょう。 GT-Rのように、熟成させた足回りを、初期型にも適用させるオプションを追々準備すればいい。そうして熟成させて、また新たにNSXという文化を育てて行けばいい。それを厳しい言い方で伝えたガンさんと、そういう未来も見据えて期待を込めたドリドリと。共にNSXを愛し、NSXに人生を捧げてきたお二人だからこそ言える言葉。我々の言いたかったことは、きっとホンダの皆さんにも伝わっているでしょうし、そうでなければベスモが復活する意味もない。負けたままでいいなんて私は言いません。復活したGT-Rが天下を取って見せたように、NSXもRが出る頃には、標準車も熟成され、それをベースとした度肝を抜くRが出て来ることを期待しつつ、まずは離陸したことを喜ぶ、いちクルママニアです。
コメントへの返答
2017年3月3日 18:36
まずは離陸したことを喜ぶ。

この気持ちが、新しいものを育てる、大事なところです。そこを明快に読み取っている貴兄に、乾杯!

3日は朝から御殿場へ行っていました。またプチプチと細胞が元気にはじけてくれる感じです。

うれしい日々のために、GO!
2017年3月3日 21:01
NSX、やっぱり第二回ベスモ同窓会で見たベスモスペシャルとがんさんの表情がすべてですね。あのときの、がんさんの表情と今回のNSXの復活での表情が違いますね。でも、ベスモで毎回キャスターから鋭い突っ込みに答えるメーカーの姿がありましたよね。例えばRX-7。進化はベスモの厳しい声だったと思います。HONDAもNSXを厳しく育ててほしいですね。そして、がんさんとともにベスモの復活を期待しています。
コメントへの返答
2017年3月3日 23:05
第2回のベスモ同窓会はそうでしたね。

またみんなでワイワイやりたいものです。
2017年3月4日 0:46
こんばんは、皆さんNSXに対する想いが熱いのが伝わって来ます。

最近ふと思うのが、「初代NSX=ガンさん」じゃないかと。当時スカイラインGT-Rファンの私から見て憎い程速いスポーツカーは、今となっては名車だなとつくづく思います。

HV流でこれから評価するには、とりあえずアドバンなどの国産ハイグリップタイヤに履き替えてまた土屋親分の評価を聞きたいですね。
スプーンや梅はん辺りが名乗り上げて「しっかり進化と深化をする」車になって欲しいです。

スーパーGT、スーパーフォーミュラ、果てにはF1まで絶不調のホンダが心配です。
コメントへの返答
2017年3月4日 10:32
初代NSX=ガンさん」…なるほど。
東京・練馬での第2回で、NSX創り込みの映像を、みんなで鑑賞した日が想い出されます。そして、土屋君にもそれなりのユーザーとしての打ち込みようがあるにしても、レベルが違いすぎる。

ま、それはそれとして、一つの問題提起にはなったかな。
以下はメッセージにて。

スペシャルブログ 自動車評論家&著名人の本音

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「4戦連発の森下翔太。防御率0.00の山崎から一発はお見事。しかし先発起用の左腕、門別が6失点のKO.それでも球児監督の『門別、逃げるな』の愛の檄。何を言っているのか、気になる。次回の登板がいつになるのか、だ。海の向こうのマイアミでは翔平が特大10号。その復調ぶりが頼もしい。」
何シテル?   05/08 09:42
1959年、講談社入社。週刊現代創刊メンバーのひとり。1974年、総合誌「月刊現代」編集長就任。1977年、当時の講談社の方針によりジョイント・ベンチャー開...
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