〜「朝日」が夕刊トップに掲載した「NEWSの奥行き」を掘る〜
2月28日に、まだまだ活動していますよ、と足跡を慌てて残しておいた 《140字日記:何シテル?》を、ひとまず解凍することから始めたい。ヘッド写真として同載した2月26日付けの朝日新聞夕刊面をクリックしていただくと、「140字」に圧縮された中身が、ここに改めて登場するはず。
*先ずはここをクリックされたし。
本来なら、この「140字」は、以下のような文章になるはずの内容だった。
————2月26日。16:00になった。さて、これから、本来なら1月22日に設定されていた「銀座の洒落た鮨バーを楽しむ懇親会」が、豪雪襲来で一ヶ月後に延期され、そのやり直し会(18:30集合)に赴く準備を始めた。と、コトンと新聞受けに夕刊の届けられた気配。
「どれ、どれ」
朝日新聞を取り出す。開いて、第1面のトップ記事に目を剥いた。
『戦犯の祈り 平和問う像』の大見出しの真下に、大空に向かって伸びやかに両手を拡げるブロンズの青年像。その写真に吸い寄せられた。こんなネームが添えられている。昨年末、JR東京駅の丸の内駅前広場に再び設置された「愛の像」=東京都千代田区。
さらに『東京駅前 台座に遺書集』と、この像の創られたきっかけとなった「世紀の遺書」(編集・巣鴨遺書編纂会)の外箱の山並みは画家の東山魁夷が無償で描いた。
続けて《「愛の像」設置場所》の地図が小さく添えられている。どうやら南口バス乗り場の脇らしい。
信じられない。「朝日」を持つ手に、力がはいる。間違いなく「愛=アガペ」とだけ記されたあの銅像が、本当に東京駅頭に帰ってきたのだ。
実は、昨年(2017)の6月19日にJR東日本の広報室に、こんな問い合わせをしていた。
「昭和30年(1955)11 月、東京駅前丸の内広場に建てられていた愛の像は、何度か広場の工事のたびに撤去、復活を繰り返し、今では今回の再整備のためでしょうか、どこを探しても見当たりませんが、どうなっているのか?」
即答できる広報員がいないらしく、後ほど調査してから返事をくれるという。
翌日、広報室から電話が入った。ちゃんと名乗ったところで、現在、あのブロンズ像は千葉県内の専門業者に預けてあり、再生されるかどうかは不明である、と。
*2016年6月、丸ノ内広場に面したJPタワーからの眺望。もうこの時には「愛の像」は撤収されていた。
そうか、あの深く、重い意味を秘めた美しい像に、再びお目にかかる日はもうやって来ないのか。がっくり、力が抜けて行った。
その日から半年後には「愛の像」が、全面改装した駅前スペースに復活していたというニュース。まさに「え⁉︎」である。しばらくは絶句状態であった。
そんなに「愛の像」にわたしがこだわる理由は何か。このあと、当然、触れなければならないが、ともかくこの目で確かめたい。そして撮影してきた『愛の像』を紹介する方が先だろう。
幸い、銀座の鮨バー集合は18時。それならば東京駅前広場に立ち寄ってからでも、間に合うじゃないか。ショルダーバッグにNIKON5200を突っ込んで、急ぎ東京駅前に広がる丸の内広場を目指したのである。
なぜ「愛の像」にわたしがこだわるのか。一つだけ触れておきたい。
東京駅頭に建つ「愛の像」に初めて逢ったのは昭和34年(1959)秋であった。
その年度の新入編集部員とし、いきなり創刊間際の『週刊現代』に配属されたわたしが、一人前に自前で企画を立て、取材し、そして5ページものとして書き上げたのが、12月27日号に掲載された『特別読物 “愛の像“に秘める戦犯の祈り』である、と前置きすれば、お解りただけるだろうか。
『週刊現代』はその年の3月30日に創刊号を送りだした。
その年の最終号に『愛の像』の特別読物が5ページにわたって掲載された。
創刊1年目。『週刊現代』1959年12月27日号の目次である。まだ編集方針も確立していない。連載小説だけは豪華メンバー。週刊誌のセールスポイントは、まだそこにあった時代が読み取れよう。
『週刊現代』に掲載された5ページのうち、書き出しの2ページ分だけ紹介させていただく。建立に至る流れだけはお伝えできるだろう。しかし、ここまでではこの像を誰が彫り上げたのかも、まだ触れられていない。彫刻家の横江嘉純さんである。この記事を書くにあたって、目黒のお宅に伺った記憶が蘇ってくる……。
ともかく、2月26日 の夕刻に撮影した「東京駅頭 蘇った愛の像」をご覧いただきたい。能書きは、それからだろう。
すっかり日が落ちてしまった。撮影はここまで。この足で、急ぎ銀座2丁目まで駆けつけなくてはならなかった。10分で行けるだろうか。
次回はもう一歩踏み込んで、わたしの取材した「愛の像」にまつわる深い「人間ドキュメント」を、ぜひお伝えしたい。
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つれづれ自伝 | 日記
Posted at
2018/03/16 02:32:34